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第1028話 〈岩ダン〉最奥のボス〈マグメタ〉戦!

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第1028話 〈岩ダン〉最奥のボス〈マグメタ〉戦!

「む? ボスの姿が見えんが」

「おいおい、上だ。あの黒いやつがボスだろ」

「わ、おっきい。でも動かないね?」

「何か攻撃を仕掛けるのがトリガーなのか?」

「なあ、それよりみんなタンクとヒーラーは誰がやるんだ?」

「「「「ん?」」」」

そこで改めて気が付いたのだろう。

全員が全員を見る。

今までは何だろう。数の暴力もあったが、危ない時はシエラがタンクしてくれたし、ソトナ先輩がヒーラーしてくれたし、ミミナ先輩がバフを掛けてくれた。

でもここにいるのは全員がダメージディーラーだ。

特にヨウカ先輩とかは魔法使いなので防御力が紙だと思われる。

「今回は俺は背負わんぞ? 背負ったら俺が攻撃出来なくなるからな」

「……ゼフィルス君。妾を守ってくれんかの?」

〈ヘカトンケイル〉戦でヨウカ先輩を背負っていたガルゼ先輩が首を振ると、さっきまで勇ましかったヨウカ先輩が急に可愛い声を出して頼ってきた。

「ポジションに偏りはあるけど、今回ばかりは仕方ないね」

「みんなギルドマスターだもんね。最初は絶対に挑まないと。メンバーチェンジするのは次からでいいしね!」

ユーリ先輩とカノン先輩の言葉で俺は自分の認識とこの世界の意識が違うことを思い出した。

そういえばこの世界では初戦で攻略しないんだった!

普通は何度も挑戦して相手の行動パターンを探り、パーティを入れ替えたりして最適化させながらボス攻略を目指すもの。

つまり、今回俺以外はまずお試し感覚なのだろう。ギルドマスターが最初にボスへ挑戦するものという常識の下、ボス部屋へと入ったということらしい。

全員ギルドを背負っているため、初戦に参加しないという選択肢は無かったようだ。

なら仕方ないな。俺もうっかりしていたし。

「んじゃ、タンクとヒーラー、ついでにバッファーも俺がやりますかね」

「え? ゼフィルス君はそんなに色々出来るの!?」

「勇者だからな!」

「勇者ってすごい!」

カノン先輩が俺を持ち上げてきた。とても気分が良い。

よしよし。ならそろそろあのスキルのLVを上げるか。

あまりの高コスト故にLV4で止めていた勇者のユニーク級の切り札的スキル――『カリスマ』。

効果は周囲大挑発と全体攻撃力バフだ。さらにクールタイムが短く3回まで重複させることが可能という化け物みたいなスキルである。ただしMP消費が大きく、LV5からはさらにドンッと増えるのでLV4で止めていた経緯がある。

なぜドンと増えるのか、それはLV5になるとさらに進化するからだ。

効果になんと全体魔法力バフも追加されてしまうのである。

さらにこれだけでは終わらない。

LV10になれば全体素早さバフまで追加され、4回まで重複させることが出来るようになる、とんでもないスキルとなる!

ちなみにLV10の時、MP消費は1回で200だ。

クールタイムが10秒で連発出来るのにこの消費とかヤバすぎる。枯渇的な意味で。

俺のMPは1480あるので回復しなくても7発まで撃てるが、〈エリクサー〉が簡単に飛んでいくのでボス 周回 ( ・・ ) では使いたくない。

さて、本当はもう少し先で振る予定だったのだが、まあ良いだろう。

どうせSPを振る予定だったしな。

俺は余っているSPを使い『カリスマ』をLV10に上げた。

どうせ周回はしない。

今日はこれで最後のボス戦だ。

MP全部使ってやんよ!

「んじゃ、俺が前に出てヘイトを取るぜ。あれが落ちてきたら攻撃よろしく!」

「え? あれが落ちてくるのかい?」

「……落ちてこないと攻撃出来ないからな!」

「なるほどぉ」

「任せるのじゃ」

「オーケー! 『千聖操剣』!」

俺は素早くダッシュして〈マグメタ〉の下に入り、そのまま通り抜けると後ろからドシャーンという何か重い物が落下した音が響いた。

「総攻撃! 『カリスマ』! 『フルライトニング・スプライト』!」

すぐに指示を出すと、『カリスマ』を発動。さらに振り向きざまに剣の先を〈マグメタ〉へ向けると、開幕の打ち上げに特大の雷の花火をぶっ放す。

戦闘開始だ!

