その努力こそ至高の供物
その努力こそ至高の供物
「フフ…食事中に申し訳ない」
食堂で昼食をとっていた私は、聞き覚えのある声に箸を止める。
見上げると、そばにいたその人物はあまりにも顔色が悪く、声も弱々しい。
「いいけど…何かあった?ダンテ」
「ありがとう…隣…失礼するよ」
そう言うと、私の隣の椅子によろめきながら座るダンテ。
締め切りに追われているときよりもひどい顔をしている。
「それで…相談なんだけど…」
「うん」
「実は…インドラ神に天界について話を伺う時間を作ってもらえたんだ…」
「え…よかったね」
実はわりと前から出ていた話ではあった。
『神曲』にて地獄、煉獄、天国の三世界を書いたダンテからすると、天界の主であるインドラ様からインドの天界…つまりスヴァルガがどんな場所であるのか、話を聞いてみたかったそうだ。
題材のための取材…作家としては本能みたいなものなんじゃないかな?
そして当のインドラ様からはあっさりOKが出ていたのだが、『良い酒くらいは手土産に持って来い』というインドラ様の言葉を受けて、すっかり自信をなくしたダンテのために、また別の機会ということにしてもらっていたのだ。
どうやらインドラ様は、その話をしっかり覚えていてくれたらしく、インドラ様からダンテに『時間をとったからさっさと話を聞きに来い』と言ってきたらしい。
何気に律儀だよな…あの神様。
「フフ…よくない…」
「え…何で?」
「その約束…明日なんだけど…インドラ神への手土産に持っていく酒…まだ思いついていないんだ…」
「えっ!?」
なるほど、それでこの憔悴っぷりか。
にしても明日とは…随分急な約束だったのかな?
「せっかくインドラ神から『ま、お前にも準備期間というものは必要であろう。猶予はくれてやる。光栄に思え』って時間をたっぷりもらってたのに…」
死んだ目で宙を仰ぐダンテ。
いや、めちゃくちゃスケジュール調整してくれてんじゃんあの神様…。
時間とったからとは言いつつ、ちゃんとダンテのこと考えてくれてんじゃん…。
「フフ…どうしよう…私明日で神罰下るかも…」
「大丈夫だって!私も考えるから!」
私の言葉に、目に僅かに光が灯るダンテ。
「……本当かい?」
「流石に中途半端なものはインドラ様にお渡しできないだろうけど、だからってこっちの気持ちを無下にする神様じゃないし。今から考えよ?」
「フフ…ありがとうマスター…やっぱり君に相談してよかった」
「結論出すの早いって!でもちょっとご飯だけ食べさせて。場所は変えたほうがいい」
「…そうなのかい?」
「インドラ様が来るかもしれない。見つかったら私捕まってお酌させられるから」
「…マスターも大変なんだね」
「うん…というわけでちょっと待ってね」
ダンテから同情の眼差しを向けられながら、残り半分もない食事を急いで終わらせる。
早くしなきゃ…。
今日宴がないのが一番なんだけど、ないならないでインドラ様に命じられて、ヴァジュラたちが私を捜しに来るかもしれない。
流石に今日は捕まるわけにはいかない。
「ごちそうさま!じゃあ行こう!」
「何だか申し訳ない…でもありがとう」
食べ終わった食器を急いで返却口に置き、ダンテと共に急いで食堂から出る。
お願いします…今日は見つかりませんように…。
〜作家組の部屋〜
プシューッ
「あれ?先生たちいないね」
「おや、さっきまでいたのに…」
「まあいいか…とりあえずお邪魔します」
どうせならアンデル先生の意見も聞いてみたかったんだけど、いないなら仕方ない。
私たちは部屋に置かれたソファに腰を下ろした。
「何か目星をつけているものってあるの?」
「…」
「なさそうだね」
「私が…」
「ん?」
「私が『実在したダンテ・アリギエーリ』の記憶をしっかり持っていれば、ここまで悩まなかったかもしれないな…」
