第995話 採集課を上級ダンジョンに引き込もう!
第995話 採集課を上級ダンジョンに引き込もう!
――〈ダンジョン攻略専攻・採集課〉。
〈攻略専攻〉と付いているとおり、〈採集課〉はダンジョン攻略を目的にし推し進めるための重要な課だ。
ダンジョンでは最終的にボスを倒すことで攻略となるが、当然ながらそれには様々な物資が必要だ。
一部簡単にこなしてしまうギルドもいるが、それはしっかり準備をして挑んでいるからである。
ダンジョン探索に必要なものは主に装備やポーションなどのアイテム類。
攻略の準備の大きな手助けとして、〈採集課〉の資源回収によって対ボス装備とアイテムを作製するのだ。
ダンジョンでは、そのダンジョンの特性を持っている素材が採集できるうえ、〈採集課〉は採集専門の 職業 ( ジョブ ) 。他の 職業 ( ジョブ ) では手に入らないレア素材やレア資源、下手をすればボスモンスターが落とした鱗などを手に入れることもある。これが攻略に大きく役に立つのだ。
例えば〈 六森 ( ろくもり ) の 雷木 ( いかずちもく ) ダンジョン〉なら対〈雷属性〉の防具を作る素材を入手出来たりな。
ボスは当然ながらこのダンジョンの特性である〈雷属性〉を多用してくるため、その素材は『雷属性耐性』の装備を作製するための大きな助けになるのだ。
さらには攻略出来ていない、もしくはボスの撃破が難しいダンジョンでも資源を回収するのに非常に役立つのが〈採集課〉だ。
本来ボス周回をして資源と素材を集めようなんて考えがおかしいのである(正しくないとは言ってない)。
そしてボスを倒す準備段階で活躍するのが、〈採集課〉だ。
ボスを倒した後でも活躍するのも〈採集課〉だ。
本来。ボスは1回しか戦えないのだから。
そんな重要ポジションにある〈採集課〉ではあるが、難点が多く、なかなか伸び悩む課でもある。
まず戦闘力が低い。
ほとんどのスキルは採集系統に捧げられているため戦闘スキルを覚え難いのだ。
故にボス戦ではあまり役に立たない。役に立つのは【コレクター】などボスを相手に資源集めをする一部の 職業 ( ジョブ ) のみ。それでも戦闘力は低い。
ボス戦では役に立たないということはメンバーには加えられず、加えられなければ攻略者の証もゲット出来ない。
そのため〈採集課〉の学生は基本的に〈『ゲスト』の腕輪〉を付けてどこかの〈戦闘課〉パーティと組んでダンジョンに潜るのだ。当然〈戦闘課〉のメンバーが全滅したとき運命を共にする。
逆に言うと〈戦闘課〉がいないとダンジョンへ満足に潜れないのが〈採集課〉だ。
「モナ、レベルは?」
「あ、そうだ聞いてください。この前カンストしましたよ!」
「おお~。やっぱり〈採集課〉はレベルアップが早いな。おめでとうモナ」
【採集】系の 職業 ( ジョブ ) が全て中位職で纏められているのも理由の一つだが、彼らは必要経験値が少ないためレベルアップが割と早い。
経験値も採集を経験することでじゃんじゃん入ってくるので、特に 中級上位 ( チュウジョウ ) なんて行きまくっている採集職はあっという間にレベルがカンストする。
モナもその例に漏れずレベルがカンストしたらしい。
「今でも俺が渡したメモ通りに育成を進めているのか?」
「えへへ。あれにはとても助かりましたよ。改めてありがとうございますゼフィルスさん」
「そいつは良かった」
モナには以前、俺のオススメ育成論メモを渡している。
その通りに育成するかはモナ任せだったが、俺のメモの通りに育成しているらしい。
あのメモにはSPを15残すように組まれていたはずだが、モナのステータスはちゃんとSPを15残しているようだ。なるほどなるほど……即戦力だな。
ただ、モナにとっては戦闘もしない、SPも振らないのでここ最近では能力が上がっていることを実感できていないらしい。これはいけないな。うん、いけない。
そしてちょうど良い。
〈採集課〉に使おうと思っていた これ ( ・・ ) だが、――モナ、君に決めた!
「そしてモナ、ここに〈上級転職チケット〉がある」
「え?? ……どうしてそんなにあるんですか?」
「そりゃ、ボスでドロップさせたからだ」
俺が持っているのは、2枚のチケット。
残り7枚中2枚をラウとルキアのために確保してあるが、残り5枚は余っている。アルストリアさんとシレイアさんに使う分を抜いても3枚余りがある。その内の2枚だ。
今朝シエラとリーナにこの3枚の使い道について相談させてもらった。
簡単に言えば報告してもらえれば俺のやることを尊重すると言ってもらえたよ。とてもありがたい。
これまでやってきたことが、実を結んだのだと思う。
シエラが何度かジト目で見てきた気がしたが、きっと気のせいだ。
「モナと、パーティに【炭鉱夫】の男子がいただろ? 2人を上級職にして一緒に上級ダンジョンに付いてきてほしいと考えているんだ」
「え、えええええ!?」
俺の誘いにモナが驚愕の声を上げる。ふふ、良い反応だ。
上級ダンジョンを攻略するために重要なのは主に採取と発掘。
【採集】系の上級職でしか手に入らないレア素材やレア資源はたっくさんあるんだ。
そしてそれを確保しているギルドは今の所、無い。
あの〈キングアブソリュート〉は上級ダンジョンに時々〈採集課〉の学生も連れて行ったそうだが、その〈採集課〉の学生は下級職だった。
上級ダンジョンでは上級職でないと隅々までは分からない。
故に、俺は上級職の【採集】職を求めている。
そう、モナに説明した。
「は、話は分かりましたが。あの、言っておきますが僕は男ですよ?」
「〈嫁チケット〉的な意味じゃ無いからな? 安心してほしい」
俺はゆっくり首を振る。
まったく、まだ〈上級転職チケット〉はイコール〈嫁チケット〉という考えが浸透しているようだ。モナは男の子。いや男の娘か? 男の娘なら〈嫁チケット〉は有効? よく分からなくなってきた(混乱)。
「俺もギルドメンバーに相談してからということにはなるが、多分大丈夫だろう。モナも上級職になること、考えておいてほしい」
「いえいえいえ、考えるまでもありませんよ!? 上級職ですよ!? どんな条件だろうが食いつきますって! もちろんソドガガもです!」
モナの食いつきはすごかった。
これが普通の反応なんだなぁとしみじみ思う。
ちなみにソドガガとはモナのパーティ〈採集無双〉の発掘担当。【炭鉱夫】のドワーフ男子だ。
確認していないが、問題無いらしい。
そのドワーフ男子。自分の居ないところで大きな話が決定しているのだが本当にいいのか?