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第18.5話 半分は仕事の、半分は自分の

悪魔たちの魅惑の声 — www.pixiv.net · All chapters

第18.5話 半分は仕事の、半分は自分の

・こちらは二次創作です。

・お名前だけをお借りした二次創作でありフィクションです。

・実在する方々と一切の関係がない、作者の妄想を形にした駄文です。妄想と現実の境をきっちり分ける能力がある方向けの、二次創作です。

決して他人様に迷惑を掛けず、お一人でこっそりとお読みください。

人外設定があります。「流血」「暴力」「殺人」などの表現があります。

その他、地雷になりそうな点はキャプション注意書きにまとめてあります。

気に食わなければ、すぐに画面を閉じてご自分の好きなところへお行きください。これは、作者が読みたいものを詰め込んだ駄文ですから。

よろしければ、どうぞ先へお進みください。楽しんでいただけたら幸いです。

街の片隅にある小さな店は、酒を提供しながらキャスト達が接客してくれる。楽しく酒を飲みたい客もいれば、酒以外を望む客もいる。

例えば、表の社会では携帯も許されていない銃火器の売買、もしくは仕入れをしたい。

特定の場所に出入りしている組織の名前。

取引どころか、所持だけでも法と倫理に触れるような商材の仲介を頼む。

店の片隅で、他の客がいなくなった時を見計らって、客はキャストに商談を持ち掛ける。時に談笑しながら、時に酒を嗜みながら。

客は分かっているのだろうか。己が今、酒を楽しみながら取引をしている相手は、ただの声も顔も良いキャストでない。裏では同業者を拷問にかけて得た情報で商売しているのだと。

自分もまた、店を利用するつもりが利用される可能性もあるのだが、理解しているのだろうか。

まさに現在進行形で、彼らの足元にある防音室で、店長が得意の『仕事』を楽しんでいる。

――さて、今夜あたりは『仕事』をさせてくれるかな

店で接客をしながら、神田は心の中で呟いていた。

夕刻 サイド

休憩中の控室から、ロベルは静かに店内を観察していた。地下室では昨日の夜から店長が『仕事』をして、上の店では神田が接客中である。この客は先月末から通い出した新顔だが、頻度がかなり多い上に毎回必ず神田を指名している。何度か裏取引もしていたが、今夜はただ飲んで話すことを目的にしているらしい。ロベルは途中からしか知らないが、ずっと酒を飲みつつ上機嫌に談笑している。取引の話題も出なければ、仕事の空気も全くない。

『きっと明日には来るだろうって客が一名いるので、明日できたら店を開けさせてもらえませんか?』

昨日の夕方、作戦会議の場で神田が言ったことをロベルは思い出す。特別に情報を引き出したい仕事相手もいないため、本来なら今夜は営業しない。店長もベルモンドも対応する仕事があるため、店に出られない。三人か四人だけで回すことも可能だが、他の準備のために休みにするのがいつもの流れだった。

それなのに、本当に珍しく神田から店を開けたいと言って来たのだ。あの客にどんな思い入れがあるのか、ロベルは興味津々であった。

「ねえ、神田さん。あなたって面白いわ。口が巧くて聞き上手。私って今まで仕事で会った相手とプライベートでまで話したいって思ったことなかったのに」

「うれしいことを言ってくださいますね。私からしたら、仕事もプライベートも関係なく、お客様には良い時間を過ごしてもらいたい。それだけですよ」

客の言葉に店で一番の指名数と売り上げを誇る好青年が甘く返せば、相手は酔って上気した頬を綻ばせる。さらにグラスを飲み干すのは、照れ隠しなのだろう。

「おやおや。今夜はずいぶんとペースが速いですが、大丈夫ですか?お水、要ります?」

ペースを速める原因を分かっていながら、神田は客を気遣って聞いている。少し心配する表情をしながら、神田は客の顔をさりげなく覗き込んだ。途端、驚いたらしい客はキャストの方に体を向けて、大げさに声を上げる。

「もう!大丈夫よ。お酒には強いし、おいしいから飲んじゃっているだけ」

キャストの方を向かれてしまうと、マジックミラーへ背を向ける。客の顔は見えなくなったが、声の跳ね具合や姿勢からして、平時よりテンションを上げているのは分かった。

「本当ですか?無茶はいけませんよ。だいぶん顔が赤いですし、ご自分が何杯飲んだか、分かってますか?もうそろそろ時間ですし、酔いを軽く冷ましておいたほうがいいのでは?」

相手を気遣い、基本甘く、探るときはさりげなく。ロベルは店に来たばかりの頃に神田から教わった『接客の心得』が頭に浮かんだ。金髪糸目の先輩は息をするように実践していて、今も客は上機嫌で誘導されている。

誘導できているように、見えるのだが。

先入観があるせいかもしれないが、かすかで具体性に欠ける違和感をロベルは抱いた。幾人もの酔客の相手をしてきた経験やら、裏社会で生きてきた勘とかが、警笛をかすかに鳴らしている。

