第1114話 金箱回!〈採集課〉も唸る〈激しいシリーズ〉!
第1114話 金箱回!〈採集課〉も唸る〈激しいシリーズ〉!
「本日最後の宝箱は――〈金箱〉だーーー!!」
「「「おーいえー!」」」
俺のシャウトに仲良し3人娘が反応してくれる。
良い反応サンクス!
俺は〈金箱〉に飛びつきたい気持ちをグッと抑え、見学していたメンバーをおいでおいでする。
ててててーと真っ先に駆けてきたルルとカルアが可愛い。
それに何度か頷いてからメンバーが集まるまでの間、今戦ったゼフィルスチームとシエラチームのメンバーを褒めておく。
「いやぁ。みんな完璧だった! 素晴らしい連携とタイミングだったよ。おかげで3回で倒せたし、ほとんど被害も無かった! 見ろ、俺たちサブヒーラー組を。ヒーラーポジションなのに攻撃しかした記憶がないぞ!」
マジ完璧。
3回目の一斉攻撃で仕留めたので眷属が出てきたのはたったの2回だけ。全部ラクリッテとシエラが完璧に対処してくれたのでダメージはほとんど無い。
ラクリッテとシエラはさすがにノーダメージとはいかなかったものの、対処する能力が高いので回復を使うまでも無かった。これヒーラーいらなくない?
俺途中から自分がヒーラーポジだって忘れかけてたよ。
「35層でラナ殿下たちの戦闘を見ていたのが大きかったと思うわ。アレを見ていなければもう少し苦戦したかもしれないもの」
「は、はい! おかげでイメージが出来ていましたから。それと眷属の早期殲滅も大きいです。もうちょっと時間が掛かっていたらさすがに大きなダメージは受けていたと思います」
シエラとラクリッテがタンクとしての見解を述べる。
全くそんな風に見えなかったが、2人とも謙虚である。
「とはいえ楽勝だったのには変わりない! これもみんなのおかげだな!」
「いえーい!」
「いえーい!」
ということで勝利のハイタッチだ。
ルキアからのハイタッチを受けると、みんなともハイタッチを交わす。
「ルルもやるのです! いえーいなのです!」
「ん、いえーい」
「いえーい!」
いつの間にかルルとカルアまで混ざっていた。もちろんハイタッチ。
「ゼフィルス、〈金箱〉じゃない! 誰が開けるの?」
ラナの一言で俺はちょっと悩ましいポーズを取る。
今回はみんなが良い活躍をしていた。連携力の勝利だ。
そうなると「この人が活躍したからこの人が開ける」とはならない。
開ける人を選ばなければならないのだ。
あれ? それっていつものことでは? ……いやきっと気のせいだ。
「じゃあ、〈金箱〉を開けたい人!」
「「「「「はい!」」」」」
「ちょ、挙げる人オーバー!?」
気が付けばルルやカルア、ラナまで手を挙げてた。15人以上挙げている気がする。
あ、エリサ、両手を挙げてはいけません。両方降ろしてください。
ということで、恒例の神聖なクジ引きで決めることにした。
「今回もクジ引きで決めるぞ!」
「用意しますわね。――どうぞゼフィルスさん」
「サンキューリーナ」
リーナが〈 空間収納鞄 ( アイテムバッグ ) 〉からクジを取り出して渡してきたので受け取る。
こういう時のため、クジ引きはちゃんと 用意 ( ストック ) してあるのだ。よくあることだからな。
10本のクジを選び、内赤い印の付いたクジを1本紛れ込ませる。
確率は10分の1。悩ましい!
「ではまず私が引いてあげるわ!」
「ルルも先に引きたいです!」
「ん!」
「いやいや、3人は参加者じゃないからな!?」
ラナとルルとカルアが参加を表明するも却下した。
真っ先に手を挙げてきたことといい、手慣れているな。
しかし、3人ともただの冗談だ。本気で俺たちの宝箱を欲しがっているわけではない。
……本気じゃないよね?
