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「夢の中の事故と、いつも通りに接することができない教育係」

教育係のさくらには恋心を知られてはいけない。 — www.pixiv.net · All chapters

「夢の中の事故と、いつも通りに接することができない教育係」

1.夢の中で、あなたに会いました。

「……あれ?」

さくらは、見慣れた会社の廊下に立っていた。

いつもなら社員たちが行き交っているはずなのに、今日は誰もいない。

窓から差し込む夕日が、廊下をオレンジ色に染めていた。

「ここは……会社、ですよね?」

不思議に思いながら歩いていると、向こうから見慣れた人物がやってきた。

「さくらさん?」

「……っ!」

そこにいたのは、あなた。

いつものスーツ姿で、穏やかに笑っている。

「どうしたんですか? こんなところで」

「い、いえ……。あなたこそ、どうしてここに?」

「さあ? 夢だからじゃないですか?」

「夢……?」

あなたがそう言って笑った瞬間、さくらの頬がほんのり赤くなった。

(夢の中でも、いつも通りなんですね……)

現実では教育係として接しているあなた。

仕事に真剣で、困っている社員を見つければ放っておけなくて、ときどき自分の仕事まで抱え込んでしまう。

そんなあなたのことを、さくらは誰よりも近くで見ていた。

「さくらさん?」

「は、はい! なんでしょう?」

「顔、赤いですよ。大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫です! 問題ありません!」

(夢の中なのに、どうしてこんなにドキドキするんでしょう……!)

さくらは胸元にそっと手を当てた。

ドクン。

ドクン。

いつもより、鼓動が速い。

すると、そのときだった。

「わっ!?」

あなたの足元に、いつの間にか置かれていた書類の束。

あなたはそれにつまずいてしまった。

「えっ?」

さくらが振り返った瞬間――。

あなたはとっさに彼女をかばおうとして手を伸ばした。

「さくらさん、危ない!」

「きゃっ!」

二人はそのまま、ふかふかのカーペットの上に倒れ込んだ。

そして。

偶然にも、顔が近づきすぎてしまい――。

チュッ。

唇が、触れてしまった。

「…………」

「…………」

時間が止まった。

さくらは目を大きく見開いていた。

すぐ目の前には、驚いた顔のあなた。

あなたも状況を理解した途端、真っ赤になった。

「さ、さくらさんっ!? すみません! 今のは事故で……!」

「…………」

「本当にすみません! わざとじゃなくて……!」

「…………っ」

さくらは口元を押さえた。

顔が熱い。

耳まで熱い。

心臓が、今にも飛び出してしまいそうだった。

(い、い、い、今……!)

(私……この人と……キスを……!?)

「さくらさん?」

「~~~~っ!」

「さくらさん!? 大丈夫ですか!?」

「し、知りませんっ!」

「ええっ!?」

さくらは真っ赤な顔を両手で覆った。

けれど、指の隙間からあなたの顔を見てしまう。

あなたは困ったように眉を下げていた。

その表情を見た瞬間、さくらの胸がきゅっと締め付けられた。

(……どうしてでしょう)

(嫌じゃ、なかった……)

むしろ。

ほんの少しだけ。

ほんの少しだけ、嬉しいと思ってしまった。

「……さくらさん?」

あなたがもう一度、心配そうに声をかけた。

さくらは顔を真っ赤にしたまま、震える声で答えた。

「……夢なら、もう少しだけ……」

「えっ? 何ですか?」

「な、なんでもありませんっ!」

その瞬間、夢の景色が白く染まっていく。

「さくらさん?」

「ま、待ってください! まだ……!」

そして――目が覚めた。

2.朝、さくらさんは布団の中で固まった。

「…………」

朝。

自宅のベッドの上。

さくらは目を開けたまま、天井を見つめていた。

数秒後。

「~~~~~~っ!!」

布団を頭までかぶった。

(な、何という夢を見てしまったんですか、私は……!)

