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第22話

いつもの登山に行っただけなのに — fujossy.jp · All chapters

第22話

それから、僕は大磯守様に用意して頂いた着物に着替えて、食事の席についた。「この方が城の者たちもお主を警戒しない」「あ、ありがとうございます……」下着まで大磯守様と同じものを用意してもらったのだけれど、人に着替えを手伝ってもらう経験なんてなかったから、すごく恥ずかしかった。そんな僕をよそに、大磯守様は慣れた様子で堂々とされていて、その横顔が、とても綺麗だなと思った。食事の席では、盛継さんが相変わらず険しい顔で僕を見ていた。「父上、何故この者に父上の大切な着物をお貸しになられたのですか」「新しく仕立てる方が時間も金もかかる。これが最善であろう」「それは……そうですが……」「す、すみません、僕が着物を持っていないばかりに……」「うるさい、お主の声など聞きとうないわ。黙っておれ!!」僕が謝ろうとすると、盛継さんが僕を睨みつけながら厳しい口調で言った。「す、すみません……」僕は、余計なことをしてしまった。あぁ、やっぱり僕は、人付き合いが下手くそだ。相手の気持ちを分かっていなくて、怒らせてしまう。「真雪、お主は何も悪くない、謝るな。盛継、そんなにもわしのすることに不満ならば、このわしを殺してわしの代わりにこの国を治めれば良い」「父上、私はそのようには……」「ならば盛継、真雪との事に口を挟むな。良いな?」「…………」それから、盛継さんは食事を済ませると、弥三郎さんと共に部屋を出ていった。「……ごめんなさい、僕のせいで」謝って済むとは思っていなかったけど、僕はこう言って深々と頭を下げた。「お主が気に病むことはない」「でも、おふたりは僕のせいで仲が悪くなってしまったら、僕は……」「盛継はそこまで愚かな男ではない。あれは昔からわしに対しての思いが強いのだ」泣きそうになっていた僕を、大磯守様は優しく抱きしめながら言ってくださった。昨夜から感じていた。僕より少しだけ背が高いけど、身体の厚みは全然違ってること。女の人みたいだって思ってたけど、僕の方が女の人みたいだって。「それに、あいつには弥三郎もいる。案ずるな」「……はあ……」弥三郎さん。盛継さんの側仕えの人、だよね。……ということは……。僕は余計なことを考えてしまった。