LNCrawler

82話 黒い炎と共に

腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが — novelba.com · All chapters

82話 黒い炎と共に

「ユウ!!!」

優はルシファーに斬られその場に倒れた。

「口ほどにも無いな。」

「そんな…ユウ!!」

「どこを見ている?戦いはまだ…終わってないのだぞ?」

「!…ルシファー…。あなたは…お姉ちゃんだけじゃなく…私からユウまで奪うの…?」

「弱いとは…そういう事だ。」

「ダメ…もう…奪わせない!!」

ミーシェの体を凄まじい雷が覆った。

「ほう…まだそんな力を隠し持っていたか…。」

「轟·雷神斬!」

「レーヴァテイン。」

炎の大剣とミーシェの剣が衝突した。

「なんだ?どうなってるんだ?俺は…ルシファーに斬られて…。」

―――忘れたのか?お前は死なない。

「そうだったな。でも…なんでだ?なんで俺は…立てないんだ?」

―――そうだな…。お前が…臆病だからだ。

「臆病?俺がか?」

―――そうだ。

「それは無い。俺はあの時から恐怖など…感じてない。」

―――そうか…。なら…何故立たない?

「それは…」

―――心の奥ではお前は恐れているんだよ。

「!…言ってるだろ!俺は恐怖なんて…」

―――なら立てよ。

「!」

―――恐怖なんてないんだろ?たって戦え。

「…ダメだ。今立ち上がっても…俺はあいつに勝てない。」

―――そうだろ?今までお前は大体の敵は簡単に殺してきた。でも

ルシファーは強い。それがたまらなく…怖いんだろ?

「!…そうか…怖いのか…。」

―――どうする?逃げるか?このまま。

「俺は…逃げちゃダメだ。」

―――ならどうするの?今のお前ではどの道勝てないぞ?

「…知るかよ、そんなもん。」

―――無鉄砲に突っ込むのか?

「勝てるまでな。どの道俺は死なねぇんだ。勝つまで戦うしかねえだろ?」

―――ふ…そうだな…。だが勝つ方法なら…ある。

「なんだと?それは…」

―――俺を受け入れればいい。

「お前を?ていうかお前誰だよ?姿を見せろ。」

―――いいぜ。俺は…

そこに現れたのは白い髪、赤い瞳をした優だった。

―――俺はお前だ。

「お前が…俺?それにその姿は…」

―――そうだ。この力を受け入れればお前は暴走するだろう。仲間も敵も判断出来なくなる。

「論外だ。ミーシェを殺す訳には行かないからな。」

―――そうか…。でもいいのか?

「なんだと?」

―――見てみろ。

「!…ミーシェ?」

ミーシェは血を流し倒れていた。

―――お前が死ねばどの道ミーシェも死ぬぞ?

「ミーシェが…死ぬ?」

―――そうだ。死ぬ。

「…」

―――どうする?ルシファーにミーシェを殺されるのと…お前が暴走してミーシェを殺す。どっちにする?

「…俺は…!」

「愚かなだな。あの小僧はもういない。貴様に我を殺す力もない。」

「うっ…ユウ…!」

「諦めろ。貴様は姉には遠く及ばない。」

「お姉ちゃん…ユウ…」

「さらばだ。魔神の妹ミーシェ。」

「うう…まだ…やれる…!雷神…斬!」

ミーシェは残りの力を振り絞ってルシファーに斬りかかったが、ひらりとかわされてしまった。

「…」

「まだ…死ね…ない!」

「…無駄なことだ。」

バキン!

ルシファーはミーシェの剣をはじき飛ばした。

「くっ…うう…」

「早く楽になるがいい。」

ルシファーはレーヴァテインに炎を纏わせ振り上げた。

ああ…ダメだったよ…お姉ちゃん。ごめんね、お姉ちゃん。ごめんねベルちゃん。ごめんね…

…ユウ。

黒い炎。

ミーシェの目に飛び込んだのは漆黒の炎だった。

「何…これ…?」

「ハハハハッ!やはり貴様は面白い!!まだ立つか!藤山優!」

ミーシェの目の前には黒炎を纏い、白髪、赤眼の優が立っていた。

「ユ、ユウ?その…姿は…私の?」

「…大丈夫だ、ミーシェ。俺のままだ。」

「!…ユウ…」

「休んでろ、ミーシェ。」

「…うん。」

ミーシェはそのまま気を失った。

「貴様は藤山優か?暴走したのならば自我は無いはずだが?」

「押さえ込んだ!」

「それは驚いた。だが今更戻ってきたところで何が出来る?我の大罪魔法に抗う術など存在しない。」

「どうかな?やってみるといい。」

「図に乗るなよ?我の大罪魔法は…絶対だ!」

ルシファーは大罪魔法、ヨハネの黙示録を放った。

ふん…口ほどにも無いな。

「…言ったろ?効かないってなぁ!」

「な!?馬鹿な!!我の…大罪魔法が?!」

「うおおおおぉ!」

ザン!