枕を抱きしめ、ベッドの上でごろごろ転がる。

右へ。

左へ。

そして、もう一度右へ。

「落ち着いてください、さくら……! あれは夢です! ただの夢です!」

自分に言い聞かせる。

そう。

夢なのだ。

現実では、あなたとキスなどしていない。

事故で押し倒したわけでもない。

そもそも、あんな状況になること自体があり得ない。

「……そうです。夢ですから」

ようやく落ち着きを取り戻した。

……と思った。

「…………」

夢の中のあなたの顔が、鮮明によみがえった。

『さくらさん、危ない!』

『本当にすみません!』

そして、あの一瞬。

「……っ!」

再び布団に潜り込んだ。

(どうしましょう……)

(今日、普通に顔を合わせられるのでしょうか……?)

時計を見る。

出社の時間が迫っている。

さくらは深呼吸を三回繰り返し、ようやく起き上がった。

「大丈夫です。私は教育係ですから」

鏡の前で、いつもの笑顔を作る。

「おはようございます。今日もよろしくお願いします」

完璧。

いつも通り。

これなら問題ない。

「……よし」

さくらは鞄を手に取り、家を出た。

ただし。

玄関を出てから会社に着くまで、夢のことを忘れられた時間は、わずか三分だった。

3.出社。目の前に、夢の相手がいる。

「おはようございます!」

あなたはいつも通り、元気よく出社した。

さくらはデスクで書類を整理していた。

「お、おはようございます……」

「? さくらさん、どうかしました?」

「い、いえ! なんでもありません!」

あなたが首をかしげる。

さくらは慌てて書類に目を落とした。

(来ました……!)

(夢の中の……あの人が……!)

(落ち着いて。落ち着くんです、さくら……!)

あなたは自分の席に鞄を置き、パソコンを起動した。

「そういえば、さくらさん」

「は、はいっ!?」

「今日、何かありました? いつもより緊張しているような……」

「き、緊張などしていません!」

「そ、そうですか?」

「はい! まったく! これっぽっちも!」

勢いよく答えた直後。

さくらは自分の声が大きすぎたことに気づいた。

「……失礼しました」

「いえ……」

あなたは不思議そうにしながらも、仕事を始めた。

さくらはほっと息をつく。

(危なかった……)

だが、問題はここからだった。

あなたがキーボードを打つ。

カタカタカタ。

さくらは、ふと横目であなたを見る。

(……夢の中でも、こんなふうに隣にいたんですよね)

あなたが書類を手に取る。

(あのとき、手を伸ばして……)

あなたが顔を上げる。

「さくらさん?」

「ひゃっ!?」

思わず変な声が出た。

「だ、大丈夫ですか!?」

「だ、大丈夫です! 少々、驚いただけです!」

「……本当に?」

「本当です!」

あなたは心配そうにしながら、そっと自分の額に手を当てた。

「熱があるわけじゃなさそうですね……」

その手が近づいた瞬間。

さくらの頭の中に、夢の光景がよみがえった。

顔が近づく。

あなたが驚く。

そして――。

「~~~~っ!」

「さくらさん!?」

さくらは椅子ごと、すっと後ろに下がった。

「す、すみません! ちょっと用事を思い出しました!」

「えっ、まだ始業前ですよ?」

「その、ええと……資料を! 確認してきます!」

「資料なら、ここにありますけど……」

「別の資料です!」

そう言い残し、さくらは逃げるように給湯室へ向かった。

あなたは一人、首をかしげた。

「……今日のさくらさん、どうしたんだろう?」

4.午前中、仕事が手につかない教育係。

給湯室。

さくらは冷たい水を飲み、深呼吸していた。

(落ち着きました……)

(夢と現実は違います。私は大人です。教育係です)

(いつも通りに接すればいいだけです……!)