「どういうこと?」
確かに英霊としてのダンテは、プリテンダーとして羽織っている『神曲』の主人公のダンテの記憶しか持っていないから、生前のことは覚えていないらしい。
「私は政治家ではあったから…そこそこ裕福な暮らしができていた時期があったはず…ではあるんだけどね。どんな美味い酒を飲んでいたのか…まったくわからないんだ」
「…そうか」
「ちなみに…インドラ神の息子さんからは『父は人界の酒も躊躇いなく飲んでいるから貴方の馴染みのある酒で問題ない』って言ってもらえたんだけどね」
「あ、アルジュナだね」
「私に馴染みのあるものなら…って考えたけど、そもそも私には…ウェルギリウスと共に三世界を旅してベアトリーチェに会った記憶しか、はっきりとした記憶がないからね」
どこか残念そうに…寂しそうにも見える笑みを浮かべて俯くダンテ。
でも、それは決して…。
「ダンテは悪くないよ」
「…マスター」
「それに…インドラ様は、ダンテが生きていた頃の酒を持って来いって言ったわけじゃないでしょ?」
「それはそうだけど…」
「あと…アルジュナからもらったアドバイスも、その通りにする必要はないんだよ?」
「え?」
「実際インドラ様は、宴では以蔵さんが持って来た日本酒も、荊軻さんが持って来た中国酒も、バーソロミューが差し入れてきたラム酒も飲んでるよ。だから大丈夫…本当にどんなお酒でもいいんだよ」
「…どんな酒でも…か…」
「そう、だから…」
「あ!見つけた!」
「ここにいましたか」
「あっ…」
「ヴァジュラ…」
ダンテとの会話の最中…突如部屋に響く聞き慣れた二つの声。
「インドラさまが貴女の部屋でお待ちです」
「部屋に戻るよー?」
「、…」
「ごめん、今は戻れない」
「…え」
「はー?インドラさまが呼んでるのにー?」
「インドラさまの命令に背く、それなりの理由があるのでしょうか?」
「うん、ある」
「マスター…」
要求を突っぱねた私に、じりじりと圧をかけるヴァジュラたち。
一方のダンテは、若干険悪になりつつある空気に不安そうな表情を浮かべている。
「それは何でしょうか?」
威圧が込められた声に私は、『小間使い』としては無下にできない事実を突きつけてやった。
「ヴァジュラたちは、明日のインドラ様の予定は把握してる?」
「もちろんです」
「そりゃもちろん!明日はスヴァルガの話を聞きたいって人間と…って、あ!よく見たらこの人間のことじゃーん!」
「そう、明日の打ち合わせってやつだよ」
「なるほど。明日のインドラさまのご予定に関わることでしたか」
「うーん…なら仕方ないか」
「終わったらすぐに戻るよ」
「わかりました。インドラさまにはそのようにお伝えしておきます」
「早く戻って来いよー?キシシッ」
「うん、ありがとう」
どうやら納得してもらえたらしい。
ヴァジュラたちは機嫌を直し、霊体化して飛び去っていった。
「マスター…私のために申し訳ない…」
一部始終を緊張の面持ちで見守っていたダンテ。
私に申し訳なさそうに謝罪してきた。
「大丈夫、今に始まったことじゃないから。じゃあ早いところ決めてしまおう」
「決めるって…何か当てがあるのかい?」
「うん…一応ね」
「というと?」
「…ダンテの出身って…」
私は先生たちの机の上にあった地球儀に目をやりながら答える。
「フィレンツェで合ってたよね?」
翌日、約束の時間。
プシューッ
「…ごきげんようインドラ神。今日はお時間を作ってもらえて光栄の限りだ」
やや緊張しているらしいダンテだが、目の前の神に対し深々と頭を下げる。
「…面を上げよ」
ゆっくりと体を起こすダンテ。
「そう固くならずともよい。今からそのように縮こまっていてどうする?ま、神の拝謁ともなれば致し方ないことではあるが」
