第1192話 千客万来。〈エデン〉にお客様!
第1192話 千客万来。〈エデン〉にお客様!
前書き失礼いたします。
クリスマスプレゼント大企画最終日!
本日4話投稿です!
楽しんでいってください!
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明けて4月13日日曜日。
昨日はハンナとSランクギルドハウスを回った後セレスタンやサトル、シエラの手を借りて改装案を出しあい、一通り纏め終わると改装依頼を出した。
これで引っ越しする前に〈エデン店〉や内装も整うだろう。
後は改装が終わったら荷物を纏めて引っ越しするだけだな。
Sランクギルドハウスに移るのが楽しみだ。
そんなことを考えながら今日も〈エデン〉のAランクギルドハウスへと向かう。
すると、ギルドハウスの前に見覚えのある3人のロリがいた。
あれは確か。
「アリスちゃんにキキョウちゃんに、ゼルレカちゃん?」
「あ! お兄ちゃん!」
おお! お兄ちゃん。
なんて甘美な響きなんだ。
そこに居たのは子爵姫であるアリスちゃん、狐耳少女であるキキョウちゃん、そしてガルゼ先輩の妹であるゼルレカちゃんだった。
「先輩。その、お久しぶりです」
「ああ。キキョウちゃんも元気だったか? 学園で大変なことにはあってないか?」
「えっと、無いです」
「何かあったら頼ってくれていいぞ。これでも俺は学園ではそれなりに顔が利くからな」
「それはそうでしょうね。その時は遠慮無く頼らせていただきます」
うむ。相変らずしっかりとした子だ。
この子が遠慮無くと言うのならおそらく本当に遠慮はしないんだろうなぁ。
そして最後の1人に向く。
「ゼルレカちゃんも――」
「がぁぁぁ! ゼルレカちゃんって言うなー。むっちゃむずむずするー!」
ちゃん付けしたら身を抱くようにして震えた。
「どうしたんだいゼルレカちゃん?」
「お前わざとやってんだろー! あたいにちゃん付けなんかするんじゃないよ! 見ろこの腕、鳥肌が立っちゃったじゃん!」
ちょっとからかったらゼルレカが袖をめくって腕を出してきた。鳥肌いっぱいだ。
そんなにちゃん付けされるのがいやなのか。覚えておこう。
「もう、ゼルレカ? お兄ちゃんをお前なんて呼んじゃ、メッだよ?」
「そうですよ。お世話になることもあるのですからちゃんと先輩と呼ばないと」
「うう。でもよぉ」
「悪かった悪かった。もうちゃん付けじゃ呼ばないよ。ガルゼ先輩の妹だからな、つい他人って気がしなくて口が軽くなっちまった」
「もう、お兄ちゃんも、ゼルレカをいじめるの、メッだよ?」
「気をつけます」
「うん」
はぁ、お兄ちゃん呼びと幼女のメッが良き。これで10年戦えそう。
「アリスちゃんも、この前ぶり」
「うん。お兄ちゃん、あの時、また助けてくれてありがとね」
20年戦えるかもしれない。
まあ冗談はさておき、アリスちゃんとは彼女が学園にやって来たときに偶然遭遇して貴族舎まで送ったことがあったんだ。学園祭以来だっていうのにアリスちゃんはしっかり俺のことを覚えてくれてた。嬉しかったなぁ。
相変らず危なっかしかったから何かあったら俺を頼ってこいって言っておいたんだ。
もしかしたらそれかもしれないな。
「お兄ちゃん、アリスのこともアリスって呼んでね。アリスね、学園に入って大人になるの」
「おうおう。アリスな。ばっちり把握したぜ~」
「では私もキキョウでお願いします」
「了解了解~」
「あたいの時とちがくない?」
まあ、挨拶という名のじゃれあいはここまでにして本題を聞こう。
「それで3人ともどうしてここに?」
そう聞くと、前に出てきたのはキキョウ、ではなくアリスだった。
「えっとね。早速ね、頼りにして来たの」
やっぱりか。俺は即で頷き、親指を自分の顔に向けて請け負った。
「任せろ!」
「え!? 早い!? まだアリスは何も言っていないですよ!?」
おっとちょっとフライングしてしまったぜ。
しかしこんな幼女が頼ってきたら任せろとかっこよく言いたくなっちゃうよ。
だから仕方なかったんだキキョウ。
さて、それで何を頼りにしてきたのだろう?
