#5:『暗黒宙域のSOS! 氷の惑星の解凍作業』
#5:『暗黒宙域のSOS! 氷の惑星の解凍作業』
『Beyond the Frontier:第4章 〜銀河大航海編〜』
act5:『暗黒宙域のSOS! 氷の惑星の解凍作業』
【登場人物】
カルステン・ハイネ4世(フォース / 16):主人公。ワークレイバーの『グラビティ・プラウ』を極限まで駆使し、氷床を傷つけず耕す「不殺・解凍演舞」に挑む。
ナディア・ナミ・ハイネ(16):オペレーター。過剰炉の地熱変換熱量と地質データを算術的にミリ単位で弾き出し、フォースをサポートする。
ユウナ・ピリカ・ハイネ(16):『ラジオ・ウィンドブラスト』の歌姫。通信波と過剰粒子を同調させ、凍えきった人々の心と体に温もりを届ける。
開拓惑星『フロスト・マージン』の避難民たち:過剰炉の異常停止により寒波に閉じ込められた人々。
【本編シナリオ】
◯ 長屋船『グラン・ウィンドブラストMk-III』・ブリッジ(暗黒宙域)
暗黒宙域の深部を航行する長屋船のブリッジに、緊迫したSOSの緊急暗号通信が飛び込んだ。
送信元は、かつて風穴工房が開拓した宙域の最果てに位置する氷の極寒惑星『フロスト・マージン』。
過剰炉の地熱プラントが寒波の急激な過熱循環異常(フリーズ)を起こして完全沈黙し、開拓都市全体がマイナス80度の氷床に閉じ込められ、生命維持装置の停電による全滅の危機に瀕していた。
ナディア(ホログラムの惑星データを高速でスキャンし)
「ナオ艦長、プラント直下の永久凍土が完全凍結しています! 単純に熱線を照射すれば、熱衝撃で過剰地熱脈が水蒸気爆発を起こし、都市ごと吹き飛ぶ確率……算術的に94.7%!」
ナオ(メガネをくいっと押し上げ、力強く命じる)
「ふむ……熱を『与える』のではなく、大地を『ほぐして熱を呼び起こす』しかない。……フォース! ワークレイバー・フルカスタムで出撃せよ!」
フォース(コックピットの中で力強く頷き)
「了解! プラントを爆破させずに、氷床だけを安全に『耕して』みせます!」
◯ 極寒の世界と、不殺の重機演舞
ズドォォォォン……!
吹き荒れる吹雪の中、『フロスト・マージン』の氷床へと降下した『ヴェスター・ウィンド・ワークレイバー・フルカスタム』。
その足元には、霜と氷に覆われた開拓民たちの地下シェルターと、沈黙した巨大プラントが寒々しく佇んでいた。
フォース(操縦桿を固く握り、息を呑んで)
「酷い寒波だ……。プラントの過剰脈動が完全に固まって凍りついている……!」
ナディア(インカム越しに鋭い算術データを送信し)
『フォース! 氷床の深さ40メートル地点に過剰地熱の滞留脈を発見! グラビティ・プラウの微振動出力を【365ヘルツ】に設定し、氷床を層ごとに『粉砕・耕作』して熱の通り道を作りなさい! 1ミリの狂いも許されないわよ!』
フォース
「了解! 父さんの『重力波の遊び』と、母さんの『月影の気迫』を乗せる……! 行くぞッ!」
ワークレイバー改の双腕に装着された過剰重力耕作爪(グラビティ・プラウ)が、清冽な過剰粒子の光を放ちながら大地へと突き刺さる!
ドゴゴゴゴゴ……!!
単に破壊するのではない。過剰重力波の細密な振動で、カチカチに凍りついた氷床をまるでふかふかの畑のように優しく砕き、耕していくフォース。
地中に溜まっていた過剰地熱が、柔らかな温気となってじわじわと地表へと溢れ出し始めた!
◯ 氷を溶かす歌声『ラジオ・ウィンドブラスト』
しかし、長年の寒波で冷え切った開拓民たちの心と体は、生命維持装置の限界とともに凍りつきかけていた。
その時、閉ざされたシェルター内のスピーカーと、ワークレイバーの外部スピーカーから、優しく温かい旋律が流れ出した!
ユウナがマイクを両手で包み込み、全域過剰粒子回線に乗せて解き放つ『ラジオ・ウィンドブラスト』の生放送である!
ユウナ(温かい微笑みを声に乗せて)
『——『フロスト・マージン』のみなさん、聞こえますか? 風穴工房が来ましたよ! 寒くて、暗くて、怖かったよね……? でも大丈夫! もうすぐ、温かい風がみんなの元へ届くからね!』
♪〜凍えた指先を そっと包むように
私たちが連れてきたよ 太陽の欠片を
悲しみの氷を溶かして 笑い合おう〜
ユウナの歌声(過剰粒子パルス)がワークレイバーの重力波と見事に共鳴!
過剰粒子の波が、冷え切ったシェルター内をどこまでも温かい桃色の光で満たしていく。
避難民の子供たち(涙を流しながら、暖まり始めた手をかざし)
「あたたかい……! お歌と、機械の音から……あたたかい風が届くよ……!」
◯ 氷床解凍完了と、芽生える温もり
ナディア(ホログラムの数値を注視し、歓声を上げ)
「過剰地熱プラントの脈動復旧! プラントの過熱循環率、完璧な安全値に到達!……算術的解凍作業、大成功よっ!!」
ゴオオオオオッ!
沈黙していた地熱プラントの煙突から、温かい蒸気が勢いよく噴き上がった。
氷床は安全に耕され、開拓都市全体に眩しい温もりと光が戻っていく。
シェルターから飛び出してきた開拓民たちが、降下したワークレイバーを見上げて万雷の拍手と大歓声を送る。
コックピットハッチが開き、汗を拭いながら身を乗り出すフォース。
フォース(爽やかな笑みを浮かべ)
「よかった……! みんな、無事だ!」
長屋船の通信室から、やり遂げたユウナと、満足そうにメガネを直すナディアの顔が並んで映し出される。
ユウナ(胸に手を当てて☆)
『ふふっ☆ フォース、最高に素敵な『お仕事演舞』だったよ♪』
ナディア(ツンと横を向きつつも、嬉しそうに)
『……まあ、あたしの算術計算通りに動けたご褒美に、長屋に戻ったら特製プロテインスープの具を増やしてあげるわ』
フォース(苦笑いしながらも、胸の奥が熱くなるのを感じて)
「あはは、ありがとう二人とも!」
極寒の氷の惑星に吹き抜けた、誰も傷つけない風穴工房の「不殺の重機」と「希望の歌声」。
長屋船『グラン・ウィンドブラストMk-III』の栄光の大航海は、人々の心に温かな光を灯しながら、さらなる星海の彼方へと続いていくのだった——!
つづく。