全世界防衛線㉒ 翼を授けるぅ
全世界防衛線㉒ 翼を授けるぅ
――後方領地 リッズガル
〝厄災の仔〟の群れが五百体前後、更に〝黒蛸の無神〟が数体混じって襲ってくる状況で、本来なら自警団しか存在しない当該領地は瞬く間に壊滅していたことだろう。
だが、女神の 神威 ( しんい ) と〝加護〟で辛うじて最初の奇襲を凌げた結果、
「怯むなっ!! なんのための救援だ!!」
どうにか救援が来るまで持ち堪えることに成功していた。
ビリビリと肌に痺れを感じるほど覇気の乗った鼓舞を響かせたのは、まだ若い戦士だった。
二十代半ばくらいだろうか。だが、若さに反して良く鍛え抜かれた立派な体格をしていて、何より威厳があった。
白を基調とした衣服の上に動きやすさを重視して急所だけを守るタイプの軽鎧を身につけており、一見するとシンクレアの戦士に見えたが明らかに違う部分が一つ。
それはシンクレアの戦士特有の、恩恵術を使うための 刺青 ( タトゥー ) やペイントがないことだ。
「地よ、集いて固まり剣となれ――〝砂刃〟!!」
代わりに輝いたのは手甲に刻まれた魔法陣。
雑草の生えた地面から薄刃が飛び出し、迫っていた〝厄災の仔〟の足を一本、見事に切断する。
ちょうど踏み込みの脚だったこともあり僅かにバランスを崩す〝厄災の仔〟。
そこに絶妙なタイミングで左右から別の戦士が飛び込み、その手の槍を深々と突き立てた。
「「ここに焼撃を望む!! ――〝火球〟!!」」
突き込んだ剣の先で炎が噴き出したのだろう。体内から焼かれた〝厄災の仔〟は、既に何度も攻撃を受けた後だったこともあり、そのまま白煙を噴き出しながらドゥッと倒れ込んだ。
「第二魔法隊!! 東側に壁を作れ!! 分断しろ!」
迫り来る〝厄災の仔〟の群れの前に光の障壁が生み出される。
そう、魔法だ。恩恵術ではなく。
砂漠での戦闘を想定した装備を身に纏いながら、しかし、シンクレアの戦士団ではない彼等は、異世界の砂漠の戦士――アンカジ公国の戦士団だった。
「砂漠の世界だと聞いていたが、存外、自然豊かじゃないか」
ハァハァッと荒くなった息を整えつつ、周囲を見渡す青年指揮官。
自身が得意とする砂を操る地属性魔法が効果を発揮しづらい。同じ砂漠の民だからこそ、この地の援軍に選ばれたはずなのだがと思わず苦笑する。
そこへ、
「貴殿が指揮官か!」
凜と響く男の声。振り返れば、やはり軽装の青年が駆け寄ってきていた。
褐色の肌に綺麗な七三分けの金髪、線が細く朴訥な雰囲気で、どちらかと言えば文官と言われた方が納得できる見た目だ。二十代後半くらいで、青年指揮官と大差ない年齢に見える。
「私はカームマン・リッズガル。自警団の指揮を執っている!」
青年指揮官は彼の名の意味に気が付かなかった。この地がリッズガルと呼ばれていることを知らないからだ。
砂漠界に転移するや直ぐに女神の力で再び転移し、そのまま現場での打ち合わせもなく目の前の敵と戦い始めたのだから当然だろう。
そして、それは相手も同じだった。
「お初にお目にかかる。私はビィズ。ビィズ・フォウワード・ゼンゲン。この救援部隊の指揮官だ」
青年指揮官が、異世界の大国の子息であるとは思いもしない。
本来、次期公主たるビィズが来るべきではなかっただろう。現公主であるランズィも、そのつもりだった。
しかし、ビィズが強弁したのだ。自分に行かせてほしい。戦士団を預けてほしいと。
次代を担う者だ。万が一の事態が起きたらどうする! 既にお前の命の重さは、私のそれを超えているのだぞ! と反論する父に、しかし、ビィズは以前とは見違えたように勇ましく、そして力強い男の表情で返したのだ。
この先の時代を担うからこそ、この世界的危急の時に安全圏に引っ込んでいるなどあり得ない。
かつての恩に報いるためにも私こそが出るべきで、香織様と共に戦えるなんてチャンス逃せないし万が一の時は 妹 ( アイリー ) が婿を取ればいい!! てんしきょ――公国の未来と誇りのためにも行かせてください! と。
