第1162話 よし〈ハンマーバトルロイヤル〉から落とそう
第1162話 よし〈ハンマーバトルロイヤル〉から落とそう
「現在各エリアでは軽い衝突が起こっていますわね。……南東の方は壮絶ですが」
そう言ったのは我らが司令官、【姫総帥】のリーナだ。
俺たちは同じエリアにいるのが〈ハンマーバトルロイヤル〉と〈ミーティア〉だと突き止め、俺は作戦会議のために一時拠点へと帰還していた。
そして情報を共有しつつ、リーナが〈竜の箱庭〉で各エリアの状況を見た感想がこれだった。
南東エリア、確か〈筋肉は最強だ〉がいるエリアだったはずだが。むちゃくちゃ暴れてるな!
「こほん。ではゼフィルスさん。今後の方針をお願いいたしますわ」
「おう。作戦は変わらず。まずは自分のエリアにいる2つのギルドを倒しきる」
この〈リメインロボッズ〉フィールドの代表的な攻略法は、まず同じエリアにいる相手に速攻勝利することだ。
何しろ他のエリアが離れていて、これに自拠点近くの敵を放置して遠征することはなかなかできない。本格的に攻め込むなんてなおさらだ。
故に、まずは安全確保。エリア内の制圧から始めるのがセオリーとなる。
これは早ければ早いほど良い。
周囲に敵対勢力がいる状況では遠征が出来ないのであれば、こっちをあっという間に片付けて遠征すれば、別エリアの敵を一方的に攻撃することすら可能になるからだ。相手は反撃に遠征することが出来ないゆえの戦術だな。
とはいえ遠征では専守防衛のほうが有利だ。防衛モンスターもいるし、人数も違うからな。
敢えてエリア内の他の相手を倒さず、遠征からの攻撃を分散させる方法もある。
しかし、これは反撃に出ることができず、ポイントを相手にどんどん取られてしまうため最終的に負ける可能性が高くなる。カウンターが上手い玄人向けの戦法だな。
遠征してきた相手を討ち取って一気に逆侵攻する 動画 ( 作戦 ) は手に汗握るものがあって大人気だった。
だが、基本的に先にエリアを制圧し、遠征したギルドが有利になることは変わらない。
だから〈エデン〉の作戦としては。
「事前に言った通り、同エリアの2つのギルドを制圧して一早く遠征しポイント的有利を取るぞ! まずは攻めやすい方から仕留める。〈エデン〉が向かうのは〈ハンマーバトルロイヤル〉だ!」
単純にして明解。
まずは弱いやつから屠る。セオリーだな。
〈ハンマーバトルロイヤル〉はAランクに上がったばかりの新参者。
俺たちがAランクに来る前からAランクギルドだった〈ミーティア〉とは実力が圧倒的に違う。
それは〈ハンマーバトルロイヤル〉の斥候部隊が全部狩られ、〈ミーティア〉の部隊が全員生き延びたことからも分かるだろう。
指揮官の1人が早々に退場して浮き足立っている今の〈ハンマーバトルロイヤル〉はまさに攻め時だ。
逆に〈ミーティア〉を攻めた場合、相手が強いと倒すまでに時間が掛かり、その分後ろを警戒しなくてはならなくなる。
挟撃は一番避けたい事態だからな。
まず弱い方を短時間で速攻で倒し 1対1 ( サシ ) に持ち込む。これがセオリーだ。
「承知いたしました! 電撃戦ですわ! 指示を出します!」
「頼むぜ! 俺も出る!」
この展開は最初から予想されていたために指示もスムーズだ。
守りは6人、偵察を4人、そして攻めに20人を配置する。
リーナの〈竜の箱庭〉はフィールド全体を俯瞰出来るとんでもない能力を持っているが、上級職のハイド系特化型 職業 ( ジョブ ) には弱い。
Sランク戦には【レジェンドレイヴン】のナギだって参加しているのだ。
〈竜の箱庭〉では見つけられない人材も絶対にいる。そういう者は目視で見つける、もしくは索敵特化型で見破るしかない。
故に偵察4人を配置する。カルアにはそのスピードを活かし、フィールド内を走り回ってもらう。
警戒は怠らず、拠点の周りに3人の索敵メンバー、シズ、パメラ、アイギスを配置した。アイギスには『竜の権能』の直感力と万が一の時、足止めする攻撃力に期待している。
拠点の守りはリーナ、ラナ、ラクリッテ、シャロン、フラーミナ、カタリナが務める。
「カタリナ、後は頼むぜ」
「任せてくださいゼフィルスさん、『拠点を守る二重巨大結界』!」
俺の指示にカタリナが頷き、現在張られている拠点を覆う巨大な結界を、さらに覆う結界が張られた。これで結界が二重になり、その防御力はかなりのものだ。
これは五段階目ツリー、〈四ツリ〉の『拠点を覆う大結界』を発動中に『拠点を守る二重巨大結界』を発動すると、拠点を覆う結界が二重に展開される魔法だ。これでもう空からの侵入も出来ない。伯爵を攫う戦術を封じる一手だな。
守りはこれで良し。
残りのメンバーは攻めだ。
遠征が来ない序盤だからこそ大胆に攻める。
準備には40秒も掛からなかった。
集まった20人の部隊に宣言する。
「攻勢部隊行くぞー! 目標は〈ハンマーバトルロイヤル〉! 電撃的に攻め落とす!」
「「「「おおー!」」」」
まずは三つ巴の状態を 1対1 ( サシ ) にする。
これだけで動きやすさが天と地の差だ。
そのためには――〈ハンマーバトルロイヤル〉よ。
悪いが退場してもらおう!
