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第894話 教育の対価②

【アニメ2026年7月放送!】ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ — ncode.syosetu.com · All chapters

第894話 教育の対価②

暗黒神アマンテは、蓄えられた世界樹1本分の中のさらに生命球1つ分を消費してアレンのレベルを上げた。

「おおお! 久々にレベルが上がったぞ!!」

アレンは、神界で霊獣を狩りまくったのだがレベルが250止まりであった。

だが、暗黒神は容易くアレンのレベルアップを図ってくれて、アレンは大広間にいるのだが魔導書を食い入るように見る。

(レベル270になっても経験値の分母が「無量大数」なのは変わらないと。これは暗黒神に今後もレベルアップをしてもらわないといけないな)

【経験値】0/無量大数

「おい、アレン。いい加減にせよ! 暗黒神アマンテ様の前だぞ!!」

イルゼが大声で叫ぶにつれて、鼻息を荒くしていたアレンは感動が薄まると言わんばかりに渋々と魔導書を片付ける。

『イルゼよ。次はお前の番だ。生命球を捧げるまでのお前の活動にも褒美を上げよう』

「は、はい。畏まりました。ありがとうございます」

自らも褒美が欲しいと言ってみたものの、今回の生命球を捧げた報酬が得られるとは思わなかったようだ。

少々、困惑しながらもイルゼはツカツカと前に出たアレンの横に並ぶ。

ズンッ

玉座に座ったままの巨躯のアマンテは近付いてきたイルゼの胸元に指を差した。

引き抜くとイルゼの鎧にはアレン同様に穴が開いておらず、イルゼの全身は光で包まれ始めた。

ブンッ

閉まったはずの魔導書が現われて、表紙に銀色の文字でログが表示される。

『イルゼは暗黒騎将になった』

(おお! 暗黒騎士の次は暗黒騎将か。レベル99だったから転職は助かる。ステータスは半分引き継いでレベルは1になったと。なんか職業名はクレナが転職を繰り返した竜騎士の感じに似ているな)

「これで母の代わりに暗黒騎士になったお前の役目も果たせるというものだ。これからも頼むぞ」

(ん? 母さん? クラシスじゃなくて。母さんは暗黒騎士だったのか)

『は! 必ず、血を受け継いだ自らの命をもって、役目を果たしたいと思います』

アレンは暗黒神の言葉を聞き逃さなかった。

(そういえば、イルゼって両親はどうしたんだ。ブラキウス大陸へ出かける前に、実家で挨拶しろって言ってクラシスさんのところに行ったけど)

何か、思い違いというか考えていなかったことに気付く。

暗黒神は長旅でガディアック島から長い間留守にし、生命球を捧げる前の上位神たちの試練でそれなりに危険なこともあって、家族に挨拶しておけという意味で家族に会いに行くように言ったのだろう。

そして、挨拶した家族は祖母であるクラシスであった。

何故、両親でも兄弟でもなく祖母だったのか。

祖母がクラシスだった衝撃や、人族が小さなコミュニティを作っていたこと、ドベルグや魔王軍の近況の話に終始して考えなかったことがある。

ドベルグとクラシスの子とこの暗黒界の魔族は結ばれてイルゼが生まれている。

イルゼは、 混血人 ( ハーフ ) の才能無しで生まれたことになる。

才能無しで生まれたイルゼは母から才能と立場を引き継いで、暗黒騎士をやっているように聞こえた。

(母の代わりに暗黒騎士になっただと? 一子相伝なのか? 暗黒騎士だった母から才能を引き継いだ。暗黒神の力で? それとも母も13人いる暗黒騎士の1人だったりするのか)

寡黙だが、暗黒騎士の務めを全うしようとする真面目なイルゼの横顔から彼女なりに抱えたものがあることに気付いた。

だが、転職しても笑みを零さず気合を入れるイルゼの横で、タジンが大声を上げる。

「イルゼ、強くなったのか。やったな! 俺も報酬が欲しいぞ!!」

「おい、タジン。何で、暴れて困ってる村や大神殿の相談を受けて、お前を態々連れてきたのにお前に報酬がでるんだよ。何もしないと課題の報酬なんて出ないんだぞ。っていうか、黙ってろ。俺の報酬が減るだろ」