それはそれは父をして気圧されるほどの覇気を以て主張したのだ。
かつての奇行が嘘のようだった。
ハジメ達がトータス旅行で訪れて以来、奇抜な格好もせず、もちろん模型の翼も背負わず、変な集会も狂信的な布教も行わず、一人の戦士として体を鍛え、そして次期公主として心を入れ替えたように努力してきた姿も確かに見てはいたが……
これほど公主に相応しい眼差しで父に物申すとは……
途中、なんか私欲が混じっていたような気がしないでもなかったが、息子の一部分に関しては極力スルーする能力が自然と鍛えられたランズィは、やはり完璧にスルーして「お前も、そこまで公族としての自覚と決意が……」と大変感動し、出撃を許可したというわけだ。
「救援に感謝する、ゼンゲン殿!!」
「なんの。世界の危機です。互いに守り合うのは当然のこと!!」
自然と背中合わせになる。飛び込んできた〝黒蛸の無神〟の触手攻撃を各々弾き、互いの背を守り合った。
アンカジの戦士団もシンクレアに負けず劣らずの練度だ。
すかさず三方向から物理と魔法で攻撃し〝黒蛸の無神〟に回避を余儀なくさせる。そして、わざと作った退路により移動地点を誘導。完璧なタイミングで後衛の高火力魔法を叩き込む。
相手もさしたるもので、それだけでは致命傷に至らないようだが、この個体もまた先程から同じような連携攻撃を受けて既に相当なダメージを負っていたようで、徐々に動きが鈍くなっている。
更なる指示を互いに飛ばし合い、同時に肩越しに振り返って頷き合うカームマンとビィズ。
同じ砂漠の世界の民で、歳が近いせいもあってだろうか。
どこかシンパシーを感じているように笑い合う。こいつとは仲良くなれそうだ、そんな予感がして――
シンパシーの真の理由を知る。
「ッッ!? き、貴殿! その背中は!?」
最初の襲撃時に受けた傷だろうか。カームマンの背中には袈裟斬りの傷があった。
戦闘服が切り裂かれて血も滲んでいるが薄皮一枚といったところ。特に戦闘に支障はないだろう浅い傷だ。
なのに、なぜそんなにも動揺するのか。
訝しむカームマンに、ビィズは何かを予感、否、確信した様子で服を脱いだ。
服を脱いだ! 大事なことなので二回言った!
ふんぬわっ!! と軽鎧ごと如何にも「邪魔だ!」と言わんばかりに勢い良く!
汗でテカる良く日焼けした筋肉が晒される。実はカームマンに付いてきていた数人の部下達が「この人、いきなりどうしたの!? こわっ」とドン引きしているのが分かる。
というか、カームマン本人も思わず身を退き――だが、 そ ( ・ ) れ ( ・ ) に気が付いて足を止めた。
それどころかマジマジと見つめる。
ビィズのそれはそれは立派な背筋を。否、その背に刻まれた――
「て、天使の翼ッッ!!」
そう、天使の翼のタトゥーを。
ふんっと気合い一発。魂のモスト・マスキュラー!!
前屈みになりつつ前面に力を入れるポージングであるが故に、必然、背筋は引き延ばされる。
それすなわち、
「つ、翼が広がった……大空に飛び立つかの如くッ!!」
翼を背負ってはいけない? オゥケェ!! なら背中に刻むまで! もちろん、父上にはバレないように!
服の下に隠し、背に背負う。
これぞ、香織様を信奉する天使教団、その秘密の信者の証!!
ならば応えねばなるまい。
「ふんぬわっ!!」
カームマンも脱いだ! 意外にも細マッチョな背中に刻まれた、恩恵術とはまったく関係のない天使の翼がモスト・マスキュラーによって大きく広がる!!
言葉はいらなかった。お互いに完璧に理解した。
誰に救われ、誰に憧れ、誰を信奉しているのか。
「か、感動だ……」
「き、奇蹟だわ……」
前者はビィズの傍にいた護衛戦士にして天使教団教祖付き幹部の男。
後者はカームマンの傍にいた護衛団員にして天使様愛好会幹部の女。
周囲の戦士、そして自警団員達も戦闘を繰り広げながらも気が付いたようだ。
いったいなんの奇蹟か。神の思し召しか! 否ッ、天使様の思し召しだ!!
