第1024話 ハッピーニューバースデー!!!!
第1024話 ハッピーニューバースデー!!!!
1月1日はお正月であり 年載せ ( 誕生日 ) 。それが〈ダン活〉の世界だ。
年始の朝は各所ではわいわいガヤガヤとお祭りのようになっていた。
つい先日クリパみたいな催しがあったばかりなのに、この学園お祭り多過ぎじゃね? と思わなくもない。
まあ楽しいから良いけどな!
今日は上級ダンジョンもお休みだ。
何しろみんなが年載せだからな。
思い思いにみんな休みとお祭りを楽しんでほしい。
俺も露店巡りだぜ!
「ゼフィルス君! これ、このお肉トリオってあの〈食ダン〉ボスのお肉だよ!」
「相変わらず、すげぇ値段だぜ! というかこんな屋台があるのか!」
もちろん露店巡りに同行者は不可欠。
とある露店で目を丸くしてこっちを向くのはハンナだ。
その露店では豪快に炭火焼きで焼いた肉に、その場で串を刺して提供する焼き肉屋台という名前だった。
最初から串を刺しているのではなく、焼き肉に串を刺すという所が職人っぽい。
「お! お目が高いねぇ。どうだい1本。確かにお高いが、損はさせないお味だぜ?」
「仕方ない! ミックスを2本くれ!」
「毎度あり!」
ちなみにミックスというのは〈ボスモーギュ〉〈ボスプギィ〉〈ボスコッコ〉の焼き肉が全部刺さった串のことだ。お値段2500ミール。また〈ボスモーギュ〉のみ4000ミールの 単串 ( シングル ) もあるし、他の肉も刺さった 複串 ( ダブル ) もある。アイスかな?
ってよく見れば、この前のクリパの時〈ミノ串〉売ってた人じゃん!
あの〈ミノ串〉も美味かった~。贔屓にさせてもらおう!
〈食ダン〉は広い上に最奥に行くためには最短で6日掛かる。ボスを倒すのは難しくはないが、人件費は相当なものになるんだよ普通。
まあ、〈エデン〉は夏休みに狩った肉がまだあるんだけどな。それとは別にこういう所で買う肉もまた美味いんだ。
「ほい、ハンナにも1本な」
「ありがとうゼフィルス君、はむ」
「あむ――うおお! 美味―!」
「ん~。美味しい~」
ハンナと2人でその場で食べたらすぐに無くなってしまった。
もう1本食べたい欲に駆られるが、他の露店も巡りたいので我慢する。
その後もいくつかの露店を回っていると、今度はリーナがやってきた。
交代の時間だ。
「も、もうそんな時間ですか?」
「ですわハンナさん。交代ですわよ」
「……も、もうちょっと女の子っぽいものにすれば良かったかも。――じゃあ、ゼフィルス君、またね」
「お、おう。ハンナ、またな」
うむ。なぜか俺のスケジュールは女子に握られている。
俺が手を振ると、ハンナは名残惜しそうな表情で人混みの中に消えていった。
今度はリーナと2人で露店巡りだ。
「ゼフィルスさん、わたくし行ってみたい所がありますの、いいですか?」
「もちろんだ。一緒に露店巡りを楽しもうリーナ」
「嬉しいですわ。ささ、こっちですの!」
リーナに連れて行かれたところは、ここ結婚式の会場かな? と言わんばかりの白でいっぱいに彩られた場所。白のテーブルクロスがされた丸テーブルに色々と食事が載っかっており、ビュッフェ形式となっているオープンレストランとでも形容するようなお店だった。
お金を払うとここのビュッフェを好きに楽しむことが出来るらしい。
これ露店かな? と思わなくもない。
しかし、良く出来てる。
まるで貴族のパーティ、いや、やっぱり外でやる結婚式場の方が近いかな?
