第1138話 勧誘。新〈アークアルカディア〉のメンバー達
第1138話 勧誘。新〈アークアルカディア〉のメンバー達
やはり会議の意義は大きい。
とても実のある会議だったと言えるだろう。
俺はゲーム知識について誰にも負けないという自信はあるが、リアル特有のことについてはこの世界の人の力がいると常々思っている。
俺もまだまだ勉強不足だ。この前のテストは満点だったけどな。ふはは!
「という訳でサトル。君がギルドマスターだ」
「任せてください! 不肖サトル。全力全開でギルドマスターを務めてみせます」
「期待しているぞ!」
少し根を詰めすぎにも感じるが、そこはセレスタンが上手く手綱を握ってくれるだろう。
というわけで、俺は他の人たちの説得へ向かうことにした。
「え? 所属をちゃんと〈アークアルカディア〉にするですか!? もちろんいいですよ!!」
「うお、テンション高いな、マリア」
「そりゃあもう! ついにこの時が来たかって感じです! 元 ( ・ ) 所属のギルドもすぐ辞めてきます!」
「決断早っ!?」
セレスタンにサトルを任せた俺は、まず〈助っ人〉の同期であるマリアの下を訪れていた。場所は〈エデン店〉。マリアはこっちの作業で忙しく会議に参加していなかったのだ。
そして俺が説得する前に返って来た返事がこれだった。
所属ギルドが、すでに元所属ギルドになってる。
「いやマリア、今所属しているところを脱退して正式に〈アークアルカディア〉所属になるんだ。もう少し考えるべきじゃ無いか?」
「あはは。それは考えなくても良いですよ。だってそもそも私は〈アークアルカディア〉の面接を受けたことありますもん。その時は残念ながら落ちてしまいましたが」
そうだ。思い出した。
確かマリアって第一回大面接で落ちたから〈助っ人〉に応募してきたんだっけ。
「だから元々〈アークアルカディア〉に所属することに否なんてありませんよ! むしろ望むところです!」
「そうか!」
「でもメリーナ先輩は〈総商会〉所属にしておいた方が良いかもしれません。〈総商会〉を脱退するのは色々不都合が大きいですから」
「あ~、そうだな」
「そうでもありませんよ」
マリアの言葉に腕を組んで悩んでいた所、後ろから声を掛けられた。
声の主は今話をしていたメリーナ先輩本人。メリーナ先輩もマリアと一緒にここで仕事中だった。
「メリーナ先輩」
「ゼフィルスくん、私も是非〈アークアルカディア〉に誘ってください」
「そりゃもちろんだ。だがマリアが言ったように〈総商会〉の立場を捨てるのは勿体なくないか?」
「メリーナ先輩、何か考えがあるんだね?」
「はい。要は逆にすれば良いのです。現在私は〈総商会〉所属で〈エデン〉へ〈助っ人〉に来ていますが、今度からは〈アークアルカディア〉の所属で〈総商会〉に〈助っ人〉で行けばいいのです」
「え、それって大丈夫なのか? 〈総商会〉の仕事がメインになるんじゃ?」
「大丈夫です。〈助っ人〉はあくまで〈助っ人〉。助けが必要な時しか呼ばれない契約にすればいいんですよ。そうすれば活動場所は〈エデン〉のままです。向こうは私という人材を完全に手放さなくていいですし、〈総商会〉での権限もある程度そのままにすることが出来ると思います。損はほとんど無いですね。むしろ余計な仕事が無くなって良いかもしれません」
「ほー」
なんと自信のある言葉!
メリーナ先輩が優秀で、〈総商会〉から頼られている人材だからこそ言える言葉だな。
うん。メリーナ先輩だけギルドに所属できないというのは悲しいし、できると言うのならメリーナ先輩に任せようと思う。
〈総商会〉のことはメリーナ先輩に任せた。
マリアもメリーナ先輩も勧誘成功ということだな!