「おお! こりゃ良いバフ持ってんじゃねぇか!」

「僕は左だ。ガルゼは右を」

「千剣行くよー! 『千剣突撃』!」

「正面は妾たちじゃな――『セブンフォックスフレアル』!」

「うぉらー!! 『獣王 烈震 ( れっしん ) 咆哮牙 ( ほうこうが ) 』!」

「ふっ!! 『グランドクロス・ゼロ』!」

「ギギギガガガガ!」

そして始まった〈マグメタ〉戦。

それは俺の花火から始まり総攻撃で初っぱなから特大のダメージを稼いだ。

作戦は単純明快。俺がタンクで受け持ち、他がアタッカーでやりたい放題するだけ。

「『カリスマ』――!!」

『カリスマ』スキルは連打が可能。このスキルを連打されるとヘイトで上回るのは非常に難しいのだ。

故にこのメンバーであっても、やりたい放題攻撃していたとしても、俺のヘイトが上回られることはまず無い。

安定の戦局、安心の戦場。その根源こそが勇者に与えられた絶対的な勝利に導くカリスマだ。

「おらおらおらー! 『インフェルノフィスト』!」

「ギギギガガガガ!?」

ガルゼ先輩の真っ赤に燃える勝利の拳が〈マグメタ〉に突き刺さると、〈マグメタ〉は慌てて天井に飛んで退避した。

「あ! 上に逃げた! 出でよ『零千』! ウテーウテーウテー! あれ? 全然攻撃が当たらないよ!?」

「ほほう、矮小なゴーレムを生み出すか。全部屠ってやろうぞ『 七尾 ( ななび ) 解放・ 妖炎津波 ( ようえんつなみ ) 』!」

「なるほど、そういうからくりなわけか。どうやらゴーレムを倒さない限りボスには攻撃できない仕掛けらしい! みんなゴーレムを駆逐するんだ――『黄金宮』!」

「『カリスマ』――!!」

〈マグメタ〉が大ダメージを負って天井に張り付くと、ちっちゃいゴーレムを生み出し始める。しかし、これはヨウカ先輩とユーリ先輩の手で綺麗にちぎっては投げられた。

範囲攻撃の炎と物量の津波でゴーレムが消えると、再び落ちてくる〈マグメタ〉。展開が早い!

「行くぜ4回目だ。『カリスマ』――!!」

「おいおいおいおい、なんだこのバフは! 最高じゃねぇか!」

「伸びるダメージが、すごい! 自己バフするまでもないね!」

「勇者ってすごい! 最奥ボスをこんなに簡単に削れるなんて!」

「屠る爽快感がクセになりそうじゃ!」

ダメージが上がったと喜びながら〈マグメタ〉を攻撃するアタッカーたち。

俺は『カリスマ』を連発しまくりながら盾と回復魔法でタンクをこなす。

でも攻撃が割と重いので避けることも多い。

四方に伸びる4つの腕の内、常に2つだけを相手にするよう立ち位置を調整。

拳やなぎ払いが来ても、落ち着いてやれば対処も出来る。俺は何度もこいつを倒しているんだぜ?

「おっと」

「ギギギギガガガ!!」

あっという間に第一形態を屠り、第二形態へと進化。

チャンス!

俺は飛び出た砲に乗っかり、そのまま一緒に天井までご招待された。

「あ!? ゼフィルスなんだそりゃ!? ずりぃぞ!」

「ええーそんなのありなの!?」

ふはははは! ありなのさ!

ここなら攻撃を受ける心配も無いので〈エリクサー〉を一飲み。

攻撃スキルでハメまくる!

「行くぜ! 『雷属聖剣化』! 『ディス・キャンセル・ブレイカー』! 『聖剣』! 『フィニッシュセイバー』! 『ライトニングバニッシュ』だ!」

連続攻撃ーー!! 気持ちいいぜ! そう思っていたのも束の間。

俺がハメ技しているとあっという間に下のゴーレムが片づいたので落下する。

うおおおおお!?

