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第43話 魔道具窃盗事件(その3)

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第43話 魔道具窃盗事件(その3)

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そして翌日。

魔導携帯通信機に導師から連絡が入った。

『バウマイスター辺境伯! 窃盗団のリーダーと、奴が所属していた盗賊ギルドを一網打尽にしたのである!』

なんと導師が、バウマイスター辺境伯領内にあった盗賊ギルドの拠点の発見と制圧に成功したという。

俺は急ぎ、ローデリヒに警備隊を送り込むように命令する。

「さすがだなぁ。しかしいつの間に、領内に盗賊ギルドの拠点なんて……」

他所からの移住者が多い割には、バウマイスター辺境伯領の治安はよかったのだけど、まさか盗賊ギルドが入り込んでいたとは……。

「辺境伯様、それは仕方ないさ。盗賊ギルドの拠点といっても、連中には他のギルドのように本部なんてねぇ。一ヵ所にずっと留まっていると捕まるからな。導師が押さえたのはあくまでも臨時の拠点だし、幹部を捕らえられたとは思えない。盗賊ギルドの幹部たちは常にバラバラに活動していて、よほどのことがないと姿を見せないのさ」

「それはそうか。そんなに簡単に盗賊ギルドがなくなるわけないものね」

「大木の枝葉を切り落としたくらいの成果だが、盗賊ギルドの拠点に気がつく奴なんて少ないから、導師はやっぱり特別だよ」

ブランタークさんが導師に感心し、ルイーゼが納得し、全員が朝食を摂り始める。

導師の分は、制圧した盗賊ギルドの拠点を俺が派遣した警備隊員たちに引き渡してからにしてもらおう。

「美味いのである!」

実はバウルブルク郊外にあった盗賊ギルドの拠点に警備隊員たちが入ると、導師が魔導携帯通信機で、俺に迎えに来てくれと連絡してきた。

『瞬間移動』で迎えに行ったあと、導師は大量の朝食を恐ろしい勢いで平らげ、ようやく落ち着いたところで説明を……。

「グォーーー! グォーーー!」

「寝るなぁーーー!」

夜勤明けでお腹いっぱい。

気持ちはわかるが、説明し終わってから寝てくれ。

「盗賊ギルドの拠点とはいっても、逃げ込んだリーダーと他二名の盗賊しか捕まらなかったのである!」

導師曰く、盗賊ギルドの拠点とはいえ、ただの野営地だったそうだ。

「で、導師。肝心の成果は?」

「ああ、これなのである!」

導師が俺たちに見せてくれたのは、汎用の魔法の袋だった。

「リーダーが持ってたのである! 中には昨晩盗まれたものばかりではなく、他で盗まれたと思われる魔道具も入っていたのである!」

「黒幕から貴重な汎用の魔法の袋を預かっていたってことは、昨晩導師が捕まえた男が実行グループのリーダーだって確定したか」

そして汎用の魔法の袋は、黒幕の所有物であろう。

黒幕の貴族……それも大物貴族が、盗賊ギルドに汎用の魔法の袋を貸与し、車両を盗ませていた。

そして子供たちは、見つかった際の囮、捕まる役ってことだ。

「して、子供たちは大丈夫なのであるか?」

「よほどお腹が空いていたようで、すげえ勢いで飯食ってましたけど」

みんな痩せてたし、貧しい領地のいらない子供だったんだろうなと。

だから使い捨て前提の捕縛要員だったし、ちゃんと食べさせると経費が嵩むから、リーダーもあまり食事をとらせていなかったと思われる。

「子供に対しなんたる外道! 許すまじである!」

