第1071話 混沌は病!? 試合終わって打ち上げだー!
第1071話 混沌は病!? 試合終わって打ち上げだー!
「うお~! まさか負けるとは! 3試合全てで負けるとは!! こんなことは初めてであるぞゼフィルス氏~!」
「まあまあインサー先輩飲め! 飲んで切り替えよう!」
「もう今日はとことん飲むぞ! 追加のアップルジュースを開けろ! でっかいやつだ!」
「は、はい! 今日はギルドバトル記念にドーンと特別なジュースを開けちゃいままます!」
「「「「「かんぱーい!!」」」」」
「「「「「わはははは!!」」」」」
試合が終わったら打ち上げ。これお約束。
ここは〈ギルバドヨッシャー〉のギルドハウス。
そこでは現在〈ギルバドヨッシャー〉と〈エデン〉メンバーが全員集まり、宴会で盛り上がっていた。
ギルドマスター同士、並んだ俺とインサー先輩も超盛り上がっている。
メイコさんが小さい体でうんしょうんしょと樽を持って来たら中身が〈 深泉 ( しんせん ) のアップルジュース〉だったのには驚いたな。〈芳醇な100%リンゴジュース〉には及ばないもののかなり美味いジュースだ。これ〈食ダン〉の14層にある通称〈アップルの泉〉で採取できるジュースだぞ? しかも場所がかなり辺鄙なところにあって遠く、俺もスルーしたほどだ。どうやって手に入れたんだろ? まさか採ってきたのかな?
「なに、樽でまだまだある。遠慮せずどんどん飲んでくれ。なんだったらお土産に持たせよう」
「気前良いなインサー先輩! ありがたく頂戴するぜ! ―――んぉ~美味い!」
「はは! いい飲みっぷりではないかゼフィルス氏。気に入ってくれたようでなによりだ。後でお土産に樽で用意しよう。遠慮することはない、今日ギルドバトルを受けてくれたお礼だ! わはははは!」
「ありがたく受け取るぜインサー先輩! わはははは!」
お土産に樽でもらえることになった。超嬉しい。
みんなも喜んでいる。
〈エデン〉も打ち上げに慣れたメンバーがちょちょいと打ち上げ用に常備してある料理を振る舞い、〈ギルバドヨッシャー〉との練習試合の打ち上げを盛り上げてくれた。
いや~、すごいわ〈ギルバドヨッシャー〉。
3試合やって全部で負けたのに宴会を開催するんだもんな。
よっぽどギルドバトルが出来たのが嬉しかったんだろう。
負けたというのに〈ギルバドヨッシャー〉のメンバーたちは悔しむことはあれどみんな笑顔だった。
しかしそれも、さきほどのギルドバトルを振り返って考察し始めてから一変する。
「うむむ、やはり我らに足りないものは 職業 ( ジョブ ) LVか?」
「明らかに対人系の上級職が足らなかったです。もっと上級職を増やすべきです」
「ゼフィルスさんたちが使っていたのは五段階目ツリーですよね? スキル条件を満たして開放されたものじゃなく、LV30で開放された」
「同じ土俵に立つには我らも五段階目ツリーを開放する必要がある。つまりはレベル上げが正しい」
「混沌!」
「まあまあインサー先輩もオサムス先輩も他のみなさんも、 纏 ( まと ) めると上級職増やしてレベルも上げようということでしょう?」
「「「「それだ!」」」」
先ほどのギルドバトルで〈ギルバドヨッシャー〉に足りなかったものを話し合ったところ、なぜか〈ギルバドヨッシャー〉が全員集まって来た。
みんなテンション高いな!
