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第1117話 〈アリドレン〉戦決着!五ツリメンバーの本気

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第1117話 〈アリドレン〉戦決着!五ツリメンバーの本気

「いっくよー! 『プリンセスアイドルライブ』♪ 『ヒーリング・ミュージック』♪ 『リズム・メロディ・ハーモニィ』♪」

まずノエルの歌が全体を包んだ。

『ヒーリング・ミュージック』は〈五ツリ〉。歌が流れている間、全体に強力な継続回復とバフを付与する強力なスキルだ。

さらにステータス全上昇の『リズム・メロディ・ハーモニィ』が続く。

「バフを強化しますわね。『総大将』!」

これはリーナの〈五ツリ〉。パーティ内で一つ前に使われた〈 強化 ( バフ ) 〉の効力をさらに上昇させる効果を持つ。これによりノエルの『リズム・メロディ・ハーモニィ』の能力がさらに上がった。このコンボがとんでもなく強いんだ。

「ラララ~! ララ~!」

「ポン! 騙されて 怯 ( ひる ) め、驚いて止まれ――『たぬきだまし』!」

「ラ!?」

「うお。成功かよ! 『テンペストセイバー』!」

〈アリドレン〉がまたなにかしようと手を振り上げる動作をすると、すぐにラクリッテが前に出て〈四ツリ〉スキルを使う。

『たぬきだまし』は挑発スキルだが、付属効果が結構強い。タヌキの霊を出して「バァ」と驚かせるのだが、その時低確率で相手が驚いて一瞬硬直するのだ。要はねこだましの狸版。もちろん相手がしようとしていた攻撃もキャンセルする。強い。

ただ成功率がLV10にしても低く、SPを振るのは躊躇するため俺はLV1で止めていた。

まさか狙って成功させるとか、ビックリだぜ。もちろんその隙は逃さない。『テンペストセイバー』で一気に突っ込んで斬るとそのまま側面に回り込んで『 勇者の剣 ( ブレイブスラッシュ ) 』を叩き込んだ。これがいつも以上に良いダメージが入る。

「さすが、ノエルとリーナのバフが効いてるな――『聖剣』!」

「ララララ!」

「そちらばかり気にしていて良いのか? 『獣王バスター』!」

「ラ!?」

再び動き出した〈アリドレン〉がラクリッテと俺に向かって蔓の鞭8本を縦横無尽に操り迎撃せんとしたところ、すでに『超進化』でワーウルフ状態になっていたラウが『獣王バスター』を背に叩き込んだ。これによってほんの少しノックバックして蔓の攻撃が止まる。

ラウはガルゼ先輩が使っていた 職業 ( ジョブ ) 【獣王】に就いているからか、戦い方がガルゼ先輩に似てきたな。まず『超進化』を使っておくところとか。

とはいえ〈クーラーユニークアームレット〉が無いので連続では使えないけどな。

そこからラウのラッシュが続く。

「『 正拳 ( せいけん ) ダッシュ』! 『イノセントブレイク』! 『バースト・スマッシュ』! 『ブリッツスマッシュ』!」

「ララ~!!」

また、ラウはガルゼ先輩のような肉体で跳ね返す系では無く、スピードで 翻弄 ( ほんろう ) する系だ。

ヒットアンドアウェイが得意で〈二ツリ〉や〈三ツリ〉を混ぜ、的確に拳の攻撃を入れて行く。さすが、拳系は回転が速い。

さらに拳系の場合、ユニークスキル『武器など不要、この獣王の肉体こそが最強の武器』が発動する。これはSTRのステータスを1.8倍にし、拳での通常攻撃に軽い吹き飛ばし効果を付与、さらにノックバックに強い耐性を得る強力なパッシブスキルだ。