ルシファーの右肩から入った剣撃はルシファーの体にしっかりと刻まれた。

「馬鹿な…!この我に…傷だと…?」

「まだだぜ?」

「なんだ…これは?傷口が…!」

ルシファーの傷口から黒炎が上がった。

「倍返しだ。」

「ぐあぁ!!」

ルシファーは苦痛の叫びを上げた。

「ハハハハハ…ハハハハハハッ!!いいぞ、いいぞ!そう来なくてはつまらんよなぁ?!もっと我を楽しませろ!藤山優!」

「ヘルプロミネンスブレイズ!」

「ダークマター!」

黒炎と闇の波動が衝突したが、勝ったのは優の黒炎だった。

「ぐっ…」

「やっと膝…ついたな?」

「馬鹿な…この我が?」

「どうした?目の前で起きてることが理解出来ねぇか?」

「!…たかが魔族の分際で…思い上がるなよ!!我が最大の…神級魔法!」

「神級?」

「この魔法を放てるのは…我だけだ!!重力魔法、グラビティ!」

「な?!これは…」

優に何キロもの重力がかかる。

「頭が高いぞ、魔族風情が。」

優はその場に這い蹲るような姿勢となる。

「ぐっ!ぐっ…そぉ…!」

「我が神級魔法の前に立てるものなどいない!そのまま押しつぶれるが良い。」

この…まま…じゃ…。

「…ユウ」

「!」

優は倒れているミーシェの方に目をやる。寝ているが寝言で呟いたようだ。

ふ…いつもそうだ…。いつもお前が…俺に力をくれる。最果ての洞窟でもそうだ。俺は…お前がいたから…。

だから!俺は絶対にお前の姉さんを助けてみせる!

絶対にお前を…死なせない!!

優はゆっくりとその場に起き上がる。

「!…馬鹿な?!神級魔法だぞ?!貴様は…神の領域に足を…踏み入れるというのかぁ?!」

「ごちゃごちゃうるせえんだよ…うおおおおぉ!」

優は重力魔法を完全に振り払った。

「そんな…馬鹿なことが…?」

「はぁ…はぁ…。散々ミーシェをいたぶってくれたな?」

「!…その…魔力は?」

優の体を黒炎が包み込む。

「そんな…馬鹿なことが!!レーヴァテイン!サンシャイン!」

「…デス…サンシャイン!!」

巨大な灼熱の太陽と漆黒の太陽がぶつかる。

「「うおおおおぉ!」」

―――ああ…君の炎でも…勝つことが出来なかったよ…。ミカエル。

「はぁ…はぁ…。」

「フハハ…これが…敗北か…。」

「…」

「つまらない話だが…聞いてくれ。…我は元、神界で、神々に仕える…天使をやっていた。」

「…」

「そこで…ある女性天使と出会った。」

「…」

「それがレーヴァテインの持ち主、ミカエルだ。我は彼女を愛した。彼女も…私を愛してくれた。だがそれは叶わぬ愛。天使は…恋をしてはならないのだ…。それでも…彼女を愛する気持ちに…嘘はつけなかった。彼女もまた…嘘をつけなかった。もちろん神々はそれを許してはくれなかった。結果我々は…処刑を言い渡された。だが我は彼女に…一緒に逃げようと言ったのだ。彼女と一緒ならどこにでも行ける気がしたのだ。だが叶わなかった。ミカエルは我の仲間の天使、ウリエルに槍で貫かれて…帰らぬ者となったのだ。」

「…」

「全ては我のわがままのせいなのだ。分かっていた。でも我はそれを認められはしなかった。ウリエルを殺し、天に背いたということで我は…堕天使となったのだ。その事を忘れぬように我は…ミカエルのレーヴァテインと、ウリエルのグングニルを持っている。罪の証として、堕天使となったのならとことん悪を貫こうとな。だが…サラ様は違った。人間との…共存などと言い出したのだ…。それではならぬのだ。我は…悪でなくてはならぬのだ。」

「…立派だな。だが間違いだ。その理想に…ミーシェを巻き込んだことがな。」

「フ…なるほど。あの時点で我の敗北は決まっていたのだな…。どこまでも…高慢なやつだ…。貴様と戦い…貴様に敗れたことを誇りに思う。」

「…」

「貴様と…もっと違う形で…出会えていたらな…。」

「…これがあんたの恋人の武器だろ?」

「ミカ…エル…」

「死に方くらい選ばせてやる。一緒に眠れ。」

「…良い。貴様が使え。」

「いいのか?」

「その方が…彼女も喜ぶ…。」

「分かった。ありがたくもらっておく。」

「貴様は…我と同じには…ならぬようにな…。」

「ああ…。」

ルシファーは静かに目を閉じ、眠るように息を引き取った。

さて…限界だな…。

ドサッ…

「ルシファーが…死んだのね。」

ベルフェゴールは地下室へと向かった。

「!」

そこには倒れているミーシェ、優、ルシファーがいた。

「ミーシェ!ユウさん!」

しかし2人は寝ているだけだった。

「ふふふ…お疲れ様。二人とも。」

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2話目です!

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