第1030話 ようやく戻ってきた平和な日常(?)嵐の前?
第1030話 ようやく戻ってきた平和な日常(?)嵐の前?
1月8日。
冬休みが明けるまでもう少しというところ、今日は帰省していたメンバーが全員学園に戻ってくる日だ。
遅ければ明日帰ってくる予定だったラナも今日到着すると聞いている。
待ち遠しい。
例の〈エデン〉〈キングアブソリュート〉〈千剣フラカル〉〈獣王ガルタイガ〉〈百鬼夜行〉の合同〈岩ダン〉攻略から3日。
あのパーティは今では〈ドリームパーティ〉と呼ばれていて、未だに学園では話題が衰える気配を見せない。
〈ドリームパーティ〉が〈岩ダン〉を攻略し始めてから、僅か1週間ちょっとで攻略してしまったものだから、そりゃ話題沸騰だ。
この〈ドリームパーティ〉なら上級下位ダンジョンの網羅どころか、伝説と言われた上級中位ダンジョンすら攻略可能なのではないか? と半ば本気で囁かれている。
それに平行して、同じくらい話題を呼ぶ話があった。
それが五段階目ツリーの開放ダンジョンの解放。
つまりは〈岩ダン〉のことだ。
〈岩ダン〉の最大のギミックは階層門がどこにあるか分からないという点だったが、それはこの先1年解決済み。そのギミックが解決されてしまえば〈霧ダン〉と同じく攻略しやすいダンジョンに成り下がる。
ゲームでは一度攻略したダンジョンの難易度が下がるとか普通のことであるし、1度攻略したダンジョンを攻略し直すなんてあまりしないため役に立たないことだが、リアルだと全員が恩恵にあずかれるため非常に重要な事柄となっていた。
これにより五段階目ツリーを比較的楽に習得することができるようになると期待されている。というよりもう動いている。
ユーリ先輩の動きは速く、〈岩ダン〉で〈フルート〉を手に入れた日から相談を持ちかけられ、俺がOKしたため迅速に動いていた。
〈岩ダン〉の攻略が完了してからこの3日で、ユーリ先輩は〈岩ダン〉の正式な攻略完了の声明を発表すると共に、〈岩ダン〉で比較的楽に五段階目ツリーを習得出来ることを発表してくれた。そのために学園が動き出し始めているとも。
これにはユミキ先輩も協力してもらい、〈岩ダン〉の詳細な地図を作製して現在は学園と協議の真っ最中だ。依頼を出したら予想を遥かに超えて限界まで突破していそうな調査結果が返ってきて学園内の先生方がてんてこ舞いだとか。
最終的にこれまで通り学園が入場を制限するが、許可が下りた者は〈岩ダン〉の入場を始め、学園が様々なサポートをしてくれるということで決まりそうだとか。
大体ユーリ先輩と相談した話が通りそうでなにより。
学生たちも伝説の五段階目ツリーの開放のチャンスが自分にも巡ってくるかもしれないと、今学園で最もホットな話題の一つとなっている。
その中心人物となっていた俺もインタビューを受けたり学園長と話し合ったり、まあ色々あった。
五段階目ツリーの発表会はとても盛り上がったな。
ガルゼ先輩の新技、五段階目ツリーの咆哮から始まり、ヨウカ先輩の全部焼き尽くすのではないかという炎の津波に驚き、カノン先輩の『零千』に驚嘆し、ユーリ先輩の『黄金宮』に拍手喝采が起こった。なお、一番盛り上がったのがカノン先輩の『零千』なのはここに伏せておく。
ロマンが強すぎたんだ。
そんなこんなあったが、あとは大体ユーリ先輩に任せて事なきを得て、俺はようやく自由になった!