「―――ではこれより、誕生ケーキを解禁いたします! 是非ご賞味くださいませ!」
「「「「おおおお~~!」」」」
「ゼフィルスさん見てくださいあの特大のケーキ、素晴らしいですわ」
「ウェディングケーキかな? 全員がバースデーだからってすげぇもん持って来たなここ」
お店の方(?)のアナウンスで特大のケーキが運ばれてきた。
リーナがむちゃくちゃ目を輝かせている。すごいな。リーナがこの時間を指定したのもあれのためだったようだ。
お店の方(?)がケーキに入刀し、切り分けると、参加しているお客さんたちが集まって列を作る。あれもビュッフェ形式なのか。
リーナに連れられて並ぶ。俺たちの番になった時にはすでにケーキは半分くらい無くなっていた。
これは、見る価値あるぜ。見ただけでちょっと満足。さすがは 年載せ ( 誕生日 ) 用のお店。
俺とリーナもショートケーキサイズのケーキを貰い、いただいた。
「う~ん♪ 見た目のインパクトだけではなく、味もとても上品で美味しいですわ。名のある【パティシエ】が作ったのでしょうか」
「こりゃ、美味いな~。特にホイップの甘さが絶妙だ。――しかし、あの巨大ケーキってどうやって作ってるんだ?」
俺、色々気になります。
でもリーナが気に入っているのでなんでもいいです。
「ふふ、ゼフィルスさん。年載せおめでとうですわ」
「リーナも、年載せおめでとう」
本当は誕生日ではないが、数え年なので今日が誕生日扱いだ。
年載せおめでとうとリーナと改めてお互いを祝福しながらケーキをいただいた。
そうして満足すると、もう交代の時間だった。
「今日は楽しかったですわ。ありがとうございましたゼフィルスさん」
「俺も楽しかったよ。また明日なリーナ」
「はい。また」
そうしてリーナと別れて移動。
次はシエラだ。
「お待たせゼフィルス。少し待たせてしまったかしら?」
「いや、俺も今来たところだ」
シエラとは待ち合わせだ。まあ、普通は俺が今どこに居るかとか分からないしな。
……そうなるとリーナはどうやって俺の居場所を見つけたのか気になるが、ハンナが教えたのだろうきっと。
シエラは学園の制服姿だった。というかハンナもリーナもそうだったな。
待ち合わせではまず女性の服を褒めろというのが鉄板だが、褒めた方がいいのだろうか? よし、褒めよう。
「やっぱりシエラの制服姿は良いな」
「な、なに突然?」
「いや制服姿のシエラが良いって話だ」
「そうかしら? いつもと変わらないと思うけれど……」
ひらひらと自分の姿を改めて確認するシエラ。
制服には学生の時には分からない良さがあるんだ。
シエラも悪い気はしていないようなので良し。
「シエラはどこか行きたいところはあるのか?」
「ええ。こっちよ」
どうやらリーナ同様、シエラも行きたいところがあるらしい。
付いていくと、近場のおしゃれなお店に入るようだ。あれ、露店は?
しかもここ、営業中のようだ。ほとんどのお店は年始は閉まっているというのに気合いが入っている。
お店の人にシエラが一言二言話すと、俺たちは個室に通された。
そこは年載せをこれでもかと祝うような飾り付けがされている部屋だった。
「お~すげぇ、なんだここ?」
「ゼフィルスは知らない? 年載せ ( お誕生日 ) 室よ」
「初めて聞くぞ!?」
年載せ ( お誕生日 ) 室って何?
「つまり、年載せを静かに過ごしたい人向けの個室ね。外でわいわい騒ぐのも良いけれど、室内で静かにお互いを祝うのも良いものなのよ」
「年載せイベントっていろんなことやるんだな!?」
この世界の年載せイベントがガチな件。
そりゃ全員が全員年載せなんだからこういうちょっと普通とは変わった 年載せ ( お誕生日 ) 文化が発展したのかもしれない。これがリアル〈ダン活〉!!
おしゃれなテーブルにシエラと向かい合うように座ると、なんかシャンパンっぽいビンに入ったジュースが運ばれてきた。透明なグラスと共に。おしゃれ!
グラスに注がれたのは、やっぱりアップルジュースだった。
グラスを片手に持って準備完了。
「それじゃ、お祝いしましょ。ゼフィルス。年載せおめでとう」
「ありがとう、シエラも年載せおめでとう」
個室なのでグラスを合わせてカンッと鳴らす。
〈ダン活〉の年載せってすごい!