第7話
第7話
そう言えば高校では佐々島(河野)が同じクラスになったことがあった。うろ覚えではあるが、球技大会か何かで同じ種目に出たような気もする。しかし、今現在日々新たなことを覚えている最中であり、過去のことは記憶の隅に追いやられていってしまっているのだ。『…なんで一緒になったんだたっけな…』そんなことをぼんやりと考えてみるが、なかなか思い出せない。 大学時代の明は、父からも勉強をすることを強いられていた。学生なのだから勉強をするのは当たり前だが、明の場合は普通と違う。東野家を背負って立つ身となるために、経営や経済、政治などを高校時代以上に学ばねばならなかった。それは、学校の勉強とは別にということもあった。大学の頃には、既に東野家の沿革や、企業としてのことなどを教え込まれていた。大学の頃を思い出すと、あまり楽しい思い出はなかった。そのことだけは覚えているのだ。『周りの奴らは、楽しそうだったよなぁ…』はっきりとは覚えていないが、周りでは合コンに行くとか、彼女ができただのといった話で盛り上がっていたような気がする。本当は羨ましかった。明も皆と同じような学生生活を送りたいと、四年間思ってきたのだ。ちなみに、合コンには誘われたことは何度かあるが、一度も参加したことはない。明が毎回断るので、徐々に誘われることはなくなってしまった。『つまんねぇ大学時代だったな…』つい一昨年前までは、明も大学生だった。その学生時代の頃などをぼーっと思い出していたら、胸に苦々しいものが込み上げてきてしまった。『やなこと思い出したな…』そう思い、長湯をしてしまいそうになったので、そろそろ湯船から出ようかと思った次の瞬間、コンコンと風呂のドアがノックされた。