第2話
第2話
新たな執事が家に来た後、佐々島はすぐに明の両親に説明があるとかで連れて行かれ、明は明で会社に行くことになった。しかし、佐々島の登場のことが頭を駆け巡り仕事に集中できなかった。高校の頃はそんなに気にしたこともなかったし、卒業後も思い出すこともあまりなかったのに…。なぜか佐々島が家に 来た意味が気になった。いや、明の家に来ることになったのは、単なる偶然なのだろうか。 夕方六時頃に家に戻った明は、廊下でちょうど通りかかった佐々島を見つけ呼びとめた。当然ではあるが、執事服を着た佐々島は、高校の頃よりもずっと大人らしく見える。前髪が長めの黒髪も、きまっていてとても美麗だ。「ちょっと…いいか」「何でしょうか…」 感情を隠した表情を佐々島は見せた。「…話しがあるんだ」「私は今仕事の途中なのですが…」「ちょっとだけだ。部屋まで来てくれないか」「…わかりました」 少し逡巡した後、佐々島は明の後をついてきた。 明の部屋は、屋敷の二階の一番奥にある。明は自室に佐々島を連れて来たのだ。「お前、佐々島だよな」 直ぐに一番聞きたかったことを切りだした。「…えぇ…私はあなたの高校の同級生だった佐々島透です。久しぶりですね、明様」そういうと、佐々島改め河野は含みのあるような笑みを見せた。「なぁ、その喋り方どうにかなんないのかよ、俺達タメだろ。それに、なんでウチに来た?」「私はこちらの家に仕える執事となりました。言葉づかいは丁寧にと躾けられてまいりましたので…また、こちらにやってきたのは…単なる偶然です。執事の欠員があり応募したのが、たまたま東野家だったのです」河野は、一切感情を隠したような表情をしていた。「じゃあ、何で一々苗字変えてたんだ?そんな必要あんのかよ」「…それは、あなたも御承知の通り、私が“佐々島家”の人間だからです。色々と諸事情で、素性を隠させていただきました。今後も、人前では特に河野とお呼びいただければと思います。私も河野で通しますので」「はぁ?ややこしいな」「申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします」河野は注意深く念を押した。明の通っていた高校は、私立の有名学校だった。高校で初めて河野(佐々島)と同じクラスになったのだが、特段仲が良かったわけでもなく、そこまで彼の印象が強かったわけでもない。明と同じ高校に通っていたぐらいだから、佐々島の家も相当な名家であり、国内にも名は知れ渡っている。そんな河野が、なぜ明の家にやってきたのだろうか。