「じゃあクジを引いてくれ。誰から引く?」
「では私から引くわ」
「シエラ、別にもっと最後の方でも良いんだぞ?」
「いいのよ。それに当たるときは当たるわ」
10本中、当たりは1本。
最初に引くことは最も当たる可能性が低い気がして、引きたがる人はあまりいない。
しかし、そんなところで真っ先に手を挙げるのがシエラだ。
たまには〈金箱〉を開ければ良いのに。
その思いが通じてしまったのかもしれないな。
シエラがなんのためらいもなく、ひょいっと引っこ抜いたクジには赤い当りの印が付いていたのだった。
「あら?」
「当たっちゃった!?」
「キターー!!」
「1発目からだと!?」
ラナと俺、次に引こうとしていたラウが驚きの声を上げる。
マジか!
1発目からシエラが引き当てた!?
まさかの展開。
最初に当たりが来るとか、クジではなかなか見られないぞ!
く~残念。でも、良いもの見れた!
「おめでとうシエラ!」
「ええ。ありがとね。その、ゼフィルスも一緒に開ける?」
「良いのか!?」
このクジ引きには一つ弱点がある。
親 ( 俺 ) がクジを引けるのは、最後という点だ。
それまでに当たりを引かれてしまう可能性が圧倒的に高く、実は今まで一度として俺の番が回ってきたことが無かったりする。みんな運が良すぎじゃない? もっと外してもいいのだよ?
そんな俺に気を使ってくれたのかもしれない。シエラが共同作業を誘ってくれたのだ。
これは飛びつかずにはいられない。
「な、なんて自然な誘い方なの」
「さ、さすがはシエラさんですわ」
ラナを始め、女子たちがざわざわしていたが、〈金箱〉を開けられるということでワクワクしていた俺の耳には入らなかった。
早速宝箱の左側に陣取ったら、少ししてシエラが隣にしゃがみ込む。
その顔は少し赤かった。
「シエラ~頑張るのです!」
「シエラさんしっかりねー!」
「応援してるよー」
「攻めていくのよーほらもうちょっとくっついてー」
なぜかシエラへの応援が聞こえる。
あれ? 俺への応援はどこ?
ラナの方を向いてみると「むむむ」と難しい顔で俺を見ていた。
き、〈金箱〉は渡さないぞ?
俺はスッと目を逸らしてお祈りに集中する。
「〈幸猫様〉〈仔猫様〉、本日最後の〈金箱〉なんです。良いものください!」
「ゼフィルス、せーので開けるわよ」
「おう!」
「せーの!」
「せ!」
パカッと〈金箱〉を開けると先ほどのざわめきはどこへやら。みんなが〈金箱〉の中を覗き込む。
〈金箱〉の中には、一つの赤い木槌が入っていた。
おお!
「これは、結構大きいわね。みんな離れて、取り出してみるわ」
「『解析』はお任せくださいな。〈幼若竜〉はすでに用意してありますわ」
シエラが取り出すと、木槌はもうハンマーと呼ぶのがふさわしいくらい大きくなって現れた。
すぐにリーナが〈幼若竜〉を向けて『解析』する。
「これは、名称〈激しい木槌〉と言うそうですわ。スキルは、これはなんでしょう『良質』『大発掘』『一日一魂』とありますわ」
「こ、これは〈激しい採集シリーズ〉の木槌じゃないですか!?」
「モナ、知っているのか!?」
なんとそこにやって来ていたのは〈採集無双〉の面々。いつの間にやって来たのか今では最前列で木槌を見ていた。かなり興奮している様子だ。
ふっふっふ、いいだろう。俺が解説してやるぜ!