「おはようみんな! 今日も良い朝だな!」
「おはようゼフィルス」
「ゼフィルス君おはよう! なんか久しぶりだね!」
「まだ3日だけどな!」
Aランクギルドハウスに入ってみんなに挨拶。
シエラやハンナを始め、みんなが挨拶を返してくれることに帰ってきたと感じるぜ。
実は5日にあった宴会を境に俺はギルドハウスに来ていなかった。
ずっと忙しかったからなぁ。
シエラだけは毎日一緒だった、むしろ貴族舎で待ち合わせて一緒に向かっていたくらいだが、他のメンバーとはなんか久しぶりな気がする不思議。
濃い3日間だったんだな。
ハンナも〈エデン店〉が忙しかったらしく会うのは3日ぶりだ。
「ゼフィルスがここに来られたということは、大体終わったの?」
「おうバッチリだ。あとはユーリ先輩に任せてきたぜ!」
俺はグッと親指を立てると、シエラがジトッとした目で見つめてきた。
「それは、押しつけたって言うのではないかしら?」
ノンノンだぜシエラ。王族に仕事を押しつけただなんてそんなことあるわけないのだ。
ユーリ先輩も学園全体が成長するのを願っている。
つまりは目的は同じなんだ。何も問題は無い!
それとジト目ありがとうございます!
「さて、今日はラナたちが帰ってくるんだったよな?」
「はい。連絡が入っております。本日の正午頃には到着するとのことです」
俺の質問に答えたのはセレスタンだ。
いつも助かってるぜ。
「お昼かぁ。それまでなにするか。やっぱりダンジョン攻略、行っとくか?」
「ゼフィルスはいつもでしょう?」
「いやいや、ここ2日は攻略というよりただの案内と説明役だったからな。ダンジョン攻略はしてないぞ?」
そう、〈岩ダン〉で本当に五段階目ツリーが開放出来るのか、道中は安全なのか、その他様々なことを調べるのに俺も色々協力していたんだ。
〈岩ダン〉には何度も入ったが、ただの説明役なのでダンジョン攻略ではない。
俺はダンジョン攻略がしたいんだ!
「でもランク7以上はまだダメよ? 学園がパンクするわ。ラナ殿下だってまだ帰ってきていないし、メンバーのLVが足りないわよ」
「大丈夫だ分かってる。ということでランク3の〈山ダン〉辺りから順番に攻略してみようと思うんだ」
「思うんだ、で実際にやっちゃうところがゼフィルス君らしいね」
「まだ〈嵐ダン〉を攻略出来てないメンバーが大半よ? まずはそっちを優先しないと」
ふむ。色々と意見が出る。
確かに、ランク3の〈山ダン〉やランク4の〈島ダン〉にも行きたい所だが、俺たちが先行しすぎていたのも確かだ。まずはメンバーの〈嵐ダン〉攻略を進めなければなるまい。
そう、本格的に話し合いを始めようとしたときだった。ギルドの攻略を左右する特大の情報がもたらされたんだ。
「ゼフィルス様、〈彫金ノ技工士〉より言付けを預かっております。依頼のあった〈イブキ〉が完成したと」
「「「おお!」」」
セレスタンの言葉にギルドメンバーが湧く。
〈彫金ノ技工士〉には〈浮遊戦車イブキ〉の作製依頼をしてあった。
それもただの作製依頼ではない。レアボス〈カマグマ〉の素材を潤沢に使った最上級品の作製依頼だった。
それの完成報告だ。もう行くしかない。
「ギルドが開店したらすぐに行こう! 時間は?」
「10時オープンですので、あと2時間ほどですね」
「むむむ、時間が中途半端だな」
「僕がお受け取りしましょうか?」
「いいや、俺も行きたい。ということでリーナ、それまでオークションに出品した例の件について話したいんだが」
10時まで待機がここに決定した。俺も受け取りに行きたい!
それまではリーナたちとギルドの方針会議をして時間を有意義に使いたいという提案だ。
「もちろん構いませんわ。――ではどなたか〈嵐ダン〉に行く方はいらっしゃいますか? いらっしゃるなら〈風除けの指輪〉をお渡ししますが」
リーナの言葉に誰も手を挙げなかった。
どうやら〈嵐ダン〉に行くより〈最上級イブキ〉を見たいらしい。
「ということで、午前中はゆっくりしようか」
「オークションの件と、〈最上級イブキ〉の受け取り、ラナ殿下たちの帰還。……これ本当にゆっくりできるのかしら?」
まあいいじゃないか! 細かいことは気にしない!