LNCrawler

第1014話 最奥ボス―いいかカルア、怒らせて避けるんだ

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第1014話 最奥ボス―いいかカルア、怒らせて避けるんだ

「〈エデン〉と〈キングアブソリュート〉の合同攻略。またいろんな人が騒ぎそうだね」

「ん? どうしたんだニーコ?」

「なんでもないよ。がんばって来たまえ勇者君。僕はここで休みをエンジョイしながら待っててあげるさ」

「おう。ニーコに続けられるよう打っ飛ばしてくるぜ(徘徊型を)」

「き、今日はもう遅いし今度でいいんじゃないかな?」

「おっと、ユーリ先輩とソトナ先輩の準備が終わったようだ。行ってくるぜ!」

悪いがニーコの話を途中で切り上げ、臨時パーティとなったメンバーで集まった。

まずは交流だ。

ユーリ先輩とソトナ先輩と握手を交す。

「よろしくお願いします」

「こちらこそ。よろしくお願いいたします」

ソトナ先輩はもう黒縁めがねを外し、普通の白シスターになっていた。

手が小さい。さすがはヒーラーだ(?)。

なんだかルルに手をすりすりされてから、手から元気が流れてくる気がしているのだが、気のせいだろうか?

「改めて、タンクのシエラよ。よろしくね」

「ソトナです。全力で回復のサポートをさせていただきます」

タンクのシエラとヒーラーのソトナ先輩が交流。

タンクとヒーラーは戦闘の要だ。

本来ならしっかり交流したいが、時間があまり無いので今回は軽くだ。

まあ、最悪俺が代わりを出来るしな。

とはいえユーリ先輩とソトナ先輩を信頼していないわけではない。

【英雄王】に【アークビショップ】かぁ。〈エデン〉にいない 職業 ( ジョブ ) 、楽しみです。

「行こう! ――バルガス、後は頼んだ」

「任された」

「セレスタン、後を頼んだぜ」

「お任せくださいませ」

ユーリ先輩がバルガス先輩に後を任せるので、俺もセレスタンに頼んでおいた。

そのままボス部屋の門を潜る。

「霧が、晴れているね」

「あれです。奥にいるのが正体不明のボス、そしてその前で奥のボスを守るように立っているのが〈ヴァンパイアバイカウント〉です!」

ユーリ先輩が言っているのは多分負けた時は霧でいっぱいだったという話だろう。

今は見通し良く晴れているが。これはボスを視認させるための仕様だな。

そしてボス部屋の奥には2体のボスが居た。

1体は徘徊型ボス〈ヴァンパイアバイカウント〉。

中級上位 ( チュウジョウ ) 以上の徘徊型は〈徘徊型ボス参戦現象〉という他のボスには見られない特殊な特性を持っている。つまりフィールドボスのところに参戦することもあれば、エリアボスのところに参戦することもあり、さらには最奥のボスのところにも参戦してくることもある。超厄介な特性だ。

さすがは開発陣がそう簡単にダンジョンを攻略させまいと設置した妨害ボスである。2体初見は普通キツいって。

〈ヴァンパイアバイカウント〉はヴァンパイアの子爵。人型で長い犬歯を持ち、青白い肌でオールバックに髪を纏め、目元を隠す仮面と赤いマントを着ている―――ショタだ。通称〈ショタ吸血鬼〉。

うん。子爵だもんな。〈ダン活〉の子爵と言えばショタかロリと決まっています!

