第1134話 〈カマクラ〉第二形態。リカの防御崩しでキル
第1134話 〈カマクラ〉第二形態。リカの防御崩しでキル
1つ目のHPバーが無くなると第二形態だ。
ハンマー4つが極太の腕に組み込まれ極太の柱のような腕になり、カマと盾の腕がより大きくなる。
たったそれだけだが、攻撃力と防御力が大きく上昇する変化だった。
「ジィィィィヤァァァァァ!!!!」
まずは腕一本でのぶん殴りをリカに放つ。大きさだけで1メートルを超えるので当たったら吹き飛ぶだけじゃ済まないような一撃だ。だが、これはフェイク。
「リカ! 刀滅だ!」
「! 『制空権・刀滅』!」
身構えていたリカが俺の指示に咄嗟に防御スキルを変更して〈四ツリ〉である『制空権・刀滅』を発動する。
これは連続攻撃に対する防御スキル。連続攻撃に非常に有効な防御スキルではあるが、単発の攻撃をされると割に合わないスキルだ。しかし、これでいい。相手の腕は8本あるのだから。
「ガキィン!」とリカの刀の範囲に入り込んだぶん殴りが弾かれ相殺。しかし、まるでそれを待っていたとでも言うように7本の腕もリカに襲いかかる。
これは時間差攻撃スキル『 烈 ( れつ ) ・ 間隙 ( かんげき ) 』。
最初の強力な一撃に気を取らせて、その後に連打をかますだまし討ちみたいなスキルだ。
下手に一撃だけ防ぐ防御スキルを発動すると、最初の拳は防げてもタイミング的にその次の連打が防げない。
俺も何度も騙されて攻撃を食らいまくった手だ。8本の腕のうち、必ず最初は決まった腕で攻撃してくるのでその腕を覚えておけば対処は可能だ。これを見破るまでに何度もタンクが沈んだんだ。
そう、この第二形態は最初に動く腕がスキルに直結している。腕に1番から8番までの番号を付けておき、どの番号の拳が最初に動いたかで対処はできてしまうのだ。
今の『烈・間隙』が1番の拳だった。
おっと、今度は5番の盾カマを構えるか、なら『激烈のシールドバッシュ』だな。
「リカ避けろ! 残影!」
「! 『残影』!」
「ジィィヤァ!?」
瞬間、5番目の腕の盾が突然巨大化したかと思うと、〈カマクラ〉がそれを使いシールドバッシュしてきた。大きさ5メートルに迫る盾のシールドバッシュである。まるで家が迫ってくるような迫力だ。受けるより回避推奨。
これをリカのすり抜ける回避スキル。『残影』を使って対処する。
移動が終わって隙だらけのところをアタッカーが攻撃。
む、今度は6番目の盾カマか。これはチャンスだ。
「リカ! カウンター!」
「! 『抜刀術・ 貫嵐 ( かんらん ) 』!」
6番目のカマを防御に使う時、〈カマクラ〉は他の腕で攻撃しながら防御するという、俺の『ガードラッシュ』のようなスキルを使う。
本来は対カウンタースキルだ、防御していればカウンターが飛んできても怖くない。
しかしリカの〈五ツリ〉『抜刀術・ 貫嵐 ( かんらん ) 』は超特殊スキル。カウンターに防御破壊の効果が付いている抜刀術なのだ。
相手の攻撃にカウンター、防御も破壊して直撃すると言えばどれほど強力な効力か分かるだろう。
まさに『ガードラッシュ』の天敵スキルである。
本来は対人戦などでタンクとアタッカーの連携を崩すためのスキルだな。
アタッカーの攻撃にカウンターを取って、庇うためにタンクが出てくると狩られるというやべぇスキルだ。
「ジィヤァァ!?」
〈カマクラ〉の攻撃に合わせてリカのカウンターが炸裂。防御をぶっ壊して大ダメージをあたえた。
カウンター攻撃の直撃を受けて、「なんでー!?」とでも言いそうな叫び声を上げながらノックバックする〈カマクラ〉に、リカがさらなるスキルで追撃する。
「そこで閃光だ!」
「承知――『抜刀術・閃光』!」
「ジィィィィヤァァァァァ!?」
「ダウン!!」
抜刀術は刀を鞘から抜き放って攻撃するが、必ず鞘に戻して終わる。
そのため『抜刀術』系から『抜刀術』系に繋ぐスキルは速く、相性が良い。
本来なら相手をノックバックさせたとしても、次のスキルに繋ぐときには相手のノックバックは終わっているため単身ではノックバックダウンが取れない。
しかし〈四ツリ〉『抜刀術・閃光』は高速の居合い系斬撃スキル。
これをノックバックさせた相手に使うと、相手のノックバック中に攻撃が間に合うのだ。故に単身でもノックバックダウンが取れる。
「ナイスリカ! 総攻撃だーー!」
「「おおー!」」
やはり、リカをタンクにした俺の目に狂いは無かった!
むっちゃ見事に決まったな!
