第1021話 〈岩ダン〉で未発見、巨石落としと幻の2階層!
第1021話 〈岩ダン〉で未発見、巨石落としと幻の2階層!
ダンジョン門を潜り〈岩ダン〉に入ダンした俺たちは、2層ではなく、まずは階層門とは別の巨石落としが出来る地点へ向かうことにした。
1層はガルゼ先輩やユミキ先輩がすでに何度か調査をしているらしく、主立ったものは何もないと言われているからな。本当になにも無かったのか、その証明のためだ。
ちなみに移動手段は徒歩だ。20人がぞろぞろと歩く。
今回〈イブキ〉は使わない。攻略目的ではあるんだが、〈イブキ〉が無いと攻略できないと思われては困るのだ。俺は学生に是非〈岩ダン〉を攻略してもらいたい。
どうぞ地図などに記録してください。いろんなところを調査しまくってください。
〈岩ダン〉最奥への直通通路だけではなく、〈岩ダン〉にはどういうものがあってどういうモンスターが跋扈していて、どういう対策を身に着けて進めば良いのか? そういうのも是非記録してほしいと思っている。
「こっちには何もないはずなのだけどね。階層門が現れたのはもう少し西側だもの。ゼフィルス君、こちらに何があるのかしら?」
「着いてからのお楽しみだユミキ先輩。損はさせないぜ」
そんな会話をしながら進む。
上を見ればユミキ先輩の商売道具である〈メビウスの輪〉が動き回っており、そこら中を調査しまくっていた。
ちなみに〈調査課〉であるユミキ先輩だが、ちゃんと攻略者の証を揃えて上級ダンジョンの入ダン条件をクリアしている。すごいな。
ちなみにだが、普通『ゲスト』で入ダンしていると、索敵などの戦闘スキルを使った途端〈『ゲスト』の腕輪〉などは壊れてしまうものだが、〈調査課〉の 職業 ( ジョブ ) にはそれを壊させないスキルなどがあったりする。
ユミキ先輩は使っていないようだけどな。
もう1人の〈調査課〉のオスカー君はユミキ先輩の補佐として地図を書いたり、モンスターの情報を記録したりしている。
おそらく周囲探索系の 職業 ( ジョブ ) 持ちだろう。
彼も〈『ゲスト』の腕輪〉はしていない。攻略者の証もばっちり揃えてきていた。〈ギルバドヨッシャー〉が彼を育てたのだろう。上級斥候職は上級ダンジョンには必須。さすがはインサー先輩たちだ。
ちなみに道中のモンスターはカイリの『パーティインビジブル』の効果でノーエンカウントだ。1層のモンスターなんて知り尽くされているだろうしな。ここはパスでいい。
そしてまるで樹氷のように地面から立つ岩たちの間を縫うようにしばらく歩くと、10分ほどで目的地に到着した。
「ここだ」
「……何も無いけれど?」
「むしろ他の景色と変わった所がないな」
ユミキ先輩やガルゼ先輩は辺りを見渡して首を捻っていた。
ふふふ。
「そう思うだろ? だけどな、『ライトニングバースト』!」
「お!」
「「「おおー!」」」
試しに俺が〈三ツリ〉魔法をその辺の岩へ放つと、岩が粉砕されそこにはなにもなくなった。
この岩はダンジョン産の破壊不能オブジェクトだと思われていたため、破壊されるだけでも新たな発見だ。他の人たちからも感嘆の声が上がる。
「見ての通り、この辺の岩は壊せる。そして壊せる範囲の岩を8割方破壊すると、上の巨石が落ちてくる仕掛けになっているみたいでな。階層門はその巨石に埋まっていたんだ」
「なんだって? そんなことが……」
全員で真上の巨石を見る。
そこに浮いている巨石は、他にも浮いている巨石とほとんど見た目が変わらない。
「まあ、階層門はすでにあっちで見つけているから、ここの巨石を落としたとしても中には入っていないけどな。たまにボスが岩の中から出てくることもある。俺たち〈エデン〉はそうやって階層門を発見しながら奥へ進んだんだ」
「おいおいマジかよ。そんなギミックになってたのか?」
「どうりで見つからないわけね。8割も壊すことがトリガーとなっていただなんて。なんだか悔しいわ」
ガルゼ先輩とユミキ先輩が困った顔をしていた。
一応ユミキ先輩はこの岩が破壊可能オブジェクトであるとは見抜いていたみたいだが、いくつかの岩を破壊しても何も起こらなかったので、なんのギミックも無いと思い込んでいたらしい。
ああ、巨石を落とすには下の岩を8割以上破壊しなくちゃいけないからな。
ということでやってみた。
「これを壊せば良いんだね。ここは私に任せてー『 千聖操剣 ( せんせいそうけん ) 』! 『千剣突撃』!」
効率よく一気に破壊するなら物量。と言わんばかりにカノン先輩の千の剣が突撃し、岩をこれでもかと破壊しまくった。
剣を自在に操れるものだから目的の範囲の岩を破壊するのも早い。
「全員、もう少し下がってくれ。巨石が落ちてくるから破壊不可の岩の後ろに避難しておいてくれ! 衝撃はそんなに無いが、念のためだ!」
あっという間に岩が無くなって広場になると、宙に浮かぶ巨石がゆっくりと落ちてくる。直撃するとダンジョンにある〈敗者のお部屋〉へ転送されてしまうので注意だ。
そして巨石が地面に接触。大きな音を立てながら砕けていった。
地面にぶつかって砕ける様子は階層門が中に入っていた巨石と変わらない感じだな。
「すごい迫力だね」
「スリルがあるでしょ?」
「あはは」
ユーリ先輩にそう言ってみると苦笑で返された。
ちなみにここではなるべく敬語は抜きにしている。これはユーリ先輩からのお願いだった。
「ゼフィルス君の敬語ってむずかゆいからね。ダンジョンみたいな所ではなるべく普通に話してほしいんだ」
と言われれば頷くしかない。
ソトナ先輩がむずむずした表情で見てくるが、結局諦めた様子だ。
さて、巨石が落ちた広場はどうなっているかな?