今ここに、世界を越えて天使様を信奉する者達が邂逅を果たしたのだ!! と。
全ては大いなる天使様――香織様の意志のままに!(断じて違う)
「香織様のおらぬ戦場……少々、残念に思っていたが……」
「なんたる僥倖か!」
ツ~ッと一筋の涙を流しながらも振り返るビィズとカームマン。ハッと白い歯を輝かせながら最高の笑顔を向け合う。
二人は既に親友だった。
「やるか、 同志 ( とも ) よ!!」
「ああ、蹴散らしてやろう、 同志 ( とも ) よ!!」
拳をガッとぶつけ合い、再び背中合わせに。剣を握り締め不敵に笑う。
ビィズは神の加護とは別に滾ってくる力に香織様の存在を感じながら(特大の勘違い)、世界に響けと歓喜の声を張り上げた。
「ハロー!! ニューワールド!!」
意味は分からない。
だがカームマンは、その言葉に香織様との確かな絆を感じ(多大な誤解)、同じく歓喜を胸に叫んだ。
「ハロー!! ニューワールド!!」
それを聞いて、周囲の戦士達も叫んだ。異世界の同志達と出会えた感動と、これもきっと香織様の起こした奇跡に違いない! と声を震わせて(病的な錯覚)。
「「「「「ハロー!! ニューワールド!!」」」」
広がるニューワールドの輪。
もはや負ける気はしなかった。
一部のおかしな戦場は除き各地で奮戦が繰り広げられて、どれくらいの時間が経っただろうか。
シンクレア王国は現在、完全に迎撃態勢を整えた状態で〝無神〟の全方位襲撃を跳ね返すことができていた。
油断こそもってのほかだが、少なくとも状況は安定していると言える。
その一番の要因は、やはり鈴の大結界による王都防衛に割くべきリソースの大幅減少だろう。
王都全域を守るような〝聖絶〟を、本来、鈴はここまで長時間、しかも攻撃を受け続ける状況では維持しきれないが、今回はユエから送られてくる無限魔力がある。
自然魔力の供給なので瞬間消費に対する補給に向かないという弱点はあるものの、結界の維持のような継戦目的なら関係なし。
無限のエネルギーで維持され、集中攻撃で壊されようとも直ぐに修復され、その一瞬を突こうとしてもクーネが即座にカバーする。
クラス4程度の〝無神〟からすれば、まさに鉄壁だ。おまけに味方は素通りできるよう術が組まれており、いざとなれば結界内に一時退避されてしまうのだから堪ったものではないだろう。
これによりクーネの支援は更に充実し、かつ攻勢にも回れるようになり、加えて龍太郎による強力かつ迅速な遊撃もある。
更に言えば、雫が護衛に付いたことでフォルティーナの方にも余裕ができたのだろう。
先遣の救援隊であった鈴達以外の援軍も既に到着していることもあって後方の守りに余裕が生まれ、結果、遊撃団として転戦していたシンクレア戦士団も王都に戻ってきたのだ。
王都にも派遣された上級クラスの悪魔や妖魔の援護もあり、一時的に敵を押し返した後、安全圏である王都内で全軍を再編成。
乱戦を脱し、防衛の布陣を整えることに成功。
女神の加護のおかげか疲労も少なく、負傷者の救護体制も整い、最初の乱戦で失われた戦士達の遺体も回収済みだ。
黒王との戦いの時のように準備が整い次第、蘇生の魔法も届くという知らせを聞けば、もはや恐れるものなど何もなく――
「いや、こわっ」
あったらしい。
「魔王がこわすぎて、クーネ、ちびりそうなんですが!?」
いったい何が目的だろう。
女神様から常時届く戦局情報。もちろん全てではない。後方領地やジャバルシャン王国側の大雑把な戦局、敵の弱点や習性などの情報、戦力分布etc.
ミュウも頑張ってくれている。という情報までわざわざ届けてくれるのは、女神様のクーネに対する配慮だろうか。
友の奮闘に心が温かくなる――前に、巨大な人型の何かを視て「なんじゃありゃーーっ!!?」とギャグマンガのように目ん玉が飛び出しそうなほど度肝を抜かれ、その理不尽すぎる性能と、操っているのがミュウであるという事実を知って「……なるほど。これが〝世界観が違う〟というやつですか」と現実逃避気味の半笑いが零れ落ちたが……
ともあれ、だ。
別にハエ頭の魔王がもたらす惨劇、そのグロエグ映像まで脳裏に流し込んでこなくてもいいのでは? と思うのだ。
後方が無事だと知れれば、それで十分というか……
「た、確か、ミーちゃんのお友達の……〝ばるちゃん〟でしたっけ?」
七つの大罪の一角を司る魔王。
ベルゼブブという名の方が知られているだろうか。しかし、それだと姫が困る。というか実際に困ってたのだ。初めて意思疎通し、愛称を決めるという時に。
――べるふぇごーるの〝べるちゃん〟と被っちゃうの……ごるちゃんとか?
