第1027話 ついに走破しちゃって最奥到着! オーイェー!
第1027話 ついに走破しちゃって最奥到着! オーイェー!
それから〈アーシーゴーレム〉からドロップした〈フルート〉を巡って色々あった。
なにしろボス周回でレベル上げが可能なアイテムだ。
ギルドのパワーアップには無茶苦茶必要な重要アイテムというのはすでに周知の事実。
〈キングアブソリュート〉も〈獣王ガルタイガ〉も〈千剣フラカル〉も〈百鬼夜行〉もみんな欲しがった。
〈エデン〉はすでに2つ持っているので今回は辞退。最奥で〈金箱〉が出たらそれをもらうことになった。
俺の目的は学生の強化。ここで〈フルート〉が出てくれたのはなんともタイミングが良かったんだぜ。
結局〈フルート〉はどこの物という括りでは無く、4つのギルドが交代で使用することにしたようだ。
今日みたいにレンカ先輩を〈上下ダン〉に配置すればギルドメンバーの高速レベル上げが可能だと、みんな盛り上がっていたよ。
どうやらレンカ先輩の予定が本人の 与 ( あずか ) り知らぬところで決定してしまったらしい。
これ、放課後でも出来るからな。画期的だろ?
4つのギルドからは他の〈フルート〉をどこでドロップしたのかと聞かれたが、これは有料とした。高いぜ? なお、全員が支払っていった。決断早っ!
これで〈フルート〉持ちが増えるといいな。レンカ先輩には頑張ってほしい。
その後、今出た〈フルート〉を限界まで吹くと、全てでツモった! 階層ボスに4回、希少ボスに1回遭遇したが、希少ボスは〈フルート〉をドロップしなかった。残念。
「よし、それでは最奥へ向かおう」
「〈フルート〉の回数も無くなっちまったからな。俺は賛成だぜ」
「もちろん僕もだ」
「異議は無いの」
「こっちも問題無いよ~」
〈エデン〉〈獣王ガルタイガ〉〈キングアブソリュート〉〈百鬼夜行〉〈千剣フラカル〉のギルドマスターが全員同意したことで、俺たちはとうとう〈岩ダン〉最後のボスへ挑戦する。
ちなみに〈救護委員会〉と〈ダンジョン攻略専攻〉のメンバーは俺たちがレベル上げをしている間、採集と調査をのんびりしていたらしい。
もうここが 上級下位 ( ジョーカー ) のランク6だって忘れているんじゃないかってくらい快適そうにしていた。カイリとユミキ先輩、そしてオスカー君のおかげだな。
一度トオル先輩が気が付けば1人罠に掛かって戦闘不能になっていたこともあったが、ショートカット転移陣ですぐに帰還したので大事には至らなかった。その時やたらオスカー君が元気にトオル先輩を運んでいったのが印象的だったな。〈救護委員会〉のシグマ大隊長の部下さんが「それ俺の仕事!?」って追いかけていったのは笑いを誘った。
笑い話で済んで良かったよ。
「シグマ大隊長。そっちはどんな感じなんですか?」
「実に素晴らしい成果が得られています。特に希少とされていた〈結晶〉や〈宝玉〉の類いがそれはゴロゴロ見つかりますからね。それに鉱石類もすごいですよ。〈ミスリル鉱石〉が毎日大量に採集できております。おかげで〈青空と女神〉のハンババ君が悲鳴を上げていますよ」
「それは良かった」
モナとソドガガはずっと55層で採集祭りをしていた。
さすがはランク6上級ダンジョンの下層ということもあって採集できる物の希少度がすんごいとご機嫌だった。
特に〈ミスリル鉱石〉はランク1〈嵐ダン〉などでも採れるものの、その発掘量はさほど多くなく、量を集めるのに時間が掛かっていたからな。
だがここではガンガン採れるので、これで大量に上級装備を生産出来るとシグマ大隊長も喜んでいた。
また、新しくSランクギルドになった〈青空と女神〉の上級鍛冶担当、ドワーフのハンババ先輩は悲鳴を上げているらしい。ハンババ先輩はユーリ先輩たち〈キングアブソリュート〉が〈上級転職チケット〉を 供与 ( きょうよ ) していたドワーフさんだ。おかげで上級武器や上級防具がどんどん出来ていき、ユーリ先輩はまた株を上げているらしい。
良い流れが出来てる。
〈心〉〈結晶〉〈宝玉〉もかなり採れているので、今後高位職に〈 上級転職 ( ランクアップ ) 〉する人も増えるだろう。
十分な素材や資源、アイテムを集められたので、ここからはカイリのユニークスキルを使って真っ直ぐ最短距離で最奥まで進んだ。
「結局全部の巨石が落ちていたんだけど。ゼフィルス君? もしかしてここのダンジョン、攻略しちゃってないかしら?」
「はっはっは!」
ユミキ先輩がこっそり耳の側で問いかけてくるが、笑いで誤魔化した。
「絶対最奥の転移陣から帰ってきたでしょ。でも、今は言わない方がいいかもね」
「そうそう、それでユミキ先輩には今後のことで少し協力を頼みたいんだが」
「あら、何かしら?」
〈岩ダン〉を攻略した後の話だ。これにはユミキ先輩の協力が必要不可欠。
五段階目ツリーの開放ダンジョン、そこに到達するまでの順序、攻略方法を広めてほしいのだ。
いくら〈岩ダン〉を開放したところで、まだ上級ダンジョンを攻略したことのあるギルドは〈エデン〉と〈キングアブソリュート〉のみ。
これでは〈岩ダン〉に来るのはかなり先になるだろう。
そのため〈岩ダン〉に来るための順序、〈霧ダン〉の攻略方法などを広めようという話だ。
「というわけで、協力していただけたらと」
「すでに〈キングアブソリュート〉からも話を受けているからいいわよ」
「おお! そりゃ話が早いな!」
俺が話をする前にすでにユーリ先輩が動いていたらしい。さすが、早いな。
話が一旦纏まったのでダンジョンではこれくらいにして、後は後日に話をすることに決まる。
「おーいゼフィルス、遅いぞ。早く入ろうぜ!」
「おーう!」
ガルゼ先輩が最奥への階層門の前でうずうずした顔で言ってきたので手を振って答えながら合流する。
ユーリ先輩、俺、ガルゼ先輩、ヨウカ先輩、カノン先輩が先に階層門に潜ると、シエラたちがそれに続いてやってきた。
「……ついに到着か」
「……思ったより感動が少ないのは気のせいかのう。上級ダンジョンの最奥に到着すると言えば、もっと達成感があると思ったんじゃが」
ユーリ先輩の言葉にヨウカ先輩が呟いた。
「シエラはん、いつもこんな気持ちで最奥まで来とるん?」
「そうね、でも慣れたわ。こういうのは切り替えが大事なのよ」
後ろで困ったような顔のハクにシエラがなんとも言えないような顔で説明していたが、どうしたのだろう?