もう1体はこの〈霧ダン〉の霧を発生させていた正体。

見た目は雲に乗る鬼。巨大な太鼓のような筒型の箱をいくつも宙に浮かべているボス。

名前は〈 霧雷鼓 ( きりらいこ ) ・ジョウキ〉。

蒸気 ( ジョウキ ) なのか 上鬼 ( ジョウキ ) なのか、まあジョウキと呼んでほしい。

この〈ジョウキ〉の周りに浮かんでいる筒箱が霧の発生装置だ。

また出るのは霧だけではなく、雷も飛んでくるので要注意。

霧は〈暗闇〉状態を誘発してくる上、命中率低下のデバフを持つ。対策無しにはとてもやりづらいボスだ。

〈ジョウキ〉はHPが3段あるのに加え、時間経過で霧を発生させてくるので放置するとボス部屋が霧まみれになって視界がきかなくなる。

〈嵐ダン〉の時もそうだったが、ボス戦では救済アイテムの効力が落ちるのであまり頼りにならない。

〈クジャ〉の時は〈風除けの指輪〉を使っても普通に吹き飛ばされるくらいの突風を受けるからな。

それは〈霧ダン〉でも同じだ。〈霧払い玉〉は気休め程度だな。

ではまず、突っ込もうと思う。

「行くぜカルア!」

「ん! 『ナンバーワン・ソニックスター』!」

「『 英勇転移 ( ブレイブポート ) 』!」

「へ?」

「ええ!?」

門から入った俺たちは、ユーリ先輩やソトナ先輩が警戒しているのをお構いなしで突っ込み、気が付けば〈ジョウキ〉の目の前に居た。そして。

「だらっしゃー!! 『 勇者の剣 ( ブレイブスラッシュ ) 』!」

「ん! 『128スターフィニッシュ』!」

「ギュオオオ!?」

「ええーー!?」

まずは先制。〈ジョウキ〉を俺とカルアでぶった切る。

いきなり現れたかと思えばぶった切られた〈ジョウキ〉が後ろに打っ飛ばされた。

後ろからソトナ先輩の驚愕の声が聞こえるのも置いていく。

悪いがこれが最善だ。

「ハァァァァ!!」

すぐにショタの〈ヴァンパイアバイカウント〉が俺たちに迫ろうとするが。

「『シールドフォース』! 『オーラポイント』! 『 四聖操盾 ( しせいそうじゅん ) 』!」

シエラの挑発スキルによってすぐにクルリと半回転、そのままシエラを狙うために飛び掛かった。

「ユーリ先輩、そっちは頼んだぜ。霧なんて発生させないからさ!」

「! そういうことか! わかった! 任せてくれ!」

敬語は抜き。

ユーリ先輩には仲間としてコミュニケーションを取る。

まずは簡単な攻略法の一つ、分断工作。

ボス戦で複数の相手がいるときにやるポピュラーな戦法。

だがそれだけじゃダメだ。俺たちの目的は〈ジョウキ〉を自由にさせないだけじゃなく、そのもう一つ上、〈ジョウキ〉を抑え込むことなんだ。

先ほども言ったが、この〈ジョウキ〉は放っておくと霧をドンドン発生させてしまう。

なので、放っておかないことが大事。

「こっちだこっち! 『シャインライトニング』!」

「ゴオオオオオ!!」

範囲攻撃をやや上へ向けて放つ。狙いは筒型の箱だ。

それに怒った〈ジョウキ〉が両手にそれぞれ武器を持った。武器はもちろん金棒だ。

雲に乗り、金棒を振り回す鬼は威圧感があるな。

ヘイトはシエラに取られているが、〈ジョウキ〉はこの筒型の箱を攻撃する者をヘイトを無視して攻撃する特性がある。

魔法使いとかの天敵だ。

だが、分断するのであればこれほどありがたい特性もあまりない。

「ほらほら、鬼さんこちら! 『ライトニングバースト』!」

「ゴオオオオ!!」

怒る怒る。

雲に乗って金棒を振りかぶり突撃してくる〈ジョウキ〉がビジュアル的に凶悪。

「ほらカルア、こうやって、怒らせて、避けて、避けて、また怒らせるんだ」

「ん!」

俺は金棒をしゃがんで避けて、続いてサイドにステップでまた避ける。

避けながらカルアに教え込む。

上に浮かんでいる筒状の箱は攻撃を受けると一定時間、箱が閉じて開かなくなる。

パカッと開くと霧やら雷やらを吹き出してくるので開いている箱に攻撃しまくるのが大事。なお、箱を攻撃すると狙われるので、避けタンク推奨。

「じゃあ、カルア、やってみてくれ」

「ん、『フォースソニック』! 『投刃』!」

「ゴオオオオオ!!」

「ん――『猫軽回速』!」

今度はカルアが筒状の箱に攻撃。何個か攻撃したところで俺へ向いていたタゲがカルアに移り、やはり雲がスィーっと滑るように動いてカルアの方へ向かう。

その後の金棒攻撃もカルアは避ける。スキル『猫軽回速』は一定時間猫のごとく俊敏にしてアクロバティックな行動が出来るようになるアクティブスキル。

要は回避スキルだ。

「大振り、効かない。『投刃』!」

「ゴオオオオオ!!」

まあ、カルアの俊敏性にそんな大振りの攻撃では中々ヒットしないだろうな。

カルアはパカリと開いた筒箱に向けて実体のある短剣の幻を投擲するスキルを放つと、命中した筒箱がパタリと閉じた。攻撃を受けた箱は一定時間閉じる。

俺のしていたことが徐々にカルアもできるようになっていく。

いいね。さすがはカルア。

軽い身のこなしで軽々と避けつつ筒箱へ攻撃、余裕があればたまに本体にも攻撃している。

そう。要はこいつの足止めをカルアに任せるのだ。

そのために俺はカルアと一緒にこいつに斬りかかったのだからな。

手数が足りるのであれば足止めは1人で十分だ。

第一形態の〈ジョウキ〉はまだやりやすいからな。

「どうだカルア、やれそうか?」

「ん、問題無い」

「じゃあ〈ヴァンパイアバイカウント〉を倒すまで、こいつの相手を頼んだ」

「任された。『スルースラッシュ』!」

おお! 今日のカルアは何か一味違うな。

ユーリ先輩たちがいるせいかな?

なんだか頼りになる雰囲気を醸し出していた。

ということでカルアが安定したので俺は〈ヴァンパイアバイカウント〉へ向かう事にした。

「んじゃ、一気に行きますかね――『 勇気 ( ブレイブハート ) 』!」