これに『拳ブースト』が合わさると、最大でSTRが2.4倍になるのだからとんでもない。

しかもこれパッシブなので常時発動である。さらにユニークスキル『超進化』が使われて全能力値がアップしていると、並の敵では相手にすらならない。

また、通常の攻撃アクションに吹き飛ばし効果が乗っているのがヤバく、相手の蔓とか闇とか、ちょっとした攻撃ならば通常攻撃でぶっ飛ばせるのだ。スキルすら要らないとかとんでもない。ガルゼ先輩がロデン先輩と戦った時に闇を吹き飛ばしていたあれの正体だな。

ラウのラッシュに蔓を16本に増やして反撃する〈アリドレン〉。ここでようやくラウも蔓への迎撃で手一杯になり本体への攻撃が届かなくなる。

「一旦下がる!」

「ラララ~!!」

「ラクリッテ!」

「ポン! 狸の霊よ相手の力を奪え――『アームカース』!」

攻撃の密度にラウが一旦下がるとラクリッテが前に出た。

ラクリッテの『アームカース』は狸の霊を呼び出し、相手の攻撃力と魔法力を奪うデバフだ。ちなみにドレイン系ではない。

ならばと、今度はラクリッテを蔓で拘束、身動きを封じた上で光の魔法を放とうとする〈アリドレン〉。

「させませんわ! 『援護兵砲・タクティカルキャノン』!」

「おっとそこだ! 『ライトニングバニッシュ』だ!」

「弱点どこかな『メンタルサーチ』♪ 右手側の枝が打撃に弱いみたい! 背中部分は斬撃に弱いよ」

「おう!」

「ラ~!!」

リーナが遠距離から兵砲を放ってくる。リーナの五段階目ツリーは兵砲の召喚が主だ。今までサポート重視だったのが、兵砲を操ることでアタッカーの色を出してくる。援護から城壁の破壊までとんでもなく強力なスキルを使い始めるのだ。

小さい物から大きい物まで兵器を召喚して撃つ。溜めが大きいのも多く、攻撃こそ遅いが威力は絶大。

『援護兵砲・タクティカルキャノン』は、砲とはいえその砲弾は小さく、俺たち前衛になんの影響を及ぼすことなく〈アリドレン〉の肩にヒット。ノックバックを取ってなかなかのダメージを与えた。

すかさず追撃を叩き込む。だが蔓に阻まれ一歩遅かった。ノックバックダウンならず、残念。

ノエルが弱点を看破してくれたし、今度はそこを攻撃すればダウンが取れるかな?

