第1126話 〈島ダン〉最奥のボス――〈炎帝鳳凰〉。
第1126話 〈島ダン〉最奥のボス――〈炎帝鳳凰〉。
徘徊型ボスを倒せば残っているのは最奥ボスだ。
途中57層、58層、59層でエリアボスと遭遇して屠ったような気がしなくも無いが、残りは最奥ボスだけなのだ。
「楽しみね! どんなボスなのかしら?」
「ついにランク4すら攻略してしまうのですね。……ユーリ殿下になんと言えば良いのでしょうか」
明るく最奥のボス戦を楽しみにするラナと、攻略してしまったあとを考えて少し困った顔のエステルが対照的だ。
大丈夫だ。ユーリ先輩はすでにダンジョン攻略以外にも大きな成果をたくさん残した。
ラナがダンジョンで活躍しても問題無いほどの大成果だ。
向こうは向こうに任せておけば大丈夫。
俺たちはやりたいようにボスを屠って攻略すれば良いのさ!
ということでボス戦です。最初にするのは最奥ボスのメンバー募集だ。
「ではまず、俺がボスの様子を見て来ようと思う! メンバーを募集するぞー!」
「はいはいゼフィルス、私も行くわ!」
「ラナ様が行かれるのでしたら、私も同行します」
真っ先に手を挙げたのはラナだ。続いてエステルと続き、次いでたくさんの手が挙っていく。
最奥ボスだけはパーティという括りが外れ、先着5名様参加型になる。
故のボス攻略パーティの募集だった。
そして最初の参加者はギルドマスターが確定。
他の参加者は立候補となる。立候補が参加枠をオーバーしたらクジ引きだ。
「なお、今回はヒーラー枠が1人、タンクが1~2、バッファー&デバッファーは0~1人アタッカーは1~2人募集するぞ」
結局見たことも聞いたことも無い最奥ボスへ最初にチャレンジするのは五段階目ツリー開放者のみとなり、その中からクジで決めていった。
結果はこちら。
タンク:シエラ。
ヒーラー:ラナ。
アタッカー:俺、ルル、アイギス。
うむ。悪くないパーティだろう。
シエラがタンクにラナがヒーラーとか、なんか久しぶりな気がする!
「やったのです! ルル、最初にアタックなのです!」
「よろしくお願いします」
「こっちこそよろしくなアイギス。それにルル、ラナ、シエラも」
「なんだか久しぶりにゼフィルスと組む気がするわ! もうこれは勝ったわね!」
「よろしくねゼフィルス。最近別行動することが多かったから、同じパーティになれて嬉しいわ」
良いパーティだ。とても良いパーティじゃないか!
特に久しぶりにパーティを組むからだろうか。シエラが可愛いことを言っている気がする。なんだかとてもグッときた。俺も嬉しいです。
ボス部屋の前で料理アイテムを食べて休憩し、準備万端。
〈幼若竜〉をアイギスが持って、そのままボス部屋の門を潜った。
「ギュアアアアアア!!」
「出ました、名前は――え? 〈 炎帝鳳凰 ( えんていほうおう ) 〉?」
「〈 炎帝鳳凰 ( えんていほうおう ) 〉? あれが?」
「え? 〈 炎帝鳳凰 ( えんていほうおう ) 〉なの? 絵本とかに出てくる?」
「ええ。そうみたいです。〈 島ダン ( ここ ) 〉のボスだったのですね」
俺たちをずっと待っていたのは体から時々炎を噴出している鳥型のボス。
鳳凰 ( ほうおう ) の名の通り、鮮やかな色合いの羽に覆われ、いくつかに別れた長い尾羽を持っている。冠のような部分は良く燃えており男のロマンを掻き立てるかっこよさがあった。いや、真似はしないけどな。でもかっこいい。
ラナたちの話では、この〈炎帝鳳凰〉は子ども用の絵本などに登場するモンスターで、守り神的な役割だったり、敵だったりとその物語によって役割が変わるらしい。
それ故かあまり人気の無いモンスターではあるものの、知名度だけはあるとのことだ。
なるほど。今度その絵本を読ませてもらおうと決める。
