第974話 集え・テイマーサモナーVSダンジョンライフル
第974話 集え・テイマーサモナーVSダンジョンライフル
ここはピラミッド山の真南、Bランク非公式ランキング第十四位〈ダンジョンライフル〉の拠点がある地点、そこは今絶賛大パニック中だった。
「「「「ワンワン!!」」」」
「くそう、ワンワンがいっぱいだーーー!!」
叫んだのは拠点からサブマシンガンのような銃を乱射しまくっている、サバゲーっぽい装備に身を包んだ男。〈ダンジョンライフル〉のギルドマスター、フカグル、通称フッ君だ。
その視線の先にはそれはそれは多くのワンワン(ウルフ)系モンスターが迫っていた。
しかもどう見ても敵意丸出し。撫でて撫でてーっと飛び込んできているのではないとはっきり分かるほど好戦的な雰囲気を出しているワンワンが大勢で攻めてきたのだ。
犬も集まれば怖い。ウルフだけど。全長4メートルクラスのワンワンもいるので普通に怖かった。
〈ダンジョンライフル〉のメンバーはすぐに迎撃したのだが、敗戦で浮き足立っているところを狙われたため拠点まで一気に押し込まれてしまったのだ。
「フッ君、やばいやばい! 物量で押し込まれるよ!?」
「弾幕をばら撒け! 近づけさせるな!」
「くそう、あの影が邪魔をしてしとめられない!?」
〈ダンジョンライフル〉のメンバーはその多くが銃や砲系の武器を持っており遠距離攻撃を主体にしている。
拠点の外側に高さ1メートル半ほどの〈防壁〉を設置し、それの脇や上から弾幕をばら撒いて迎撃しているのだが、いかんせん〈ダン活〉の世界では銃弾が命中してもHPが削れるだけで一撃死とかは無いので、1体ならともかく数が多いと迎撃が間に合わない。どんどんワンワンたちとの差が縮まっていっている。ワンワンが止まらないのだ。これぞ数の暴力。
さらに厳しいのがウルフに纏わり付いている影だ。これは『シャドウマルチプロテクト』という魔法でバリア系。これを砕かないとウルフにダメージを与えられないために手こずっていたのだ。しかもバリアを割られるとそのウルフは下がり、入れ替わって別のウルフが先頭を走るというおまけつき。
完全に〈ダンジョンライフル〉は翻弄されていた。
そして〈ダンジョンライフル〉に仕掛けたギルドこそBランク非公式ランキング第八位〈集え・テイマーサモナー〉だった。
この二つのギルドは先ほどピラミッド山中央のデッカマスで〈エデン〉にボコられて敗戦したのだが、〈集え・テイマーサモナー〉はこのタイミングで〈ダンジョンライフル〉へと攻勢に出たのだ。
これには〈ダンジョンライフル〉も虚をつかれ、現在の状況が出来上がってしまっていた。
そしてとうとう〈防壁〉を飛び越えたウルフたちが〈ダンジョンライフル〉のメンバーに襲い掛かった。
「うわあああ噛まれたーー! 連れて行かれる!? 助けてフッ君ーー!?」
「くっ『ドパンプガン』!」
1人がマウントを取られ腕に噛み付かれるがすぐにフッ君が吹き飛ばし効果のあるスキルで至近距離からウルフを撃ち抜き救出した。
あのままでは引きずられて連れて行かれ、二度と戻ってこなかっただろう。
ウルフは噛み付いた獲物を連れて行ってしまうのだ。怖い。
「大丈夫か!」
「助かった、助かったよフッ君!」
涙ながらにお礼を言うメンバーに頷き次の戦場へと駆けるフッ君。
銃を乱射しながら的確に襲い掛かるモンスターを対処していくが、さすがに全てはカバーしきれない。
「わ、わああああああ!?」
「1人連れて行かれた!?」
「きゃああああああ!?」
「誰かこっちに来てくれ!」
そこら中で悲鳴がこだまする。
ウルフ系は全部で20匹以上いる。
しかもそれぞれが 中級中位 ( チュウチュウ ) 級のモンスターで、バフで強化されバリアまで張られているものだからなかなか倒せない。
HPに大きくダメージを受けると別の固体が割り込んできて邪魔をするのだ。連携もバッチリ。
だが、それでも虎の子の防衛モンスターを繰り出し、何とか大きな被害を出さないよう立ち回る〈ダンジョンライフル〉のメンバーたち。
しかし、もちろんこれだけでは終わらなかった。
場所は〈ダンジョンライフル〉の拠点から2マス東の位置。
ここに〈集え・テイマーサモナー〉のメンバーが集まっていた。
