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第882話 大神殿

【アニメ2026年7月放送!】ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ — ncode.syosetu.com · All chapters

第882話 大神殿

ギルド長直々に発行してもらった冒険者証をアレンは魔導書に納める。

「Eランクなのですね」

吹っ飛ばしても、冒険者ランクを上げる理由にはならいのかとギルド長に尋ねてみる。

「当然だろ。何の成果もあげていないんだからな。何か成果を上げたら報告してくれ。騒ぎは起こすなよ」

「ありがとうございました。では失礼します。イルゼ、大神殿の前に転移するぞ」

(本当はあれこれ依頼したかったんだが、はよ出ていけ感すごいからな。討伐依頼の確認と両替は時間の空いた時にお願いしよう)

魔石収集のための情報を収集したいが、外へ出る壁が半壊し、冒険者も街の人々もごった返して騒然となっている。

大神殿に向かう準備ができたので、他の用事は別の機会にしようと思う。

アレンはイルゼに声をかけると入出管理局に向かう前から飛ばしていた鳥Aの召喚獣が設置した「巣」の下へ覚醒スキル「帰巣本能」を発動させた。

「相変わらず、便利なスキルだな」

「そうだな。ガキの頃からがんばって使えるようになった」

「それはとんでもないな」

寝る間を惜しんでスキルレベル上げをしてきた成果だとアレンは言う。

アレンとイルゼの正面には暗黒神と法の神の信仰を説く巨大な神殿が目の前にそびえ立つ。

(作りは一緒だな。まあ、暗黒神、法の神の支配する世界だからな。統一感があるのは当然か。マンションとかでも同じデベロッパーだと建物の感じ似てくるよね)

アレンは見上げながら、ガディアック島の中央にある暗黒神の神殿を思い出す。

暗黒神アマンテの神殿は複数の階層に分かれており縦に長い建物であったが、ブラキウス大陸の大神殿は低階層だが各階層は数倍の広さがありそうだ。

(さて、暗黒神官についてもイルゼから聞いているからな。暗黒大神官とまずは会って、この大陸の神である獣神ブラキノに話を進めてもらって、「生命球」を各大陸の祭壇に捧げるぞ。冒険者ギルドでは暴れてしまったし、さすがに暗黒神の信者たちと争わないようにしないとな!)

【暗黒神官について】

・暗黒神の教えを説くために存在する

・暗黒神の教えを犯した者を捕らえる

・各大陸にある大神殿に暗黒大神官が1人いる

・大陸内の街や村に設けられた神殿には暗黒神官が最低1人いる

・暗黒大神官、暗黒神官、暗黒神兵など多様な役職がある

・各大陸の大神殿には暗黒神アマンテ、法の神アクシリオンに仕える上位神がいる

魔導書を開き、イルゼから聞いて暗黒界の信仰と暗黒神官について改めて理解する。

「おい、来たようだぞ」

仲間になり魔導書が見えるようになったイルゼが、前方に集中するように言う。

神槍を持った暗黒神兵だろうか、槍を握ってローブを着た者たちがぞろぞろとやってくる。

「こ、これは、暗黒騎士……イルゼ様。急なお立ち寄りですね。いかがされましたか」

「守備ご苦労。急用につき連絡無しで来訪してしまい申し訳ない。暗黒神アマンテ様の命により暗黒大神官に会いたい。今日はいらっしゃるだろうか?」

(お? 連絡がない? 暗黒神の神殿には通信の魔導具がないのか? なるほどなるほど、魔法神がいない世界だし魔導具を開発してこなかった弊害か)

暗黒界はどうやら100万年ほど、人間界や神界と隔絶しているらしい。

魔法神イシリスの影響も受けておらず、ドワーフがいなくて魔導具を開発していない世界だ。

灯りの魔導具を見かけたので全く魔導具がないわけではないようだ。

イルゼに今度、魔導具はどんなものがあるのか聞いてみようかと考えていたら、暗黒神官との話が進んだ。

大神殿の扉を暗黒神官たちが開け、中に入るように頭を下げてくる。

「暗黒大神官モラーナ様をご案内します」

「助かる。おい、こっちだ、アレン」

一瞬遅れてアレンはイルゼの後を歩く。

正面の通路を進んでいくと、アレンは階段が横目にあることに気付く。

(ん? 階段使って上の階層に上がらないのか? 横に広い建物だったしな)

偉い者は上の階層にいると相場が決まっている。

暗黒神も最上階層の広間にいたのだが、どこの世界、どこの国、どこの王城でも似たような作りだ。

ラターシュ王国などの王城でも謁見の間が王城の中層にあっても、王家の私室は王城のかなり高い位置にあったと記憶している。

なお、アレンはラターシュ王家の私室を知っているのは、グランヴェル伯爵に何かあり報復が必要な事態が発生した時のために調べていた。

正面に向かっていくと大きな扉があり、開けて中に入るととても広い礼拝堂になっていた。

「……日々の生活に感謝します」

「父の病が良くなりますように」

「子供が無事に生まれますように」

「混血人の粗暴者に天罰が落ちますように」

何百人の獣人と数十人の魔族が何層にも横に並べたテーブル席に座り、正面に設けられた壇上の先に飾られた暗黒神の像に向かって祈りを捧げている。

(めっちゃ祈っているな。この大陸で一番の礼拝堂に信者たちが参拝に来るような習慣なのかな。物騒なことを言っている人もいるけど)