「まさか上級ダンジョンの最奥にこんなに簡単に辿り着けるなんて思いませんでした」
「我々がとても長い時間掛けて 上級下位 ( ジョーカー ) を攻略していたというのに。少し理不尽を感じてしまいます」
「ふふ。相変わらずゼフィルス君は面白いな」
こっちではミミナ先輩とソトナ先輩、キリちゃん先輩が、こちらも苦笑気味に話をしていた。
うむ。どうやらあんまりにも早過ぎ&呆気なく 上級下位 ( ジョーカー ) の最奥に到着したことに納得がいかないようだ。
シエラの言うとおり、早く慣れてほしい。
「うおおおお! ついに最奥だーー!!」
「私たちが上級ダンジョンを攻略する日が来たんだよーー!!」
ちなみにガルゼ先輩とカノン先輩は普段通りだ。いや、普段よりテンションが高く上がっていた。
もちろん俺も乗っかる。
「オーイエー!! 新しい五段階目ツリーでボスなんか蹴散らしてやろうぜ!」
「「おおーー!!」」
ということで盛り上げておいた。切り替えていこうじゃないか!
「では我々は59層で調査と発掘の続きをしてきます。何かあればメッセージでお知らせください」
「ゼフィルスさん、頑張ってください!」
「おう、任せとけ!」
シグマ大隊長がそう言って59層に向かうと、モナからもエールをもらった。
ボス戦は長いからな。その間上で採集でもして時間を有意義に使うつもりなのだろう。
もしかしたら〈救護委員会〉で59層のエリアボスに挑戦、なんてことをしているのかもしれないな。
さて、じゃあ俺たちも早速最奥ボスである〈マグネットメタモルゴーレム〉、通称〈マグメタ〉に挑戦するとしよう。
俺たちが平均9分で狩りまくった〈マグメタ〉に。
…………ハメ技って使っても良いのかな?
そんなことを考えていたのが悪かったのかもしれない。
「おっしゃ行こうぜ!」
「そうだね。頑張って行こうか」
「どんな敵が相手でも全部千剣で倒してあげるよ~!」
「攻略した後のことを考えると楽しみじゃ」
気が付けばガルゼ先輩、ユーリ先輩、カノン先輩、ヨウカ先輩が最奥のボス門を潜っているところだった。
なんだか階層門を潜るようないつもの雰囲気で行くものだから、つい深くは考えなかったんだ。全部〈マグメタ〉が簡単なのがいけない。
「おいゼフィルス行くぜ?」
「お! 待ってくれガルゼ先輩」
「あ、ゼフィルス?」
シエラに呼び止められるが、それに気がついた時には俺は門の中に入ってしまっていた。
そして閉まる門。それは5人のメンバーたちがボス部屋に入ったことを知らせてくれる。
「あれ?」
そして改めてメンバーを見る俺。
ユーリ先輩【英雄王】、ガルゼ先輩【獣王】、カノン先輩【 操千 ( そうせん ) の 剣姫 ( つるぎひめ ) 】、ヨウカ先輩【大妖怪九尾】。
見事にアタッカーばかり!
あれ!? タンクとヒーラー誰やんの!?
該当者――ゼフィルス【救世之勇者】。
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後書き失礼いたします。
実はゼフィルスと彼らで最奥ボスに認識と意識が異なったりします。
ゼフィルスは初っぱなで攻略するのが当り前みたいな思考していますが。
普通は何度も挑戦して相手の行動パターンを探り、パーティを入れ替えたりして最適化させながらボス攻略を目指すもの。
つまり、今回ゼフィルス以外のメンバーは、まずお試し感覚。ギルドマスターが最初にボスへ挑戦するものという常識の下、ボス部屋へと入りました。
ここで、例えば〈キングアブソリュート〉だけメンバーをサブマスターのソトナ先輩に変えたとか、〈百鬼夜行〉だけ参加せず〈エデン〉を2人にした、というパーティ構成にするとまたややこしくなるので、各ギルドのギルドメンバー1人ずつの構成です。とはいえこれは最初だけですね。
みんなギルドを背負っていますので初戦のギルドマスター参加は外せませんでした。