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インドラ神による緊急英霊取調室

Fate Grand Order インドラ&女夢主 — www.pixiv.net · All chapters

インドラ神による緊急英霊取調室

「あの…インドラ様?」

「何だ」

「いえ、あの…何ですか?これ」

「何がだ?」

「何がだ?ではなくて…」

「何で私…拘束されてるんです?」

えっと…とりあえず今の状況…。

まず、インドラ様がいつものように訪ねて来た。

そしたらヴァジュラたちが飛び出してきて…

椅子に座っていた私の両腕と両足を、それぞれ一体ずつががっちりと掴んできた。

両腕は、椅子の背もたれに回すように後ろ手で、両足は私の膝に乗ったヴァジュラの手によって、拘束された。

そしてインドラ様はもはや定位置にあたる私のベッドで足を組んで座り、私をじっと見据えている…。

以上です…。

「おとなしくしているほうが身のためです」

「もう逃げられないぞー?キシシッ」

「いや、別にインドラ様から逃げるようなことした覚えはないんですけど…?」

この神様に拘束される心当たりが、まったくと言っていいほど思い当たらないんだけど…。

「えっと、つまり…?私はこれから取り調べを受けるということでしょうか?」

「ま、そういうわけだ。お前は神からの問いに嘘偽りなく答える…。それだけでよい」

「なら何で拘束するんですか?」

「お前を逃さんように、だ」

「私の逃げ足じゃインドラ様はおろか、ヴァジュラたちからも逃げられないんですが…」

「令呪を使われるのを防ぐためでもあります」

「マスターの呼び掛けひとつで、助けはいくらでも来ちゃうからねー」

「そこまでして一体何を聞きたいんですか?」

するとインドラ様は、ベッドの脇に置いてあるタブレットを手に取った。

英霊たちの情報が詰まったものだ。

「お前と契約した…英霊どもとの関わりについてだ」

「英霊たちとの関わり?」

「まずはこいつからだ」

タブレットを操作し、ある英霊の画面を私に向けて見せるインドラ様。

そこに映し出されていたのは…

「…賢王様?」

タブレットの画面に映し出されていたのは賢王様…キャスタークラスのギルガメッシュ王だった。

「…その呼び方」

「え?」

私の反応を見て顔を顰めるインドラ様。

「神々の王であるこの神を前にしても尚、この英霊を『賢王』と呼ぶか」

「それは………はい」

「ほう。理由を聞くとするか」

「…インドラ様は」

インドラ様からの問いに、一旦呼吸を整える。

「ウルクの特異点の記録は…ご覧になりましたか?」

「いや、見ていない」

「…」

「おおまかには聞いたがな。だが、人間どもが…獣と化した神によって滅ぼされる国なぞ見るに堪えん」

「…インドラ様にも見ていただきたいです」

「…神に苦行を見ろ、と?」

僅かに声が低くなる、インドラ様。

私は負けじとインドラ様を見つめて言葉を返す。

「あの特異点を体験したからこそ、私はあの王様を賢王様と呼びます」

「…」

インドラ様からの視線が…痛い。

けど、これは譲れない。

「…お前がそこまで言うのなら、機会があれば見ておいてやる」

「…ありがとうございます」

私は拘束されたまま、頭を下げる。

「が…本題はそこではない」

「え?」

えっ?違うの?

他の英霊を『王』呼びしてるのが気に食わなかったんじゃないの?

インドラ様は画面の賢王様を眺めながら、何とも忌々しそうに言う。

「神がここに来てから、この男…お前に対して暴力を行使している姿を見かけている」

「へ?」

暴力?賢王様から?

