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7 新しい生活

Glorious Days — www.pixiv.net · All chapters

7 新しい生活

朝の静けさとは対照的に、天道家の台所では慌ただしい空気が流れていた。

魚を焼く煙が立ち上り、コンロにかけた鍋では、味噌汁が今にも吹きこぼれそうに煮立っていた。

あかねはその脇で、フライパンに卵を割り入れようとしていた。

卵をかち割って落とすと、黄身が崩れてぐちゃっと広がった。

「あーん、もうまた失敗!」

あかねはあたふたとしながら、時計を見る。

もう七時を回っている。

「あ、お洗濯ものも、早く干さなくっちゃ!」

その時、暖簾が開いて、乱馬の顔がひょこんと覗いた。

「もう洗濯もの干しといたぞ」

「えっ!?よかった。ありがとう」

あかねはほっと息をつく。

と同時に、味噌汁の鍋の中身が勢いよく溢れ始めた。

「お、おい、鍋吹きこぼれてんぞ。おまけに、なんか焦げ臭くねぇか?」

乱馬はコンロの火を急いで消すと、黒い煙に気づいてギョッとする。

「魚、焦がしてんだろ」

「あっ!そうだ。お魚焼いてたの!」

乱馬は黒焦げになった魚をコンロから下ろし、すぐに窓を開けた。

「ったく、おめーは。これでよく全部一人でやろうとしてたな」

呆れ顔で乱馬は呟く。

「かすみお姉ちゃんが嫁いでまだ一週間よ。慣れたら、ちゃんと一人でできるようになるわよ」

あかねは少し語尾を詰まらせる。

「ほら、見てろよ」

乱馬は卵を片手に取って割ると、綺麗に五人分の卵を、次々とフライパンに割り入れた。

ジューっと卵の焼ける音がする。

乱馬って本当に器用よね。卵を割るのも、髪を切るのだって…。

そう考えながら、あかねの手はそっと短い髪に触れる。

頬が僅かに赤らんでいくのを感じる。

家族揃っての朝食が始まった。

「でも、やっぱり乱馬くんをあかねの補助役として任命したのは正解だったわね」

食卓には黒焦げの魚と目玉焼き、それに少し煮詰まった味噌汁が並んでいた。

「味噌汁は煮詰まって塩っぱいし、魚は黒焦げ。だけど、目玉焼きがあるからね」

なびきは満足げに箸で目玉焼きをつまんだ。

早雲や玄馬も同意して頷く。

あかねは少しムッとした。

「そんなこと言うなら、お姉ちゃんが料理係をしたらいいじゃない?お父さん達だって」

「私はダメよ。夜は勉強で遅くまで起きてるのよ。朝はゆっくり寝てたいわ」

「ぱふぉーん」

「いや、ま、あかねにはいい花嫁修行になるんだから。乱馬くんと仲良く協力して続けるように!」

あかねは不満げに隣の乱馬の顔を見る。

……でも、あたし一人だったら、今朝はどうにも回らなかった。

だからって、このままずっと助けてもらうわけにはいかない。

早く一人でもちゃんとできるようにならなくっちゃ。

乱馬は少し眉をひそめながら味噌汁を飲み干すと、食器を流しへ運んだ。

「親父、洗っとけよ」

「ぱふぉーん!?」

玄馬はご飯を食べていた手を止めると、オロオロしながら周りを見回した。

早雲は乱馬の発言に同意するかのように、何度も頷いている。

なびきは素知らぬ顔だ。

「いいな、みんなの分の皿くらい洗っとけよ?」

乱馬はそれだけ言うと、鞄を肩に掛けて玄関へと向かった。

「ちょ、ちょっと待ってよ、乱馬!」

あかねは急いで立ち上がる。

「おじさま、お願いします!」

食器を流しへ運んで会釈をすると、乱馬の後ろを追いかけていった。

第一部 高校一年生編 完

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高校二年生編は、8月14日(金)より公開予定です。