第1136話 恐怖の城壁破壊執事計画が進行中(?)
第1136話 恐怖の城壁破壊執事計画が進行中(?)
「う~ん」
「悩み事? ゼフィルス君」
「ああ、ちょっと予想外に良い物が手に入ってな」
〈岩ダン〉で全員分の攻略者の証を手に入れた翌日。
俺がギルドハウスで唸っていたところにハンナが聞いてきた。
「? 良い物が手に入ったなら使えば良いんじゃ無いの?」
「それはそうなんだが、今回ゲットしたのが〈拳〉系の武器でな。問題はSランク戦でセレスタンとラウ、どっちに装備させようか、というところなんだ」
まさか〈城掘突貫ドリル〉が来るとはな。あれって 上級下位 ( ジョーカー ) のレアボスではむちゃくちゃドロップ率低かったのに。
おかげでSランク戦のメンバーを少し考え直さなくてはならなくなってしまった。
〈城掘突貫ドリル〉は装備中、武器スキル以外のスキルを発動できなくなる。
つまり基本は 付け外し ( ウェポンクイック ) して使う装備なのだ。〈馬車〉や〈白の玉座〉と同じだな。
そうなると持ち運びがネックになる。
実は〈城掘突貫ドリル〉は【バトラー】系と相性が良い。
〈城掘突貫ドリル〉は大型武器で持ち運びには不向き、加えて換装する武器も持ち運ばなくてはならないため〈 空間収納鞄 ( アイテムバッグ ) 〉を使うことが推奨されていた。
しかし〈拠点落とし〉ではそれでもいいが〈城取り〉の場合〈 空間収納鞄 ( アイテムバッグ ) 〉を使用するのは禁止となっている。そこで使えるのが【バトラー】系の収納スキル『こんなこともあろうかと』だ。
ゲーム〈ダン活〉時代、やたら強い執事が城壁を破壊しまくるという暗黒の時代があったのだ。執事が『こんなこともあろうかと』とか言い出したら要注意。「そんなことがあってたまるか!?」と返すのがネタになってたっけ。
あれを再現してしまおうかという気持ちがちょっとだけある。
しかし、すでに〈アークアルカディア〉から昇格させるのはルキアとラウで、Sランク戦に出場させるメンバーも決まっていた。
だがドリルは強い。予定変更もやむなしとなってもいいくらいに。
問題はセレスタンを昇格させた後の〈アークアルカディア〉だ。
「セレスタンは〈アークアルカディア〉のギルドマスターだし、やっぱり昇格させるのは、下部 組織 ( ギルド ) の存続的にキツいしなぁ」
「? なら〈アークアルカディア〉を〈エデン〉にお引っ越しさせればいいんじゃないの?」
「…………!?」
そのとき、俺に電撃が走った。まさにビリビリ来た感じだ。
「え? ハンナ今なんて?」
「えっと、〈エデン〉って枠に余裕あるんだから下部 組織 ( ギルド ) が無くてもいいんじゃないかなって。下部 組織 ( ギルド ) って維持費が結構掛かるんでしょ?」
「……!? その発想はなかった……」
驚愕の事実。
いや、俺が考えつかなかっただけか。
ゲーム〈ダン活〉時代、下部 組織 ( ギルド ) とはお世話になったノーカテゴリーたちの保管場所だった。
〈ダン活〉は名声値が無いとカテゴリー持ちをスカウト出来なかったため、最初はノーカテゴリーのみのメンバーとなる。しかしストーリーが進めばカテゴリー持ちがギルドに増えていくため、お世話になったノーカテゴリーたちとはさらばしなくてはならなかった。
キャラは一度脱退させたら消滅してしまう。思い入れ深いノーカテゴリーたちを消滅させるのは心情的に厳しいため、別れが辛い場合は下部 組織 ( ギルド ) を創って保管しておくのが俺のやり方だった。
故に、下部 組織 ( ギルド ) を完全消滅させ、親ギルドに吸収するというやり方は思い浮かばなかったのだ。
そうか、下部 組織 ( ギルド ) って消しちゃってもいいんだ。
ゲーム時代は一度戦力外になったノーカテゴリーを全員昇格させるなんてことはほとんどなかったからうっかりしていたぜ。
これがリアルか!
「ハンナ、ナイスアイディア! これはすぐに議題に掛けなければならない内容だ」
「へ?」
〈エデン〉はもうすぐSランクギルドになる(←もうなった気)。
すると上限人数は50人に増えるし、人数にも余裕が出来る。今ですら〈エデン〉は11人分の空きがあるんだ。
なら〈アークアルカディア〉を残しておく意味って、あまり感じられないよな。
アルルとかずっとギルドハウスの方にいるし、〈アークアルカディア〉のギルド部屋ってほとんどサトルの仕事場になっているらしいから。
まさかハンナに教えられるとは。まだまだ俺の感性とリアルには隔たりがあるな。
「よし、ハンナ今日は美味いものを食べよう! 俺が良い物を用意してやる!」
「え、ええ!? いいの!?」
「おうよ! ハンナのおかげで光明も見えたしな! セレスタンには大活躍してもらうぜ!」
本人の知らないところで恐怖の城壁破壊執事計画が持ち上がったが、セレスタンならきっと期待に応えてくれるだろう。
そうなると問題は、Sランク戦〈30人戦〉の出場者だな。
さて、まずはみんなに相談だ。会議を開かないと!
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後書き。
セレスタン「こんなこともあろうかと、ドリルを用意してきました」ガチャン
一同「そんなことがあってたまるか!?」