それから徐々にこちらの優勢に進んでいく。

〈アリドレン〉第一形態の攻撃方法は蔓を操るか魔法で一掃。

魔法は大体ラクリッテが封殺してくれるので蔓に気をつけておけば良い。

慣れてくると蔓を掻い潜って攻撃を叩き込めるようになってきた。

ノエルの『ヒーリング・ミュージック』で継続回復を得ているので多少のダメージは気にしない。

戦闘が安定してきたと感じる。

何しろこちらは五段階目ツリーが開放されているのが4人である。いくらレアボスとはいえ厳しいだろう。

さらにメンバーが援護やサポートが得意な 職業 ( ジョブ ) が多いのもレアボスが上手く動けない理由だ。

ラクリッテの幻術系防御はとにかく硬い、そして当たらない。なのでHPもなかなか減らない。

普通に攻撃を受けたとしてもノエルの継続回復とバフでダメージは少なく、すぐに回復してしまう。俺のヒーラーの出番は無いな。ノエルだけで十分っぽい。

さらに、攻撃をさせないように援護するリーナやラクリッテのサポートが的確で、〈アリドレン〉は思うように動けていないと感じた。

そのまま1つ目のHPバーを消すことに成功する。

―――第二形態だ。

「ラララララーーー!!」

「「「「――――!!」」」」

「眷属召喚だ。ラクリッテ!」

「ポン! 群がるは幻の甘い夢の蜜! ――『 甘夢幻 ( かんむげん ) 二塔盾 ( にとうたて ) 』!」

〈アリドレン〉第二形態は体から生えていた枝が主を包み込むように守っている姿。

防御型だな。さらに眷属召喚でリポップするように今まで道中で出てきたモンスターたちがたくさん出てきた。

だが眷属の攻略法はすでに分かっている。囮となる塔を2つ出し、眷属の樹木たちがワラワラとそっちに集まると。

「『フルライトニング・スプライト』!」

「『殲滅兵砲・エクスプロージョンノヴァ』!」

「『獣王ハウリング』!」

「私も攻撃しちゃうよー! 『 歌魂 ( うたたま ) 』!」

「あ、頭が吹っ飛んでます!」

殲滅開始。

二塔に誘われて一塊になったところに雷の花火と兵器の爆弾砲が大炸裂して雑魚モンスターを吹き飛ばすと、ラウが範囲攻撃の咆哮で、ノエルが歌の衝撃で追撃し、一網打尽にした。そのままどんどん光に還していく。頭が吹っ飛んでたのは〈トラキ〉だな。君も出てきたのか。ばいばい。

全部殲滅し終わり、さあ本体だ、となったところで〈アリドレン〉が赤いエフェクトで包まれた。

これはユニークスキル――〈樹精霊流・情けな 木 ( き ) 樹病 ( じゅびょう ) 〉か!

「む! ユニーク来るぞ! ラクリッテ盾狸様を!」

「ポン! お守りくださるは盾を持つ狸の幻獣! ――『 幻獣霊 ( げんじゅうれい ) ・ 盾狸様 ( たてたぬきさま ) 』!」

「全員ラクリッテの背後へ!」

ラクリッテの魔法は召喚系。

発動すると身長250センチ、ウエスト750センチの巨大太狸が召喚された。

腹には金属の巨大な盾が装着されていて後ろに居る者を守ってくれる頼りになる狸だ。

「うわ~太い狸さんだ~!」

「全員退避しましたわ!」

「ララララー!!」

俺たちが太狸の後ろに回り込むのと〈アリドレン〉がユニークスキルを使うのは同時だった。

〈アリドレン〉から伸びた無数の 樹枝 ( じゅし ) が伸び、一瞬でボス部屋中を覆い尽くしたのである。

全体攻撃だ。

「うわ、危なかったです!」

「助かったぜラクリッテさん」

「消えるぞ! 総攻撃準備!」

「『全軍一斉攻撃ですわ』!」

「『ハイテンションエール』♪」

「『超進化』!」

「『 勇気 ( ブレイブハート ) 』!」

〈樹精霊流・情けな 木 ( き ) 樹病 ( じゅびょう ) 〉は全体攻撃。

かなり速い攻撃で、一瞬で部屋全体を覆ってしまう。当たると複数の体内状態異常をランダムで付与され、さらに大きくダメージを受けるという初見殺しだ。

あれ、ユニークスキルなので状態異常耐性を持っていても貫通する時があるんだ。

全員が〈麻痺〉や〈気絶〉になったらマジでゲームオーバーするヤバいユニークだが、安全地帯を作ればやり過ごせる。状態異常なら防御スキルで防げるのでエフェクトを見たら速攻防御推奨な。

そしてユニークスキルが終わったらボーナスタイム。

ボス部屋を覆うレベルで生え、太狸さんにも絡まりつくしている枝がフッと透明になっていきそのまま消え失せると、俺は速攻で『テンペストセイバー』を使ってユニーク硬直中の〈アリドレン〉をぶった切る。

「ラーー!?」

「おっしゃダウン! 総攻撃だ――!」

今度はノエルが教えてくれた通り、背中の弱点をぶった切ったからかダウンを捥ぎ取ることに成功する。もちろんその後の総攻撃で大ダメージが入ったぜ。

そこからは眷属と大量の樹枝による範囲攻撃のラッシュだったが、こっちも範囲攻撃や囮の幻影などを使って 攪乱 ( かくらん ) しつつ対応と殲滅を繰り返し、ついに2つ目のHPバーもゼロになり、第三形態に移行した。