その思いが通じたのか、キキョウが補足を入れてくれる。
「えっとこほん。以前知り合ったときに言っていたじゃないですか。「来年入学したら是非俺たち〈エデン〉を頼ってくれ。」って。だからその、〈エデン〉に来てみたんです」
「おお! よく来てくれたな!」
そういえば思い出す。
この子たちを軽く勧誘していたことに。
あの時キキョウに「怪しい人ですね」と言われたことでうやむやになったかと思ってた。まだ有効だったらしい。
そういうことなら大歓迎だ。俺は早速3人をギルドに誘う。
「あー、あたいは付き添いなんだけど」
「ゼルレカも遠慮するな。ガルゼ先輩の妹なら俺にとっても妹みたいなものだ」
「何その理屈?」
つまり細かいことはなーしってことだ。
ゼルレカがこの先〈獣王ガルタイガ〉を継ぐことは知っている。
だから勧誘はしない。しかし、なら普通に交流すればいいじゃない。
そういうことだ。
そんなわけでギルドハウスに案内する。
「おはようー」
「あ、おはようゼフィルス。お客さんが来ているわよ」
「ん?」
ギルドハウスに入って真っ先に会ったラナから来客を知らされた。
どうやらアリスたちのことじゃない様子?
千客万来か。
そう思っていたところ、アリスたちに気が付いたラナが 据 ( す ) わった目をして俺を見つめてきた。
「ゼフィルス? どこから攫ってきたのよその子たち」
「とんでもない誤解を受けている!?」
なんで攫ったと思われたのか、俺にはまったく身に覚えがない。だから通報はやめてね?
「あの、ラナ殿下、ですよね? 私たち、先輩を頼って」
キキョウががんばって説明をしようとしてくれているが、相手は王女だと知っているからか、かなりたどたどしい。あと俺の体に少し隠れ気味になっているのも良き。とても良き。
「ふーん」
ラナの視線が突き刺さる。まるで俺がロリたちをたぶらかしたんじゃないのとでも言わんばかりの視線だ。案外間違っていない。
思わず逸らしかける視線をがんばってラナに向けていると、そこへリーナがやってきた。2人の女子を連れて。
「あ、来ましたわ。ゼフィルスさん」
「リーナ! 俺の救世主!」
天は俺を見放さなかった!
俺はすぐにリーナの元へ詰め寄り手を取ってブンブン振る。
「ちょ、ゼフィルスさん!?」
「おおっとすまんすまん」
手を取る必要は、無かったかもしれない。
リーナが俺の救世主に見えたんだ。つい体が動いてしまった。
チラッとラナの方を見る。
「まあ、いいわ。ゼフィルス覚えておいてよね」
忘れたいなぁ。そう思いながらラナが去って行くのを見送った。
……あれ? そっちは〈幸猫様〉の神棚がある方では?
「――リーナさんリーナさん、私にも紹介してくださらないかしら?」
しかしお客様がいる状況ではラナを追いかけることができない!
「こ、こほん。そうですわね。紹介を――あら? そちらの方はどなたですの?」
リーナが連れている2人のうち高貴なお嬢様的雰囲気のある令嬢さんから紹介を頼まれたが、その前にリーナは俺が連れている3人に気が付いた。
「ああ。こっちは俺を訪ねてきたお客さんだ」
「そうでしたの? 被ってしまいましたわね……。実はこちらのお二人は学園長からの紹介ですの。ゼフィルスさんを訪ねてきたみたいですので、できれば彼女たちを先に対応してもらいたいのですが――お二人に紹介しますわね。ここギルド〈エデン〉のギルドマスター、ゼフィルスさんですわ」
なるほど、学園長からは前々から会ってほしい人がいると言われていたんだが、彼女たちのことだったようだ。
「紹介に 与 ( あずか ) ったゼフィルスだ」
「紹介していただきありがとうございます。私はヴィレルノーアと申しますわ。どうぞノーアと呼んでくださいな。そしてこちらが従者のクラリスです」
「クラリスと申します」
紹介されたのは金髪碧眼のお嬢様と、それに付き従う男装の麗人を思わせる従者だった。
一目見て分かった。彼女は「公爵」の「姫」と「男爵」の「姫」であるってな!
しかし、「公爵」? 学園長の紹介?
はて? 何か記憶に引っかかるような。
そう思っていると、微笑を浮かべたノーアが説明してくれた。
「学園長の直系の孫にして末の娘ですの。聞いたことがありまして?」
そこまで言われて俺は去年の5月頃に話した記憶をサルベージした。
「ああ思い出した! 確か学園長が孫に【姫軍師】の就き方についてアドバイスをしてほしいって言ってた!」
「それです!」
俺が手の平にグーをポンと乗せるとノーアがビシッと指を向けてきた。
その仕草に、思ったよりも親しみやすさを感じた。
「あー、なんか立て込んでいるみたいだし日を改めた方がいいか?」
会話が切れたところを狙っていたのだろう、ゼルレカが俺たちに聞いてくる。
「そちらの方は、もしかしてガルゼさんの妹の、ゼルレカさんでは?」
「……そうだ。姫さん、ご無沙汰してる」
「あら! 久しぶりじゃないの。3年ぶりくらいかしら? 日を改めるなんてしなくていいわ。私ともお話ししましょう!」
なんと、どうやらノーアとゼルレカは知り合いだったみたいだ。しかもノーアの食いつきが良い。
もしかしたら仲が良かったのかもしれないな。
結局俺とリーナ、後面会を希望する5人を連れて別の部屋へと向かうことにした。