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第1079話 アイギスがご乱心だ。幼竜の時と真逆の現象。

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第1079話 アイギスがご乱心だ。幼竜の時と真逆の現象。

「クワァ!」

「「「「わぁ~!」」」」

「「「可愛い!」」」

「「「綺麗~!」」」

〈聖竜の若竜〉に進化したゼニスが一鳴きすると、メンバーから歓声が轟いた。

鳴き声は幼竜の時と比べてちょっと低くなったかな? という程度であまり変わらないようだ。

ついでに美しさが増し、より綺麗となったゼニスの周囲に集まって体を触りまくる。ゼニスは一瞬で揉みくちゃにされていった。竜なのに。

「ク、クワァ! クワァ!?」

「ねぇねぇゼニスちゃん、頭下げて、顎触らせて!」

「わ、私は頭を撫でてみたいです」

「私は首を撫でてみたいわ」

「翼がすごいよ~」

「凜々しくて綺麗~」

「白い輝きが美しいね」

「ふわ~、こんなに大きくなっちゃって、ゼニスに乗って空を駆け回りたいわね!」

「今のゼニスなら、可能かもしれませんね。これが【竜騎姫】が乗る竜ですか。アイギスが羨ましいです」

ゼニスの顔部分を目指すノエルやラクリッテにタバサ先輩、翼部分で騒ぐ仲良し3人娘、広くなった背中を大胆に撫でながら目を輝かせるラナと控えるエステルなどなど。

ゼニスは一瞬で大人気となった。

俺たち男性陣とアニィはすぐに下がったので巻き込まれずに済んだ。

「ふう。危なかったぜ」

「す、すごい人気ですね!」

改めて揉みくちゃにされているゼニスをアニィと見る。

ゼニスは大きくなった。見た目の姿は細く長く可愛らしい首とスリムな胴体などは幼竜の時と大きく変わらない、翼は聖属性にうっすらと光り、美しくなっているのが大きな変化か。幼竜を美しくして格段に大きく成長した感じの竜だ。

今までちっちゃくて可愛かったが、今度は綺麗というか美しい感じの印象を抱く。

まあ、現在揉みくちゃにされている最中なのだが。

「ク、クワァ」

ゼニスが助けを求める目で俺を見ているが、俺は首を振るだけだ。

すまん。さすがにそれは抑えられん。頑張れゼニス。

ちなみにアイギスは率先して首の根元に抱きついたままだ。もうギューっとした感じ。

とはいえ10分もすれば落ち着いてきた。いや、さすがに落ち着かせた。

なんだか女性陣がみんなツヤツヤしている。とても癒されたらしい。

「堪能しました。いえ、まだ堪能しきれていませんが、とりあえずはこのくらいで終わらせておかないと、今日1日が潰れてしまいそうですからね」

「ようやく落ち着いたかアイギス」

うむ、こんなご乱心なアイギスは初めて見たぜ。

ゼニスもとても残念なものを見る目でアイギスを見ているぞ? ゼニスのこんな表情も初めて見た。

とりあえず、女性陣が落ち着いてきた頃を見計らい、俺が締めに入る。

「こほん。ともかくだ。当初の予想通り、ここまで大きくなってしまったらもうギルドハウスで暮らすことはできないな」

「ダメです」

「…………?」

おかしいな。今ダメって言葉が聞こえた気がする。

そしてそれは、気のせいでは無かったようだ。

「ゼニスはこれまで通りギルドハウスで暮らします!」

「アイギス!?」

ベッタリゼニスに抱きついたアイギスが抗議してきた。

あれ?? 大きくなるから〈ファーム〉へ預けるんだと率先して動いていたのはアイギスじゃなかったっけ??

「ゼニスは可愛いのです。それにまだ生まれてから1ヶ月しか経っていないのですよ? 親元から離すなんて可哀想ではないですか」

「い、いや。確かに言いたいことは分かるが……!?」

ここに来てアイギスがまさかの事態。

きっとハートを撃ち抜かれたのだろう。よくあることだ。

だが、さすがに7メートルクラスの竜をギルドハウスで飼うのは無理だぞ? まず扉を通れない。

「クワァ……」

ほらゼニスだって困惑しちゃってるぞ?

さて、どうアイギスを説得しようかと悩んでいると、そこに頼りになる仲間がやってきた。

「アイギスお姉ちゃん、愛で縛るのはいけないのです!」

「ルル!?」

はい。ルルが来ました!

「愛は尊いものなのです。近くで愛でたいというのはよくわかるのです。ですが、それで縛るのは良くない愛なのです!」

「良くない、愛……!?」

さすがはルル。

独自の理論でアイギスを諭す。

俺たちはそっと見守った。――じゃなくて聞き入った。

「アイギスお姉ちゃん、ゼニスの表情をよく見るのです。とても困った顔をしているのです」

「ゼニス……」

「クワァ!」

ゼニスの表情はもっと言ってやれという感じに見えるが、きっと気のせいだろう。

ゼニスは困っているのだ。

「一方的な愛は重荷になってしまうのです! それは動物さんでもぬいぐるみさんでも変わらないのです」

おお……。ルルが言うと妙に心に染みる。

「アイギスお姉ちゃんはゼニスを狭い家に押し込め、不自由な思いをさせるのです? それがアイギスお姉ちゃんの愛なのです?」

「うう。そうでした。私が間違っていました。ゼニスに危うく軟禁生活をさせてしまうところでした」

「アイギスお姉ちゃん、分かってくれたのです」

「はい。申し訳ありません。そしてありがとうございますルル」

お、おお!