怠惰を司るベルフェゴールである。普段なら「なんでもいいッスよぉ~」と気にも留めないくせに、この時ばかりは「べるちゃんは俺のものッス」と気合いを出してきた。
なので、〝べるちゃん〟をかけて、ジャンケンで勝負した。
結果、ベルゼブブは敗北した。心の中で四つん這いになり、地面をペシペシしながら「なんでジャンケンだといつも負けるんだよぉ! いい加減、勝ちたいんだよぉーーっ!!」と叫ぶくらい悔しかった。
とはいえ、駄々をこねて姫を困らせたくはない。
なので、別の名から愛称を付けてもらうことにした。高位の悪魔あるある、否、神話の存在あるあるだ。有名であればあるほど別の名前があるというのは。
それが、バアル・ゼブブ(あるいはゼブル)の名であり、晴れて(?)〝ばるちゃん〟の愛称を貰ったというわけだ。
閑話 ( めちゃくちゃ ) 休題 ( どうでもいい ) 。
肝心な時に何かとジャンケンで敗北しがちな魔王ばるちゃん。
とある神話では慈雨や豊穣を司った最高神でさえもあるのに、イライラするとお気に入りの玉座を召喚して座りつつ貧乏揺すりしちゃう人間臭さを持ち、しかし、やっぱり悪魔の王なので。
「おぇ……」
「クーネ様!? もしや負担が?」
「クーネちゃん!? 大丈夫!? 少しくらい休んでも大丈夫だよ?」
脳裏に映し出された映像を見て思わず嘔吐くクーネに、アニールと鈴が心配そうに寄り添う(鈴がいるのでリーリンも今は安心して最前線に出ている)。
「い、いえ、なんでもありません。ええ、なんでもないとクーネは――ひぇ!?」
「クーネ様!?」
「クーネちゃん!?」
世界が血色に染まっていることも、瘴気に溢れるハエの大群や無数に飛翔する悪霊らしき存在も、地獄の業火さえも、怖いといえば怖いが問題ない。
吐き気を催すのは……
強烈な飢餓感を誘発し、暴食の欲で理性のみならず他の全ての欲さえも蹂躙する権能。
そう、彼は七つの大罪が一つ――〝暴食〟を司るが故に。
彼 ( か ) の魔王の領域では、対抗可能な特別な能力か、彼に比肩する力量がなければ暴食の欲求には抗えない。
結果、起きるのは、あまりにも凄惨な共食いだ。
一心不乱に〝無神〟同士が喰らい合っている。
痛みも悲鳴も死ぬ恐怖も絶叫さえも上げない。二匹のヘビが互いの尾を食い合い円環となるように、互いに夢中で喰らい合い、そのことを気にもしない。
ただ、喰っても喰っても満たされない飢餓感に突き動かされ、それでも少しだけ覚える暴食の快楽に恍惚としながらグチャグチャと咀嚼音と体液が飛び散る音を撒き散らす。
加えて、だ。
血色の空気に染まった暴食の領域で、その血色の世界を塗り潰すように飛び交う黒々としたハエの大群。
火山の噴煙の如きハエの大群は、やはり普通のハエではなく。
共食いに抗う一部の〝無神〟を、圧倒的な数の暴力を以て貪り喰う。黒い煙に包まれたと思えば、ほんの数秒で骨も残さず喰らい尽くされ消えるのだ。
もちろん、〝無神〟以外の生き物には影響も被害もない。
ないが……
そんな、まさに地獄と呼称すべき光景が広大な後方領地の半分を埋め尽くしているのだ。
これが魔王。これぞ魔王。
畏怖と吐き気を覚えても無理からぬことだろう。
「ミ、ミーちゃんはやっぱり凄いですね。いろんな意味で、あまりにも魔神様の娘だとクーネは思います……」
「クーネ様? いったい何をおっしゃって……」
「あ~、なんか察した。うん」
なお、先程「ひぇ」と悲鳴を上げたのは、共食い現場を直視したことが直接の原因ではない。
――おぉ~、神よ! 再び我等を守りし魔の神よ! 我が名はロスコー・アークエット!! 敬虔なる信者なり! フハッ、フハハハッ、崇めよ! アークエットの民よ! 我等が偉大なる神を崇めるのだぁ!!
という、なんか常軌を逸した感じのロスコーさんを視ちゃったからだ。
バルコニーで仁王立ちし、両手を広げて天を仰いでいらっしゃる。目も血走っていて、どこか恍惚とした表情ですらあった。
有り体に言えば、お手本のような狂信者の顔だった。信奉する相手が相手なので、物凄く邪教徒。
そのロスコーさんの腰には息子さんが、腕には奥さんがしがみついている。
――やめてください、父上! それは、それは一線を越えています!!
――あなたっ、正気に戻ってぇっ
――何を言うんだ、お前達! 邪神様を信奉することこそが救いであると、恐怖から逃れ永遠の安寧を手にできる唯一の方法なのだと、なぜ分からない! さぁ、共に祈りを捧げるんだ! 我等、魔に心を捧げる者なり!!
――ちょっと何を言ってるのか分かりません! 父上!
――ちょっとだけ何を言いたいのか分かるけども! あなた!
――え、母上……?
――ご、ごほんっ。あなた! 感謝はすれど、あのお方や、そのお身内に魅入られてはならないと、あなたが言ったのではありませんか! 人として大切な何かを失ってしまう気がするからと!
――そ、そうです、父上! 人の心を思い出して!!