「なんや、あのお客ミョーに機嫌ええな?」

「ロベルさんもそう思いますか」

独り言に応じて唐突に聞いてきた声に、ロベルは驚きもせず軽く振り返る。静かに扉を閉めながら、小首を傾げるオリバーと目が合った。

「そりゃあね。わざわざ神田君が店を開けたいって言ってまで相手するんやし、何かしらはあるやろって思うけど」

視点を店内へ戻せば、ちょうどキャストが黒服役へ注文の合図を送ってきた。あと十分ほどで時間切れになるから、きっと最後のドリンクを頼もうとしているのだろう。

「お呼びやで」

そう言いながら横を向けば、本日の黒服役は肩をすくめた。

「あの客、香水濃くて苦手なんですけどね」

合図を受け取ったオリバーは、ぼやきながらも職務を遂行するためにドアノブに手を掛けた。

二人で最後のソフトドリンクを楽しんで、時間になったら素直に会計をする。これだけを切り出せば、今夜の客は問題なかった。

店の玄関先、ドアの前。最後の別れ際までは。

「神田さん。今夜は楽しかったわ。よければ、これをどうぞ」

「これは」

「今夜のお礼。じゃあ、またね」

「……ええ、またお会いしましょう」

ドアを閉めて振り返る、刹那。

神田がポケットに仕舞ったカードを、ロベルは見逃さなかった。

神田 サイド

客を見送って、ポケットへ成果を仕舞いながら金髪の好青年は店へ戻った。ドアを開ければ、ほぼ仁王立ちで後輩達が出迎えてくれる。予想外の歓迎の仕方で、神田は少しだけ後ずさりした

「おやおやおや、ずいぶんと熱心な出迎えじゃないですか?ちょっと玄関先に出ただけなのに」

「誤魔化そうったってそうはいかんで」

「ずっとはぐらかしてきてたけど、もう目的を教えてくれてもいいんじゃないですか?」

笑ってやり過ごすには強い圧を持って、二人とも神田へ迫って来る。自分よりも背丈があってガタイの良い男に詰め寄られるなんて、いつぶりだろう。

――ま、殺気も鬼気もない詰め方じゃ、吐いたりしないんですけどね。

内心のゆとりは隠したまま、かわいい後輩の顔を立てるためにも、先輩は困ったように軽く笑って、首を傾げる。

「そんな詰められても、困りますって。昨日も言ったでしょう?頻繁に来てくれる方だから、しばらくお店閉めるよーって言ってあげたかったんです。ああいう手合いは大事にしたほうがいいんです。何でもない会話の中に大事な情報を混ぜてきますからね」

まずはいつも言っている決まり文句から口にする。これも嘘じゃない。本当に思って実践していることではある。ただ、あの客に当てはまらないってだけで。

たぶんオーナーであり一番の太客のボスなんかは、「にしちゃあ大事にしすぎじゃないです?」くらいの返しをしてくるだろう。夢追ならプロの顔付きになって「ウソ言っちゃいけないよ~?」なんて追及するか。彼がどこまで本気になっているかによるけれど。ベルモンドはそもそも追及してこない。もし聞いてくるなら、手抜かりなく逃げ場をすべて塞いでくる。

ほんの二秒か三秒の間に、神田は付き合いの長くなってきた仲間たちの反応を脳内で予測して、予測する自分が可笑しくなった。

「ふふ」

「なにが面白いん」

「いえ、別に」

神田が黙っていた二、三秒は、後輩達が怪訝な顔をして考え込み黙ってしまった待ち時間だ。神田がついこぼした笑いの意味が分からず、眉根を寄せて厳しい表情を作ってくるロベルは、まだ相手を問い詰める技術が未熟だと思う。黙って聞き手に回ってしまったオリバーも、仲間相手には本当に甘い。優しさは彼の良さでもあるが、今ばかりは利用させてもらおう。

だって、言いたくない。半分は仕事の、半分は自分の、……自分の食事のためだなんて。

「ところで、夢追さんにもう地下から出てきても平気ですよって連絡は入れました?」

話題を変えるためと仕事の確認を混ぜ合わせて、糸目に鋭い笑いを乗せて聞く。地下室の入口は店内、客が入るホールに繋がっている。いつまで尋問に時間かかるか分からないから、客がいなくて出ても平気になったら連絡を入れて欲しいと、夢追が事前に言っていたのだ。なにせ、尋問で真っ赤に染まった姿を客に見せるわけにはいかないのだから。

「あ」

二人そろって声を出し、視線で確認し合う。神田は少しだけ隙を作れれば十分だった。オリバーがポケットから携帯端末を引っ張り出す。ロベルが話題を戻すより早く、彼らが神田から意識をそらしたわずかな間を利用して、店の奥へ一歩踏み出した。

数歩進んでから振り向けば、口と同じくらい雄弁なオッドアイが不満げに神田を見つめていた。

「もう用は済んだし、扉に閉店の看板は掛けました。さっさと掃除しちゃいましょう」

まだまだですね、なんて気持ちを乗せながら、神田は手を振るのだった。

とばしても平気な あとがき

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。ずいぶんと遅くなってしまいましたが、楽しんでいただけたら幸いです。

アンケートを一月に出しました。たくさんポチっとしていただけて、うれしいです。ありがとうございます。なぜ三つ目の選択肢があるかというと、作者自身も『全部書いてくれ読みたいよ!!!!!』と思うタチだからです。自分が思うのにその選択を無くすのは違うでしょう。強くコレを読みたいんだ!!!!!という気持ちも同じくらい持っているので、どれに入れていただいてもうれしさに変わりありません。

それで、アンケート出した内容で番外編を書こうとしておりました。そのうちの一つが半分くらいできて、書いて、「コレは本編に組み込めるのでは」と思い、今回の物語になりました。全部考えてはおりますので、いつかは形にします。時間かかってしまって、申し訳ないです。

自分が何で推しを知り、何で推しの沼に足を踏み入れた(背中を強く勢いよく押された)かを思い出して、かみしめているので、たぶんノロノロした投稿ペースのままだと思われます。

遅いよもっと読みたいよと思われたあなた様!ご自分で読みたいものを形にしてしまいましょう!!他人様に迷惑をかけないように形にして、できたら私にもみせてくださいませ。私はそう思ってここにこっそり文字を出しています。

毎回読んでいただくだけでなく、コメントやいいね、すき、ブックマークなどの反応をありがとうございます。今回も楽しんでいただけたら、幸いです。