決意を固めてデスクに戻る。

すると、あなたが書類を持って立ち上がった。

「あ、さくらさん。これ、確認をお願いできますか?」

「は、はい。拝見します」

さくらは書類を受け取った。

そして、あなたの指先が一瞬だけ触れた。

「…………」

(あっ……)

たったそれだけ。

本当に、ただ書類を受け取っただけ。

なのに。

(夢の中では、もっと……)

「さくらさん?」

「はいっ!?」

「書類、逆さまですよ」

「…………えっ?」

見れば、確かに上下が逆だった。

「し、失礼しました!」

さくらは慌てて書類をひっくり返した。

「すみません、集中できていなくて……」

「珍しいですね。さくらさんがそんなこと」

「……っ!」

あなたは笑顔で言った。

「疲れているなら、少し休んでくださいね。いつも助けてもらっていますから」

「…………」

その優しさが、今のさくらにはいけなかった。

(どうして、そんなに優しいんですか……!)

(夢の中のあなたも、私を心配して……)

(……いえ! 考えてはいけません!)

「さくらさん?」

「な、なんでもありません!」

あなたが去ったあと、さくらは両手で頬を押さえた。

(仕事です……! 仕事に集中するんです……!)

パソコンに向き直る。

メールを開く。

返信を書こうとする。

『お世話になっております』

そこまで打って、止まった。

(……キス)

「違いますっ!」

思わず声に出た。

近くにいた社員が振り返る。

「さくらさん?」

「な、なんでもありません! 業務上の確認です!」

「そ、そうですか……?」

さくらは勢いよく画面に向き直った。

(もう嫌です……!)

(どうして、夢のことが頭から離れないんですか……!)

その後も、さくらは何度もあなたを見てしまった。

あなたがコーヒーを飲めば、夢の中で笑っていた顔を思い出す。

あなたが困っている社員を手伝えば、夢の中で自分をかばってくれた姿を思い出す。

あなたがこちらを向けば、反射的に目をそらしてしまう。

そして、あなたはついに心配になった。

「さくらさん。今日、本当に大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫です……!」

「でも、さっきから何度も書類を落としていますよ?」

「……っ!」

足元には、さくらが落としたペンが三本。

机の上には、向きを間違えた書類。

パソコンの画面には、途中までしか書かれていないメール。

教育係として、普段は完璧なさくらが、今日は見るからに落ち着かない。

「……少し、休憩しましょうか」

あなたが優しく提案した。

「いえ! 私は大丈夫です!」

「さくらさん」

あなたは、いつになく真剣な声で言った。

「無理はしないでくださいね。さくらさんが倒れたら、僕が困りますから」

「…………え?」

「いつも頼りにしているので」

にこっと笑うあなた。

さくらの心臓が、大きく跳ねた。

ドクンッ!

(……頼りに、している)

(私のことを……)

「……ありがとうございます」

さくらは小さく微笑んだ。

その笑顔は、いつもの教育係の笑顔だった。

ただし。

机の下では、両手をぎゅっと握りしめていた。

(夢の中でも、現実でも……)

(この人は、本当にずるいです……)

