5色のエーデルワイスを捧げる
5色のエーデルワイスを捧げる
※注意喚起※
雷霆神のインドラ様に、この名を背負い続けた彼らの話を聞いてほしいなと思って書いたものです。
5月31日…今日で活動に幕を下ろす、5人へ感謝を。
「ここにいたか」
「…インドラ様?」
「ほう…また何か、絵を描いていたようだな」
「はい」
「これは…花か」
「はい。エーデルワイスという花です」
それは、5つの花。
真っ白な背景に、赤、青、黃、緑、紫の色を塗ったエーデルワイス。
「随分と単調な絵ではあるが…」
「これは…風景画ではないんです」
「と、いうと?」
「エーデルワイスは白い花です。この色のエーデルワイスは、本来存在しないんですよ」
「存在しない花を、お前の想像で描いた…と?」
「はい」
「ふむ…神はよく知らんが、それが芸術というものなのであろう。よい。ならばその絵…神に献上せよ」
「…申し訳ありませんが、これは差し上げるわけにはいきません」
「…何?」
「インドラさまの命令ですよ?」
「不敬だぞー!」
「お前たちは黙っていろ。それで…その絵を献上できん、それなりの理由があるというのか?」
「これは…とある5人に向けた感謝の絵です」
「5人…人間か?」
「はい。私の青春は、彼らの音楽で彩られていたといっても過言ではありません。私にとっては、標高の高い崖に咲くエーデルワイスのような、まさに高嶺の花のような存在でした」
「音楽…演奏者や詩人吟遊のようなものか」
「そうですね。彼らは『嵐』という名で、歌や踊りを提供していた5人組です。このエーデルワイスの色は、彼らのメンバーカラーのつもりで、5色の花にしたんです」
「『嵐』か…なるほど、悪くない名ではある」
「私からすれば、とてつもなく人気を誇った5人組と言っても過言ではありません。ステージに嵐を巻き起こす…実際に嵐を呼ぶわけではありませんが、それが彼らでした」
「お前にとって、思い入れのある者…それはよく理解した。だがその絵を今になって描いたのは、何か…心境の変化があったということか?」
「…終わっちゃうんです」
「は?」
「彼らの活動は…今日で終了してしまうんです」
「終わる…だと?嵐という、この神への尊敬の念を込めた名を背負った者たちが、何故終わる…!?」
「(そういうつもりで名付けたわけじゃない気がするけど…)本人たちが、そう決めたからです」
「…!」
「そうなれば…応援していた私からすれば、それを受け入れるしかありませんから」
「…まあ、命であれ何であれ…人には、いずれ終わりが来るものではあるが」
「寂しいことに変わりはありませんが、彼らが歌ってきた数え切れない景色…数え切れない歌が消えてしまうわけではありませんから。だから…気づいたらこんな絵を描いてしまったんです」
「…」
「だから…これをインドラ様に捧げるのは…」
「……まあよい、許す」
「!」
「神へ捧げる絵でないのなら、手にしたとて意味を為さん」
「よかったなー許してもらえて。キシシッ」
「寛大な御心…感謝するように」
「はい…ありがとうございます…」
「…が、絵はいいとして…」
「…何でしょう?」
「一体どのようなものを歌った者たちであるか、神に説明できんはずがあるまい?」
「…はい、もちろんです」
「ならば…聴かせるがよい。雷霆神たるこの神に」
「…ッ!…はい…ッ!たくさんあります!インドラ様に聴いていただきたい曲が…ッ!」
「…ちなみに聞いておくが、苦行を歌い持て囃したものはあるまいな?」
「それは判定が難しいので、とりあえず聴いていただけたら!では部屋に戻って曲を漁ってきます!」
「おい待て…いや、本当に待て!何故このようなときだけ、雷霆の如き速さで姿を消すのだお前は…ッ!」
エーデルワイスの花言葉:大切な思い出
END