第1022話 合同エリアボス戦。理不尽なボス戦を見た。
第1022話 合同エリアボス戦。理不尽なボス戦を見た。
さてボス戦間近だ。10人でエリアボス戦だな。
しかし問題が浮上。ちょっとメンバーがアタッカーに偏りすぎてはいないだろうか?
タンクはシエラ、ヒーラーはソトナ先輩。
まあ、なんとかなるだろう。ヒーラーが足りなければ俺がフォローすればいい。
「エリアボスはこの先100メートルの付近でしょう。俺も付いて行きます。混沌の香りがするので」
「? ああ、助かるぜオスカー君」
最後の呟きがよく分からなかったが、探知役としてオスカー君が同行してくれることになった。これはありがたい。
しかし、100メートルの付近か。方向だけじゃなくそんな正確に位置まで探ることが出来るというのはなかなかすごいぞ。
「もう一度探ります。『カオスレーダー』! 動き無し、混沌は向こうです」
「ああ、カオスだから混沌か!」
オスカー君、独特な言い回しだなぁ。そして 職業 ( ジョブ ) 判明。
オスカー君の 職業 ( ジョブ ) は探知系特化である【レーダーマン】の上級職、高の下【エウレカカオス】だろう。
ボスや罠、毒の発生源から悪い環境の中心地まで様々なカオス的ポイントを発見する、探知系特化職でも最高峰の 職業 ( ジョブ ) の一つだ。
上級ダンジョンという悪環境を探索するのに非常に頼りになる 職業 ( ジョブ ) で、俺もゲーム時代はお世話になったものだ。
隠蔽やら潜伏やらしても、それがカオス発生ポイントとして瞬時に見抜かれるからな。目視で見る【フリーダムメビウス】と探知で感じる【エウレカカオス】の二段構えでの探索で小型モンスターの1匹も見逃さない布陣だ。
【エウレカカオス】が何かの歪みを発見、それを基に【フリーダムメビウス】の輪が急行し目視で発見するというのはゲーム時代も多く使われていた戦術だった。
ランク6の上級下位ダンジョンに来るメンバーに選ばれるだけあって、オスカー君は優秀だぁ。
「見えてきました」
「お、本当だ」
オスカー君が探知した方向に進んでいると、エリアボスを無事発見した。
「第2層のエリアボス――〈グレートパラライズゴーレム〉だ」
「名前から察するに、ゴーレムのくせに麻痺を使ってくるのかえ?」
〈岩ダン〉2層のエリアボスは〈グレートパラライズゴーレム〉。
推奨LVは上級職の10だ。
体長5メートルほどの二足歩行。全身が黄色一色で、ヨウカ先輩の言葉通り麻痺を使ってくるゴーレムである。
ちなみに、上層はまだちゃんとしたゴーレムの形をしている。
機械化し始めるのはもっと奥だ。つまりこいつはまだ普通の 形態 ( ゴーレム ) 。
ボスへ最初の一歩を踏み出したのは、ガルゼ先輩だった。
「はっはー! んじゃ始めようか! 『超進化』!」
「いきなりユニークスキルかよ」
ラウも覚えている【獣装者】のユニークスキルだ。
瞬間、ガルゼ先輩が変身。元々ライオンの 鬣 ( たてがみ ) を持っていたライオンの獣人だったガルゼ先輩だが、完全なライオン顔に進化した。
「うお、ガルゼ先輩かっこいいぜ!?」
「ハーッハッハ! ありがとよ!」
ライオン顔のガルゼ先輩が豪快に笑い、そのまま吠えながらボスへと飛び込む。
「ガオオオ! ――『ブリッツスマッシュ』!」
ガオオオって吠える意味あったのかな? しかしすごい威圧だ。
そしてパワーアップしたガルゼ先輩が突っ込むと肉弾戦をし始めた。
タンクがまだタゲ取ってないぞ!?
ヘイトはいいのか!? なんかいいっぽい!?
重い拳が胴体にガツンと当たると、ボスゴーレムがすぐにタゲをガルゼ先輩に向けて豪腕を振るう。あれは〈麻痺〉攻撃だ。
「もう、ガルは仕方ないですね。サポートします――『ニャープロテクト』! 『ニャベール』! 『ニャットブレス』!」
「おお! ミミナ先輩は【幸福の 光猫 ( ひかりねこ ) 】だったのか」
ミミナ先輩の 職業 ( ジョブ ) 判明。下級職の【闇猫】が浄化された先にある上級職、高の中、魔法使い系の【幸福の光猫】だった。
「猫人」カテゴリーの中では希少な魔法使い枠で、基本バッファーだが回復もこなせるサポート系の魔法職だ。猫は幸と不幸を 招 ( まね ) く性質がある。そのうち幸の方向に進んだ 職業 ( ジョブ ) だな。
ゲーム〈ダン活〉では魔法名が可愛いと超人気のあった 職業 ( ジョブ ) でもあった。俺ももちろん使っていたよ。
ガルゼ先輩をサポートするミミナ先輩。これによってガルゼ先輩は状態異常になることも無く殴り合うことができるようになった。
一歩も引かないガルゼ先輩の豪腕がゴーレムにラッシュを掛ける。
さすがはユニークスキルだ。ガンガンHPが減っていくな。
「『ニャーヒール』! 『ニャーハイヒール』!」
うむ。ミミナ先輩のニャーが可愛い。
ニャーヒールの癒し度が高い!!