攻勢部隊の20人を、まず10人2部隊で分けた。
各ギルドの拠点がある場所には、それぞれ3箇所から進入できるルートが存在する。
そのうち2箇所から進入する狙いだ。
俺の居る部隊では俺とユウカが先頭を走る。ユウカが居るのは罠を警戒してのことだ。
もう1つの部隊ではセレスタンが先頭を走っているはずだ。向こうはセレスタンに任せておけば問題は無いだろう。
そう考えながら北からの侵攻に向かっているとき、案の定『直感』が発動する。
「! 罠発見、敵の気配有り!」
「範囲攻撃を準備!」
同時にユウカも発見したようだ。
それと、罠に嵌ったところを一網打尽にするつもりだろう、複数人がインビジブル系で隠れているようだ。
悪い手じゃ無い。発見されなければだけどな!
罠だけを見つけてもその対処をしようとしたところに奇襲すれば良いのだから罠はバレてもいい。問題はインビジブルで隠れている人たちだな。絶対下級職だろう。隠れる技能が甘い。
ということで、まとめて殲滅する。
「発射! 『フルライトニング・スプライト』!」
「はい! 『神弓・アローレイン』!」
「いきます――『神本・ブリザードストーム』!」
「続くよー! 『神剣・ソリドゥス』!」
「罠は全て破壊します――『トライデントテンペスト』!」
「これはただのボール魔法ではないぞ。覚悟して受けとめろ――『グラビティ・ボール・エクス』!」
「光れーピッカれー『サンライト』ー!」
「オリヒメに合わせる――『天海の雷神』!」
「レグラム様との共同作業ですわ。お覚悟ください――『天海の津波』!」
10人中、シエラを抜いた9人の範囲攻撃、というか全員の五段階目ツリーが火を噴いた。
仲良し3人娘のスキルはついに個別による『神○』系を開放。神装になったことにより超強力な威力を発揮する火力を放てるようになったのだ。
ユウカが空に放った矢が無数に分かれて落ちてきて、エミが本を持った方とは別の手から吹雪の竜巻を放ち、サチが一閃すると黄金の斬撃が飛んでいった。
続いてロゼッタの前方への突きが突風と衝撃をまき散らしながら飛んでいく。
メルトの魔法は〈初ツリ〉のボール系とは一線を画す巨大ボール。まさにエクストラ。
ミサトは光を正面だけに照射する。範囲に居た者はじわじわダメージを受け、インビジブルをしていると姿が明るみに出てしまう対隠密魔法。
そしてレグラムとオリヒメさんの五段階目ツリー版コンボスキル。
オリヒメさんの周りから溢れた海の津波にレグラムの雷が降り注ぎ、感電する津波となって全てを飲み込む。地面に設置されていた罠はこれで全滅するな。
「ぎゃーーーー!?!?」
「しびびびびびびび!?!?」
「うっそだろおおおおお!?!?」
正直、この感電する津波だけで良かった気がしなくもない(オーバーキル)。
出会い頭の五段階目ツリーのブッ 放 ( パ ) により、〈ハンマーバトルロイヤル〉が用意した罠は、あっさりと全滅した。
それじゃ、次はインビジブルで隠れている敵の方だな。
…………なぜかもうほとんど壊滅状態なんだが?
どこからかアホバカマヌケーという声が聞こえた気がしたが、きっと気のせいだろう。
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後書き失礼いたします。
本日11月25日は「このライトノベルがすごい2024」の発売日!
作者、昨日買いに行ってきました!(矛盾)
投票してくださった読者の皆様には深い感謝を!
今年のWeb投票では31.65ポイントもいただけました!
ありがとうございます! ありがとうございます!
順位こそノベルズ合算で92位でしたが、作者はとても嬉しいです!
(ちなみに去年はここに協力者ポイントが12.5加算されて57位)
また、ランキングとは別に「読むならいまの話題作20点」の中に〈ダン活〉が入っていたのがとても嬉しかったです!
これは「ダンまち」や「佐々木とピーちゃん」、「夢見る男子は現実主義」など有名な作品が多数取り上げられている作品ガイドコーナーで、これからアニメ化が期待される人気作などがならんでいるのですが、そこで一緒に紹介されていたのが手をグッと握るほど嬉しかったです!
アンケートコメントではカクヨムで応援コメント常連の@MK2secondさんのコメントが選ばれて載っていたのも嬉しかったです! 心温まるコメント、ありがとうございました!
作者、これからも〈ダン活〉を盛り上げられるよう頑張ります!
今後とも〈ダン活〉をどうかよろしくお願いいたします!
明日は実況席からお送りします!