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第6話

いつもの登山に行っただけなのに — fujossy.jp · All chapters

第6話

「ほお……これは、妙な客人だな」その人は僕の方へ近づいてくると、手にしていた扇子で僕の顎を持ち上げた。「……お主、名は何と申す?」「み、宮前真雪です……」ジャスミンのようないい香りと、それとは相反するような鋭い眼差しに、僕は声が上ずってしまった。あまりに美しいお顔で見つめられて、僕はどうしていいか分からず、視線を泳がせる。「……真雪、か」なぜか、大磯守様は僕の名を確かめるように、ゆっくりと繰り返された。その目が、ほんの一瞬だけ寂しげに揺れた気がした。けれど、次の瞬間には、穏やかな笑みを浮かべておられた。「……ふむ、南蛮人ではない様だな」大磯守様は扇子を僕の顎から離すと、今度は僕の掛けていた黒縁メガネに触れる。「……これは何処で手に入れた?」「えっ、メガネ屋さん、ですけど」何を言ってるんだ、この人は。っていうか今気づいたけど、これ、もしかして撮影じゃないのかもしれない。周りにカメラとかライトとかないし。じゃあ、ここって一体何処!?