5.昼休み。庭での二人きり。

昼休み。

あなたは食堂で昼食を済ませ、会社の庭へ向かった。

ベンチに腰かけ、温かいコーヒーを飲む。

「ふう……」

今日は午前中から、さくらさんの様子がおかしかった。

何か悩みでもあるのだろうか。

自分にできることがあれば、力になりたい。

そんなことを考えていると。

「……失礼します」

聞き慣れた声がした。

振り返ると、さくらが立っていた。

「さくらさん!」

「隣、よろしいでしょうか?」

「もちろんです!」

さくらはあなたの隣に腰かけた。

いつもなら、仕事の話や最近の出来事について自然に話せる。

ところが今日は。

「…………」

「…………」

二人とも、なぜか黙っていた。

さくらは膝の上で手を重ね、じっと前を見つめている。

あなたは少し考えてから、声をかけた。

「さくらさん。何かあったんですか?」

「……どうして、そう思うんですか?」

「朝から、ずっと落ち着かないみたいだったので」

「…………」

「僕でよければ、話してください」

さくらは唇を結んだ。

夢のことを話すわけにはいかない。

ましてや、あなたとキスをしてしまった夢だなんて。

「……実は」

「はい」

「昨夜、少し……変な夢を見まして」

「夢ですか?」

「はい」

さくらはちらりとあなたを見た。

「……とても、恥ずかしい夢で」

「へえ。どんな夢だったんですか?」

「そ、それは言えません!」

「す、すみません!」

さくらは慌てて口元を押さえた。

(ああ……! どうして口を滑らせてしまったんですか……!)

あなたは少し考えたあと、穏やかに笑った。

「そっか。言いたくないことなら、無理に聞きませんよ」

「…………」

「夢って、変な内容になることもありますからね」

「……そう、ですよね」

「僕なんて、昔、会社の会議でパジャマ姿のまま発表する夢を見たことがありますよ」

「……ふふっ」

さくらは、思わず笑ってしまった。

「それは……大変ですね」

「夢の中なのに、ものすごく焦りました」

「ふふっ……」

笑っているうちに、さくらの緊張が少しずつ解けていく。

あなたも嬉しそうに笑った。

「やっと、いつものさくらさんに戻りましたね」

「……え?」

「今日はずっと心配していたんです。笑ってくれて、よかったです」

「…………っ」

さくらは顔をそらした。

(もう……)

(本当に、この人は……)

「……ありがとうございます」

その声は、いつもより少しだけ柔らかかった。

けれど、あなたがコーヒーを飲み終え、立ち上がろうとしたとき。

「では、そろそろ戻りましょうか」

「……あっ」

さくらは思わず、あなたの袖をつまんでいた。

「……さくらさん?」

「…………!」

自分が何をしたのか気づき、慌てて手を離す。

「す、すみません! 今のは、その……!」

「大丈夫ですよ?」

あなたは不思議そうに笑った。

「一緒に戻りましょう」

「…………はい」

さくらは小さくうなずいた。

(……夢の中でも、もう少し一緒にいたいと思ってしまったんです)

(だからといって、現実でも同じことをしてしまうなんて……)

さくらは、あなたの少し後ろを歩きながら、こっそり胸を押さえた。

ドクン、ドクン。

その鼓動は、昼休みが終わっても、なかなか落ち着かなかった。

6.午後。ついに仕事が止まる。

午後一時。

さくらはデスクに戻り、気持ちを切り替えようとした。

「よし……」

今日中に確認する書類は十件。

返信すべきメールは六件。

あなたに教える予定の業務もある。

(大丈夫。午後こそ、集中します……!)

最初の書類を開く。

一行目を読む。

二行目を読む。

三行目を――。

(……夢の中の、あの人)

「…………」

さくらは書類を閉じた。

「だめです……!」

もう一度開く。

今度こそ。

(あのとき、もし転ばなかったら……)

「~~~~っ!」

書類を伏せた。

(違います! そういうことを考えるのではありません!)

頭を抱えていると、あなたがやってきた。

「さくらさん、こちらの資料なんですが……」

「は、はいっ!」

「この部分、確認していただけますか?」

「もちろんです!」

さくらは勢いよく資料を受け取った。

そして、あなたが隣に立った。

「ここなんですけど……」

あなたが資料を指さす。

顔が近い。

ほんの少し、距離が近い。

それだけなのに。

さくらの脳裏に、夢の光景が鮮明によみがえった。

(近い……!)

(近いです、あなた……!)