「有り難く思えよー?」
「ところで、インドラさまへの供物は当然用意しているかと思われますが」
「もちろん。ただ料理は、今マスターが厨房に取りに行ってくれているところなんだ」
「なるほど。道理で姿が見えんと思えば…」
「用意した料理は温かいほうが美味しく食べていただけると思ったもので…先に私から用意した酒を献上させていただきたい」
「ああ、構わん」
ダンテは自分が持って来た酒のボトルをテーブルにそっと置いた。
「これは赤ワイン…もしかしたらすでに召し上がった経験がおありかもしれないが…」
「…いや、恐らく初めて目にする酒だ」
「そうだったか…。私の故郷…フィレンツェでは、この赤ワインが代表的な酒になる。葡萄から作られる醸造酒だ」
「なるほど…果実酒のようなものか?」
「いや、果実酒よりは独特の渋みがある。味だけで言うなら甘い酒ではないと思う」
「ほう…」
プシューッ
「お待たせダンテ」
「ありがとうマスター。準備はできたかな?」
「うん。インドラ様もお待たせしました。ワインを注ぐグラスと料理をお持ちしました」
「ヴァジュラ、お前たちも手伝ってやれ」
「「了解!」」
厨房から戻った私は、グラスとさっき焼いたばかりで香ばしい匂いを漂わせている料理の皿をテーブルに並べて行く。
ヴァジュラたちにも手伝ってもらう。
「じゃあダンテはワインをお願い」
「いいとも」
ダンテは器用に栓を開け、グラスにワインを注ぐ。
グラスに注がれていく、赤く透き通った液体。
それを見ながら、昨日ダンテと相談したときのことを思い出す。
〜回想〜
『私の出身?確かにフィレンツェだけど…』
『フィレンツェはトスカーナ地方…つまりトスカーナワインの名産地だよ。そこで作られるのは9割が赤ワインだから、お酒は赤ワインがいいんじゃないかなって』
『確かに…でも一口に赤ワインと言っても膨大な数の銘柄がある』
『あくまでも現代基準だけど…銘柄として有名なのはキャンティだね。インドラ様、もしかしたらワインはすでに飲んでるかもしれないけど、だからって通なものを用意する必要はないはずだよ』
『そうか…なら王道の銘柄でも悪くないか』
『ただ年数選びはダンテに任せようかな。私、お酒飲めないから付け焼き刃の知識はあっても、味には何とも言えなくて…』
『うん…それは任せたまえ。なら酒は決まったな』
〜回想終わり〜
「ではこちらを…インドラ神」
緊張していないか心配だったけど、その心配とは裏腹にダンテの手元は一切の震えがなかった。
ダンテ…肝が据われば強いからな。
「ほう…見かけによらず、なかなか芳醇な香りがする酒だな」
グラスを手に取り、香りを確認するインドラ様。
「ワインは醸造したら、しばらく涼しい場所で寝かせるのだが、寝かせる年数が経つほど香りや味に変化が出てくる。今回用意したのは10年もの…つまり10年寝かせたものだ。比較的渋みが和らぐ頃合いだろうから、ワインを初めて飲む方にも、飲みやすい味になっているかもしれない」
「なるほど。なら…試してみるとするか」
そう言うと、持っているグラスを傾けワインを一口飲むインドラ様。
固唾を飲んで見守る私とダンテ。
「…ほう…悪くない」
「ッ…!!」
どうやらワインはお口に合った様子。
私たちはひとまず、胸を撫で下ろす。
「さて…肴は何になる?」
そして酒の肴…私が説明する番だ。
私は温かく、香ばしい匂いが漂うお皿をインドラ様に説明する。
「これはブルスケッタ…バケットのパンにニンニクを塗りたくってカリカリに焼き上げた、イタリアで親しまれている軽食です。このままお召し上がりいただいても、このチーズやバジルを乗せてお召し上がりいただいてもどちらでも美味しくいただけるものです」