アレンはあれこれ言ったが最後の一言が言いたかった。

「何だよ。アレンとイルゼだけなんてひどいじゃないか!!」

それでも報酬が欲しいと地団駄を踏みながら食い下がるタジンにイルゼも止めようとする。

だが、この様子を見ていた暗黒神は思うことがあったようだ。

『そうだね。力なく、課題の解決が滞っても困るんだけど。おい、あんた。みすぼらしいこの子に武器と防具を作ってあげな』

『ん~? ぐごごごごっ。なんか言ったかの?』

暗黒神に話しかけられたが、まだ寝ぼけているのか、頭部だけの法の神アクシリオンは半風船を膨らませながらも、まともな返事が返ってこない。

『いつまで寝ぼけているんだい。シャキッとおし!』

カッ

その瞬間、暗黒神は指を法の神の頭部に向けて、クワトロを倒したときと同じように、漆黒の闇を飛ばした。

『ひげぶっ!?』

頬に直撃した法の神の頭部は目玉が飛び出るほど叫ぶと、転々と跳ねて転がり、ようやく落ち着く。

(イルゼから2柱は夫婦だと聞いていたが、随分仲がよろしいことで。完全に暗黒神が主導権を握っているのか)

暗黒神と法の神の会話から、2柱の関係をイルゼに聞いていたのだが、ずっと夫婦でいるらしい。

『褒美だな』

『そうだよ。みすぼらしいヘルビーストの子に武器と防具を創ってあげな』

『何だ、そういう話か。お安い御用だ。ほれ』

パアッ

神力が頭部全体に溢れたかと思ったら、タジンの全身に神力が移っていく。

「お、おおおお!!」

驚くタジンの両手に野性味あふれる爪が装着され、同じデザインの獣の毛皮を模した上半身の胴体部分を守るベストも装着された。

(なるほど、これで報酬を得られたわけだな)

【名 前】イルゼ=デーモンブレイカー

【年 齢】20

【加護①】暗黒神(加護大)

【職 業】暗黒騎将

【レベル】1

【体 力】5300

【魔 力】3540

【攻撃力】5300

【耐久力】5300

【素早さ】5300

【知 力】3540

【幸 運】3540

【加護②】全ステータス10000、暗黒属性付与、暗黒神の依代

【神 技】暗黒波動〈3〉

【スキル】暗黒騎将〈1〉、真斬撃〈9〉、真渾身斬〈9〉、真居合切〈9〉、真堅巨盾〈9〉、八裂無残〈9〉、無双魔剣〈9〉、六道羅刹〈9〉、神技発動、剣術〈9〉、剣神術〈4〉、瞑想〈4〉

【経験値】0/100

※神技、スキルは暗黒剣〈3〉を除いて維持

※装備一覧は前回と変化がないため省略

【名 前】タジン

【年 齢】13

【職 業】ヘルビースト

【レベル】93

【体 力】10600+10800

【魔 力】7080+5400

【攻撃力】10600+10800

【耐久力】10600+10800

【素早さ】10600+10800

【知 力】7080+5400

【幸 運】7080+5400

【神 技】超獣変化〈3〉

【スキル】半魔半獣〈7〉、真爪牙〈7〉、真強裂爪〈7〉、真駿狼斬〈7〉、真爆虎拳〈7〉、暴魔暴獣〈6〉、斬月魔断〈6〉、反攻狼煙〈6〉、真魔獣〈2〉、神技発動、爪術〈7〉、爪神術〈3〉、瞑想〈3〉