「ギギギガガガガ!」

地面に落下した〈マグメタ〉は全方向に砲撃を撃ちまくり始めた。

俺はヨウカ先輩との間に立ち塞がり『 自動防御 ( オートガード ) 』で防御。

ガルゼ先輩やユーリ先輩、カノン先輩は砲撃なんか関係無いって感じで攻撃しまくっているので回復魔法も掛ける。

「――『ブレイバーオールヒール』! 『エリアヒーリング』!」

そういえば初めて使ったかもなこの魔法。『ブレイバーオールヒール』は全体回復魔法だ。

それまでダメージを受けまくっていたガルゼ先輩もユーリ先輩もカノン先輩も、そのHPがほぼ全回復した。さらにエリア魔法で 継続 ( リジェネ ) 回復する『エリアヒーリング』も設置して援護する。

「『カリスマ』――!!」

時々『カリスマ』スキルも使いヘイトを稼いだ。

それでも回復が追いつかない場合はアイテムを使用。

みんな個人的に回復アイテムを持参しているが、ここは俺がサポートして彼らにアタッカーを継続してもらう方が効率的。

ということで使うのはこのアイテム。〈 空間収納鞄 ( アイテムバッグ ) 〉から取り出したるは全体回復アイテムの〈回復薬の息吹〉だ。

ハンナ印の〈回復薬の息吹〉はすごいぞ~。全体回復なのに630も回復する。

『ブレイバーオールヒール』がクールタイムで使えない場合は〈回復薬の息吹〉を使って回復だ。時々〈エリクサー〉もキュッと一飲み。

「サンキューゼフィルス!」

「ガルゼ先輩は攻撃に集中してくれ! ――ヨウカ先輩の最大HPを伸ばすぞ『オーバーヒール』!」

『オーバーヒール』は最大HPを超えて回復する魔法だ。ヨウカ先輩が一番装甲が紙なのでHPだけは増やしておく。

回復も良い感じ。攻撃も良い感じ。ヘイト管理も良い感じだ!

このまま削って行くぜ!

そんなことをしていれば第三形態へと移っていた。

「ギガアアアア!」

格闘形態だ。しかも浮くキックゴーレムである。〈マグメタ〉第三形態がいきなりジャンプしたかと思うと、俺に向かって蹴りを入れてきた。

「『ディフェンス』! って、うおおおっ!?」

シエラは軽く受けきっていたのに、防御スキルで受けてもズザザザと後ろに滑ったんだけど!? マジでシエラが偉大な件。

俺が体勢を崩しているとさらに勢いに乗った〈マグメタ〉が今度は浮いたまま足を揃えクルクル周りながら突撃してきた。ドリルキックだ!

「ゼフィルス!!」

ガルゼ先輩の叫び声が聞こえた。

これは受けきれないと思ったらしい。

ふ、甘いぜ。勇者はどんなときだって負けないんだ。

これくらいの攻撃、全て真正面から受けきってやる!

これが勇者の切り札の一つだ!

「行くぜ、第三のユニークスキル――『 完全勇者 ( アブソリュートブレイバー ) 』!」

それは三つ目のユニークスキル。

別名〈無敵勇者モード〉。

発動した直後から俺の全身が金色の光を放ちだした。

これを発動中はどんな攻撃を受けても、状態異常攻撃を受けても、デバフを受けても無効になる、所謂無敵モードになるユニークスキルだ。

「なにぃ!?」

そこにドリルキックが直撃するも、俺は微動だにしなかった。もちろんHPへのダメージも皆無である。ガルゼ先輩の驚愕の声が心地良い。

効果時間はLV5で12秒と少ないが、〈マグメタ〉が頑張ってドリルキックしてくるのを腕を組みながら受けて「効かないなー!」と言うのがちょっと楽しかった。

ちなみにこれを発動中は他のスキル魔法を使えない。通常攻撃とユニークは出来るけど。

ゲーム〈ダン活〉ではボスを相手に『 完全勇者 ( アブソリュートブレイバー ) 』を発動し、攻撃されながら何かポーズを取らせるのが流行っていたんだ。

リアル無敵モードがとても楽しいです。

「うおおおおらああああ! なんだそりゃゼフィルス!? むっちゃ楽しそうじゃねぇか!?」

「ちょ、それも勇者の力!? すっごく楽しそうだよ!?」

ガルゼ先輩とカノン先輩は俺に感性が近いのか、俺の「効かないなー!」に大興奮していた。

そこへユーリ先輩が『英雄オーバー』からの『王剣閃』を発動してぶった斬ると、〈マグメタ〉がクリティカルダウンしてしまう。大チャンスだ!