「これは、驚いたな」
シグマ大隊長が真っ先に調査に入ったが、その光景を見て驚きの様子だ。
うむうむ。情報を持って帰って積極的に広めてほしい。
ちなみに巨石の中には〈銀箱〉が三つ埋まっていた。
これはランダムなので何が中に入っているか分からないんだよな。
この宝箱は発見に多大な貢献をしたということで、今回は全て〈エデン〉がもらうことになった。
その後はデモンストレーションも終わったので2層へと出発することになる。
同じ景色ばかりではあるが、俺は迷わずにすたすた歩くもんだから何度か方向は合ってるのかと心配されたな。
ユミキ先輩が合っていると太鼓判を押してくれたのですぐに杞憂だと分かった様子だが。
なお、シエラからなぜ〈磁気岩発見器〉を着けていないのに巨石落としができる場所が分かったのかと求められたが、いつも通り「勇者だからな」で誤魔化した。
一応以前来て〈磁気岩発見器〉を使った時に場所を把握していたんだという言い訳も考えていたが、シエラは「ふーん」と言ってすぐに引き下がった。
おっふ。なぜか冷や汗が。まあ問題無し!
道中変な緊張もあったが無事2層の階層門に到着。
「うおマジだ! マジで階層門がありやがる!」
「騒がしいぞガルゼ。それを見つけたからこそ ここ ( 岩ダン ) を攻略するということになったんじゃろうに」
「だがよ、俺たちだって散々探し回って、このダンジョンには階層門は無いって結論付けたんだぜ? それがあったんだからビックリするのも当然だろう? いや~マジでこの目で見ても信じられねぇぜ」
ガルゼ先輩お疲れ様。ヨウカ先輩はそんなガルゼ先輩をからかっているようだ。
時間が勿体ないので階層門を潜るとそこは2層。
「ここが幻と言われた〈岩ダン〉の2層か」
シグマ大隊長を始め、〈救護委員会〉の方々がなぜか感動していた。過去に何かがあったのかもしれない。
「カイリさん、ユミキさん、オスカーさん、トオルさん、そちらは?」
「安全8割かな。南側はちょっと危険そう」
「そうね。周囲の岩は発掘ポイントがいくつかあるみたい」
「あっちには混沌が渦巻いている様子です。エリアボスがいますね」
「岩に擬態しているゴーレムがいるっぽい。だがそれを避ければどうということはなさそうだぜ」
「そうですか!」
「ワシら発掘担当の出番じゃな!」
カイリとユミキ先輩、オスカー君とトオル先輩の索敵によって周囲のモンスター情報は丸裸。
未知の発掘ポイントということもあってモナとソドガガが気合いを入れていた。
「次の階層門は向こうだから、俺たちはこっちの方角に進むかな」
「はい。後は勝手に付いて行きます。――カイリさんお願いしますね」
「『エリアボス探知』! う~ん、オスカー君の言ったとおり北北西の方角にいるよ」
「了解。ちょうど階層門の方角に近い。ちょっと寄ってみようか?」
「お、いいねぇ」
「腕が鳴るのぉ」
「いいねいいね。私も剣の錆にしたいな! シエラちゃんの前でかっこつけたいよ!」
「カノンは少し落ち着きを持て。出番はあるから」
「えー?」
オスカー君とカイリにエリアボスがいる場所を探知してもらい、出発。階層門があるのが北西だったのでほんの少し進路を変更するだけで戦えそう。これはラッキーだな。
探知系はオスカー君の方が得意みたいでどのくらいの距離にいるのかも分かるようだ。結構正確に分かるっぽいな。さすがはユミキ先輩が言っていた期待の1年生だ。
〈救護委員会〉と〈ダンジョン攻略専攻〉のメンバーたちは発掘と調査をするというので、俺たちが先行する。
さて、エリアボス戦だ。楽しみだな!