「っていうやり取りをロスコー達がしてまして」
「ロスコー様……お労しや。ついに心の限界が……」
「アークエットの人達にとって南雲君が邪神扱いの件。恐怖から逃れるためか、力に魅入られてか……恐怖の権化が救世主とか、確かに情緒がおかしくなるよね。っていうか、邪教徒ってこうやって生まれるんだね……」
きっとこの場にハジメがいたなら、「え、待って。戦ってる時の俺、大罪共と同じように見えてんの? ってか、さりげなく邪神扱いされてるんだが。なんか間接的に人の心があるか怪しまれてる気がするんだが……」と悲しみ半分ショック半分の心持ちで抗議の声を上げたに違いない。
だって、戦場の凄惨な有様と、それを成した存在を崇める姿って……
〝無神〟と崇拝者の関係と、あんま変わらなくない? と思ってしまうだろうから。
ちなみに、たった一人で後方の領地の半分を影響下におけるのに、なぜよりにもよって王都に最も近いアークエットに魔王が出現したのかという点について。
別にアークエットだけではなかったりする。
そう、暴食の権能の効果範囲内にある全ての領都で、ばるちゃんの姿は目撃されているのだ。
本体はもちろん領域の中心にいるが、十全に権能を及ぼすためにハエの群れで作った一種の分身体を中継ポイントとして置いているのである。また、領都に何かあった場合、分身体で直接かつ迅速に対応できるようにするためでもある。
つまり、ばるちゃんの心遣いだ。
魔王の優しさに、アークエット以外でも邪教徒が生まれないことを祈るばかりである。
人が邪教徒に堕ちる瞬間を目の当たりにしつつも、クーネは手を脇にどける仕草をしつつ気を取り直した。
「まぁ、邪教徒に堕ちそうなロスコーは脇に置いておいて」
「クーネ様……流石に放置はまずいのでは? 仮にも領主ですし」
「メンタルケアが必要だね。たぶん、アークエット以外も。後で愛ちゃんに連絡しなきゃ」
フォルティーナ様、なんでロスコーの状況をあんなに鮮明に見せたのか。フォルティーナ様も自分の世界にハジメ信奉者(邪教徒方面)が広がるのを恐れたのか。
あるいは、単にフォルティーナ様も「えぐぅ。こんなの一人で視てられない……」と、グロ系映画を一人で見られない人の心境でクーネを巻き込んだのか……
と、クーネは訝しんだ。が、実のところ、その推測は外れていた。
単に別のことに気を取られたのだ。クーネに送る情報の選別よりも女神が意識を囚われる事態が起きたのである。
それは、間違いなく〝厄災〟の一手であった。
雫に対し最適の敵を用意してほんの数秒とはいえ分断を招き、同時に女神の感知能力と対抗措置をワンテンポ遅れさせるチェックメイトのための一手。
神の権能を持つ者同士の刹那の攻防。
「え……?」
と、声を漏らしたのはクーネ。否、きっと、この戦場にいる誰もが同じく混乱しただろう。
何せ、黒雲が落ちてきたのだから。
瞬く間の出来事だった。空が墜ち、結界で守られている王都以外の地上の全てが暗闇に閉ざされる。小恵樹の輝きも結界の外には届かない暗黒。
氷塊を背筋に流し込まれたような感覚に陥る。
何が起きた? どうなっている? 外のみんなは無事なのか!?
王都の中から黒雲に覆われた外を見やる者達の誰もが激しく動揺する。
だが、何かしらの手を打つ前に黒雲はあっさりと晴れた。輝きを帯びた風がダウンバーストのように降り注ぎ一気に黒雲を吹き飛ばしたのだ。
急転直下、何が何やらと唖然呆然としているクーネ達の視界に、答えが示された。
「なっ、なんですか、この数はっ」
「これは……援軍の方々も結集していませんか?」
クーネとアニールが驚愕に目を見開く。
その言葉の通りだった。
地上を覆い尽くした黒雲は晴れた。空にもない。陽の光が世界を照らしてくれている。
だが、〝黒〟はなくならず。
黒雲の代わりに地上を埋め尽くしているのは数えるのもばからしい〝無神〟の大群だった。
そして、味方の防衛線にも新たな戦力がいた。後方領地を転戦していた異世界からの援軍だ。
アンカジ公国軍はもちろん悪魔や妖魔の類いも、突然変わった戦場の景色とシンクレア戦士団を見てポカンッとしている。
「フォルティーナ様に何か起きた……っ」
〝厄災〟が黒雲を介して後方領地の戦力を全て王都に転移集結させ、その動きを受けてフォルティーナ様もまた後方の戦力を集結させたのだ。
あの魔王の姿は見えない。ジャバルシャン王国の戦力――ミュウやグラスナーデの民の姿もない。
転移させられなかったのか、あるいは後方に残しておくべき理由が、例えば強力な敵でも出たか。
と、推測はできた。そして、推測しかできなかった。
情報がないからだ。脳裏に何も視えない。何も送られて来ない。
それどころか、女神の加護も感じない!