「ナイスユーリ先輩! 『 勇気 ( ブレイブハート ) 』! 『 勇者の剣 ( ブレイブスラッシュ ) 』!」

特大のチャンスにズドンッと強烈な一撃を叩き込むと、ちょうど『 完全勇者 ( アブソリュートブレイバー ) 』の効果が切れたので、そのままMPを使い切る勢いでスキルで斬りまくる。

「続け続けえええ! 『エンペラーバスター』! 『百烈獣牙』! 『獣王 烈震 ( れっしん ) 咆哮牙 ( ほうこうが ) 』! 『インフェルノフィスト』!」

「ここで決める! 『ヘブンブレイドオーバーソウル』! 『グランドクロス』! 『フルライトスラッシュ』! 『グランドクロス・ゼロ』!」

「たたみ掛けるのじゃ! 『 四尾解放 ( しびかいほう ) ・ 幻猛炎 ( げんもうえん ) 顎 ( あぎと ) 』! 『 五尾解放 ( ごびかいほう ) ・ 灼熱 ( しゃくねつ ) の 大爪 ( たいそう ) 』! 『 六尾解放 ( ろくびかいほう ) ・ 紅蓮焔 ( ぐれんほむら ) 』! 『 轟炎 ( ごうえん ) ・ 狐火 ( きつねび ) の 刃 ( やいば ) 』!

「轟け千剣ーー! 『 千剣大軍 ( せんけんたいぐん ) 』! 『 大空千断罪 ( おおぞらせんだんざい ) 』! 『 天覆千斬風 ( ヘブンサウザンドテンペスト ) 』! 『 千剣の雨 ( サウザンドソードレイン ) 』!」

「『フィニッシュ・セイバー』! 行くぜ剣盾合体――『スターオブソード』!!」

俺もアタッカーになって5人で〈マグメタ〉に総攻撃を掛けた。すると。

――〈マグメタ〉のHPがゼロになった。

あれ? 怒りモードは?

「ギ……ガ…………」

まさか、またもや良いところ無し?

〈マグメタ〉は膨大なエフェクトを生み出しながら悲しげな声で鳴いて、そのまま沈んで消えていった。

そしてその後に残っていたのは――〈金箱〉だった。

切り替え大事!

「うっしゃああああ〈金箱〉だああああ!」

「ゼフィルス、勝ったの!?」

「シエラ! 見ろ、〈金箱〉だぜ!」

「……大丈夫そうね。タンクも無しにボスに挑戦するなんてと心配したのだけど」

「ふっふっふ、勇者は負けないんだぜ?」

〈マグメタ〉が消え、門が開いたとたんシエラたちが入ってきた。

どうやら心配させてしまったらしい。

しかし、勝利するから勇者なのだ。

とはいえ超挑発連打ができる勇者と、上級職、高の上のアタッカー軍団がいたのだ。

しかもハメ技も使ったし。〈マグメタ〉はなるべくしてエフェクトに還ったんだと思う。

でも心配は嬉しい。素直にお礼を言っておこう。

「心配掛けたなシエラ。ありがとう」

「……別にいいわ。それより〈金箱〉でしょ?」

あれ? シエラが誤魔化した? 誤魔化したな?

少し照れている模様。

ちょっとグッときた。

だが、これでやめておこう。ヨウカ先輩がこっちに気が付いてニヤニヤしているからな。

他の方々は新しくゲットした〈岩ダン〉の攻略者の証を祝ったり自慢したりしてこっちのことには気が付かなかったみたいだが。

だがそうか。〈岩ダン〉の攻略者の証をみんなも無事ゲット出来たらしいな。

なら、俺たちの〈岩ダン〉攻略者の証も解禁だ!

俺はそっと懐から攻略者の証を取り出す。今日は攻略するだろうと分かっていたからな、部屋から持って来ていたのだ。シエラしか見ていない方に向きながら胸に着ける。これで自然に見えるだろう。

ふはは!

これで一つ目の目標! 「〈岩ダン〉の攻略者の証を堂々と着ける」達成だ!!

ちなみに〈金箱〉から出たのは〈上級転職チケット〉だった。

〈エデン〉に優先権がある〈金箱〉の中身がこれかよ!?

〈マグメタ〉、まさかの〈金箱〉でも良いところ無し?

でも欲しい人がいっぱいいそうなこの状況。

交換でもするかな?