「そのとおり、これは〈優しい採集シリーズ〉のパワーアップ版と思っていい。『大発掘』とは『発掘』の上位ツリーで、一度に『発掘』できる量が大きく増える。そして『良質』はレアドロップ率上昇効果だ。さらに『一日一魂』はアクティブスキル。1日に一度しか使えないが、強力な威力で発掘ポイントを穿ち数倍の量プラス激レアアイテムまで発掘することが可能になる! しかもこれ、誰でも使えるのだ! 凄かろう?」
「おおおお!」
俺の解説にモナが珍しく震える声を出した。
〈激しい〉の激は〈激レア〉の激だ。俺、激大好き。
なお、発掘担当で無口なソドガガは目を輝かせているだけだ。
モナはソドガガに付き添って『発掘』をしまくってきた経緯があるからな。『発掘』にも興味があるんだろう。
「何よその効果、すごいじゃない!」
「そうだろうそうだろう! さすがは〈金箱〉だ!」
「…………」
ラナもこれの価値に気がついたようだ。
1日に1回しか使えないとは言え、〈採集職〉の『発掘』じゃないと手に入らない激レア 採集物 ( アイテム ) 、つまり素材では無い〈結晶〉や〈宝玉〉をゲット可能と言っているのだ。〈採集職〉であっても『一日一魂』はかなり魅力的な能力だろう。
〈幸猫様〉〈仔猫様〉ありがとうございます!
後でたっぷりお供え物しに行きます!
あと説明したらシエラから横目のジト目を貰いました! ありがとうございます!
「よし、早速使って見るか?」
「いいわね! シエラ、あそこの山の付け根に発掘ポイントがあったはずよ! 行きましょう!」
「ええ。ちょっと楽しみね」
「あ、僕たちにも見せてください!」
またまた全員で移動し、真上に直立するように立った山の付け根部分にある『発掘』ポイントを見つけた。
どうやら俺たちが戦闘している間見つけたものらしく、後でソドガガが『発掘』する予定だったとのことだ。
良いタイミングだぜ。
案内されて前に出たシエラが両手で木槌を振りかぶる。
「じゃあ行くわね――『一日一魂』! 『大発掘』!」
スキルを使い、木槌を振り下ろすシエラ。
『発掘』ポイントにぶつけると、ドーンという破砕音がして辺りにキラキラしたものが飛び散った。明らかに数十個、もしかしたら百個近くの素材やアイテムが発掘ポイントから飛び出るように溢れ出したのだ。
「わ、わ、わ! すごいのです! たくさん出てきたのです!」
「おいおい、〈宝玉〉があるぞ。これ1個だけでとんでもない金額になる」
「こっちは結晶が3個もあったよ!」
ルルが驚きに声を上げ、ラウが足下に転がってきた〈宝玉〉を拾い上げて引きつった笑顔を浮かべ、ルキアも3個の〈結晶〉を抱えて報告してきた。
「たった1回『発掘』するだけで、この成果なのね」
「これは素晴らしいですね。ですが1日1回しか使えないというのはネックです。帰還したらどこを掘るべきか検討しましょう」
「予想以上ですわ。わたくしは『発掘』した素材やアイテムの使い道を考えますわ」
シエラが木槌を見て呟き、セレスタンとリーナがそれぞれで相談し合っていた。
ふっふっふ、いずれも〈ダン活〉プレイヤーも通った道だ。無数にある発掘ポイントの内1日1つしか掘れないというのは色々とネック。欲しい素材が出る場所を洗い出し、優先順位を決めなくてはならない。セレスタンには後で俺からこっそり教えよう。
ちなみにモナたち〈採集無双〉はテンション上げながら自力で発掘しまくっていた。何か刺激を受けたのかもしれない。インパクトが凄かったからなぁ。
この〈激しいシリーズ〉は上級ダンジョンの〈金箱〉産。採集特化アイテムだ。
これをゲットしたからには今後は毎日発掘だな!
こうして全ての発掘品を回収し終えた俺たちはショートカット転移陣を起動して帰還した。
明日には最奥まで行くぜ!