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第21話 水曜日 ★

春の洗礼を受けて僕は — fujossy.jp · All chapters

第21話 水曜日 ★

月水金。 ゴミ捨ての曜日ではない。部活も入っていないので関係ない。図書委員の当番は金曜だけど、それでもない。 睦月がオナニーすると決めた曜日だ。 まともに生きるために、もうあんな…事は起こしてはならない。 香月の失礼な質問の意図は、睦月の匂いは性的に高まっている時に出るのではということだ。 その線で考えると、木曜の朝は初めてなのもあっただろうし、気持ちがちゃんと処理しきれていなかったからというのもあるのではないか。 勝手に匂いが出るのでなく、睦月の体に由来して出るのであれば、まだ救いの道はある。 とにかく処理さえできれば。 それでうまく行ったら、母さんの書き置きにあった『プロ』の人の力を借りる必要もないし、普通に生きられるはずだ。母さんがそのようなことを書いたということは、の続きについては今は考えないことにする。 というわけで、今日が初回である。 目の前に雑誌が鎮座している。「……」 ペラ、とめくる。 白いワンピースを着た女の子が、にこやかに笑ったり、めくって水着を見せてくれたりしている。 最近流行っているアイドルグループの子だ。「……」 木に手をついて、こっちを向いている。かわいい。「……」 雑誌を置いて、そろりと下半身に手を伸ばす。 触ると、なんか変な感じはする。 するすると上下すると、むずりとしたものが湧き上がってきた。「………あ」 自分の声に萎える。「……」 目を閉じて、すっすっと擦る。 指で先端を押すと、過敏に体がびくついた。 ここはダメだ、やめておこう。 改めてすりすりと撫でると、むくむくと膨らんで硬くなってきた。 なんか…。 気持ちいい…。 はあ、と熱い息が漏れる。 しっかりと屹立すると、手が止められなくなって、少しずつ早くなっていく。 あ、あ、気持ちいい。 あまり何も考えたくなくて、ただ感覚に身を委ねた。 木之内、と呼び掛けられたような錯覚を覚える。「んん…!」 慌てて手を被せて、飛んでしまうのを抑える。「…はあ、はあ…はあ…」 これって…、これで、良かったのかな…? よくわからないけど、眠たい。 手早く片付けて、眠りに落ちた。 先日までのパニックは夢だったのではないかと思うくらい、穏やかな生活を手に入れた。 週末に戻ってきた母さんにも、特に怪しまれることはなかった。「ええ、お金使わなかったの…? 大丈夫…?」とは心配されたけど、しれっとした顔でやり過ごすことに成功した。 勉強にも集中できる。GWが終わってすぐの中間テストも、いい結果を残せた。「さすが外部入学だね」 中等部の頃はヒロが学年一位の座に君臨していたらしく、負けてられないなと笑ってのしかかってくる。 香月はどの教科も満遍なく、20位から30位のあたりにいた。「夏伊はそういう感じなの。やればもっといい点数取れるのに、いっつもまあいっかってとこで放棄するんだよ」「ほっとけ」 そんなところはまあ何というか、香月らしいと思う。 香月やヒロと仲良くなったことと、成績表をネタに、クラスのみんなともかなり打ち解けた。 そんなこんなで、たまにオナニーすることを除けば、今までと変わらない日々を過ごしている。 包丁は研いだ。 冷凍庫から、山芋とろろとオクラの輪切りが入ったパックを取り出して、流水で解凍する。 醤油とみりんを1:1で計量カップで測り、ラップをかけずにレンジで沸騰させる。 冷めるまでの間に、大葉と小ネギ、マグロのサクを切っていく。 切り身を入れたタッパーに先程のつけだれを注いで、ラップを密着させるようにくっつけて、冷蔵庫に入れた。「ただいまー」 キッチン横のドアが開く。「おかえりー」 もうすぐ米の浸水が終わるよ、と言うと、母さんははーいと返事をして、洗面所に向かった。 戻ってきた母さんが、サクサクと用意して、天ぷらを揚げていく。 シャワワワ…と軽やかな音を立てて、玉ねぎと小エビのかき揚げができあがった。 それに、海苔、シシトウ、ナスの天ぷら。「これが学年総合3位のお祝いかあ」 睦月はお手軽だねえと笑われる。「これがいいんだよ」 どんぶりに白飯を軽く盛る。 とろろをかけ、漬けマグロを乗せる。大葉、小葱、白ゴマ。わさびも忘れない。 具なしの味噌汁には千切りにしたミョウガを入れて、余熱で火を通した。「薬味満載だー」「夏っぽい」「いただきます」 少し変わった事はまだあって、例えば、薬味を口にする機会を増やした。 季節柄というのもあるけれど、気休めかもしれないけど、なにか薬草を食べたら匂いを抑えられるのかなと思ったから。 それを前に、香月にメッセージで伝えたら、効くかもなと返ってきた。 あの夜倒したコップは、香月が元に戻して、またハーブを挿してくれていた。無かったことにした夜の名残りをゴミ箱に捨てようとも思ったけど、行動に移すことはできなかった。 家の本棚に「植物標本レイアウト」とかいう本があったので、乾燥させたハーブを見よう見まねで並べて、額に入れてみた。