〈エデン〉のメンバーも驚いているぞ。ギルドバトルへの姿勢を参考にしている人もいるが。
「だが、そもそも戦術面でも足りないものはいっぱいあった。ゼフィルス氏にはその辺もよく聞きたい」
「そうだ!」
「ちょっとゼフィルス氏に聞きたい。ここの巨城を落としたときと落とさなかったときでどう対応するのが正解だと思う?」
「あ、ギルマスだけずるいぞ!」
わいわいがやがや。
俺は再び大人気になった。
ギルドバトルを通じ、〈クロスキャッスル〉フィールドで様々な疑問が湧き上がったのだろう。〈ギルバドヨッシャー〉のテンションはもの凄く高くなった。
〈エデン〉メンバーが少々困惑していたが、そこに新たな考察が湧き上がって巻き込まれることになる。
「そうだ! 聞きたかったんだが〈エデン〉のメンバーの 職業 ( ジョブ ) ってなんだあれは!? 普通の 職業 ( ジョブ ) と全然違うぞ! いったいどんな構成してるんだ!?」
そんな〈ギルバドヨッシャー〉所属者のセリフで一気に〈エデン〉メンバーに目が向いたからだ。
「そうだ! あのスキルっていったい何だったんだ? 一瞬で持って行かれたぞ」
「俺なんて『睡眠耐性』と『状態異常耐性』が両方あるのに〈睡眠〉にされたからな。ちなみにその後〈即死〉も食らった」
「エリサさん、あなたにお聞きしたい。あれはいったい?」
「へ、私?」
そんな感じで次々不思議な〈エデン〉の 職業 ( ジョブ ) を聞きに行く〈ギルバドヨッシャー〉たち。知識に貪欲だなぁ。
「え? これ答えちゃっていいのゼフィルス?」
「ラナのはダメだな。他にも 職業 ( ジョブ ) 名が明かせない人が何人かいるけど、スキルだったら少しくらい答えていいぞ。ギルドバトルで役立つものがたくさんあるからな」
「で、では! あの宝剣、なぜあれがマスの減退を無視し、超長距離攻撃を可能にしているのですか? ラナ殿下、教えてください」
「え~、もうしょうがないわね!」
「あれは言っちゃダメなやつだからな? まあ、理屈くらいならいいが」
もちろん〈ギルバドヨッシャー〉には広めてはいけないここだけの話としていくつか独特なスキル効果を話しておいた。
これを知っていると知らないとでは大きく影響が出るからな。
もちろん全部は話さない。
ラナの宝剣も理屈は話すがスキル名や効果範囲、何マスまで攻撃が届くのかなどは内緒だ。
ただそういう、装備と 職業 ( ジョブ ) を組み合わせる専用装備があるということだけ知ってもらった。まあ、これはユミキ先輩や【大罪】系の人たちに通じるものがあるので、ラナもそんな感じだと仄めかす程度だけどな。
〈ギルバドヨッシャー〉ならなんとかして探し出すんじゃなかろうか?
「これは助かる」
「捗るな」
インサー先輩やオサムス先輩は表情がハイになりすぎているな。
そろそろお開きかな?
まだまだ知りたいことがいっぱいあるだろうが、明日も授業がある。
あまり遅くなりすぎてもいけない。
「おーいインサー先輩、オサムス先輩、帰ってこーい」
「あ、ゼフィルスさんそのままでいいですよ。多分朝までこのままだと思いますから」
ちょっとヘヴンに飛び立って戻って来なくなってしまった2人の肩を揺らしていると、メイコさんが放置で良いと助言をくれたのでそのままにしておいた。
明日の授業とかどうするのかな?
「なあメイコさん、ついでに教えてほしいんだが、あのオスカー君がさっきから隠れながらこっそり俺のことを見てくるんだが、あれはどうすれば良いんだ?」
「? ああオスカーさんですね。気にしないでいいですよ。あれはそういう病気ですから」
「病気か~」
病に侵されているのか。
どんな病かは聞くまい。学生には時々こうなってしまう者がいるのだ。そっとしておいてあげるのが優しさ。 突 ( つつ ) いたり塩を塗ってはいけない。
「オスカーさん、ゼフィルスさんのことがとても気に入っているんだと思いますよ?」
「そうかな~」
「混沌!」
「…………そういえば時々混沌って叫ぶのはどうしてなんだ? あと叫ぶときのあのポーズは」
「気にしないでください。私たちも気にしていませんから。あれはただの病です」
そうか。それなら突かない方がいいな。
オスカー君とはちょっと語り合いたかったのだが、近づいたらなぜか逃げられたので話すことは適わなかった。残念。
まあいいか。人にはそっと傍観していたい、そう思うこともあるのだ。
それって推しを前にするファンの行動に似ている気がするんだよなぁ。
まあ気にしないようにしよう。
こうして無事約束だった〈ギルバドヨッシャー〉との練習試合も終わり、宴会も解散になった。
いや~〈ギルバドヨッシャー〉とのギルドバトル、今までで一番面白かった。
やっぱり張り合いのある相手とやるのが最高だ!
〈ギルバドヨッシャー〉は今後、ギルドの戦力を高めることに注力するらしい。
それが正解だ。
戦力が増えれば出来ることも増える。
選択肢をどれだけ多く持てるのかがギルドバトルでは重要だ。
〈ギルバドヨッシャー〉は今後もまだまだ強くなる。
強くなった〈ギルバドヨッシャー〉との試合が楽しみで仕方ない。
次はいつになるかなぁ。
俺はそう遠くない日、さらにパワーアップした〈ギルバドヨッシャー〉が再戦を挑んでくることを楽しみにしながら帰路に着く。
第二十二章 ―完―
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あとがき失礼いたします。
近況ノートに次章予告を貼り付けました!
次章ちょっと気になる方はどうぞ!
https://kakuyomu.jp/users/432301/news/16817330662415094442