ルルの説得が届いた!

アイギスが我に返ったぞ!

「ク、クワァ」

ほら、ゼニスがホッとした表情だ。

きっとアイギスのご乱心にビックリしたのだろう。

「ですが、〈ファーム〉での1人暮らしはやっぱり心配です」

「クワァ!」

アイギスが心配そうにゼニスを見つめるが、ゼニスはそんなことない、1人でもやっていけると言わんばかりに胸を張るポーズを取った。

さっきの幼竜の時のゼニスではやりそうにないポーズだ。

もしかしたら進化したことで性格に変化が見られたのかもしれない。

たとえ1人暮らしでも楽勝だと言わんばかりのゼニスと、心配そうに引き留めるアイギス。

朝のゼニスとアイギスの立場が逆転してしまっているな。

だが、そんな心配を取り除くのも〈ファーム〉に務める人の仕事だ。

「心配しなくても大丈夫ですよ! 〈エデン〉のモンスターは僕が責任持ってしっかりお世話しますからね!」

「あ、アニィさん」

そこで前に出たのは【モンスターブリーダー】のアニィだ。

アニィはそのまま親指と人差し指で輪のようなものを作るとそれを口に咥えて指笛を吹いた。

「『みんな集まれ』! ピー! これからここに住んでいるゼニスの家族になる子たちを紹介しますね。みんな良い子たちなんですよ!」

スキルが発動してアニィの言葉が終わると同時に足音が多数聞こえてくる。

「わ! すごい!」

「なんだかいっぱい来たのです!」

ハンナとルルが柵から身を乗り出す勢いで見たのは、〈ファーム〉に預けられているモンスターたちなのだろう。それがかなりの集団でやってきていた。

「あ! ウーちゃん! ルーちゃん! フーちゃん! それにチーちゃんにミーちゃん、リーちゃんもいる!」

「フラウのモンスターたちですわね」

「みんな仲良しさんみたいです」

やってきた中にはフラーミナのテイムモンスターたちもいた。

テイマーは基本ここにモンスターを預けるからな。

それはフラーミナも例外ではなく、モンスターは〈ファーム〉に預けていた。

「みんな~。今日から新しい仲間が来ますよ! それがこの子、ゼニスちゃんでーす!」

「クワァ!」

「「「ウォン!」」」

「(ぷるぷる)」

「クニャ」

「――!」

真っ先にゼニスに向かってきたのはフラーミナのテイムモンスターだった。

その後ろからは見慣れないモンスターが多数。なんか本当に集団規模でやってきた。

柵が無ければ第二回揉みくちゃイベントが始まっていたところだ。

「えへへ~。この子たちはみんな〈集え・テイマーサモナー〉の従魔たちなんですよ。僕が担当してます!」

「へ? じゃあ私のモンスターも?」

「はい! 〈エデン〉のモンスターの管理も僕が任されています!」

「俺が頼んだ。〈上級転職チケット〉を渡した恩を少しでも返したいと言われてな」

元々〈ファーム〉で脱走騒ぎがあったのは、担当者の手が届かないほどの上級モンスターが〈ファーム〉に預けられていたからだ。

そこでアニィは自らが【モンスターブリーダー】となり、上級モンスターの管理をすることにしたわけだが、その担当モンスターは当然自分のギルドの子たちとなる。しかし〈上級転職チケット〉の縁もあり、〈エデン〉のモンスターもアニィが面倒を見てくれているのだ。脱走やトラブルなんてさせないという自信を感じさせる。

柵の前に集まったモンスターたちがみんなゼニスを歓迎している雰囲気をしていた。

「だから大丈夫です。みんなでゼニスちゃんを守るし仲良くしますよ! この子たちみんなゼニスちゃんの味方です! 僕たちに任せてください!」

そう胸を張るアニィに、アイギスがゼニスの下を離れて近づき頭を下げる。

「はい。これを見て安心しました。私たちのゼニスをどうかよろしくお願いいたします」

「任せてください!」

こうして、ゼニスが〈ファーム〉に預けられることが決まった。

〈ファーム〉の中に入ったゼニスは仲間のモンスターたちに大歓迎され、続いて広い〈ファーム〉で追いかけっこを始める。

自由に空を飛び回り、他のモンスターと遊び始めるゼニスを見て心が和んだ。

「大丈夫です! アイテム〈モンスターカモン〉をダンジョンで使えばすぐに会えますし、ここに来ても会えますから! そんな心配しなくても大丈夫ですよ!」

「そうですね。はい。会いに来ます。毎日」

「じゃあアニィ、改めてゼニスを頼む」

「任せてください!」

元気いっぱいに請け負ってくれるアニィが心強い。

俺たちはゼニスが〈ファーム〉に打ち解けたのを見届けてギルドハウスへと一度帰還したのだった。

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後書き失礼します。

フラーミナのテイムモンスター。名前と詳細メモ。ステータスから抜擢。

〈バトルウルフ(第三形態)〉ウーちゃん

〈ラウルゼ〉ルーちゃん

〈バトルウルフ(第三形態)〉フーちゃん

〈ウルトラモチッコ〉チーちゃん

〈ツルギノニャイチ〉ミーちゃん

〈ハイフェアリー〉リーちゃん

また、アイギスは〈新学年〉なので最近はみんな先輩を取って「アイギス」と呼んでいたりします。