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第1081話 ギルドの油断は波乱へ繋がる。

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第1081話 ギルドの油断は波乱へ繋がる。

〈ヒナミュー〉が進化すると、〈戦車鳥ピュイチ〉になる。

戦車鳥だ。

名前の通り戦車のような鳥だな。

巨大な身体、背中に主を乗せて走り、蹴りでモンスター共を蹂躙しながら走る。別名〈蹂躙のピュイチ〉とも呼ばれている、エミュー型モンスターだ。

割と可愛いかも知れないが、成長すれば戦車の名の通りデカくなる。

〈聖竜の若竜〉となったゼニスと同じくらいデッカくなる。

つまりギルドハウスには置けなくなるだろう。

そうメンバーに言ったところ、進化反対の声は大きくなった。

そんなわけで、とりあえず〈ヒナミュー〉の進化は保留となった。

そう、あくまで保留だ。

別にマスコットは〈ヒナミュー〉じゃなくちゃいけないなんてことはない。

そのうち代替わりしてもらえばいいのだ。

ふっふっふ、俺はまだ〈ピュイチ〉を諦めたわけじゃないぞ。

さて、では切り替えていこうか。

今日は土曜日。

色々ありすぎてすでに午後になってしまったが、何をしようかというところ。

「誰かが面倒を見る必要があります。私が請け負いましょうか?」

「あ、エステルお姉ちゃん! それはルルのお役目なのです! 任せるのです!」

「いいえ、この子は私のテイムモンスターだよ! 私がお世話するよ!」

「ですがフラウ、卵はゼフィルスさんからの頂き物ですよ? ギルド共有財産では?」

などなど、〈エデン〉内が混沌としているのだ。

みんなヒナを見ていたいんだな。

となると、ダンジョンに行こうぜとも誘いづらい。

こんな時に頼りになるのはシエラだ。シエラはどこだ?

「生まれたばかりでお腹が減っているでしょう? ごはんは食べるかしら?」

「おう……」

率先してエサの準備を進めていらっしゃった。今回はシエラもあちら側らしい。

これはあれだな。久しぶりに男子行動か? ということで近くに居たメルトに話しかける。

「メルトちょっといいか、実は男子を誘ってダンジョンに……あれレグラムは? ラウも、あとセレスタンもいない? さっきまで居たはずだが、どこに行ったんだ?」

「レグラムならオリヒメさんとデートに行ったぞ。休日デートだ」

「それは……一緒にダンジョンにはいけないな」

「それとラウもガルゼ先輩のところに行っているらしい」

「修業か」

「セレスタンは、また色々手続きがあるということでサトルを誘ってどこかに行った。多分さっきの進化したゼニスの案件だぞ」

「…………」

男子行動も取れない、だと?

大ピンチじゃん!

「女子が落ち着くのを待つしか無いんじゃないか? ちなみに俺もこの後用事があってな。席を外させてもらうつもりだ」

「マジか……全滅じゃないか。いや、だがこのままギルドハウスでじっと待つというのは勿体ない。せっかくの土曜日にこれは勿体ない」

「ん? ああそうだな。ゼフィルスよ、少し落ち着くといい」

「大丈夫だ。冷静に今すべきことを模索しているさ」

「いや、こうやってシエラ嬢が目を離したゼフィルスの行動が一番はっちゃけてって――おいゼフィルス、どこに行く?」

「いいことを思いついた!」

「いや待てゼフィルスちょっと落ち着け! いったい何をするつもりだ!」

「行くぜ。神速勇者ダッシュ!」

「お、おいゼフィルス!?」

こうして俺は1人、ギルドハウスを後にした。

「あれゼフィルスさん? そんなに急いでどこに行くのですか?」

「アイギス? あれ、どうしてそっちから来るんだ?」

「?」

止められる前にギルドハウスから逃走、もといダッシュして進んでいると、前から1人の見慣れた女子がやってきたので立ち止まる。

そこにいたのはアイギスだった。あれ、そういえば俺たちが帰還した後もアイギスだけ〈ファーム〉に残ったんだったっけ?

