第36話
第36話
採取した植物の選別を終え、保管の仕方を確認していると、大磯守が様子を見に来られた。「兵次、真雪の仕事ぶりはどうだった?」「はい、宮前殿は我らよりも多くの知識をお持ちで、薬草に詳しい医師も、共に採取をしながらその見識に驚いておりました」「ふふ、やはりそうであったか。真雪、見事であった」「あ、いえ、そんな……」「朝から働き詰めで疲れたであろう。ここは他の者に任せて、食事まで部屋で休むことにせよ」どうしよう、と思ったけど、どうしようもなかった。奥さんや子供のこと、そして、夏彦さんという人のこと。それでもやもやしてるなんて言えなくて、ただ大磯守様が繋いでくれた手を離さずに、部屋まで戻ってきてしまった。「今宵の食事はこの場に運ばせるゆえ、着物を緩めてゆっくり過ごすが良い」「は、はぁ……」気のせいかな。大磯守様、僕の着物、急いで脱がそうとしてない?「……かような細い腕で一日中、ようやってくれた」そう言いながら腕を掴まれて、弥三郎さんに結んでもらっていた紐も、それでまとめられていた着物も脱がされて、薄い着物と下着姿にさせられる。「あ、あの……臭くないですか?僕、結構汗をかいてしまったので……」それから僕に近づいてきて、鼻を鳴らして僕の臭いを嗅いでいる素振りを見せられたので、僕は尋ねていた。「いや、寧ろ、ずっと嗅いでいたい匂いだ……」「ひゃ……ッ、♡♡」不意に首筋を舐められた僕は仰け反って畳の床に倒れてしまう。「ふふ、真雪はどこもかしこも敏感だな」「あ……」僕を覆うように、大磯守様は僕の身体の上に重なってこられた。そうして、大磯守様が僕にキスしてくれた時にはもう、さっきまで何を考えていたのか、分からなくなっていった。柔らかな唇が重なり、熱い舌がゆっくりと口の中を侵食してくる。 奥まで丁寧に、しかし容赦なく掻き回され、甘い水音が部屋に小さく響いた。「んんッ……♡」ぢゅるッッ♡♡れろぉ……っ♡♡「はぁ……お前の口の中も、汗の匂いも、全てが堪らぬな」キスを少し離すと、大磯守様は僕の首筋に顔を埋め、深く息を吸い込んだ。 熱い吐息が肌を撫で、鼻先がくすぐるように擦れてくる。「んぅッ♡ お、大磯守様……そんなに嗅がないで……ッ♡♡」「断る。お主の汗の匂いが、わしを狂わせるほど良い匂いなのに。……朝から働いて、汗の滲んだ肌の匂い……ふふ、堪らぬ」首筋から鎖骨、そして胸元へと、大磯守様は執拗に顔を寄せて匂いを嗅ぎ、時折熱い舌で舐め上げる。 汗で少し湿った肌を丁寧に味わうように、ぢゅっ、と音を立てて吸い付きさえした。