「なるほど…先程から香ばしい香りがしていたのはこれであったか」
「はい…それから…実はこれはダンテの出身地の料理ではないのですが…」
私はブルスケッタの隣に、二枚の皿を並べた。
「それは?」
「この二種類の料理は…」
料理の説明をするマスターを見て、ダンテは昨日の打ち合わせを思い出す。
〜回想〜
『料理を用意したい?』
『うん…やっぱり、ただ供物としてお酒を渡すだけじゃダメな気がする。せっかく私のために時間を作ってくださったんだから。だからその場でお酒を、料理と一緒に味わってもらいたいかな』
『そうだね…お酒があるならつまみは必須だしね』
『ワインのお供だから…ブルスケッタかな』
『ブルスケッタ?』
『ああ…イタリア風ガーリックトーストとも呼ばれているらしいね。厚めに切ったバケットにガーリックを塗りたくって、カリカリになるまで焼き上げたものなんだ。そのままでも美味しいし、トッピングでバジルやチーズ、トマトを乗せても美味しい軽食なんだ。ワインにとてもよく合うんだよ』
『なるほど…じゃあブルスケッタは直前に焼き上げたほうがよさそうだね。温かいほうがいいでしょ?私が焼いたブルスケッタを部屋に運ぶようにするよ』
『うん、そうしてもらえると助かる。でも、果たしてこれだけで大丈夫だろうか?』
『何か心配?』
『急に決まったことだからブルスケッタに使うバケットもそんなにたくさん用意できないだろうし…』
『…妙案ではあるんだけど』
『何だい?』
『カナッペとピンチョスを追加しない?』
『カナッペ…フランスの軽食だったかな?』
『そう、ピンチョスはスペインの軽食…どっちもワインのお供として有名なものだよ』
『急に二つの国の料理が混ざったけど…大丈夫だろうか?』
『それはきっと大丈夫だよ。むしろ料理が足らなくなるほうがまずいだろうから。カナッペもピンチョスも一口サイズの小さなものだから、材料もそこまで困らないよ』
『なら…追加してみよう』
『うん』
〜回想終わり〜
「このカナッペはブルスケッタとよく似ている料理ですが、フランスではクラッカーやビスケットを土台にして作られています。片手で持てて、一口で食べられるサイズの軽食です。ピンチョスはスペインの軽食で、ハムやチーズといった食材を楊枝で刺した一口サイズのもの…どちらもワインによく合うようになっています」
「…ほう」
インドラ様は手を伸ばし、まず目の前のブルスケッタを手に取り口に運ぶ。
カリッ…と軽やかな音を立てて、咀嚼する。
そしてそのままワインを口に含むインドラ様。
「…確かに芳醇な香りと香ばしさがよく合う。肴としてはなかなかよい」
「ありがとうございます」
「さて…このままこの酒と肴を楽しみたいところではあるが…物書きよ、神に聞きたいことがあると言ったな?」
「!」
「神は今気分がよい。神々の王が統べるスヴァルガについて…今この場で聞かせてやろうではないか」
「インドラさまからの有り難いお言葉です」
「感謝しろよー?キシシッ」
「…ああ。心より感謝を、インドラ神」
ダンテは胸ポケットから手帳とペンを取り出してインドラ様の言葉に耳を傾けながら、書き記していった。
ときどき献上された酒と肴に手をつけながら、インドラ様は上機嫌に自らの領地について声高らかに喋り続ける。
ダンテもちょくちょく質問を挟むが、それにも上機嫌なまま答えていく天界の主。
よかったねダンテ…。
よかったですねインドラ様…。
すっかり話に花が咲いた様子を見て、私は自然と笑顔になっていた。
そして対談が無事終わり、ダンテもインドラ様もいなくなった部屋にて…。
私はひとり、部屋の掃除をしていた。
空気清浄機をつけ、床をモップがけする。
ベッドのシーツもすべて剥ぎ取り、隅に丸めて置いてある。
どうしてここまで徹底して掃除しているか?