朝食を平らげた導師はそのまま屋敷を飛び出して、窃盗団のリーダーと拠点にいた盗賊ギルドのメンバーが収監されている牢屋に突撃した。

「この腐れ外道どもが! 黒幕を吐くのである!」

見た目からは想像できないが、導師は女性と子供に優しいので、彼らの所業が許せなかったのであろう。

リーダーの首根っ子を掴んで、黒幕を吐かせようとする。

「ふんっ! 我々盗賊ギルドは決して仲間を売らない……ふごへ……」

「吐かないなら、とっとと始末するのである! お前の悲惨な死に様を見れば、残りの盗賊ギルドの誰かが吐くから、安心して首をへし折られて死ぬのである!」

「ひぃーーー! 牢番さん、助けてぇーーー!」

「バカな奴だなぁ。導師にそんな言い分が通用するものかい」

ブランタークさんの意見は正しく、導師は若い頃から多くの修羅場を潜り抜けてきたと聞く。

必要な情報が得られない犯罪者など、殺してしまってもなんとも思わないのだから。

事実、ネックハンキングされている窃盗団のリーダーの顔色は青くなっていた。

「盗賊ギルドに義理立てして死ぬのである!」

「やめてくれぇーーー!」

「どうしたのである? お主は盗賊ギルドの一員なのだから、余計な情報はいっさい漏らさず、そのまま盗賊ギルドのために死ねばいいのである! 仲間たちもきっと 大喜びであろう」

導師は、ネックハンキングしている盗賊団のリーダーの首をさらに締めあげた。

「はっ、話す! 話すから!」

「切羽詰まった状況で喋った内容の信憑性は薄いのである! もしお主が嘘偽りを語った場合、喋らなかった時と同じかそれ以上の悲惨な末路を迎えることになるが、それでいいのであるか?」

「ガハッ! 正直に話すから!」

「では喋るのである!」

導師がネックハンキングしていた窃盗団のリーダーを地面に降ろすと、彼は堰を切ったかのように喋り始めた。

「俺たち盗賊ギルドは、ドルトイ伯爵の依頼で魔道具を盗んでいるんだ! 魔法の袋と捕縛要員は彼が出した! 嘘は言ってねえ!」

「……嘘はついていないようだな」

「嘘だとわかったら、口で言えないほどの悲惨な末路を……」

「本当なんだ! 鉱山送りでいいから、命だけは助けてくれぇーーーっ!」

よほど導師の脅しが効いたようで、窃盗団のリーダーは今回の連続窃盗事件の黒幕を教えてくれた。

「ドルトイ伯爵? 誰だろう? 」

「貴族の名前と顔をなかなか覚えない辺境伯様は知らないか。とはいえ、俺も詳しくは知らねえ。お館様に聞くのが早いだろうな」

そんなわけで、俺たちはブライヒレーダー辺境伯がいるブライヒブルクのお屋敷まで『瞬間移動』で飛んだ。

「ドルトイ伯爵ですか……。納得できました」

ブランタークさんが、ブライヒレーダー辺境伯に連続窃盗事件の黒幕について語ると、彼はおかしな話ではないといった表情を浮かべた。

「で、ドルトイ伯爵って、どんな人なんです?」

「あそこは当主個人というより、 家の気質が特徴的ですね」

「気質ですか?」

「ええ、ドルトイ伯爵領というのは南西部にありまして、南部と西部の境目ですから、自ら南部と西部のバランサーを気取ってます」

「気取ってます、ですか……」

そんな言い方をするってことは、ブライヒレーダー辺境伯は、ドルトイ伯爵家に対し、いい印象を持っていないんだろうな。

「昔、地方の貴族たちの関係は今よりも悪かったんです。ヘルムート王国に従ったとはいえ、元は小国とはいえ独立した国でしたからね。地方間の対立もあって、特にブライヒレーダー辺境伯家とホールミア辺境伯家の関係は悪かったんです。で、ドルトイ伯爵家の領地は、西部と南部のちょうど間にありますから」

