60話 小宮&松山side 最後の試練
60話 小宮&松山side 最後の試練
最果ての洞窟深部の森。
「さて、松山。君はここで僕のことを待ち構えていたろう?」
「…ええ。」
「この奥には…何がある?」
「…はっきり言って私にもよく分からない。でもホーリーウルフとディアブロスウルフ…レジェンド級のウルフの里があった。」
「なるほど…ここから先はレジェンド級の住処って訳か…。」
「…ええ。恐らくは。」
「それが分かればいい。行こうか…。」
「…!、本気?いくら強くなったとはいえ油断しちゃ…!」
そう言いかけた由希は言葉を止める。
陸の周りには凄まじいオーラが渦巻いていた。
「…油断?油断なんて1ミリもしちゃいないさ。ギリースで藤山も言っていたろう?この世界は死と隣合わせの世界だ…。行くぞ…由希。」
「…ええ…!」
「…ねえ、陸…。」
「どうした?」
「…陸はさ…これから先藤山くんと戦うんだよね…。」
「…」
「…私…はっきり言って自信ないよ…。」
「自信?藤山に勝つ自信か?」
「…そうじゃない。私は藤山くんに勝つために力をつけてきた。そうじゃなくて…もし戦って勝てたとして…藤山くんを…殺せる自信が無いの。」
「由希…。」
「…私ね…ギリースで再会した時…藤山くんと色々話したの…菜々も一緒に。本当に…楽しかった。たとえあれが演技だったとしても…楽しかった…。…ねえ、陸…あなたに藤山くんを…殺せる?」
「あいつは殺す…殺さないと…クラスメイトがこれ以上死んでいくのはもう見たくない…。」
「…クラスメイト…じゃあ藤山くんは…クラスメイトじゃないの?」
「!」
「…私は…強くなって改めて思った。私に藤山くんは殺せない…。私はね…藤山くんと…仲直りしたい。また…笑い合いたいの…。」
「由希…そうだな。…僕は今…本心じゃないことを言った。」
「…え?」
「たしかに僕は…藤山とはできれば戦いたくない。」
「…それなら…」
「でも僕は…藤山と戦わなくちゃいけない。」
「…どうして?」
「簡単な理由だ。あいつが僕を…殺しにくるからだ。僕はあいつの攻撃を防ぎながら説得するほど器用じゃない。あいつが殺しにくるなら…僕はそれに反撃するまでだ。」
「…そうだね…陸は…そうするよね。」
「僕はこれからやることを変えるつもりはない。藤山が殺しにくるのなら…迎え撃つ。それだけだ。」
「…そう…だね…。私だって殺されるつもりは無いし…藤山くんを殺すつもりもない。」
「…そうか…。さ…行こうか…。」
「…ええ。」
しばらく2人が歩いていると開けた空間に出た。
「どうやらここが最深部らしい。奥に進むような道はないからね…。」
「…となるとあの石碑…怪しいわね。」
開けた場所の真ん中には小さな石碑があった。
「そうだな…だが気をつけろ…。周りに魔物がいるかもしれない。」
「…そうね…。」
「石碑…なにか書いてあるな…。」
「…読めそう?」
「ああ、ちゃんと日本語だ。」
―――さらなる強さを求める強者よ。我を求めよ、そして取り込め。我は汝の最後の試練なり―――
「…どう言う意味かしら?」
「さあ?最後の試練?」
ゴゴゴ…
「「!」」
「…何?!」
「由希!離れるな!」
突如地面が揺れる。
―――主…。
「!…レイ?」
―――なにか…とんでもないものが…来る…!
「とんでもない…もの…。」
ドゴーン!!
「…きゃっ!」
「由希!!」
陸は由希を抱き寄せる。
「っ…下か!」
突如地割れが起き、そこから巨大な手がでてきた。
「…っ…!」
「離れるなよ…由希…。」
「…うん…!」
「っ!由希!横に飛ぶぞ!」
「…ええ!」
2人か横に飛び退くと、先程までいた場所に巨大な手が振り下ろされた。
「っ…物凄い威力だな…。」
「…あれは…なんなの?」
その場に現れたのは10メートルを超える巨大な岩で出来た巨人だった。
「っ…でかい…!」
「…陸!鑑定は?」
「ああ…オーパーツゴーレム。…レジェンド級だ。」
「…やっぱり来たわね…。」
「ああ…最後の試練か…。由希…やるぞ。」
「ええ!」
立ちはだかるは最後の試練オーパーツゴーレム。
2人はさらなる強さを求め剣をとる。
魔神領。
「やっと…ここまで…来…た…。」
少女は門の前で呟く。
「止まれ。貴様…何者だ?」
門の前の兵士が問いかけた。
「私は…優…くん…。」
「!」
少女はその場によろけ倒れた。
「大丈夫か?!おい!しっかりしろ!おい!」
(ここまで…来たのに…)
「おい!サラ様に伝えろ!」
その後は数人の兵士が叫んでいたが意識はそこで閉ざされてしまった。
目を覚ます。
「…ここは…。」
「起きた?」
「!」
ベッドの隣で座っていた女性が問いかけた。
「魔神…サラ…。」
「お久しぶりね…名前は確か…江ノ島菜々ちゃんだっけ?」
「…どうして私はここに?」
「それはこっちの台詞よ。勇者であるあなたがここ魔神領になんの用かしら…?」
サラの周りに魔力が渦巻く。
「私…は…。優くんに…会いに来た…。」
「ユウに?」
「ええ…。会わせて。」
「…なんのために?分かっているのかしら?いくら生き残ったとはいえわざわざユウに会いに来るなんて…自殺行為よ?」
「分かってるわ…だからこそ私はユウくんに会いに来た。優くんに…殺してもらうために…!」
「…そう。それがあなたの出した答えなのね…。分かったわ。」
そう言うとサラは部屋から出ていった。
しばらくして部屋のドアが開く。
「!…優…くん…!」
「…」
部屋に入ってきたのは江ノ島の求めていた人物。
藤山優だった。
「はあ〜…」
優は椅子に腰を下ろす。
「…なにやってんの?お前。」
「優くん…。」
「わざわざ俺に殺されるために出向いたってか?」
「私…は…」
「っ…あ〜…火傷痛てぇ〜…。お前の声は凄いな…喋るだけでダメージ与えてくるとか…。」
「私がここに来たのは…あなたに殺してもらうため…。それで優くんの気持ちが晴れるなら私は…!」
ドンッ!
「っ!」
江ノ島の顔の横を銃弾が通り抜ける。
「黙れ。」
「優…くん…?」
「殺されに来ただぁ?俺はそんなこと望んでない。俺はお前に苦しんで死んで欲しいんだよ。」
「…」
「お前が何を決めたか知らんが俺はお前の顔が絶望で歪んでいる時に殺す。あまりの苦しみに私を殺してくれって頼んだ時にな。」
「そん…なの…」
「想像出来ないだろ?その苦しみが。」
優は江ノ島の額に拳銃を添えて話す。
「どこまで頭がお花畑になってるか知らないが…。」
「っ…!はあっ!はあっ!」
あまりの殺気に息を詰まらせる。
「…そう簡単に死ねると思うなよ…?お前には…絶望を見せてやる。」
「っ…あ…あ…」
「…目が覚めたならとっとと消えろ。」
「っ…く…あ…」
あまりの殺気に耐えかね、江ノ島は意識を失った。
「ちっ…また気絶かよ…。」
優はそのまま部屋をあとにした。
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