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#2:『海賊放送ラジオ・ウィンドブラスト放送開始!

Beyond The Frontier:第4章 〜銀河大航海編〜 — www.pixiv.net · All chapters

#2:『海賊放送ラジオ・ウィンドブラスト放送開始!

『Beyond the Frontier:第4章 〜銀河大航海編〜』

​act2:『海賊放送ラジオ・ウィンドブラスト放送開始!』

​【登場人物】

​ユウナ・ピリカ・ハイネ(16):メインパーソナリティ。カエデ譲りの包容力溢れる笑顔と天然な愛らしさ、そして人々の心を救う圧倒的な歌声で銀河を魅了していく少女。

​ナディア・ナミ・ハイネ(16):技術・構成・算術オペレーター。レン譲りの完璧なメカニック思考と過剰粒子回線ジャックの計算で放送を支える頼れる陰の立役者。

​カルステン・ハイネ4世(フォース / 16):放送中の雑用、リクエスト集計、そして過剰粒子アンテナの物理調整(ワークレイバーでの命がけの船外作業)に奔走する苦労性メインパイロット。

​銀河企業連合の末端星・採掘都市の労働者たち:過酷なノルマと厳しい情報統制の中で、生きる希望を失いかけている人々。

​【本編シナリオ】

​◯ 長屋船『グラン・ウィンドブラストMk-III』・超広域通信室(海賊放送スタジオ)

​「過剰粒子回線の暗号鍵、解読完了。銀河企業連合の検閲検知回避率99.4%。……ユウナ、いつでもいけるわよ」

​コンソールの前で高速でキーを叩くナディア。その傍らでは、緊張した面持ちでマイクを両手で包み込むユウナが、深く息を吐いていた。

​そして、通信室の窓の外——宇宙空間に佇む『ヴェスター・ウィンド・ワークレイバー・フルカスタム』のコックピットから、フォースの切羽詰まった声が通信に入り込む。

​フォース(インカム越しに、宇宙空間でアンテナを固定しながら)

『ナ、ナディア! 超広域過剰粒子アンテナの物理固定、完了したよ! でもこれ、企業連合の監視衛星の感応領域スレスレなんだけど……本当に大丈夫なの!?』

​ナディア(冷静沈着にメガネをクイッと上げ)

「大丈夫よフォース。あたしの算術計算に狂いはないわ。……それに、もし見つかったらあんたのワークレイバーで追撃を上手く撒いてちょうだい」

​フォース

『ええっ!? 僕の重機作業が前提の放送なの!?』

​ユウナ(くすっと可憐に笑って、マイクに向かい)

「ふふ、フォース、ありがとう☆……さあ、始めよう、ナディアちゃん!」

​ナディアがメインフェーダーを力強く押し上げる。

過剰粒子の清冽な波が全銀河の抑圧された通信回線へと、静かに、けれど確実に侵入を開始した。

​◯ 銀河を揺らす第一声と、カエデ直伝のスパイスレシピ

​【銀河企業連合・第7鉱床星『ヴァルカン』・地下採掘場】

​過酷な環境と低賃金、企業による厳しい情報統制の中、機械のように働かされていた採掘労働者たち。

彼らの耳元にある通信インカムと、街の街頭ホログラムモニターが、突如として心地よいノイズとともに切り替わった。

​『——全銀河の皆さん、こんばんは! 抑圧された毎日に、ちょっとだけ温かい風をお届け! 『ラジオ・ウィンドブラスト』の時間だよ〜☆』

​モニターに映し出されたのは、とびきりの笑顔を浮かべたアジアンテイストな衣装の美少女・ユウナ。

​労働者A(手を止め、唖然としてモニターを見上げ)

「な、なんだ……? 企業軍の検閲を突破して海賊放送だと……!?」

​ユウナ(画面の向こうから、優しく語りかけるように)

『今日もお仕事、本当にお疲れ様☆ 辛いことや悲しいこと、いっぱいあったよね? でもね、まずは温かいごはんを食べて、お腹を満たしてほしいな♪ 今日紹介するのは、身近な材料でパパッと作れる『風穴特製・宇宙スパイスの元気スープ』のレシピだよ☆』

​カエデから受け継いだ「大地の恵みとスパイスの魔法」。

ユウナが分かりやすく解説するスープの香ばしさや、簡単に手に入る代替調味料の組み合わせに、冷え切った労働者たちの胃袋と心がゴクリと音を立てる。

​労働者B(涙ぐみながら)