恵樹の方で何かが起きたのは明らかだ。女神の力を以てしても繋がりを保てない何かが。
加護も神威もない。女神の援護はない。
戦士達も既に気が付いているだろう。それが混乱に拍車を掛けていることは想像に難くなく。
だが、何よりも不味いのは。
「龍くん! 北西の巨人! 抑えて!! あれはヤバい!!」
『分かってらぁ!!』
鈴の切羽詰まった声音で、動揺と思考の渦に呑まれ掛けていたクーネがハッと我を取り戻す。
そう、呆然としている場合ではない。
大群も加護の消失も十分に不味い要素だが、最悪ではない。鈴の大結界が持つ限り、直ぐさま戦線が崩壊することはない。
だが、それをあっさりと成し得る、その予感をさせる新手の存在がいた。
北に一体、そびえる巨体が見える。
頭部のない全長十五メートルほどの黒い巨人。皺も筋肉の形も皆無ののっぺりしたボディで、腕が足首近くまであり、その先端は、まるでミトンタイプの手袋のような形をしている。
一見すると粘土で作った手抜きの人形。
だが、伝わってくる忌避感、圧力、何より危機感は群を抜いていた。クラス3、否、クラス2にカテゴリーされるだろう強個体だ。
更に他の方角からも大群に紛れて姿こそはっきりとは確認できていないものの、凄まじい気配が伝わってくる。
対応すべく即座に分散して動いた上位の悪魔や妖魔の動きからすれば、同クラスが六体はいそうだ。
後方領地の戦局情報にあれらの存在はなかった。つまり、たった今、出現したのだ。
偶然ではないだろう。〝厄災〟は強力な別種の〝無神〟を支配下に置いているのか、あるいは捕らえていたのを、今、解放したのか。
分からないが、
「考えている場合じゃないですね! ニュンちゃん!!」
女神との繋がりは途切れても小恵樹に流れ込んでいた膨大なエネルギーが直ぐさま無くなるわけではない。
死ぬ気で引き出し、脳が焼き切れそうな感覚に襲われながらも全方位に向けて恩恵術を放つ。
視界が赤く染まり、意識がぐらりっと揺れる。前後不覚となって膝から力が抜けた。
「クーネ様!」
アニールが咄嗟に支える。ニュンに制御の大部分を任せてなお、キャパシティを超えた力の行使に意識を失いそうになるのを唇を噛み締める痛みで繋ぎ止める。
「くっ、足止めもままなりません、かっ」
全方位の砂漠を広範囲で砂海化させることで、迫り来ていた大群の最前衛が一斉に沈み込む。だが、敵の数があまりに多かった。沈みきる前に前方の〝無神〟自体を足場にして後続が進撃してくるからだ。
だが、無意味ではなかった。
僅かながら接敵時間に猶予が出来たこと。
そして何より、自分達の女王陛下が戦っている事実を目の当たりにできたこと。
それが戦士達の困惑と心に差し込みかけていた絶望感を払拭したのだ。
大群が奏でる不協和音を掻き消さんばかりの雄叫びが上がった。戦士達が、国も、世界も、種族も関係なく大群に立ち向かっていく。
「ユエお姉様! 聞こえます!? 戦力が足りません!! 援軍をお願いしますーーっ」
鈴がユエに更なる援軍を要請する。
その視線の先では〝首なしの巨人〟の恐ろしき姿が映っていた。
全身に人間の口のようなものを浮き上がらせ、両腕の先端も同じく大口となった恐ろしい姿の異形となっていたのだ。
そして、モデル・ワーウルフからモデル・オーガに転変し、距離を取って衝撃波攻撃に転じている龍太郎の片腕が――無くなっている光景も。
鈴が〝聖絶〟クラスの結界、それも空間遮断効果が付与された強力な結界で丸ごと閉じ込めても、腕を振るうだけであっさり消える光景も映っていた。
〝首なしの巨人〟の権能だ。体中に、そして両腕の先に出現した〝大口〟が触れた存在は、それが物理的なものであれ魔法的なものであれ全て喰われるのだ。
周囲の悪魔や妖魔の遠距離攻撃も直撃すると同時に開いた大口にバクッと喰われてなんの効果も上げない。
一切を喰らい進み続ける暴食の巨人だ。
その進路は真っ直ぐに小恵樹に向いている。
踏み締める足の先に〝無神〟がいても気にも留めない。むしろ、足の裏に出来た大口で喰らいながら進む始末。
数百メートルあった距離が、瞬く間になくなっていく。大結界まで、もう残り数十メートル程度。
阻めるとは思えなかった。あの手が触れれば大結界もあっさり喰われる予感がしてならなかった。
見れば、戦士団も大群を抑え切れず、再び乱戦に雪崩れ込みかけている。
もう、巨人の手が大結界に届く。
止められない。
不味い。
『鈴!! クーネに足下を狙わせろ!!』
「クーネちゃん! 地面を狙って!」
「!! はいっ」
意味を一瞬で理解し、〝共感〟でニュンに伝え、完璧なタイミングを教えてもらう。