そんなこと……あ。

「あの…もしや……粘土板で頭をどつかれてることで合ってますか?」

「その通りだ。英霊ともあろう者が、非力な人間の女に対して何をしている?」

確かに…賢王様は前々からよく、私の頭を粘土板でどついてくる。

間違ってはないんですが…その…。

「えっと…加減はしてくださってますし、いつものことなので、私はまったく気にしてませんよ?」

「いつものこと…だと?」

「賢王様とは付き合いが長いので。何と言いますか…一種のじゃれ合い?のようなものです」

「ならば3日前、お前が殴られていたのもいつものことだと言うのか?」

「3日前…あ…はい、そうですね」

〜回想 3日前〜

食堂にて、朝食を食べ終わり少しの時間駄弁っていた私…。

ゴンッ

「痛ッ…!」

突然頭頂部に走る、鈍痛。

そして…

「いつまで無駄話をしている…雑種」

粘土板を片手に私を見下ろす賢王様。

「ちょっと賢王様!粘土板で頭叩かないでもらえますか!?ただでさえ足りない頭がさらに悪くなるじゃないですか!?」

「毎度毎度…それでいいんですかオタクは…」

もはやいつものことなので、賢王様を睨むように見上げながら文句を言う私。

そしてため息混じりに呟くロビン。

「ハ!頭が足りぬ自覚だけはあるようだな!」

「賢王様こそ、私が『粘土板で叩かないでください』ってずっと言い続けてるのに改善されませんよね?頭の容量足りてないんじゃないですか?」

「たわけ!貴様の小言などに使ってやる頭がどこにある?無駄の極みだ、無駄の」

「ならいちいち頭を叩かないで用件だけ言ってくださいよ」

「それすら考えつかんのかこの小間使いは…雑談に費やす時間が貴様にあるのかと聞いている」

「つまり…さっさと片付けて予定に取り掛かれ、って言えばいいじゃないですか」

「たわけ。我が貴様にわざわざ親切を働いたことが一度でもあったか?」

「あー…ありませんでしたね」

「アンタも相変わらずですねぇ…王様」

〜回想終わり〜

端から見たらかなりひどい会話かもしれない。

だが、賢王様とは初期の旅からの付き合いになる。

なので、もはやこんな軽口の叩き合いは日常茶飯事だった。

横にいるロビンも初期からの付き合いなので、私と賢王様のやりとりは、もう見飽きている。

つまりこれをインドラ様に見られていたと…。

「神がそばに置く女を殴ることなぞ看過できん。そもそもお前もそのようなものを習慣化するでない」

「本当に私は気にしてないんですが…」

「よって…あの男には制裁を下した」

「え…制裁!?」

「慌てるな…流石に加減はした」

「加減はしたって…」

「あの男の持つ金色の…ああ、ちょうどこれと同じものだったな。それに神の雷を軽く落とした」

「同じ…ってタブレット!?えっ、賢王様のあのタブレットに!?完全に壊してるじゃないですか!?」

「たかだか焦げ付いただけであろう」

「それが壊れてるんですって!!」

この神様、制裁が陰湿だな…。

そして賢王様…本当にすみません…。

「次はこいつだ」

再びタブレットの画面を私に見せるインドラ様。

そこに映し出されていたのは…

「…キャスニキ?」

キャスタークラスのクー・フーリンだった。

何だろう…キャスニキ何かしたのかな?

「えっと…キャスニキと何かありましたか?」

「5日ほど前だったか…お前も覚えがあるはずだ」

「5日前?えっと…」

〜回想 5日前〜

「お、マスターじゃねえか」

「ん?キャスニキ?」

廊下を歩いていると、後ろからやってきたキャスニキにポンッと肩を叩かれる。

「んー?よく見りゃ化粧してるじゃねえか。珍しいこともあるもんだ」

「あぁ…今日はちょっと…ね」

その日はたまたま何の用事もなかったので、私は軽く化粧をしていた。

インドラ様から、オフの日はなるべく化粧をするように言われたから…。

「しっかし…あの雷霆神もいい仕事するなぁ…。普段から色気の欠片もなかった嬢ちゃんにようやく女らしさを意識させたんだからな」

「うるさいよキャスニキ…」

「何だ照れてんのか?似合ってんだからいいじゃねえか」

「…別に」

「えっと?確か…何つったか?んーっと……あぁ、そうそう!『馬子にも衣裳』だっけか?」

「え?何?喧嘩なら買うけど?」

「冗談だよ冗談!んな怖い顔すんなって」

「怒るなって方が無理なんですけど?」

「悪い悪い、ちと調子に乗りすぎた…。だが、よく似合ってんのは世辞じゃねえからよ…眉間に皺寄せんのはやめとけ。せっかくめかし込んだ綺麗な顔が台無しだぜ?」

「、…」

「お?また照れたのか?」

「…令呪を持って…」

「いや待て待てマスター!んなことに令呪使うんじゃねえよ!」

「使わせてるのは誰なんだろうね…」

「あーはいはい!オレが悪かったよ!さあて…ぐずぐずしてるとマスターから制裁が下っちまうから退散すっかな」

「…はぁ」

〜回想終わり〜

つまりあのやりとりを見てたってわけね。

まああれは…インドラ様でも、気分悪くするのかな?

