第5話
第5話
山を降りても、そこは見たことのない景色だった。「ほら、とっとと歩け」両腕を男たちに抱えられて歩いた道も、通った街並みも、時代劇で見たことのあるものにそっくりだった。そうして連れてこられたのは大きなお城で、門や石垣まで立派に作ってあって、豪華なセットだなぁと思った。「ここに座れ」中に連れ込まれると、僕はお城の中の、真っ白い石が敷き詰められた場所に座らされた。そこにまた違う男がやってきて、僕の両手と身体を紐で縛る。「今から大磯守様がいらっしゃる。頭を下げよ」「は……はあ……」偉い人が来るってこと??僕は言われた通り、頭を下げた。すると、少ししてから人の足音が聞こえてきて、止まった。「面を上げよ」言われた通り、ゆっくりと顔を上げた僕は、思わず息を呑んだ。目の前にいた人が、今まで見たことがないほど美しい女の人……いや、男の人だったからだ。端正な顔立ちに、整えられた髪。身に纏っている着物も、周囲の男たちとはどこか違い、赤、ピンク等、鮮やかな色の着物を着ていた。……綺麗な人だ。それが、大磯守様に対する、僕の最初の印象だった。