「だいぶ『シャドウマルチプロテクト』が剥がれてきたよ。そろそろ次を出したほうが良い感じ」
そう呟くのはメンバーの1人、〈戦闘課1年1組〉である【シャドウ】に就く女子、アイシャだ。彼女は元々〈闇の塔〉というCランクギルドにいたが、色々あって解散してしまい、今は〈集え・テイマーサモナー〉に所属している。
アイシャの影を使った結界魔法によりモンスターは守られながら行動出来るため、テイマーサモナーと非常に相性が良かった。
その言葉に2人の女子が頷き、アイシャを褒める。
「ありがとねアイシャ。あなたがいて助かるわ」
「コーティング、次の子にもお願い」
「任せてリンリン先輩、第二波だね!」
「「リンリン言うなし」」
見事にハモル2人。
彼女たちはこの〈集え・テイマーサモナー〉のギルドマスターとサブマスター。
ふわふわな桃色の髪を背中に流し、頭に二つリボンを付けている子がギルドマスターのカリン。黒髪ストレートで見た目は真面目そうな印象の子がサブマスターのエイリンだ。別に双子でも姉妹でも無いが、名前が少し被っているのに加え仲が良くてよく行動を共にしているため、リンリンなどと纏めて呼ばれたりすることもある。
「みんな出して」
「「「はい、『サモン』!」」」
「「「『モンスターチェンジ』!」」」
「『影の守護』! 『シャドウハンドサポート』!」
続いての第二波にもアイシャが援護の魔法を掛ける。
『サモン』は【サモナー】系のモンスター呼び出しスキルだ。
『モンスターチェンジ』は【テイマー】系などでよく見られるモンスターを戻し、新たなモンスターを登場させるスキルである。
そこへアイシャが影を鎧のように使って防御力を上げる『影の守護』を使い、続いて対象の影から手がニョキニョキ生える『シャドウハンドサポート』を使っておく。ちなみに影の手は弾除けだ。
そうして呼び出されたのは様々なモンスター。
ゴーレムもいればトカゲもいる、悪魔型もいれば妖精種まで登場していた。
こっちが本命。
〈集え・テイマーサモナー〉では騎乗したり何なりするときのため、〈ウルフ〉系は必ず1体か2体仲間にしておけという方針をギルドはとっている。それ以外は自分の好きなモンスターを連れ歩いて良しとなっていた。
ちなみにアイシャが操るのは影だ。『シャドウウルフ』を召喚できるので条件的には問題なかったりする。今回はサポートメインだったため使わなかったが。
そしてまだ2マスも空きがあるのに〈集え・テイマーサモナー〉の攻撃は開始された。
「「「「みんな、頼むわね!」」」」
「「「「―――!!」」」」
全員のレッツゴーの指示にモンスターたちが走り出す。ここに残っているのは護衛用の壁であるゴーレムだけになった。
これが【テイマー】や【サモナー】がとんでもなく優れている理由。
強さをモンスターに依存する代わりに様々な特典を得られ、マスの境目に入っても術者の2マス以内なら減退無しで運用できるという能力だ。
つまり、術者本人は2マス隣にいても相手を攻撃できるのである。
しかもゲットしたモンスターによってその力は千差万別。有効な対策が少ないという非常に強力な 職業 ( ジョブ ) だ。
半分のウルフが倒されたくらいのところで第二波が突撃する。
これも【テイマー】や【サモナー】の利点の一つ。自分がストックしているモンスター分交代させることが出来る。大体2体まで同時召喚、運用が可能。
その分幅広い育成には時間が掛かるが、育成できればとんでもなく強い。
「「「うおおおおお!?」」」
また、〈ダンジョンライフル〉から悲鳴が響いた。
ウルフが食い荒らしたルートに進んだ第二波が悠々と飛び込んだのだ。
妖精が魔法を放ったり、トカゲが炎を吐いたり、悪魔が爪で攻撃したりと〈ダンジョンライフル〉を翻弄する。そして隙を見ては〈拠点〉へ攻撃しHPを減らしてくるのだ。
〈ダンジョンライフル〉だって〈集え・テイマーサモナー〉の召喚体を倒しているだけでは防衛することは難しいと分かっている。〈集え・テイマーサモナー〉相手には打って出なくてはいけない。しかし、その余裕を作らせるほど〈集え・テイマーサモナー〉は甘くはなかった。
そしてとうとう本命の第三波が導入される。