さっきのブルスケッタのニンニクの臭いが部屋に染みついたからです…。
いや、流石に時間を作ってくれたインドラ様に他の部屋に移動してもらう手間なんかかけさせるわけにはいかないからさ…。
私の部屋で対談することは了承したよ?
でもまさか焼きたてのブルスケッタで、部屋どころかベッドにまで臭いが染みついちゃうなんて想定してなかったんだよ…。
掃除を終えると、丸めたシーツを抱えてクリーニング室に向かう。
プシューッ
「邪魔するぞ」
「あ」
「どこへ行くおつもりですか?」
「インドラさまが来たんだぞー?」
よりによって今来ますかインドラ様たち…。
「すみませんインドラ様、ちょうど今掃除中で…このシーツも新しいものに替えて来ます」
「まあよい。すぐ戻れ」
「はい」
いつもの定位置にしているベッドは、今シーツを全部剥がされた状態だから早くしなきゃ…。
慌ててクリーニング室へ急ぐ…。
プシューッ
「戻りました!」
部屋を見ると、やはりシーツがないからかベッドには座らず、代わりに私の作業椅子に足を組んで座っているインドラ様の姿があった。
あぁ…やっぱり…。
何でこんなタイミングが悪いんだ…。
急いで靴を脱いでベッドに乗る。
マットレスにシーツを敷き、掛け布団にはカバーを取り付ける。
そして枕にカバーを取り付け終え、枕を置いたところで目の前に影が落ちる。
ギシッと音を立て、ベッドに座る私のすぐそばにインドラ様が腰掛けていた。
「先程の対談…」
「え?」
「お前も随分と手を回していたそうだな」
手を回していたって、そんな大げさな…。
知恵は貸した形にはなるけど。
「昨日神がお前を呼び出した時点では、まだ何も決まっていなかったのであろう?」
「!?」
「でなければ…お前があそこまで頑なに部屋に戻らんはずがない」
鋭いな…。
つい昨日焦りに焦って編み出したものだって、最初からバレていたんだろうか?
「初めから…おわかりだったんですか?」
「当然だ。お前が誰と共にいたのかはヴァジュラたちから聞いていたからな」
「…あの、ダンテのことはどうか…」
「何か思い違いをしているようだが…神はあの物書きを不敬などとは思わん」
「え?」
「神は奴に『良い酒を持って来い』とは言った。だが奴は酒だけではなく、酒の肴まで用意して神に献上した。奴にできる最大限の供物だ…神はその努力を認めんほど非情ではないぞ?」
「…」
「お前だけでなく、我が息子にも神の好む酒がどんなものか相談していた奴だ。決して神が与えた猶予を無為に過ごしたわけではなかろう」
「え…何でそれ知って…」
「奴本人から聞いた」
「あ、何だ…」
びっくりした。
全部見張られてたのかと思ったよ…。
「同時に謝罪もあった。神の呼び出しを突っぱねさせてまでお前を付き合わせたことをな」
「それは…」
「まあ…遅くはなったがお前は部屋には戻った。ならば神から言うことは特にはない。戻らなかった場合は…また別の話だが」
じゃあ昨日、遅くに戻った私にインドラ様が理由を聞き出してこなかったのって…
全部わかってたからだったのか…。
昨日の私、準備に疲れてインドラ様の様子にも気づいてなかったんだな。
「強いて言うならば…昨夜神の相手をすることもなく寝床に入るなり眠りこけたことくらいか?」
「あっ…」
うん…確かに。
下準備が終わってクタクタだったから、布団入ったらすぐ寝ちゃってたんだよな…。
「特に咎めはせんが…その分埋め合わせはしてもらわねばな」
長い腕が私の体に回り、そのまま抱き寄せられる。
インドラ様も実はちょっと我慢してたんだな…。
なら今日はせめて…。
「…はい」
満足するまで付き合おう。
そう思った私は少し体の向きを変え、インドラ様の胸に顔を埋めた。
END