まずはこれで〈アークアルカディア〉の存続が決定した。
よし、次だ。
そうだ、説得にハンナを連れてこないと。
「私たちの所属を正式に〈アークアルカディア〉に、ですか?」
「お、お誘いいただき恐縮の至り、です!」
続いて声を掛けたのはハンナと同じ【アルケミーマイスター】の2人、アルストリアさんとシレイアさんだ。
2人もサトルと同じく〈生徒会〉に所属しているため、掛け持ちということになる。
現在彼女たちは〈エデン〉のギルドハウスで錬金をしてもらっているのだが、これはハンナと同じパーティに所属しているからという名分があるからだ。
しかし、いつまでも〈生徒会〉所属の2人がパーティのままでギルドの施設を使い、ギルドの店で販売するというのはちょっとよろしくない。
〈生徒会〉という生産ギルドの頂点に立ち、導く存在であるのなら、そこら辺はきっちりする必要がある。
今のままだとギルド〈エデン〉だけ贔屓しているとも見られるしな。
正式に〈アークアルカディア〉に加入すれば〈エデン〉の施設を使ってもなんの問題も無いわけだ。
今までとやり方は変わらず、所属だけきっちりするだけだから2人の負担も無いはずだ。
そう、2人に説明した。
「私はアルストリアさんとシレイアさんが一緒のギルドの所属になってくれたら嬉しいです」
「は、ハンナ様~!」
ハンナの言葉にシレイアさんが感動してヒシっと抱きついた。
シレイアさんたちが所属するのは〈アークアルカディア〉だが、〈アークアルカディア〉は〈エデン〉と同じ扱いだ。ギルドバトルに一緒に参加できないだけで〈エデン〉メンバーとは何一つ扱いは変わらない。
〈エデン〉と呼ばれたら〈アークアルカディア〉という意味も含まれる、と考えてもらって結構だ。ここ重要。
ちなみにハンナは〈エデン〉継続に決まっている。
むしろ誰もそれに違和感が無い様子なのがもうね、うん。つまりはそういうことだ。
〈エデン〉は戦闘ギルド、〈アークアルカディア〉は生産ギルドとは言っているが、その基準はギルドバトルに参加するか否かの人材で分けている。
ハンナはギルドバトルの参加者(?)なので〈エデン〉所属というわけだ。
「そうですわね。私たちも春休みが明ければ〈生徒会〉役員として本格的に活動しますわ。これからも〈エデン〉でお世話になるのでしたら正式に加入しておいた方が良いでしょう」
「は、はい! 私は賛成です!」
アルストリアさんはさすがだな。しっかり理解している様子だ。
シレイアさんは、どうだろう?
「私はそのお話、お受けしようと思いますわ」
「わ、私もです! 私もお受けします!」
「わぁ! 嬉しいですよアルストリアさん、シレイアさん! 一緒に頑張りましょう!」
2人が頷くとハンナの顔がパァっと輝いた。
だが、シレイアさんは大丈夫なのかとちょっと気になった。明らかに流されていたからな。
「シレイアさんは大丈夫か? しっかり考えた? 今アルストリアさんに流されたように見えたけど」
「はい! 流されることは悪いことではありませんから!」
「お、おう。それならいいんだ」
どうやらシレイアさんは流されることを良しとする方だったみたいだ。
なるほど、そういう考えもアリだな。
俺はハンナに2人を任せ、最後のパーティがいる所へと向かった。
最後に声を掛けたのは、〈採集無双〉だ。
「モナ、〈採集無双〉ごと〈アークアルカディア〉に来ないか?」
「いいんですか!?」
「おお?」
そしたらすんごい食いつかれた。
「おう、もちろんだ。だがどうしたんだそんなに食いついて」
「はっ! すみません。実はどうも最近勧誘が多いもので、なんとかしたく。ちょうど〈エデン〉に正式に所属するのが最良だってみんなで話をしていたところだったんです」
「ですが、〈エデン〉は学園トップクラスのギルド。それも戦闘ギルドです。専属にしていただいているだけでもありがたいのに、ギルド加入は望みすぎだと、諦めていました」
モナの言葉をサティナさんが引き継いだ。
なるほど、〈採集無双〉は今や〈採集課〉のトップパーティ。
〈採集無双〉は名が上がりすぎて、しかも正式にはどこのギルドにも所属していないから最近勧誘が急増していたらしい。一応勧誘避けのバッジを渡しておいたはずだが、モナとソドガガにしか渡していなかったからな。危なかった。
それを防ぐためのメルトの案だ。メルトの懸念は当たっていたということだな。
〈採集無双〉も〈エデン〉に迷惑を掛けないように内緒にしていたのも気が付かなかった理由だ。
「じゃあ〈採集無双〉は〈アークアルカディア〉に所属するということで問題は無いか?」
「「「「はい!」」」」
「もちろんです!」
〈採集無双〉の正式勧誘もこうしてすぐに終わった。
とりあえず、これで専属でフリーの人たちの勧誘は終わったな。
他に〈上級転職チケット〉を配った人たちはすでに他のギルドに所属しているし問題は無いだろう。
後は現在〈アークアルカディア〉所属のセレスタン、カイリ、ラウ、ルキアを昇格させれば完了だな。
よし。
新〈エデン〉と新〈アークアルカディア〉の結成だ!