巨人が踏み出した瞬間、かかとの方へ地面が崩れた。ぐらりっと揺らぐ巨人。
その瞬間、巨人の頭部付近で渾身のバリアバーストが炸裂。
同時に、「オラァアアアアアッ!!」と裂帛の気合いが響き渡り、巨人の足をすくいあげるような特大の衝撃波が迸った。
三人共同の足払いだ。
巨人が後ろへ倒れ込む。
それで稼げるのは十秒もないだろう。だが、値千金の時間だった。
巨人が藻掻きながら起き上がる。全身に幾つもの〝大口〟を出現させて攻撃の一切を喰らいながら。
そして、
「え? 援軍はなし!? だって新バグキャラが間に合うから……?」
鈴が困惑しつつ、そう呟いた直後だった。
ズルリッと巨人が斜めにずれた。そのままゆっくりとズレて上半身がドゥッと地面に落ちた。
誰もが「え……?」と目を点にする中、
「良かった。間に合ったわね」
「「「!?」」」
唐突に聞こえた背後からの声に思わず揃ってビクッとなるクーネ、アニール、鈴の三人。
慌てて振り返れば、そこにはちょうど、
「シズシズ!」
納刀する瞬間の雫の姿があった。
まったく分からなかった。気が付けば背後にいた。
女神の転移ならクーネが気が付くはずだし、大結界を通れば鈴が気が付くはずなのに。
「雫お姉さん、どうしてここに!? フォルティーナ様の護衛をしていたんじゃ……」
アニールに支えられながらもお目々をパチパチして問うクーネへ、雫は安心させるように微笑みを返す。
「厄災は倒したし、フォルティーナ様の護衛も愛ちゃんが来てくれたから大丈夫よ」
言われて気が付く。〝加護〟が戻っていることに。フォルティーナ様との繋がりが確かに感じられることに。
よく頑張ったと言わんばかりに温かな力が流れ込んできて、あっという間にアニールの支えも必要ないくらい回復していく。
「よ、よかったぁ」
ちょっぴり涙目になるくらい安堵を滲ませるクーネ。アニールも同じだ。女神の安否、この絶望的な戦局がもたらす重圧から一気に解放されたような表情だ。
「いえ、クーネ様。安堵している場合ではありませんよ。敵戦力は未だ強大です!」
「っ、そうでした! 雫お姉さん! たぶん、あの巨人を倒してくれたのだと思いますが、実は他にも何体か強力な個体が――」
「あら? あの巨人でクラス3以上は 最 ( ・ ) 後 ( ・ ) だと思ったのだけど……」
見落としたかしら? と目を細めて戦場を見渡す雫さん。
クーネ達は「え?」となった。顔を見合わせ、同じく戦場に視線を巡らせる。
相変わらず敵の数は多いが……
あの強大でおぞましい存在感が綺麗さっぱり消えていた。
「シ、シズシズ。もしかして、あの巨人を斬る前に全部斬ったの?」
「あの巨人を含む特に強力な七体と、次に強力なクラス3相当が十二体で間違いないなら、ええ、斬ったわ」
遠くで、六体のクラス2相当の〝無神〟と戦っていた上級悪魔や妖魔達がポカンッと、いや、一部は雫へ恐ろしそうな目を向けている。まるで大悪魔や大妖怪でも見たような眼差しだ。
それはそうだろう。
いったい誰が思うだろう。走って数秒で星を半周し、かつ、ほんの三~四秒程度で戦場全体からクラス3以上を選別&殲滅してしまうなんて。
転移でないからクーネも敵も感知できず、大結界は確かに反応したが、あまりにも速すぎて鈴も認識できなかったのだ。
という情報をフォルティーナ様から受け取り、小声でアニールと鈴にも伝えるクーネ。
「と、とにかく! もう〝厄災〟はいないから、これ以上、あの量産型が送り込まれることはないわ! 一気に片付けましょう!」
うわぁ……と、どこかドン引きしているというか、とうとう雫も バグキャラ ( そっち ) 側に行ってしまったんだ……みたいな表情になっている鈴達に気まずくなってか、誤魔化すように握り拳を作る雫さん。
「それほど強くない群れ相手には、やっぱりこっちの方が便利ね……」
続けて誤魔化すように、敢えて考えを口に出しながら指輪型の〝宝物庫〟を輝かせる。
そうすれば、雫の頭上に整然と並んで出現する漆黒の妖刀・千本――千刃黒妖刀。
構成素材を流体金属製で一新し、かつG10の戦術データを組み込んだ改良版だ。
全体的に能力が底上げされたのは当然、網やボーラといった拘束具、融合して大剣モードや盾モードに、逆に更に細分化して短剣モードや手裏剣モード(星型から棒手裏剣まで自在。ナイフではなく手裏剣なのは、もちろん八重樫だから)など形状を自在に変化させられる。
そのうえで、従来は大雑把な命令だけで後は半自動性に任せていた運用を、使徒モード、〝禁域解放〟そして〝常時神速状態〟で行えばどうなるか。
「操作はまだまだだけど……真速より負担は軽いし」