「僕たちも行こうか。『戦場を駆ける英雄王』!」
「もちろん私も行くよ! キリちゃん、先陣は任せたー『千聖操剣』!」
「ふふ、任された」
「まったくガルゼは子どもじゃ。ハクも隙あらばサポートしてやるがよいぞ」
「その隙が中々見つからんわぁ。みんな動きすぎやわぁ」
「っていつのまにか全員参加か! シエラ、行くぞ! 俺たちも負けてはいられん!」
「ねえ、なんだかもう終わりそうなんだけれど? 私、まだスキル使ってないわよ?」
「やっべぇ! 行ってくる! 『テンペストセイバー』! 俺の分も残しておいてくれー!」
「もう、仕方ないわね。盾を飛ばすわ――『 四聖操盾 ( しせいそうじゅん ) 』! 『 守陣形 ( しゅじんけい ) 四聖盾 ( しせいたて ) 』! 『カバーシールド』!」
そんな感じでヘイトが入り乱れすぎて戦闘することになった。なのに心配が必要ない不思議。
「ガアアアア――『ガオークラッシュ』!」(ブチンッ!)
「!?!?!?」
ああ!? ガルゼ先輩がゴーレムの肩と腕を掴んだかと思ったら、腕を引きちぎっちまった!
「ブチンッ!」ていったぞ今! ヤバい。
『ガオークラッシュ』は引きちぎる系破壊スキルだ。スキルだろうが魔法だろうが引きちぎって無力化してしまう。かのSランク戦で【暴食】の『アバドン』を引きちぎっていたのは記憶に新しい。
しかし破壊場所を初戦で見抜いたのか!?
これが 野生 ( ライオン ) の勘!?
まあ問題無し!
破壊判定だな。やったねドロップが一つ増えるよ!
「上がガラ空き! 『 千剣の雨 ( サウザンドソードレイン ) 』!」
「ノックバックしてもらおうか――『竜王の構え』! 『 顎 ( あぎと ) ・ 双閃 ( そうせん ) 』!」
「ゴオオオオオ!」
「はっ! 『グランドクロス』!」
「ハク、よく見とくのじゃ『轟炎・狐火の 刃 ( やいば ) 』!」
「これでダウンだ! 『フィニッシュ・セイバー』!」
「ゴオオオオ!?」
ボッコボコ。
我先にとボスゴーレムへ大技を放ちまくる俺たちに〈グレートパラライズゴーレム〉はビリビリ痺れる体を使って抵抗するが、そもそも全員が状態異常耐性を持っていて色々無理だった。片腕も無くなっちゃったし。ダウンしちゃったし。
そしてヘイトが誰に移ったかわからない程むちゃくちゃアタッカーでボコりまくり、気が付けば〈グレートパラライズゴーレム〉のHPがゼロになっていたのである。
「ゴオ……オオ……?」
膨大なエフェクトに沈んでいく〈グレートパラライズゴーレム〉はなんだか悲しそうな目をしていたような気がしなくも無い。
これがこの合同パーティの初のボス戦だった。
このパーティだとあれだな。アタッカーが多いからごり押し出来ちゃうな。
「なんだか、とても理不尽なアタッカーの暴力を見た気がするわ」
シエラはそんなことを言っていたが、きっと気のせいだ!
―――――――――――
混沌! 後書きです。(ネタバレ注意・オスカー君の正体は誰編)
オスカー君。
本当は次章で正式登場、本章ではフワッと登場する不思議な少年キャラを演出するつもりでしたが、速攻で混沌さんだとバレたので出していくことにしました。
作者もビックリです。
そう、このオスカー君。実は掲示板の混沌さんだったのです!(デデンッ!!)
最後はシエラのツッコミを入れるか混沌を入れるかで悩みましたが。ここはシエラにお任せしました。
質問が多かったのでお答えします。
ここから下は作者がオスカー君を〈ギルバドヨッシャー〉に入れた経緯となります。「※ネタバレ注意・高」
混沌さんは〈カオスアビス〉所属ではないか、と言われて来ましたが、実は〈ギルバドヨッシャー〉所属でした。
作者、混沌さんをどこ所属にしようか考えた時、最初に浮かんだのはやはり〈カオスアビス〉でした。名前が名前ですからね。
ただ混沌さんの能力を考えた時、「ふむふむ、混沌さんは混沌の香りが分かるのか。……ん? 勇者の香りも分かるの? え? それってギルドバトル中でもどこにいるとか分かったりする? あれ、それめちゃくちゃすごいのでは?」という考えに到り「あ、混沌さんダメだ! Aランクに置いとくのは勿体ない! この人、Sランク人材だ!?」と〈ギルバドヨッシャー〉所属に決まった経緯があります。そこから芋づる式に〈調査課〉所属やその他設定が決まっていきました。そして2話前に初登場。
恐ろしい人ですよ混沌さんは。