第1015話 最奥で徘徊型戦。ユーリ先輩との共同討伐!
第1015話 最奥で徘徊型戦。ユーリ先輩との共同討伐!
ユーリ先輩の 職業 ( ジョブ ) は【英雄王】。
この〈ダン活〉で【勇者】に次ぐ非常に強力な 職業 ( ジョブ ) だ。
ランクは文句なく上級職、高の上。 SUP ( ステータスアップポイント ) は〈上級姫職〉の36を上回り37という驚異の数値だ。
そしてそのスキルもまた凄まじく、まさに英雄の呼び名にふさわしい強力なものが多い。
「霧も無く、ここまでお膳立てされては僕の負ける道理は無い――『ヘブンブレイドオーバーソウル』!」
おお、〈五ツリ〉!
ユーリ先輩のLVは25だから、ツリーから派生させたのだろう。
剣を強化する大技だ。
ユーリ先輩が構えていた大剣に光が満ちて巨剣化し、それを何度も〈ヴァンパイアバイカウント〉へと振るう。
強力な光の巨剣の斬撃が〈ヴァンパイアバイカウント〉に吸い込まれていく。
「アァ! ギッ! アッ!」
「その攻撃はもう分かっている。ここで落ちろ! うおおおおお!」
対する〈ヴァンパイアバイカウント〉の攻撃は大量のコウモリを放つ攻撃や血で作られた剣での攻撃。〈氷属性〉の魔法攻撃、怪力による 拳の攻撃 ( ショタパンチ ) など様々だ。
だが、ユーリ先輩はそれに真正面から飛び込んでいく。
まるで怯むことは無い。
多少攻撃を受けてもその黄金の金属鎧で受け止め、返す剣で痛撃を与えた。
上級の徘徊型ボスを相手に一歩も下がらないところはまさに英雄だ。それに、
「あなたの相手は私よ。『グロリアススマイト』! 『ショックハンマー』! 『城塞盾』!」
「ハァァァ!!」
「さすがはシエラ嬢のタンク。凄まじい援護だ。上手い!」
「ユーリ殿下、回復行きます! 『癒しの祈祷』!」
シエラの盾による防御と援護。
〈ヴァンパイアバイカウント〉の攻撃に側面から痛打を与えてヘイトを稼ぎ、ユーリ先輩への攻撃の邪魔をする。〈ヴァンパイアバイカウント〉がシエラに攻撃してきたら防御スキルで対応。ユーリ先輩は思いのほか少ない被ダメージに喜色を表していた。
「ソトナ、僕よりもシエラ嬢を頼む。こちらは大丈夫だ」
「承知しました! 『聖域の祈祷』!」
「大技を使う。シエラ嬢は少し下がってくれ」
「はい!」
「食らえ! ――『グランドクロス』!」
「ギ――」
シエラが下がった直後、ユーリ先輩の〈四ツリ〉の大技が発動。
超威力な十字斬り。強力な破壊の波動の直撃を受けて〈ヴァンパイアバイカウント〉が空中へ吹き飛ばされていた。
『ヘブンブレイドオーバーソウル』中の『グランドクロス』はかなりのロマンだ。俺でもつい使ってみたくなってしまう大火力&大演出を生み出す、【英雄王】の花形の一つ。
そして俺は、そんな吹き飛ばされた〈ヴァンパイアバイカウント〉に背後から接近し、ぶった斬った。
「おうりゃあああ――『テンペストセイバー』! からの――『 勇者の剣 ( ブレイブスラッシュ ) 』!」
「ギァ――!?」
お返し。
吹き飛んできた〈ヴァンパイアバイカウント〉を『テンペストセイバー』で受け止め、その次に『 勇者の剣 ( ブレイブスラッシュ ) 』を使ってユーリ先輩に お返し ( 吹き飛ばして ) してあげたのだ。
む、ショタ吸血鬼がコウモリを纏い始めた。防御スキルか!
「ユーリ先輩!」
「! ああ、任せてくれ! 一気に決める――『 大壊 ( たいかい ) 光円断 ( こうえんだん ) 』!」
「ガア!」
「防御スキルごと、叩っ斬る!」
ズドンと上段から叩っ斬る一撃。
防御スキルもろともぶっ壊して叩っ切るスキルで〈ヴァンパイアバイカウント〉は防御スキルを発動したのにも関わらずそのまま切られて地面に叩き付けられた。ダウン!