ブライヒレーダー辺境伯の説明は続き、両辺境伯家はヘルムート王国に属した以上、いくら仲が悪くても戦争をするわけにいかない。

そこで、どちらが多くの貴族たちを寄子として抱え込むか、そんな争いになったそうだ。

「そんな、今となっては負担が増えるだけの競争で重要なファクターとなったのが、ドルトイ伯爵領です」

ちょうど西部と南部の中間地点にあり、この家を引き込むことで、両辺境伯家による争いの勝者が決まる。

両家はドルトイ伯爵家に対し、引き抜き工作をかけ続けた。

ドルトイ伯爵家がホールミア辺境伯家の寄子の時は、ブライヒレーダー辺境伯家が好条件で引き抜きをかける。

その結果、ブライヒレーダー辺境伯家の寄子になると、今度はホールミア辺境伯家がさらに好条件で引き抜きをかける。

「それは美味しい状況でしたね」

「まあ、それも今となっては……」

「時が経って地方間の対立も緩和されていくと、ただ西部と南部の間にあるだけの伯爵領に過剰な恩恵を与える必要がなくなったんですね」

「ええ、ドルトイ伯爵家は現在、一応ホールミア辺境伯家の寄子ですけど、ブライヒレーダー辺境伯家としてはそれでも別に問題ないですし、ホールミア辺境伯家も持て余しているようですね」

「昔の厚待遇が忘れられず、同じような要求を繰り返しているとか?」

「あと、ドルトイ伯爵家は西部と南部のバランサーという自負ですね。そんな時代は三百年も前に終わったんですけど、彼らはいまだに自負を持ち続けているわけです」

「それ、なんか意味あるんですか?」

「意味はないですけど、本人たちは必死なのがねぇ……。それどころか、そんな古臭い考えのせいで、ドルトイ伯爵領は発展から大きく取り残されています。彼らは長年、ホールミア辺境伯家とブライヒレーダー辺境伯家の引き抜き合戦でいい思いをしてきましたからね。自分でなんとかするって発想がないんですよ」

「三百年間、ずっとそんな感じなんですか?」

さすがにもうそろそろ、寄親にばかり頼ってないで、自分でなんとかした方がいいと思うけど……。

「貴族の家風というのは時に厄介ですからね。それに、自分でなんとかしたじゃないですか。手に入らなかった魔道具を盗賊ギルドに盗ませています」

「犯罪なんだけどなぁ……」

せっかくやる気を出したと思ったら、それが何故か盗みだったとは……。

ブライヒレーダー辺境伯が呆れて当然だな。

「自分たちは西部と南部のバランサーだから、両辺境伯家が手を差し伸べて当たり前。そんな考えを長年持ち続けている連中ですからねぇ。自分たちの領地を開発するためだから盗みくらい問題ない、とは思ってないでしょうけど。自分の領地に持ち込んでしまえば、窃盗の罪には問われない、とは思っているんでしょうね。 本人たちは自覚していないと思いますが、どこか自分たちは特別だと思っているのでしょう」

特権意識が沁みついた貴族…… 正直お付き合いはしたくないかな。

本来の作戦では、一旦魔導位置測定をつけた車両を盗ませ、それを追跡する予定だったんだけど、導師が窃盗団のリーダーを捕まえてしまった判断は間違っていなかったかも。

完全に経験と勘がなせる咄嗟の判断力だな。

そしてこれまでに聞いたドルトイ伯爵の性格からすると、すでに領内に運び込まれた魔道具は返ってこない可能性が……。

となると俺たちはいいけど、先に魔道具を盗まれた貴族たちに恨まれかねない。

「もしや、導師が先走ったのは最悪の行動だったとか?」

「そうとも言えませんね」

「そうなんですか?」

「たとえ魔導位置測定装置のおかげで、盗ませた車両などがドルトイ伯爵領内にあると判明したところで、これを取り戻すのはやはり難しいからです。ドルトイ伯爵が、よそ者を領地に入れなければいい。そのくらい領主というのは力のある存在なんです。先に盗まれた分も同じでしょうから、となるとリーダーが持っていた汎用の魔法の袋に入っていた分は取り戻せてマシだったという考え方もできます」

