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#6:『銀河企業連合の影と、絶対遮音要塞』

Beyond The Frontier:第4章 〜銀河大航海編〜 — www.pixiv.net · All chapters

#6:『銀河企業連合の影と、絶対遮音要塞』

『Beyond the Frontier:第4章 〜銀河大航海編〜』

​act6:『銀河企業連合の影と、絶対遮音要塞』

​【登場人物】

​カルステン・ハイネ4世(フォース / 16):主人公。『グラン・ウィンドブラストMk-III』と仲間たちを守るため、遮音空間の猛圧のなかワークレイバーで立ち向かう。

​ナディア・ナミ・ハイネ(16):オペレーター。母レンの機転と父ナオの算術、そしてカルステン一族の誇りを胸に、絶対遮音空間を打ち破る領域計算(ドメイン・アナライズ)へ挑む。

​ユウナ・ピリカ・ハイネ(16):『ラジオ・ウィンドブラスト』の歌姫。敵の妨害パルスによって歌声を奪われそうになりながらも、決してマイクを離さない信念のヒロイン。

​銀河企業連合・検閲艦隊指令:海賊放送による民衆の覚醒を恐れ、巨大要塞『サイレンス・ディープ』をもって長屋船の完全沈黙を図る冷徹な指揮官。

​【本編シナリオ】

​◯ 長屋船『グラン・ウィンドブラストMk-III』・超広域通信室(宇宙宙域)

​全銀河を駆け巡る『ラジオ・ウィンドブラスト』の第6回定期放送。

ユウナの伸びやかな歌声と、カエデ直伝の「旅先で使える簡単栄養レシピ」が、今夜も抑圧された星々の人々へ希望を届けていた。

​しかし、その中継回線の波形に、突如として不気味なノイズが割り込む。

​ナディア(コンソールの警告赤光に目を見開き、高速でキーを打鍵しながら)

「ナオ艦長! 前方宙域より未確認の巨大質量反応および、広域過剰粒子妨害パルスを検知!……この波形パターンは『銀河企業連合』の統制艦隊です!」

​ゴオオオオオン……!

​漆黒の宇宙(そら)を切り裂き現れたのは、巨大な音響遮蔽装甲と過剰粒子相殺炉を連ねた、企業連合の移動要塞——検閲要塞『サイレンス・ディープ』。

​要塞の中央から放たれた青白い力場網が、一瞬にして長屋船『グラン・ウィンドブラストMk-III』の周囲数万キロメートルを包み込んだ。

​◯ 奪われた歌声と、途絶した旋律

​要塞からの高圧通信ジャックが、ブリッジのメインモニターへ強引に接続される。

​企業連合指令(冷酷な無機質な声で)

『愚かな風穴工房の残党どもめ。自由だの希望だのと、全銀河の管理秩序を乱す害悪な電波はここまでだ。我が要塞が展開する【絶対遮音空間(アンチ・パルス・フィールド)】の前には、いかなる過剰粒子の歌声も、通信も、一切の伝播を許さん』

​要塞から発せられる強烈な相殺波動により、長屋船の過剰粒子アンテナが次々と不全を起こしていく。

​通信室では、マイクを握るユウナの声が凄まじいノイズにかき消され、スピーカーから発せられる旋律が歪んで途切れかけた。

​ユウナ(胸を押し潰されるような圧迫感に膝をつき、マイクを固く抱きしめて)

「くっ……う、歌声が……銀河のみんなへ……届かなくなっちゃう……! 嫌……嫌だよ……っ!」

​要塞の絶対遮音空間は、長屋船の推進過剰炉の出力をもじわじわと削ぎ落とし、船全体を完全な孤立無援の沈黙へと追い込み始めていた。

​◯ ナディアの覚醒と「領域展開」!

​ブリッジで焦燥が広がるなか、オペレーター席のナディアの目つきが変わった。

​メガネの奥の瞳が、母レンの譲りの激しさと父ナオ譲りの絶対的な算術思考の光を宿し、青く澄み渡る過剰粒子の輝きを解き放つ。

​ナディア(激しい打鍵音とともに、立ち上がり叫ぶ)

「ユウナの歌声を消すだなんて、そんな事絶対に許さない!