【経験値】約3000億/3兆

・装備一覧

【武 器】原獣の爪:攻撃力20000、物理ダメージ50%増、クリティカル率50%増

【防 具】原獣のベスト:耐久力12000、物理耐性(大)、回避率50%増

法の神から報酬を貰い、みすぼらしいぼろ雑巾のような布切れを着ていたタジンが強力な武具を装備する。

(イルゼはバフスキルの暗黒剣を除いてスキルもスキルレベルも維持してくれたな。タジンは強力な武器と防具を手に入れたな。スキルレベルもそこそこ上げてくれているようだし、戦力になってくれるかな。経験値テーブル的にも2人はエクストラモードだと)

集落の者たちや父親からスキルを鍛えて貰っていたようだ。

恐らくだが親の代から全員才能がある世界だとスキル上げのようなものについて、伝えていく文化のようなものがあるのかもしれない。

これは10人に1人しか才能のない人間界とは違う文化のようだ。

「おお。神器ゲットか」

『神器ではないのう』

魔導書を見ながら分析するアレンの独り言に法の神が答えてくれる。

「そうなのか! でもかっこいいな!!」

さらに、法の神の返事にタジンが答えた。

貰った爪で素振りしながらタジンが目を輝かせて感動している。

法の神の言葉では神器ではないらしいが、オリハルコンよりも強力な武具であることには間違いない。

(全く。2人が欲しがるせいで俺の報酬が減らされかねない。これが修羅の国、暗黒界か。褒美も取り合いと来ている。だが、たしかに厳しい試練もイルゼとタジンが強ければ、それだけ容易に達成できるかもしれないし、前向きに捉えるか。えっと、結局報酬はどんな感じになったんだっけ?)

人間界でセシルが魔石の報酬は全てアレンにと言ってくれたことが、薄暗い神殿の中にいると懐かしく思える。

ただ、イルゼとタジンが積極的に報酬を得て強くなること自体はメリットが大きいため、これ以上、暗黒神や法の神に無理な交渉は不要と判断した。

【生命球を捧げた報酬の 整理 ( アレン ) 】

・大神殿の祭壇で法の神の肢体の封印解除

・生命球2回目と4回目にそれぞれビルディガとオヌバを召喚獣にする

・Sランクの召喚獣の覚醒スキル封印解除

・アレンの中にある生命の力を使ってレベルアップ

※毎回レベル20アップのするのか不明

【報酬の整理(イルゼ、タジン)】

・転職、武具の提供など

※レベルアップ、加護、神技の報酬はあるのか不明

(ふむふむ、あと4回の生命球でどれだけ強くなれるかだな。まあ、イルゼとタジンはどれだけ強くなっても、暗黒界に残るだろうしな)

イルゼもタジンもアレンは人間界に連れていく予定はない。

人間界にはクラシスたち人族の中で希望者は全員戻す予定ではあるが、2人を魔王軍の戦いに巻き込むつもりはアレンにはない。

それだけに報酬が分散されることは惜しいが、これも少しでも早く人間界に戻るために必要なことだと割り切ることにする。

「人間界への奈落の門はいかがでしょう」

『確か順調に進んでいるようだよ。ああ、そういえば、コルブラン大陸で「雷鳴石」っていうのが手に入るからそれが門の可動に必要とか言ってたわね』

アレンたちが1つ目の生命球を捧げる課題をこなしている間にビルディガたちが人間界と暗黒界を繋ぐ奈落の門を可動できるよう、作業を進めてくれていたようだ。

「雷鳴石? それは何でしょうか」

(お使いクエストか。お使いクエストまで始まるのか。何か口調から報酬は厳しそうだが)

『自分で調べな。そこまで丁寧に教えてやるつもりはないよ』

「はい。たしかにそうでございますね。次はコルブラン大陸へ向かいたいと思います。それでは、イルゼ、タジン。いくぞ。暗黒神アマンテ様、法の神アクシリオン様失礼します」

「暗黒神アマンテ様、行ってまいります」

「おう! もっと強くなるぜ!!」

報酬を貰い、次に向かう大陸が決まったアレンたちであった。