黒の流星が西域一帯へ扇状となって降り注ぐ。目にもとまらぬ速さは〝神速〟の証。それを完全に認識下に置いて、一体につき一本、的確に撃ち込んでいく。
空間切断機能により熱したナイフをバターに突き込むみたいにあっさりと貫通する黒の刃は、そのまま残像を残して転進。それぞれ縦横無尽に、かつ見境いなく近くの敵を貫いていく。
雫が両手をタクトのように振るえば変形機能も十全に効果を発揮し、飛翔する巨大な剣の薙ぎ払いで数十体が一度に両断されたり、蜘蛛の巣のように展開した鎖で絡め取られたり、槍、手裏剣、果てはフレイルやらブーメランまで。
雑技が得意な八重樫の性質とでもいうべきか。あらゆる武器に変形する自在性に敵も対応できず。
その対軍兵装としての能力を一段も二段も向上させた千の妖刀は、優秀な指揮官による十全の操作を受けることで最大限に効果を発揮し、瞠目すべき結果を叩き出していた。
と、同時に、
「あ、フォルティーナ様!」
女神の〝 神威 ( しんい ) 〟も顕現した。王都の東域一帯に輝く剣が千以上出現し、これまた流星となって降り注いでいく。
更に更に、
「シズシズ!」
「ええ、やってくれたわね。流石は香織」
フォルティーナを介して、異世界より究極の救済魔法が降り注いだ。
オーロラのように揺らぐ光のカーテンに覆われる空。
その下で、重軽傷者のみならず既に死亡していた者達までもが肉体を復元され意識を取り戻していく。
「クーネちゃん」
雫の呼びかけに、一気に形勢逆転となった戦場を見て感動に打ち震えていたクーネが夢から覚めたようにハッとした表情を見せる。
雫の意図は直ぐに分かった。スゥッと息を吸う。
『みなさーーんっ!! クーネ・ディ・シェルト・シンクレアが命じますよ! ええ、クーネは命じます!! 勝利は直ぐそこです! 掴み取れぇ~~~!!』
最後の最後に任せるだけでいいのか? と、普段のクーネらしい悪戯っぽい響きを含んだ勅命が響き渡った。
圧倒的な力、絶望的状況からの逆転に唖然としていた戦士達は、その声を聞いて、一拍。
――オォオオオオオオオオッッ!!
と、勝ち 鬨 ( どき ) の如き雄叫びを上げて最後の全軍突撃を行ったのだった。
クーネの視線が雫へ向けられる。
「雫お姉さん、救援ありがとうございました!」
戦士達と同じく最後まで戦うのだろう。恵杖を輝かせ攻勢に出ながら、ぺこりっと頭を下げるクーネ。
見るからに疲労し、髪が頬や額に張り付くほど汗だくだが、守れたという達成感に満ちた表情だった。
「ふふ、どういたしまして。まだまだ油断はできないけれどね?」
それにコクリッと頷きつつ、少しだけ不安そうな眼差しになるクーネ。その視線が虚空に向けられる。
「フォルティーナ様も数々のご加護ありがとうございました。……それで、あの……ミーちゃん、じゃなくてジャバルシャン王国の方も大丈夫でしょうか?」
あるいは、一番聞きたかったことなのかもしれない。訂正の言葉が何より雄弁に個人的心情を物語っていて、雫も鈴もアニールも思わずクスリッと笑みを浮かべてしまう。
それは、どうやらフォルティーナも同じだったようで。
わざわざ雫達にも聞こえるような〝神託〟を以て声を届けてくれた。
『大義であった、我が巫女よ。汝の友だが、もちろん無事だ』
ホッと安堵したのはクーネだけではない。雫も鈴も思わず吐息が漏れる。
が、次の瞬間。
『今、あの子もこちらに――む? なんだ――っ、これは!』
そんな安堵と喜びは直ぐに吹き飛ぶ事態が起きた。
フォルティーナの声に明らかな動揺と焦りが生じる。何事かとクーネ達が揃って目を瞬かせる中、その知らせは同時に来た。
フォルティーナ様と、そして、ユエから。
『あの子が……消えた』
『雫! ミュウの反応が消えた! 最後の位置を送る! 向かって!! 私も直ぐに行く』
「!? 了解!!」
雫の姿が消える。
後には、「え……?」と青ざめるクーネと、険しい表情のアニールと鈴だけが残された。
いつもお読みいただきありがとうございます。
感想・意見・誤字脱字報告もありがとうございます。
雫の強さを除けば、砂漠界編では天使教団の邂逅の話が最も書きたかったまである。とはいえ、ミュウsideまで書くつもりだったのに間に合わなかったのは反省です。中途半端なところで終わって申し訳ないですが、次週もよろしくお願いします!
※ネタ紹介
・いい加減、勝ちたいんだよぉーーっ
『ちいかわ』のモモンガより。
・翼を授けるぅ
『レッドブル』のCMより。
・無神のイメージモデル
首なしの巨人:『クトゥルフ神話』のイゴーロナクより。
※コミック17巻、発売中です! 巻末SSもあるので是非よろしくお願い致します!