「ギア!?」
「ナイスユーリ先輩! 行くぞーー!!」
「! おう!」
ダウンしたら総攻撃。
俺とユーリ先輩で〈ヴァンパイアバイカウント〉をボッコボコにした。
「ガァ、ハァアア!」
「おっと」
ダウン復帰ですぐに飛び退く俺とユーリ先輩。
そこにシエラが前に出る。
「『完全魅了盾』!」
「! これは、ターゲットを強制するスキルなのか」
「ユーリ先輩、側面から叩くぞ!」
「! 任せてくれ!」
シエラが正面からタゲを取り、ヘイトを稼ぎつつ防御すると、俺とユーリ先輩で〈ヴァンパイアバイカウント〉の側面から斬りかかる。
【救世之勇者】と【英雄王】の攻撃だ。その火力は凄まじく、多少の反撃にも止まらない。
反撃の 氷柱 ( つらら ) を鎧で弾いて大剣を振り下ろすユーリ先輩がかっこいい。
パッシブスキル『英雄の 頑装 ( がんそう ) 』は装備の性能を大幅に強化し、多少の攻撃を弾いてダメージを軽減してしまう。
他にも『ノックバック耐性』系の『折れない意思』や、 バトルヒーリング ( オート継続回復 ) であるパッシブスキル『英雄の魂』という、アタッカー 垂涎 ( すいぜん ) スキルをいくつも持っているためユーリ先輩はまったく止まらない。
「『聖なる癒しの聖域』!」
ソトナ先輩もラナの回復には届かないものの、ノーカテゴリーのヒーラーとしては文句無しの働き。エリア継続回復陣を張って俺たちの回復に尽力してくれる。
アタッカーのユーリ先輩はもう何度も〈ヴァンパイアバイカウント〉とやり合ったのだろう。かなり慣れた様子で立ち回り、俺としてもかなりやりやすかった。
シエラはいつも通りヘイト稼ぎが非常に上手い。
あれだけユーリ先輩が猛攻を掛けているのに『完全魅了盾』の効果が切れてからもまったくタゲを渡さなかった。
そしてHPがついにレッドゲージに差し掛かると〈ヴァンパイアバイカウント〉が例の霧化を使用する。だが、させないぜ?
「ガァァァァ!!」
「! 今だソトナ先輩!」
「『エクスターンアンデッド』!」
「アァ!?」
「『ショックハンマー』!」
「ガアアア!?」
〈アンデッド〉特化浄化魔法である『エクスターンアンデッド』により霧化が止まったところを見計らい、シエラが『ショックハンマー』を叩き付けた。
浄化系は〈アンデッド〉に対する〈即死〉魔法みたいなものだ。〈即死〉なので普通はボスには効かない。だが、ヴァンパイアが霧化する時に使うとこうして動きなどを止めることができる。
ヴァンパイアの霧化は強力だが、弱点でもある。霧化を止められている最中は無防備となり、攻撃されると耐性を無視されてしまうのだ。そしてダメージは入らないが霧化を止めるだけならソトナ先輩でも可能。そこにシエラの攻撃が耐性を無視して叩き込まれたことにより〈ヴァンパイアバイカウント〉が〈麻痺〉になってしまう。
「よっしゃトドメだ! ユーリ先輩!」
「ああ! 行くぞゼフィルス君!」
「『太陽の輝き』! 『陽光剣現』! 食らえ弱点攻撃――『サンブレード』!」
「『グランドクロス』!」
「――――!!」
ヴァンパイアが大嫌いな太陽スキルでフィナーレだ!
ズドドンッ! と強力な2発から始まった攻撃のラッシュにより、怒りモードすらさせずに〈ヴァンパイアバイカウント〉のHPがゼロになった。膨大なエフェクトが発生して〈ヴァンパイアバイカウント〉が沈んで消えていく。
「よっしゃ!」
「ああ!」
〈ヴァンパイアバイカウント〉戦――勝利だ!
しかし、まだ終わったわけでは無い。
今のは徘徊型。まだ最奥のボスが残っている。――『直感』に警報。
俺がそれに振り返るのとシエラがスキルを発動したのは同時だった。
「! 『カバーシールド』!」
小盾がユーリ先輩とソトナ先輩を守る。
それと同時に来たのは全体攻撃である電撃だった。
え、俺は?
『超反応』で避けているので小盾は無しですね。はい。
「今のは!」
「カルア大丈夫!?」
ソトナ先輩が声を上げ、シエラが叫んだ。
それは〈ジョウキ〉から来た攻撃だったからだ。
見ればカルアは、
「ん! 余裕!」
普通に無事だったようだ。回避スキルで乗り切ったか。
んじゃ、次は〈ジョウキ〉戦、いこうかね。
「『 英勇転移 ( ブレイブポート ) 』!」
俺は全体攻撃をして隙だらけな〈ジョウキ〉の真後ろに転移した。