まさに痛し痒しだな。

外部からの捜索を、領主権限で拒否してしまうのか。

いかに王国といえど、そう簡単に貴族の領地に手は出せない。

なぜなら、どんな貴族でもそんな前例は作りたくないから、ドルトイ伯爵への厳しい処置に反対する貴族が出るかもしれないからだ。

本当、貴族って自分勝手で面倒臭い。

「じゃあ窃盗団が捕まっても、ドルトイ伯爵の一人勝ちってことですかね?」

「そうとも言えないのでは? 盗賊団のリーダーが持ってた汎用の魔法の袋ですが、あれは間違いなくドルトイ伯爵家の持ち物ですから」

「それがないってことは、二度と大規模な盗みは働けないってことになるかな。あっ、でも。ドルトイ伯爵が、窃盗団のリーダーから没収した魔法の袋を返せって言ってくるかも」

「まさか、さすがにそこまでは……。とにかく、捕まえた窃盗団のリーダーから黒幕は判明しましたし、ドルトイ伯爵から仕事を受けた盗賊ギルドもダメージを受けました。さすがに二度と盗みは働かないのでは?」

「だといいんですけどねぇ……」

なんてったって、盗賊ギルドのために食い詰めた領民の子供たちを捕縛要員にして、なんら心が痛まないような男なのだから。

「とにかく、この件は王国に報告していますから、あとは王国政府がどう判断するかですね。さすがになにかしらの罰は下るでしょうし、最低でも盗んだ魔道具の返還命令は出るはずです。改易されたくなかったら、ちゃんと盗んだものを返せよと」

「さすがに王国に言われたら、魔道具は返還するでしょうからね」

という結論に至った俺とブライヒレーダー辺境伯だったが、まさかドルトイ伯爵があのような態度に出るとは思わず、魔道具の連続窃盗事件はますます解決が難しくなってしまうのであった。

「はぁ? うちが盗んだ魔道具を返せだとぉ? そうして欲しければ先に、我が家伝来の魔法の袋を返すのが筋だろうが!」

「……しかしながら、今回の件で一番責任があるのはドルトイ伯爵、貴殿でしょう? まともな貴族が、盗賊ギルドと組んで他の貴族の魔道具を盗むなどあり得ません。本当なら改易されても文句は言えないところを、陛下は盗ませた魔道具の返還だけで不問に伏すと言っているのです。素直に受け入れるしかありません」

「だから、我が家伝来の魔法の袋を返せと言っているのだ!」

「魔法の袋とは、窃盗団のリーダーが持っていたものですか? アレは窃盗団のリーダーを捕らえたアームストロング導師に権利がありますし、そもそもその魔法の袋が、ドルトイ伯爵家のものである証拠もありませんから」

「我が家のものに決まっておろうが! 」

「かもしれませんが、ドルトイ伯爵はこれだけの事件を起こしたのです。改易されても文句は言えないのに、魔法の袋一つで大規模窃盗が許されるんです。いらぬ欲はかかぬことですな」

「ぬぐぐ……」

ぬぐぐ……じゃない。

伯爵のくせに盗賊ギルドと組んで連続窃盗を働いておいて、盗品の返還だけで許されるのだ。

没収された魔法の袋の返却を求めるなんて、どこまで図々しいんだか。

ドルトイ伯爵家は広大な領地を持つ、歴史ある大貴族だから潰さなかっただけなのに、こいつはなにを勘違いしているのか。

窃盗団に預けていて、没収された魔法の袋を返せだと?

そんなもの、返ってくるわけないだろうが!