「えっと…キャスニキの言動がお気に召さなかったというわけですね?」

「当然だ。神の女に粉をかける者を許すと思うな」

「、……ッ」

何気に腕を拘束されているのがつらい。

顔…伏せるしかない…。

「というわけだ。制裁を下した」

「やっぱり!?」

「加減こそしたが、事が事だからな」

「…ちなみに具体的に何を?」

「ん?普通に雷を落としたが?」

「あ、普通にひどい目に遭ってる…」

キャスニキ…

うん、何か…ごめんね…。

「最後はこいつだ」

あ、次が最後なのか…。

画面に映し出されていたのは…

「先生かぁ…」

またしてもキャスタークラス…普段は医務室にいるアスクレピオスだった。

一体何が気に食わなかったんだろう…。

心当たりは…そこそこあるけど…。

というか…

さっき賢王様のくだりで少し触れたけど、一緒に朝食食べたり駄弁ってたりしたロビンはセーフ判定なんだな…。

流石距離感がわかってる男だ。

「この男…」

「はい」

「太陽神の息子だそうだな」

「え…はい」

あ、そこ気になりますか…。

「お前は随分とこの男と親しいようだが…ギリシャの太陽神に興味があるのか?」

「えっ!?」

いやいや待って…。

何でピオ先生と親しいだけでそうなるの!?

何なら私、カルナさんともわりと親しいけど…。

カルナさんはよくてピオ先生がダメな理由って一体何ですか!?

もしかしてよその国の太陽神の関係者だから警戒してたりするとか?←正解

あとあんまりピオ先生を、太陽神の息子って言わないであげてください…。

不機嫌になるから…。

「全然そんなことありませんよ!?あとピオ先生…ご自身が太陽神(正確には神)の息子だって嫌がってるので、あまりそう呼ばないであげてほしいです…」

「…ではお前がこの男と親しいのは何故だ?」

「単に話しやすいだけですが…」

「…それだけか?」

「はい、それだけです」

「…」

インドラ様にじっと見つめられる。

やましいことなんて何もないので、私も目を逸らさずにインドラ様の目を見つめる。

「…どうやら嘘偽りはないようだな」

少しだけ目を伏せたインドラ様だったが、すぐに視線を戻しベッドから立ち上がる。

そしてさらにひと言。

「もうよいぞ」

「「了解」」

「!」

そのひと言で、私は拘束から解放される。

そして姿を消すヴァジュラたち。

拘束されていたといっても、私自身は一切の抵抗をしていないので、大して苦痛もなかった。

まあこの神様が私に苦痛を与えるとは、思ってないけどね。

あ、ちょっと待った…。

最後のピオ先生って…。

「あの、インドラ様」

「何だ」

「ピオ先生に制裁は…」

「ああ、あの男には何もしておらん」

「!」

「お前の返答次第では下すつもりでいたが、無実ならばその必要はない」

「…よかった」

ピオ先生にインドラ様からの制裁…即ち雷が落とされるのは正直いたたまれない…。

よかった…真相がわかるまでインドラ様が保留にしてくれて助かった。

「喜べ…お前の疑いは晴れた」

「あ…」

いつの間にか私の目の前に立っていたインドラ様。

「わ…ッ」

椅子に座ったままの私を片腕で軽々と抱き上げる。

私は慌てて落ちないように、インドラ様の首に腕を回してしがみつく。

喜べ…って言いますけどねインドラ様…。

「わざわざ拘束なんかしなくても、聞かれたら普通に答えましたよ」

「そう拗ねるな。ヴァジュラの言った通り、たちの悪い英霊に助けを求められれば神が面倒なことこの上ないからな」

私が助けを求める隙を与えないようにして、取り押さえて尋問するくらい、ヴァジュラの力を借りなくてもインドラ様自身でできると思うんだけどなぁ…。

あ…取り調べといえば…。

「そういえばこの前、現代の刑事ドラマを一緒に観ましたけど、もしかしてそれで取り調べに興味が湧いたりしました?」

「…」

「…インドラ様?」

「…」

あれ?