「これは、巨大化か!」

「お、大きくなっちゃいました!」

「『状況把握』ですわ! どうやら第三形態は狂った精霊がお相手のようですの」

第三形態は我を忘れての巨大化だ。さすがはレアボス。

最後の最後でとんでもない形態を見せてきたな。

人型なのは変わりないが、身長が10メートルを超え、足が消えて樹木と根っこになっている。

「ラララララララーーー!!!!」

足の幹が裂けるように眷属が出てくると、〈アリドレン〉も口のような部分から大粒の何かを撃ってきた。ノエルに。

「! させない! ポン! 引かれてこっちに来なさい! ――『ドローブクリエ』!」

「あ、待てラクリッテ!」

呼び止めたがすでにスキルを発動した後。

『ドローブクリエ』は『ドローシールド』の上位ツリー。

口部分から発射された何かはノエルからラクリッテに標的を変え、その両手盾へと突っ込んだ。

だが、これは罠だ。

ガンガンガンと三つの球がラクリッテの盾に命中するが、少しおかしい。

「ぬ、にゅ!? なにこれ!?」

「もしかしてモンスター!? ラクリッテちゃんに組み付いちゃった!?」

盾に命中した瞬間に丸まった状態から解放されそのまま盾ごとラクリッテを〈拘束〉したのだ。

あれはそういう 眷属 ( モンスター ) 。普通の防御スキルなら相殺やパリィで防げるが、かばう系の『カバー』や『ドロー』をするとこうなるんだ。

だからこそタゲ以外を狙う、いやらしい攻撃だな。かばったらこうなるんだから。避けるのが正解。

これでタンクが行動不可となると、眷属たちの押し寄せる波に呑まれて全滅もあり得る。とんでもない一手である。

しかし、知っていた俺からすれば解除は容易い。

すぐに近づいてモンスターをぶった切りラクリッテを解放する。

〈拘束〉に強い耐性を持っていたラクリッテもすぐに自力で解けただろうが、こうして解除するんだと見せたかった形。

「大丈夫かラクリッテ!」

「は、はい! ビックリしました。助かりました!」

「おう。今度あの攻撃が来たら『ミラージュ大狸様』を使おうか」

「はい! では眷属を引きつけます! ポン! 群がるは幻の甘い夢の蜜! ――『 甘夢幻 ( かんむげん ) 二塔盾 ( にとうたて ) 』!」

その後も 狂った樹精霊 ( 〈アリドレン〉 ) は巨大になった腕のような枝を振り回したり、眷属召喚したり、時には毒の瘴気を出したりしてきたが、全てラクリッテが受けて対処しきった。

特に毒攻撃とかラクリッテには『毒吸収』があるので逆に回復してしまったりしたな。

ラウも思ったより動けたようで「的がでかくなってやりやすいな!」と攻撃を連打しまくっていた。ダメージがでかいでかい。

それからもリーナとノエルは援護しながら攻撃も加えてくれて、俺もヒーラーポジションだったのが完全にアタッカーになって斬りまくった。そして相手が奥の手の怒りモードを出すもノエルの『鎮静の一曲・ラブ&ピース』で怒りも静められて、とうとう〈アリドレン〉の3つ目のHPバーもゼロになる。

「ラ――」

巨大な幹が折れるようにして倒れると膨大なエフェクトを出しながら沈んで消えていったのだった。

そしてエフェクトの海から現れた宝箱の色は、金!!

「〈金箱〉キターーー!!」

〈金箱〉は2つだった。レアボスの〈金箱〉が2つだ!

これは勝ったな! ふはははは!

中身はなんと〈アリドレンの召喚盤〉と〈フルート〉だった。

上級レアボスの召喚盤!?

おっしゃーーー!!