party
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※暴力、流血表現あり「はあ…」 ホテルの駐車場。車を降りてため息をひとつ。 千尋が仕事をしなくなった。でもホテルの寮費は払っているし、連絡だってちゃんと来る。ただ仕事をしないだけ。だから特に問い詰めたりもせず、なんとなく様子を伺っていたらこのザマだ。 まだキャリアこそ無いものの、千尋の人気はかなり高い。売り上げ的にはサボられたら困るのも確かだけど。「別にいいじゃん。幽霊男優なんて千尋の他にも山ほど居るじゃん」「知らねぇよ。さっさと帰れ」「まあまあカズさんそんな事言わずに。はい佐伯さん、コーヒーどうぞ」「ありがとう。朝日はいい子だね。カズなんかには勿体無いよ」「うるせぇよ。さっさと帰れ」 千尋の部屋に向かう前に立ち寄ったスイートルーム。カズと朝日の部屋。朝日からカップを受け取りながら、一向に鳴らない携帯を眺める。“仕事の話があるから、今からそっち向かうね” メールを送ってからもうかなりの時間が経つが未だに返事はなく、念のために何度か掛けてみた電話も出ないまま。「千尋から連絡来ないんだけど。どっか出掛けてんのかな」「寝てんじゃね? 疲れ溜まってるっぽいし」「え、何それ?」「最近はずっとそうですよ。ホテル内でもめったに会わなくなりましたし、たまに見かけてもいつもボーっとしてて……」 疲れ? フリーターに戻ったとか? だからこっちの仕事断ってるとか。いや、でもゲイビ出てた方が稼げるだろ。 ……まさかマジでもう辞めたいとか?「……ちょっと部屋行ってみるわ。返事待ってたら朝になりそう」 カップに残ったコーヒーを飲み干し、二人に礼を言って部屋を出る。 (ああ、憂鬱だ) 何がって、もし結城翼が居たらって事が。あいつが居なきゃ、訪問するのにわざわざ確認を取る事も無いし、わざわざ連絡が来るまでカズ達の部屋で時間を潰す事も無いし。 そもそもあいつが居なきゃ、千尋が最初に仕事を断った時点で様子を見に来ていた。こんな遠い距離から様子見する事も無かった。 バイトが忙しいからか、または疲れが溜まり過ぎて撮影どころじゃないからか。千尋がなんで仕事しなくなったのかは解らない。解らないが、もしかしたら結城翼が絡んでるんじゃないかって。 結城以外には抱かれたくない、とかさ。 少なくとも、今まで恋人が出来た奴はほとんどそう言って辞めていったから。そんなくだらない事ばかりが頭を埋め尽くす。 「はあ……」 本日何度目かもわからないため息を吐き出してから、目の前のドアをノックする。ここに立つのも久しぶりだ。「千尋?居る?」 返事は、無い。やっぱり疲れて寝てるか、部屋には居ないか。まあまた今度にするか。上司も“今月中にどうにかしろ”って言ってたし、時間はまだある。 とりあえず帰ってからもう一回電話でも入れとけば……「――、ッ……!」「あ……?」 かすかに耳に届いたソレに足を止め、廊下を引き返す。「……千尋……?」 ドアの前で呼びかけても、変わらず返事は無い。 けど……何だろう……音?何かが壁にぶつかる……よう……な……、 おいおい、だからお前らやめろって……嫌な予感しかしないんですけど。「千尋ッ!」 思いのほか必死過ぎて大きく響いた自分の声。マスターキーで扉を開けて部屋に入り込み、ベッドの上の千尋を見つけて言葉を失った。「……ち……ひろ……、」 身体中に残る無数の痣と傷痕。タオルを突っ込まれて塞がれた口。後ろ手に縛られた両手。ベッドに縛り付けられ広げられた両脚。 そして秘部の中をかき混ぜ続けるバイブ。「……っ、」「ふ、ぅっ……」 千尋がもがいて暴れる度にキツく縛られたネクタイがギリギリと両腕を傷つける。ゆっくりとバイブを引き抜き、ご丁寧にベッドサイドにきちんと用意されているハサミを手に取って肌を傷つけないようにネクタイを切り落とす。 自分のスーツのジャケットを千尋にかけると、大きな瞳からボロボロと涙がこぼれ落ちる。「千尋、」「……っ……う、……」「遅くなってごめんね。気付いてあげられなくてごめんね」「、……ううっ、あ、うあ、っ……」「もう大丈夫。大丈夫だよ……」 大丈夫。そう繰り返しポンポン頭を撫でると腕の中で子供みたいに泣きじゃくる千尋。 なんだこれ、頭が沸騰したみたいに熱い、胸が痛い、心臓が痛い、大丈夫じゃない、大丈夫じゃない、 「ふ、ううっ……うあ、ああぁあっ!」「大丈夫。もう、大丈夫だから……」 自分にも言い聞かせるように、何度も何度もそう囁いた。