なんかインドラ様が黙っちゃった…。

冗談のつもりで言ったんだけど…。

「…まさか図星ですか?」

「…」

マジかこの神様…。

だんまり決めたよ…。

というか、さっきまで取り調べ側にいたくせに嘘つくのは下手なんだなこの神様…。

「インドラ様ー?」

「黙れ…落とすぞ」

「それは冗談抜きでやめてください…」

〜おまけ〜

「はぁ〜ッ…」

アルジュナは壁にもたれ深くため息をついた。

何をしているのだ、我が父は…。

つい先程、インドラとヴァジュラたちがマスターの部屋に入って行くのをたまたま見てしまったアルジュナ。

何事もありませんようにと願おうとした矢先…

『え!?ちょっとヴァジュラ!?』

困惑したような、若干悲鳴にも似たようなマスターの声が閉まりかけの自動ドアから聞こえてきた。

何事かと近寄ろうとしたが、自動ドアが完全に閉まり確認のしようがなくなってしまった。

部屋に入るなりマスターに何をしたのだ…。

マスターに対しプライバシーの侵害になってしまうとは考えたのだが、マスターへの心配と僅かな怖いもの見たさで、アルジュナは千里眼を使うことに決めた。

マスター…申し訳ございません…。

目を閉じ、マスターの部屋へと神経を集中させる。

「なっ…」

まず見えたのは、椅子に座らされたままヴァジュラたちに体を拘束されているマスターの姿。

何をしているのだインドラ神は…。

神である貴方から見たらたったひとりの人間かもしれないが、その方は私たちの大切なマスター…。

拘束するなど、もってのほか…。

今すぐ止めに入るべきか…。

いや、だが当のマスターは…困惑こそしているが恐怖を感じている様子は一切ない。

何なら少し…呆れているような様子も…。

アルジュナはもう少し神経を集中し、今度は部屋にいるであろうインドラの姿を探す。

マスターのベッドに腰掛けている。

手に持っているのは…マスターがいつも持ち歩いているタブレットのようだ。

英霊たちの情報が記録されたもので、アルジュナもよく目にするし、マスターに代わり扱ったこともある。

そのタブレットの画面…あれはキャスタークラスのギルガメッシュ王?

「よって…あの男には制裁を下した」

!?

制裁!?

ギルガメッシュ王に一体何を…!?

「えっ、賢王様のあのタブレットに!?完全に壊してるじゃないですか!?」

!?

壊した!?

ギルガメッシュ王の私物である、あのどう見ても高級品の金のタブレットを!?

…

目眩がしてきた…。

何ということをしたのだ…。

だが、この様子ではまだこの後も油断できない。

ひとつ、深呼吸をして…。

再度、千里眼で中の様子を見るアルジュナ。

今度は…キャスターのクー・フーリン?

「というわけだ。制裁を下した」

「やっぱり!?」

!?

キャスターのクー・フーリンまで!?

一体どんな制裁を?

「ん?普通に雷を落としたが?」

…

…

どうかご無事で、クー・フーリン。

そして私の父が申し訳ありません…。

あぁ…胃が…また痛み出した…。

千里眼を使うのを一旦止めて、項垂れる…。

ポンッ

「…ッ!?」

突然、アルジュナの肩に手が置かれた。

どうやら後ろから、誰か来ていたようだ。

痛む胃を押さえながらゆっくりと振り向く。

「覗きは大概にしておけ」

そこにいたのは自身の宿敵、カルナ。

どうやらマスターの部屋のそばで、様子のおかしいアルジュナを見つけ…察したらしい。

普段なら、速攻でカルナの手を振り払うアルジュナだが…。

「……貴様に従うのは癪だが…」

いろいろとまいってしまったせいか、あっさりカルナの言葉に従うアルジュナ。

カルナが肩に置いた手を離すと、アルジュナはよろよろと歩いて行く。

「あぁ…そうだ…ギルガメッシュ王に弁償をしなければ…それから…クー・フーリンにも何か詫びの品…酒でいいだろうか」

独り言を呟きながら去っていくアルジュナの背中を眺めながら、カルナは小さく息をつくのであった。

END