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第1179話 確保されるワイバーンと囚われたカリン先輩。

ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~ — kakuyomu.jp · All chapters

第1179話 確保されるワイバーンと囚われたカリン先輩。

「おっしゃ勝ったぞーー!」

「やったねーー!」

近くに居たミサトと勝利の気分を分かち合う。

〈氷の城塞〉戦は正面突破。

一気に電撃戦を仕掛け、防壁を速攻で破壊して侵入、すぐに拠点へと攻撃を開始した。

それと同時に相手の混乱を助長させるため何部隊か各方面に送り込んだ。

増援の妨害と共に相手に態勢を立て直される前に拠点を落とす作戦。

運が良かったのは〈氷の城塞〉の城主系で知られるギルドマスターレイテルが拠点の外にいたことだろう。しかも少数で。

さらにはそこへ一番乗りしたのがラウとセレスタンのコンビだというのだからドンマイである。

【獣王】であり、五段階目ツリーを開放したラウはギルドマスター級の力があるからな。プラスセレスタンである。この2人を止められる戦力とか、混乱の最中に集められるわけがない。うむ。

セレスタンはクールタイムが明ければ拠点攻略に参加してもらう予定だったが、レイテルを抑えるならば問題は無いということでそのまま抑えてもらっておき、俺たちだけで拠点を落として終了。

結局ギルドマスターを欠いた〈氷の城塞〉は碌な抵抗も出来なかった(抵抗はしたが〈エデン〉が全て粉砕した)。

防衛モンスターも〈筋肉は最強だ〉戦で200ポイントくらいの戦力が消えていたので、残り100ポイントクラスの防衛モンスターたちしかおらず、速攻で全部光にされて拠点が陥落してしまったのだ。

指示していた人がバラけていたからな。サブマスターも不在だった可能性が高い。

南西エリアが攻めてくるだろう現状を考えると、早く陥落させることはとても良いこと、なのだが……。ちょっと物足りなかったと思ったのは秘密である。

対城塞戦の攻略方法とかいくつか試そうと思ったら、最初のセレスタンのドリルだけで決まってしまったんだぜ。

ふう。

そうして〈氷の城塞〉のメンバーが全員転移陣で消えていくのを見送ると――〈ワイバーン〉に乗ってこっちに向かってきていたカリン先輩と目が合った。

「「あ」」

俺たちの声が重なる。

〈集え・テイマーサモナー〉のギルドマスターカリン先輩がワイバーンに跨がる姿でそこにいたのだ。また、そのメンバー6人がカリン先輩の向こうから〈ピュイチ〉に乗って駆けてきていた。

ちなみにここにいる〈エデン〉メンバーは11人いる。4人は別の場所。リーナに掛かれば集まって15人。その数は倍を超える。

これは、アレだな。

もしかしなくても、なにも知らずに来たパターンだろう。

来てみて初めて〈氷の城塞〉が襲われていることに気が付いた、みたいなアレだ。

なるほどなるほど。

というわけで。

「確保ーーー!!」

「やっばーーーー!?!?」

すまんなカリン先輩。親しき仲でもギルドバトルでは敵同士。

こうしてカリン先輩たちと〈エデン〉の追いかけっこが始まった。

だが、こっちには空を飛べるフィナと空を駆けるレグラムが居るんだ。

あと瞬間移動が使える俺とかも。

でも、俺の出番は無さそうだった。

「『スピードアップビースト』!」

「『 天空瞬動 ( てんくうしゅんどう ) 』!」

「『天動天空・ 瞬脚 ( しゅんきゃく ) 』!」

あー、カリン先輩がまずUターン。

そして速度上昇系のスキルを使って逃げようと試みるが、空を超高速で駆ける〈五ツリ〉スキルを使った2人が瞬く間に追いついてしまった。空中で 反転 ( Uターン ) は時間が掛かりすぎたんよ。

「『天落』!」

「ギャアアアアア!?」

「キャアアア!」

あ、フィナの『天落』で地面に叩き落とされた。〈ワイバーン〉はダウン。

そしてあっという間に〈エデン〉に囲まれるカリン先輩と確保される〈ワイバーン〉。

他のところでは「カリン先輩は確保したー。解放してほしければ無駄な抵抗はやめろー」となぜかメルトとミサトが降伏勧告を叫んでいる。

あれ? そこまで指示したかな?

