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27話 小宮&松山side 閻魔大王

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27話 小宮&松山side 閻魔大王

ドゴーン!!

「くっ…!」

「グアァ…!!」

「くそ…近づくことすら出来ないのか…。」

最果ての洞窟で由希と別れて2日経った。

陸は最果ての洞窟の魔物の強さに近づくことすら出来ずにいた。

目の前には大きなインフェルノタイガーがいる。

討伐ランクはA+のはずだ…。最果ての洞窟の魔物は別格ってことか…。

「グアァ!!」

「ストームフォース!…はあ!!」

インフェルノタイガーの吐いたブレスを陸は剣に風を纏わせ受け流す。

「ハリケーン!!」

「グアァ!!」

「ちっ…最上級魔法ですら耐えるのか…なら!エンチャント!!」

陸はハリケーンで生み出した竜巻全てを剣に宿した。

「真・五月雨切り!」

ギン!

インフェルノタイガーの鋭い爪と陸の剣が衝突する。

「うおお!!」

陸の剣はインフェルノタイガーの爪から食い込み、腕を切り裂いた。

「グアァ…!」

怒ったインフェルノタイガーは牙に炎を纏わせ陸に襲いかかった。

「よっ…と」

陸はギリギリそれを躱す。

「トルネード!」

「グア…ア…」

竜巻でインフェルノタイガーの体が浮き上がる。

「終わりだ…。」

ザン…

インフェルノタイガーの首を切り裂いた。

「ふう…何とかなったな…。片目でここまで出来たのは上出来だな。」

陸の右目はブラッドウルフとの戦いで使い物にならなくなっていた。

コンタクトをポケットに入れて置いて正解だった。

「かなり深くに来たな…。」

陸は水属性魔法が付与されたアーティファクトを取り出し水分補給をする。

「由希は…無事だろうか…」

正直絶望的だろう。

「くっ!…僕があの時…もっとしっかりしていれば…!」

いつだってそうだ。肝心な時に僕は大事なものを守れない…。

それでも由希は信じてくれと言った。

「信じて…いいんだよな?…由希。」

進むしかない。そして由希に会うまでに絶対に強くなる。道は違えた。陸は強くなるため。そして大切な人と再会するため。さらに最果ての先へと進んで行った。

魔物の群れと会わないために陸は身を潜めながら慎重に進んで行った。

目の前にゴブリンのような魔物が飛び出して来た。

「!…こいつは…ゴブリン?」

ただのゴブリンがこんな所にいるはずがない。

しかし目の前にいるのは何の変哲もないゴブリンだった。

「どうしてこんな所に…」

「グギッ…ギャギャギャ!」

陸は剣を振り下ろす。

「!」

陸の目に映ったのはニタリと口を歪めたゴブリンの姿だった。

剣がゴブリンに到達する直前辺りは黒い煙に包まれた。

「ぐっ!幻影魔法か?!」

「クヒッ!ヒヒヒヒヒ!」

陸は気配を感じて直ぐに後ろに飛ぶ。

ブオン!!

空を切る音が陸の腹の前をギリギリで通り過ぎた。

大きな鎌だ。

鎌が通った風圧で煙が晴れる。

「!、こいつは…しにがみか?」

討伐ランクAの死神である。

しかし図鑑には幻影魔法の事など書かれていなかった。それに…

「デカすぎる…!」

「ヒヒッ!」

「くそ!」

ドゴッ!

ギリギリで躱すが、さっきまで陸がいた所の地面が深くえぐれた。

「冗談だろ…。」

「キヒ…」

「ブラックミスト!」

黒い霧が覆う。

「クヒャアァ!!」

「な?!」

しにがみの叫びで霧は全て吹き飛んだ。

「ここの魔物には効かないのか?!」

「ヒヒヒ!!」

「ストームウォール!」

風の壁を生み出し鎌を受ける。しかし…

「!」

陸は風の壁ごと、吹き飛ばされた。

「ぐあっ!…っ…腕が…!」

腕からは岩が刺さり血が大量に出ている。

「ゴブリンだからといって侮るからこういう事になるんだ…。くっ!油断した…。」

「キヒッ!」

しにがみは巨大な鎖を投げてくる。

「な?!くそ!!」

足に絡まり動きを封じられる。

「くそ!」

必死に外そうとするがビクともしない。

「くそ…」

スバン!

「!…があぁ!!…ぐっ…ああぁ!!」

しにがみの鎌は陸の足を切り落とした。

「くそ…。」

「キヒ、ヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!」

バキッ!

「ぐあぁ!…あ…ああ…」

鎌の裏で陸の腕をへし折った。

やばい…死ぬ…。

「くそ…こんな所で…僕は…死ぬのか?」

「ヒヒヒ…」

「ダメだ…こんな所で死んだら…僕は…!」

ビキ!

突如陸の下の地面が割れた。

「!…な、何が…」

「クヒ?…ヒ…」

地面から巨大な手が出てきてしにがみを握りつぶした。

「な、なんだ?…なんだよこれ?!…あ…」

陸はそのまま割れた地面に落ちていった。

「ぐう…くそ!僕は…!僕はまだ死ねないんだ!!まだ君に…君に言いたいことが沢山あるのに!強くなろうと…誓ったのに!!…由希ぃ!!!」

…お…、い!…

あれ?僕は…

「おい!起きろ!」

「はっ!」

陸は目を覚ます。

「…こ、ここは?!」

「ふう…やっと起きたか…。」

「っ!あ、…足が…!」

陸の片足はやはり無くなっていた。

「どうなってる?僕は落ちて…」

「無視とはいい度胸だな…。」

「!…誰だ?!姿を現せ!」

辺りを見回すが誰もいない。

「上だ、上。」

「!、な、なんだ?!お前は!」

上を見上げると巨大な顔があった。

「俺か?」

「きょ、巨人…」

「俺をあんな下等種族と一緒にするな。俺は700代目…閻魔大王だ。」

「は?」

「俺はこの世界。地獄を束ねるものだ。」

「地獄?どういう…」

「お前はしにがみに襲われてたからな。死んだと思って連れてきた。」

「しにがみ…」

「でも…死んでなかったな。お前。」

「…ここは本当に地獄なのか?」

「あ?」

「何も無いじゃないか。」

辺りは何も無いただ永遠と草木も生えない陸地が広がっているだけだった。

「ちゃんとした地獄だよ。死ねば分かるさ。」

「?、それはどういう意味だ?」

「生きてるやつに話す義理はねえよ。」

「…」

「どうする?生きてるやつに興味はねぇ。地上に返してやってもいいぜ?」

「…地獄には…何がある?」

「は?」

「僕は…強くなれるのか?」

「…なれるな、確実に誰よりも。」

「僕は…強くならなければならない。」

「そうか…。だからどうした?」

「そうだな、僕を…

…殺してくれ。」

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