領域展開!カルステンの血を舐めるな!」

​ナオ(メガネをくいっと上げ、娘の凄まじい計算波形を見てニヤリと笑う)

「ふむ……カルステン家と風穴工房の過剰炉演算能力を全解放した『絶対算術領域』の展開だな。……行け、ナディア!」

​ナディアの指先から繰り出される過剰粒子の波形プログラムが、企業要塞の遮音空間の隙間(位相のズレ)をコンマ001秒単位で解き明かしていく!

​ナディア

「企業連合の遮音周波数の相殺パターン、解析完了! 敵の絶対遮音空間は、過剰重力波の『高密度収束』によって破砕可能!……フォース、出撃よッ!!」

​◯ 重機と歌声の反撃!

​カタパルトデッキ・発進!

​ワークレイバー改・フルカスタムのコックピットで、フォースは操縦桿を限界まで押し込んだ!

​フォース(全身から過剰粒子の光を溢れさせ)

「ナディアの算術領域と、ユウナの歌声を……僕のワークレイバーが繋ぐ! グラビティ・プラウ、過剰全開ッ!」

​宇宙空間へ飛び出したフォースは、要塞の遮音波動が最も激しい「音響相殺ノード」の直前へ突入。

双腕の過剰重力耕作爪(グラビティ・プラウ)を交差させ、ナディアから送られた位相データを過剰重力波として高密度に収束・放出した!

​ドゴォォォォォンッ!!!!

​重力波の衝撃が、要塞の展開する絶対遮音空間に目に見えるほどの「亀裂」を刻み込む!

​その絶好の瞬間を、ナディアは見逃さなかった。

​ナディア(通信回線のメインスイッチを全開にし)

「今よ、ユウナ! あんたの歌声で、あの要塞の偽りの静寂を吹き飛ばしなさいッ!!」

​ユウナ(マイクを高く掲げ、瞳に希望の光を宿して)

「はいっ!!……響けぇぇぇっ! 私たちのラジオ・ウィンドブラスト——ッ!!」

​♪〜塞がれた闇を切り裂いて

届くよ 私たちの不殺の風(うた)が

どんな静寂(しじま)も 奪えはしない〜

​ユウナの圧倒的な歌声が、フォースの穿った重力波の亀裂を突き抜け、絶対遮音空間を内部から粉々に粉砕!

過剰粒子の光の帯が、銀河の果てまで再び高らかに広がっていった!

​◯ 逃走する要塞と、確かな誓い

​絶対遮音要塞『サイレンス・ディープ』の過剰相殺炉は、ユウナの歌声とフォースの重力波の過剰共鳴に耐えきれず、次々とオーバーヒートを起こして安全装置が作動(セーフティ・ストップ)!

​企業連合指令(通信の向こうで大パニックを起こし)

『な……なんだあの力は!? 遮音空間が内部から崩壊しただと!? 退避! 全艦退避せよ!!』

​一爆の破壊も、一人の死者も出すことなく、企業連合の要塞艦隊は命からがら退却していった。

​長屋船のブリッジと通信室に、大きな歓声が響き渡る。

​ワークレイバーのコックピットで、フォースは大きく息を吐き、星海を見上げた。

​フォース

「やったね、ナディア! ユウナ!」

​通信画面の中で、息を荒らせながらも誇らしげにメガネを直すナディア。

​ナディア(ツンと横を向きながら、少し照れたように)

「ふん……まあ、あたしの『領域展開』の計算通りね。……でも、フォースの突撃も、ちょっとだけカッコよかったわよ」

​ユウナ(画面に飛び込んできて☆)

「ナディアちゃんもフォースも最高! 私たちの風穴は、どんな要塞にも絶対に塞げないんだから♪」

​銀河企業連合という巨大な影が立ち塞がろうとも、風穴工房の次世代たちが紡ぐ「不殺の重機」と「覚醒の歌声」、そして「カルステンの誇り」は、決して消えることはない。

​長屋船『グラン・ウィンドブラストMk-III』は、さらに深き銀河の星海へと、希望の航跡を描いて進んでいくのだった——!

​

つづく。