と、それはともかくだ。
「さぁて来るぞ! とりあえず〈鳳凰〉と呼称する! シエラ、あのゆらゆら揺れている尾羽に気をつけろ。『直感』が囁いてる」
「分かったわ」
〈鳳凰〉の攻撃は主に尾羽をムチのようにしならせての中・遠距離攻撃だ。
第一形態では本人(本鳥?)は地面に足をついて飛び立たず、尾羽で攻撃してくる。
「『オーラポイント』! 『シールドフォース』!」
「来るぞ! ルル、アイギス、俺たちは後ろに回り込む。あの尾羽の付け根に攻撃だ!」
「はいなのです!」
「なるほど、お任せください。来てくださいゼニス! 〈モンスターカモン〉」
「――クワァ!」
「『ハイジャンプ』!」
俺の指示でルルと側面に回り込み尾羽をまず視認しに行く。
アイギスは〈モンスターカモン〉でゼニスを召喚し、即で騎乗。空から回り込む様子だ。
「ギャアアアア!!」
「『城塞盾』!」
尾羽の攻撃は変幻自在。
ジャラジャラと金属音をたてながら、突き、払い、薙ぎ、叩きなどなど、様々な攻撃を繰り出してくると同時に、炎での目くらまし、〈火属性〉攻撃、〈火傷〉の状態異常などなど、様々な攻撃をしてくる。しかも数が多い。
最初は4つだけだった尾羽だが、たまに6つになったり、時には8つになったりして攻撃してくる。しかもまだ使っていない尾羽が半分以上残っているのだ。
こいつの攻略法はとにかく尾羽の破壊。
アタッカーが〈鳳凰〉の後ろに回り込んでとにかく尾羽の付け根に攻撃しまくるのだ。
ダメージが蓄積すると尾羽が破壊出来るので攻撃の回数が減る。
「なかなかの威力だけど、まだまだ余裕よ――『鉄壁』!」
シエラがアタッカー陣を安心させるように大きな声で言う。珍しい光景。
俺たちはボスの後ろ側に回り込んでいる影響で正面に居るシエラのフォローがしづらい。
もしタンクに何かしらのアクシデントが起こったときに対処が難しいのだ。故にアタッカーはタンクを気にしてしまう。
だが崩れないタンクなら安心して攻撃に集中できる。
故の声掛けだな。
まあ、シエラなら初のボスが相手だろうと問題無いだろう。
8つの尾羽を4つの小盾と1つの大盾を操って完全に防いでる姿は鉄壁の城塞のようだ。
おかげで俺たちは安心して背後に回り込み、攻撃を加えることができる。
以前は声掛けをしていなかったシエラだが、多分俺たちとは別のパーティに長く居た影響で覚えたんだろうな。
俺やエステル、カルアがアタッカーのパーティの時はシエラが崩れる可能性で手が鈍るなんてことまったくなかったから声掛けなんて必要無かったんだ。
「ギャアアアア!?!?」
「おっしゃ4つ目破壊! 離れろー!」
「はい!」
「あい!」
「クワァ!」
尾羽を破壊すること4つ目、突如『直感』が警報を鳴らすと〈鳳凰〉の冠が噴火した。あの燃えている冠は火山みたいなものだ。〈鳳凰〉の感情で燃え、無差別に火の玉を降らす。
ついでに残った尾羽を振り回してくるので、尾羽を破壊したら〈鳳凰〉の攻撃が止むまで離れるのが正解だ。
もう4回目なのでアイギスもルルもゼニスも慣れてきてすぐに距離を置いた。
ラナが回復の手を緩め、攻撃に参加する。
「くらいなさい! 『大聖光の十宝剣』!」
「ギャアアアアア!?」
う~ん素晴らしい攻撃! もちろん遠距離攻撃ができるメンバーも追撃を加える。
尾羽を破壊されて憤っていた〈鳳凰〉の攻撃が止んだので、俺たちも近づいて攻撃再開。
狙いを、今度は変更して翼へと攻撃を加えていく。これが後々重要になるんだ。
4つの尾羽が破壊された〈鳳凰〉は予備の2つの尾羽を出してシエラを攻撃し始めた。
最初よりもだいぶ楽そうに受けきるシエラ。良い感じだな。
そう感じていると1本目のHPバーが消えて、〈鳳凰〉が第二形態へ移行する。