アレンは必死に祈る者たちを見て眉をひそめてしまう。

魔王軍との戦いの中で神界における世界樹を通した命の循環システムや霊獣などの生命の滞留などを知ったアレンは神や信仰について懐疑的だ。

アレンが必死に稼いだ経験値とは、この世界では命は経験値に置き換えられ蓄えられていた。

祈りには意味がなく、命は経験値に置き換えられる世界で所詮はステータス、数値に過ぎなかった。

キュベルの手の中で踊らされて無の世界の牢獄に送られ、今は暗黒界にいる。

(今、やるべきことを考えないといけない。正解を選択するんだ。今の行動がやるべきことかを考えるんだ。選択を間違えてはいけない)

『おい、ボサッとするな。暗黒大神官が待っているようだぞ』

アレンの背後でメルスからも先に進めと声がかかる。

街中だろうと召喚しているので一緒に行動するメルスは、アレンの意識を礼拝堂に戻してくる。

礼拝堂の壇上にいる暗黒大神官モラーナがイルゼと既に挨拶を交わしていた。

アレンが早歩きで祈る獣人や魔族の横を通り過ぎ、暗黒大神官とイルゼの下へと向かう。

アレンの顔を見るなり、この大陸唯一の暗黒大神官で、壮年の女性のヤギの獣人が口を開いた。

「……なるほど、これで混血人ではないのですね。ブラキノ様よりアレンという人間界からきた者たちがやってくると聞いております」

(お? 暗黒神がこの大陸の獣神に連絡してくれていたのか)

【名 前】モラーナ

【年 齢】41

【種 族】獣人

【職 業】大神官

【体 力】18700+9600+8000(魔法具)

【魔 力】19900+9600+15000(魔法具)

【攻撃力】13200+9600

【耐久力】16000+4800+10000(防具)

【素早さ】15900+9600+4000(魔法具)

【知 力】21000+9600+20000(武器)

【幸 運】23000+4800

【攻撃属性】無、回復魔法効果2倍

【耐久属性】無、物理耐性(中)、毒耐性(強)、呪無効

※大神官は星4つ

※エクストラモード

※バフスキルのスキルレベル2

※加護は大で全ステータス1万増加

(大神官は回復職かな。普通に本気を出した魔神くらいの強さがあるぞ。 混血人 ( ハーフ ) を除いて才能のある世界で、人民を支配する重要なポストには相応の才能を与える世界か)

幼雛化させ肩に乗せたクワトロに鑑定させると、アレンは礼拝堂の暗黒神の像を見ながら暗黒神の力を改めて実感する。

「……ここに来た目的は聞いております。人々に恵みを与える生命球を捧げるのですよね。ブラキノ様より、連れてくるように言われております。こちらです」

暗黒大神官は獣神ブラキノの下へと案内してくれるようだ。

(お? 早速、クエスト完了か。お使いクエストだな。サクサク終わらせていこう。まあ、生命球を捧げると恵みの力を貰えるんだし、断る理由なんてないんだからな。生命球なんてなんぼあっても良いからね)

暗黒界の中心にあるガディアック島の周囲にある5つの大陸の大神殿の祭壇に生命球を捧げると、リオンの肉体の封印をそれぞれ1つずつ解除してくれると暗黒神に言われた。

神兵は聞いていなかったようだが、暗黒神は各大神殿にいる神々に連絡は通してくれていたようだ。

暗黒大神官から「こちらです」と言われ、壇上の左右の隅に設けられた小さな通用口を案内される。

右側の通用口の先には礼拝堂の裏側となっており、大神殿の側面を進む通路があり、イルゼとメルスと一緒に進んでいく。

途中で直角に曲がり始め、遥か先まで通路が続いていく。

(やっぱり礼拝堂の先に何かあったのか。広い大神殿だしな。獣神がいるのはこの奥か)

ゲーム的な感覚で建物の構造を理解していると、左側の通用口と建物の中央で合流する場所なのだろうと理解した。

通路をついていくと、先の方で2人の槍を持った獣人の神兵に暗黒大神官が話しかけている。

「獣神ブラキノ様にお目通りするわ」

「は!! どうぞお通り下さい!!」

一瞬、アレンとメルスを見てギョッとした神兵たちであったが、気にせず2人がかりで扉を開き、中に入るよう案内される。

天井は100メートル以上ある広い空間で、視線の先には階段状になった祭壇と思われるものが配置してあった。

(これが祭壇か。神もいないし何も祭壇の上に置いていないけど)

「こちらの祭壇をお上がりください」

暗黒大神官に言われてズイズイ進むので後をついていき、祭壇を上がると視界が広間の奥まで開けてきた。

祭壇の先にはさらに奥行きがあり、数百メートルに達する巨大な何かがうずくまっていた。

四つ足の体は毛がなく爬虫類のような質感だ。

巨大な尻尾は体を何周か回るほど長い。

既に起こした首は、胴体や尻尾と同じくらいの長さがあり、胴体に巻き付いていた。

『……随分早かったですね。もう数日かかるものだと思っていましたよ』

「お休み中でございましたか? ブラキノ様」

『いえいえ。やってきたら私の下へ通すように言ったのはこちらですので問題はありません。……それであなたが暗黒神アマンテ様の命を受けたアレンですか。どれ、暗黒神様が興味を持ち試練を与えると決断したあなたの顔をよく見せてください』

ズオオオオオオン

(獣神って恐竜なんだけど。ブラキオサウルスなのか。でも確か、そんなのもいたような)

四つ足の体を起こす前に100メートルを超える首を、祭壇の上にいるアレンたちの下へと伸ばしてきた。

前世で見た巨大なブラキオサウルスのような頭がアレンたちの目の前に迫るのであった。