「さくらさん?」

「は、はい!」

「この数字、どう思います?」

「……す、素晴らしいと思います!」

「えっ?」

「……あっ」

あなたは資料を見た。

「これ、まだ計算前の数字なんですが……」

「…………」

「さくらさん?」

「……申し訳ありません」

さくらは深々と頭を下げた。

「少しだけ、休憩させてください……」

「もちろんです!」

あなたはすぐに椅子を引き、さくらを座らせた。

「何か飲み物を持ってきますね。温かいお茶でいいですか?」

「……はい」

あなたが給湯室へ向かう。

その背中を見送りながら、さくらは机に額をつけた。

(もう……無理です……)

(今日は、あなたの顔を見るだけで夢を思い出してしまいます……!)

しばらくして、あなたが温かいお茶を持って戻ってきた。

「どうぞ」

「ありがとうございます……」

さくらはカップを両手で包んだ。

「……あの」

「はい?」

「今日は、その……ご迷惑をおかけして、申し訳ありません」

「迷惑なんて思っていませんよ」

あなたは、いつも通りの優しい笑顔を向けた。

「僕だって、調子が出ない日くらいありますから」

「…………」

「今日はゆっくりやりましょう。僕にできることは手伝います」

さくらは、しばらくあなたを見つめていた。

そして、そっと微笑んだ。

「……ありがとうございます。あなたは、本当に優しいですね」

「えっ? そ、そうですか?」

「はい」

(……好きになってしまいそうなくらい)

そこまで考えて、さくらは慌てて口を閉じた。

(……いえ! 何を考えているんですか、私は!)

一方、あなたはというと。

(今日のさくらさん、やっぱり何かあったんだな……)

(明日は、もっと気を配ろう)

二人の考えは、まったく違う方向へ進んでいた。

7.退勤後。さくらさんの秘密。

午後六時。

なんとか仕事を終えたさくらは、鞄を持って立ち上がった。

「お疲れさまでした」

「お疲れさまでした、さくらさん」

あなたも笑顔で挨拶した。

「今日は大変そうでしたね。明日は元気なさくらさんに会えるといいな」

「……っ」

「それでは、お先に失礼します!」

あなたは手を振り、会社を出ていった。

さくらは、その背中を見送った。

「…………」

誰もいなくなったオフィス。

さくらはゆっくりと椅子に座り直した。

「……明日は」

ぽつりとつぶやく。

「明日は、絶対に普通に接します……!」

拳をぎゅっと握る。

「夢は夢。現実は現実。私は教育係。あの人は大切な部下……!」

そこまで言って、さくらはふと気づいた。

(……大切な、部下)

いつからだろう。

あなたが困っていると、放っておけなくなったのは。

あなたが笑うと、自分まで嬉しくなってしまうのは。

あなたが無理をしていると、心配でたまらなくなるのは。

そして今日。

夢の中で起きた、あの出来事を思い出すだけで、こんなにも胸が苦しくなるのは。

「…………」

さくらは、両手で頬を覆った。

「……もう、どうしましょう」

それから、誰にも聞こえないほど小さな声でつぶやいた。

「……夢の中だけでも、あんなことが起きるなんて」

ほんの少しだけ、笑ってしまう。

「……ずるいです、あなた」

その顔は、今日一日で一番、幸せそうだった。

ただし。

翌朝、あなたがいつものように笑顔で挨拶してきたら。

さくらはきっと、また顔を赤くしてしまうのだろう。

なぜなら――。

夢の中のあなたとのキスを、まだ一度も忘れられていないのだから。

そして翌朝。

「おはようございます、さくらさん!」

「お、おはようございます……!」

あなたがいつもの笑顔を向ける。

さくらは一瞬、固まった。

(……あ)

(思い出してしまいました……!)

「……さくらさん?」

「な、なんでもありません!」

「……?」

あなたは首をかしげた。

さくらは顔を真っ赤にしながら、心の中で叫んだ。

(今日こそ普通に接するつもりだったのに~~っ!!)

――恋心を隠す教育係の一日は、今日も前途多難なのであった。