「私はギルドハウスに向かうところです。ゼニスが〈ファーム〉に慣れるところをちゃんと見届けてきました」

「もう慣れたのか!?」

「結構早く馴染んでいましたよ。アニィさんも協力してくれましたから」

「それは良かったな」

どうやらゼニスの方は 一段落 ( いちだんらく ) したらしい。

そうか。アイギスはヒナのことを知らないのか。

……新たなマスコットがギルドハウスに生まれたなんて知ったらアイギスとゼニスがどんな反応をするのか気になるところだ。

でも今は言わないでおこう。

「それで、ゼフィルスさんはそんなに走ってどちらに行こうとしていたのですか?」

「おう。ちょっと〈ギルバドヨッシャー〉のギルドハウスに行こうと思ってな」

「ああ。いつものあれですね。何事かと思いました」

Sランクギルド〈ギルバドヨッシャー〉。

そこへ俺が時々お邪魔しているというのは〈エデン〉では有名な話だ。

大体はギルドバトルの戦略シミュレーションのためだ。

色々なパターンで会話が尽きず、なんだかいつも盛り上がるんだ。

「いやアイギス、今回はそれじゃ無いんだ。実はいいことを思いついてな」

「いいこと……なんでしょうか? なんだか聞くのが怖いですね」

「怖いことはないぞ? 戦略シミュレーションはいつでもできる。というか、〈ギルバドヨッシャー〉はもう少し時間をおいた方がいいな。今はぐつぐつ煮詰めている期間だ。俺が口を出せば重要な部分の考察が疎かになって今後の戦略の考察に支障が出る可能性がある。だから今日は戦略シミュレーションとは別口だ」

「……それは?」

俺の言葉に一瞬詰まった様子のアイギスが聞いてきたので答える。

「前に〈キングアブソリュート〉を始めとした多くのギルドと合同で〈岩ダン〉を攻略したことがあっただろ?」

「たった3週間ほど前のことですもの。記憶に新しいですよ」

「それでな。その時は3年生が中心だったんだ。〈キングアブソリュート〉のユーリ先輩に〈獣王ガルタイガ〉のガルゼ先輩、〈百鬼夜行〉のヨウカ先輩に〈千剣フラカル〉のカノン先輩、キリちゃん先輩などなど。主要な人たちはみんな〈戦闘課3年1組〉でクラスメイト、つまり仲が良かったみんなで〈岩ダン〉を攻略したわけだ」

「…………その、豪華な友達の輪ですね。いえ、それは〈エデン〉にも該当しますけど」

「それで、いくつかのギルドから要望が入ってたんだ。要はうちのギルドもお願いしますって感じの依頼だ。それが2年生がギルドマスターをやっているギルドたちから来てたんだ」

「…………え、ええ?」

さすがはアイギスだ。俺の言葉に現在どういうことが起きていて、俺が何をするのかすぐに分かったのだろう。

「まさかゼフィルスさん」

「おう。これを受けようと思う。第二回、合同攻略を開催するぜ! 今回はSランクギルド〈ギルバドヨッシャー〉を始め、Aランクギルドの〈ミーティア〉、〈カオスアビス〉、〈サクセスブレーン〉、〈集え・テイマーサモナー〉で行く! 2年生ギルド主体だ! 最近2年生はレベル上げが疎かになっているらしいからな。あとは学園公式ギルドの〈ハンター委員会〉も連れて行けたらと考えている!」

「…………シエラさんはこのことを知っているのでしょうか? ゼフィルスさんが何かから逃げてきたように見えたのですが。もしかしたら気のせいでは無かったのかもしれません」

逃げてきたんじゃないよ。ほんとだよ? シエラには言ってないけど。