まあいいかと、俺はカリン先輩の下へ近づいた。

「ようカリン先輩。飛んで火に入っちまったな」

「こ、これは事故なんだよー。というか〈筋肉は最強だ〉と戦ってたはずなのになんで〈氷の城塞〉は〈エデン〉と戦ってるの!? そんな連絡来なかったのに」

「そりゃあ、俺たちが伝令を止めてたからな。〈集え・テイマーサモナー〉が応援に来ちゃうと困るし」

「そ、そんにゃ~」

ガックシという感じで肩を落とすカリン先輩。

絶体絶命の大ピンチである。

何しろギルドマスターが敵に取り囲まれて孤立してしまったのだ。

後は煮るなり焼くなり。そしてギルドマスターを失ったギルドは簡単に陥落してしまうところまで見えた。

しかし、助かる道が無いわけでも無い。

というわけで、俺は提案してみた。

「〈集え・テイマーサモナー〉のギルドマスターカリン先輩に提案する」

「え? はい!」

一瞬項垂れた表情でこっちを向いたカリン先輩だったが、提案という言葉に希望を見いだしたのか一瞬で顔色を変えて返事した。

うむ。即で察したか。さすがはAランクのギルドマスターだ。

そんなカリン先輩に俺は告げる。

「今南西エリアから3ギルドが〈エデン〉の拠点へ迫ってきてるんだ。同盟を組んでな。その戦闘に手を貸してはくれないか?」

「え、拒否すれば?」

「その時はカリン先輩がここで退場になるだろうな」

「だ、だよねー」

提案というか、これだと要求になってしまう気がする。いや、きっと気のせいだろう。

だが、悪い提案では無いはずだ。

ギルドマスターが解放される。これがまず大きいだろう。

ここでギルドマスターが退場してしまえばそれこそ〈集え・テイマーサモナー〉の勝ち目は限りなくゼロに近づく。

今生き残っているのは南西エリアの3ギルド同盟と〈エデン〉。

〈氷の城塞〉という同盟を失った〈集え・テイマーサモナー〉が1ギルドで相手をするには厳しいだろう。

〈集え・テイマーサモナー〉としては〈エデン〉と3ギルド同盟がつぶし合ってくれた方が嬉しいだろうが、そんなことはさせないよ。ちゃんと〈集え・テイマーサモナー〉も巻き込みます!

それに、〈エデン〉と手を組めば〈集え・テイマーサモナー〉が3ギルド同盟のどこかを落とすチャンスも生まれる。上手く立ち回ればそれこそ1位になれるチャンスがあるかもしれない。

少なくとも、ここでギルドマスターが退場するよりかは勝率が上がるだろう。

〈エデン〉としても、今から〈集え・テイマーサモナー〉を討ちに行っている時間は無い。

討ちに行っても途中で撤退することになるだろう。

そして3ギルド同盟とぶつかればさすがに〈エデン〉も無傷とはいかない。連戦で〈集え・テイマーサモナー〉が襲ってきた場合、もしくは4ギルドが同盟を組んだ場合、万が一もあり得る。

何しろ3ギルド同盟はあのカイエン先輩のいる〈サクセスブレーン〉、ガルゼ先輩が育てた〈獣王ガルタイガ〉、そして大罪のロデン先輩がいる〈カオスアビス〉だ。

〈エデン〉もさすがに楽勝とはいかない、かもしれない。

そんなわけで、なら〈集え・テイマーサモナー〉を味方に付けた方が勝利に近づくし被害も少ないだろうという判断だ。

〈エデン〉のメンバーを見渡せば、ここでカリン先輩を倒しちゃった方が勝率高くなるんじゃないでしょうか? という感じで首を傾げているフィナや、俺の判断に従おうと無言を貫くレグラムなど、色々な意見があるように見えるが、誰も口に出すことは無かったので〈集え・テイマーサモナー〉と組むこと自体は問題無さそうだった。

ということで話を進める。

「さあカリン先輩。今ここで答えてもらおう。〈エデン〉と組むか、退場――じゃなくて〈エデン〉と組まないか、選んでくれ」

「今『〈エデン〉と組むか、退場するか選べ』って言おうとした!?」

「そんなことはないさ。さあ、時間稼ぎはダメだぞ? 10秒以内に答えないと退場してもらうから」

「ほら今退場って言った! ハッキリ言った! 私確かに聞いた!?」

「えっと今何秒だったか。3、2――」

「10カウントですらない!? はい! わかりました! 〈集え・テイマーサモナー〉は〈エデン〉と組みます! 一緒に3ギルド同盟と戦います!」

「よーし決まりだ! じゃあ早速作戦を通達するぞ?」

「もう作戦決まってるの!? 準備良いね!?」

そりゃあもう。この展開、〈氷の城塞〉を落とし、拠点の遠い〈集え・テイマーサモナー〉を同盟に引き入れることは俺の中では想定内だ。

こうして〈エデン〉は〈集え・テイマーサモナー〉と同盟を組んだのだった。

3ギルド同盟と戦う時は、すぐそこまで迫っている。