アレはお前が罰金すら支払わないから、アームストロング導師からの申し出で、売却して盗難被害に遭った貴族たちへの見舞金になるのだから。

「(本当にこいつは……)とにかく、一刻も早く盗んだ魔道具を返してほしいものです」

「……ふざけるな! 先に我らから奪った魔法の袋を返してからだ!」

「奪った? まるで我々がドルトイ伯爵領に侵入して、魔法の袋を盗んだような言い方ですね」

「そっ、そんなことは言っていない!」

「こんなことをわざわざ口にするのはよくないのですが、ドルトイ伯爵家に魔道具を盗まれて損失を出した家は多く、それでも盗まれた魔道具の返還だけで罰金などはなかった。この処置に怒っている貴族たちは多いのです。ドルトイ伯爵家伝来の魔法の袋が戻ってこないくらいの罰がないと、みんな納得しないのだという事実を理解してください」

「そんなバカな話があるか! この私を誰だと思っているんだ!  西部と南部のバランサーを長年努めてきたドルトイ伯爵家の当主ルバンなるぞ!」

「……」

ドルトイ伯爵家が、西部と南部のバランサー?

そんなの、何百年前の話だよ!

しかも、長年過去の栄光に胡座をかいてなにもしてこなかったから、広大な領地はいつまでも発展せずに貧しいまま。

魔道具の車両があればなんとかなると考えたのはいいが、動くのが遅すぎて魔道具の入手に失敗し、それを挽回するために盗賊ギルドと組んで魔道具を盗ませるなんて……。

貴族はなるべく潰したくない、それも特に大物は。

という方針に対し、同じ貴族である私も疑問を感じてしまう。

さすがに、あまりに酷い貴族は潰した方がいいのではないかと。

「とにかく一刻も早く、盗んだ魔道具の返還をお願いします」

「魔法の袋の返還が先だ!」

「ですから、魔法の袋の返還はあり得ません!」

「ならば、魔道具は返せんなぁ」

「なっ! 正気ですか? 魔道具の返還は王国政府の、陛下の命令ですぞ!」

こいつは一体なにを考えて……。

「だからなんだと言うのだ! そもそも、我がドルトイ伯爵領がいっこうに発展しないのは、陛下が魔道具をドルトイ伯爵家に回してくれないからだ! 寄親のホールミア辺境伯家にしても、ブライヒレーダー辺境伯家にしても、西部と南部のバランサーである我が家に対し、なんら配慮しないのがおかしい! そうだ! 我々が魔道具を盗んだのは、すべてヘルムート王国が悪い! ホールミア辺境伯家が悪い! ブライヒレーダー辺境伯家も、バウマイスター辺境伯家も悪い! 我が家伝来の魔法の袋の返還と、領地の開発に使う魔道具の無料供給! この条件を飲まなければ、ドルトイ伯爵家は決して魔道具を返さないし、西部と南部の街道を封鎖する! リンド子爵、王都に戻って陛下にそう伝えるのだな」

「……」

まさか、こんなことになってしまうなんて!

いくら貴族が家臣や領民たちの手前、強気な態度を崩せないとはいえ、陛下からの温情といっていいほどの処分を却下して、とんでもない条件を口にするなんて……。

条件闘争で強気な態度に出る貴族は多いが、さすがにTPOを弁えてほしい。

「(ドルトイ伯爵家、さすがに終わりかな)」

このところ、あまりに酷すぎる貴族は改易されるようになった。

盗んだ魔道具を返さず、しかも盗みの最中に没収された魔法の袋を返せだなんて……。

さらに、手に入らない魔道具を無料で寄越せと言い、その条件が達成されないのなら西部と南部を繋ぐ街道を閉鎖すると宣言する。

いくらなんでも、そんな条件が受け入れられるわけがない。

「(本人は条件闘争のつもりなんだろうが、世間知らずなんだろうな……)」

いまだに、自分の領地が西部と南部のバランサーなどと本気で言ってるような奴だ。

考え方が化石のようだが、生まれてからずっと領地に籠ってた貴族には一定の割合で存在するのも事実であった。

「わかりました。陛下にそうお伝えします」

「頼むぞ、リンド子爵」

すぐに王都に戻って、陛下に報告しなければ。

しかしながら、陛下はこの問題をどうやって解決するのだろうか?