相手の初見の攻撃に的確に対処する指示を送ってしまった気がするが、『直感』が囁いたとでも言っておけばいいだろう。うむ。
「むむむ、負けてられないデース! 『忍法分身・連動雨体術』! 食らうデース『くノ一流・ 一雨一度 ( ひとあめいちど ) 』!」
パメラが気合いを入れたな。
リカに負けじとさらなる〈五ツリ〉を発動する。
『忍法分身・連動雨体術』は分身中に『くノ一流・雨』系スキルを使うと、分身体もスキルを使う強力な強化スキルだ。 強化 ( バフ ) 系スキルなので分身体が消えるまで何度も使えるのが良き。
そして同じく〈五ツリ〉の『くノ一流・ 一雨一度 ( ひとあめいちど ) 』はすり抜けながら切り裂くスキル。カルアの『スルースラッシュ』などの上位互換だ。
すり抜けながら立ち去るのでカウンターや反撃などに強く、分身体を攻撃されないのが利点で分身と相性が良い。
でもダウン中の敵に使うのは勿体ない技なので後でパメラにも言っておこう。
まあ、5人のパメラがズババババンとすり抜けながら斬撃していった光景はかなりロマンが掻き立てられたが。
「どんどん行くデース! 『くノ一流・ 小夜時雨 ( さよしぐれ ) 』! 『くノ一流・ 氷雨 ( ひさめ ) 』! 『くノ一流・ 空梅雨 ( からつゆ ) 』!」
「「「「行くデース!」」」」
〈四ツリ〉の『小夜時雨』と『氷雨』は見たことがあるが、〈五ツリ〉の『 空梅雨 ( からつゆ ) 』は初だな。忍法と合わせた体術スキルで相手の後ろに回り込んで斬る、優秀なスキルだ。
そのやり方は様々で、相手が攻撃してきたらドロンして背中に移動して斬ったり、相手が防御スキルを使ってきたら後ろに回り込んで防御していないところを斬る、という対応力に優れたスキルである。これも分身体と相性が良い。5人でやると5人とも後ろに回り込むのだからちょっと面白い光景。
やっぱりパメラの〈五ツリ〉はロマンあるぜ。しかも分身体と合わせれば5連撃なので威力がかなり高いのがさらに良き。
俺とシズ、ラナもその攻撃に感激しながら〈カマクラ〉への攻撃を続けていると、ダウン終了。
五段階目ツリーの開放に至り、上級職のスキルばかりを使うようになったため、ダメージが良い感じだ。
「ああ!? 分身体がやられたデス!?」
「む、あのカマの盾が邪魔ですね。なかなか攻撃が通りません」
しかし〈カマクラ〉も負けっぱなしではいられないのだろう。
不意に近づいてしまった分身体をカマで刺し倒したり、シズの攻撃を4つの盾カマの腕で防御したりと対応力を見せる。
まあ、本来なら攻防一体の手強いボスだからな。
特にあの盾カマが強く、あの腕に攻撃してもちっともダメージが通らないので、遠距離攻撃が効きにくいボスだ。
さらに盾カマは4本あるため、4人まで対処可能というところも手強い理由だな。
アタッカーを4人にして挑んでも4つの盾カマに邪魔されてしまい、4つの巨腕によって反撃を食らうとんでもない性能を持っている。
救いなのは足が遅いことくらいだが、これも第三形態になると話が変わってくる。
「ジィィィィヤァァァァァ!!!!」
「2つ目のHPバーを削ったわ!」
「あと少しです」
「警戒するデース!」
「『 楽園 ( エデン ) の雨』! 今のうちに祝福しておくわね――『プレイア・ゴッドブレス』!」
絶叫を上げる〈カマクラ〉が第三形態へと変化する。
4つの柱腕に空洞が出来、なんと大砲へと姿を変える。
6本の脚も太くなり、移動よりも反動に備えるようながっしりとした脚に変化。
盾カマはもうカマの要素が無くなり4メートル級の大盾に変化して身を守る。
その姿は、まさに砲台だった。移動砲台第三形態である。
四つの盾を四方から身を守るように構え、四つの大砲を上から相手に向ける。
大砲からは無限の砲撃が発射され、全体攻撃や範囲攻撃を多用するようになるのだ。要塞と言っても過言では無い。
これも攻防一体の変化と言えるだろう。
防御はガッチガチになり、遠距離攻撃の大砲はこれまで安全圏にいたラナやシズを危険にさらす。
苦戦を免れないだろうと、まあ思うよな。
「リカ、防御を崩せ!」
「! 承 ( たまわ ) った!」
だが、こっちにはリカが居ることをお忘れ無く。
なぜレアボスを相手に盾タンクではなくリカを連れてきたのか。
それはこの形態に対抗するためだ。
うん、ガッチガチに防御しているなら、崩してやればいいじゃない。
「『一刀斬・ 対壊 ( たいかい ) 』!」
「!?」
リカには相手の防御スキルを破壊するスキルが多く備わっている。
つまり、防御を多用する敵はカモなのだ。
第三形態になると常にガッチガチに守りを固め、シエラの『 受盾技 ( うけるたてアーツ ) 』のようなパッシブ防御スキル『四方の鎌盾』を発動するために、本来なら少しだけ盾の隙間から覗いている部分を狙ってダメージを稼ぐものだが、防御破壊に長けたリカがいると常に防御しているというのは仇になる。
「――はっ! 『抜刀術・閃光』!」
「ジィヤァ!?!?」
リカが防御スキルを破壊してノックバックさせ、素早い抜刀術で斬りダウンを奪う。
相手の砲撃が来る前にダウン取っちゃったよ。やべぇ。
後はいつも通りの総攻撃だ。
「ジィ……ヤァ……ァァ……」
結局〈カマクラ〉の第三形態は良いところも無く、散々リカに防御を破壊されてダウンを取られては総攻撃を食らい、そのままHPをゼロにしてエフェクトの海に沈んで消えたのだった。
その後には―――金色に光る〈金箱〉が4つ鎮座していた。