「合成タンパク質じゃない……本物の『料理』の作り方を、こんな風に教えてくれるなんて……」

​◯ 届く歌声と、芽生える「心の風穴」

​ナディア(インカムでフォースへ指示を飛ばしつつ)

「ユウナ、全銀河からのレスポンス数値が二次関数的に急上昇中よ! 企業連合の検閲サーバーが混乱を起こしてる! ……今よ、メイン曲へ入って!」

​ユウナ

「うんっ!……それじゃあ聴いてください。明日を生きるあなたへ贈る曲——『風穴をあける旋律(ラジオ・ウィンドブラスト)』!」

​イントロのメロディが流れた瞬間、銀河の各地で息を呑む音が響いた。

​♪〜灰色の空に 塞がれた街で

貴方が流した涙の数だけ

私たちは 宇宙(そら)を耕しに行くよ

傷つけるためじゃない その手を握るために〜

​それは、企業連合の冷徹な管理社会の中で忘れ去られていた「愛」と「人間らしさ」、そして「自由」を呼び醒ます奇跡の歌声だった。

​採掘場で、工場で、寒村の隠れ家で。

抑圧されていた人々が手を止め、ユウナの歌声にじっと耳を傾け、涙を流す。

企業軍の兵士たちですら、銃を構えるのを忘れ、ホログラムモニターに見入ってしまうほどだった。

​◯ 追手の影と、パイロットの意地

​しかし、その盛り上がりの裏で、ついに検閲システムの防衛プログラムが海賊放送の送信元を特定し始めていた。

​ナディア(コンソールに警報が鳴り響き)

「チッ……企業連合の自動追跡哨戒機3機が接近! 放送終了まであと90秒……フォース、出番よ!」

​フォース(ワークレイバーのコックピットで、操縦桿を強く握り締め)

「了解! ユウナの歌声を……この放送を絶対に途切れさせない!」

​ワークレイバー改の足裏から過剰粒子が噴き出し、迫り来る敵哨戒機の前へと立ちはだかる!

フォースは武器を抜かず、双腕の『グラビティ・プラウ(過剰重力耕作爪)』を展開。

​フォース

「不殺の重機戦術……見せてやる! 過剰重力波・広域展開!」

​ドオン! と放たれた重力波が、迫り来る敵機の推進バランサーのみをピンポイントで狂わせ、傷つけることなく宙域の彼方へと安全に弾き飛ばしてみせた。

​ナディア(通信越しにニヤリと笑って)

「算術的完璧な足止めね。見直したわ、フォース」

​◯ 銀河を駆け抜ける希望

​ユウナ(最後のフレーズを歌い上げ、眩しい笑顔で)

『——この歌が、あなたの心に届きますように! 辛い時はいつだって、この長屋船を思い出してね! それじゃあまたね、ラジオ・ウィンドブラストでした☆』

​パチン、と放送が終了し、過剰粒子回線は完璧に遮断された。

​残された銀河の星々には、静寂とともに、温かいスパイスの香りの記憶と、胸を熱くする歌声の余韻が残されていた。

​労働者たち

「風穴工房……長屋船『グラン・ウィンドブラスト』……! 俺たちを見捨てない場所が、あの星海にあるんだ……!」

​◯ 放送を終えて

​スタジオでは、大仕事を終えたユウナが「ふは〜っ!」と全身の力を抜いてテーブルに突っ伏していた。

​そこへ、船外作業を終えたフォースが汗を拭いながら戻ってくる。

​フォース

「お疲れ様、ユウナ! すごかったよ、全銀河からの反響のデータ、僕のモニターにも溢れるくらい届いてた!」

​ユウナ(顔を上げてとろけるような笑顔を向け)

「フォース! 無事に守ってくれてありがとう☆ はい、頑張ったフォースに、私からのお礼の『あ〜ん』♪」

​ナディア(すかさず二人の間に割り込んで書類で遮り)

「ちょっとユウナ! 疲労したパイロットへの過剰なスキンシップは算術的に——」

​フォース(苦笑いしながらも、温かい胸の深まりを感じて)

「あはは……。でも、僕たちの旅は、まだ始まったばかりなんだね」

​全銀河の抑圧された人々の心に、確かに開けられた小さな「風穴」。

長屋船『グラン・ウィンドブラストMk-III』の海賊放送は、希望の旋律とともに、さらなる銀河の大航海へと進んでいくのだった——!

​

つづく。