第1211話 新メンバーが戦うのは―ボス〈クマアリクイ〉!!
第1211話 新メンバーが戦うのは―ボス〈クマアリクイ〉!!
現在新メンバーのヴァン、サーシャ、カグヤの1陣パーティがLV10になって 初級下位 ( ショッカー ) へ挑むところらしい。
なかなかのハイペースだ。
続いて新メンバー2陣パーティ、ここはノーア、クラリス、キキョウ、アリス、アルテで運用を予定している。現在は〈初心者ダンジョン〉でレベル上げ中だ。
「俺たちは授業があるから、アルテはその間に初心者ダンジョンを周回してきてくれ。何度もダンジョンを攻略してLV10まで上げるんだ。そうすれば2陣のパーティに合流してダンジョンを攻略できる」
「アイサー!」
初心者ダンジョンでLV10まで育てないと何も出来ないのでアルテにそう指示を出して送り出した。アルテだけちょっと出遅れているからな。
1年生は4月の間は自由に授業を選べるし、選ばずにダンジョンに行ってもいいのが最大の利点だ。
なんだか去年を思い出すなぁ。
アルテがLV10になるまでの間、2陣は自由行動。1陣は相変らず 初級下位 ( ショッカー ) でレベル上げだ。
「あと、ヴァンたちはクエストを進めてみるのも良い経験になると思うぞ」
「クエストでありますか?」
「ああ、毎年この時期になると 初級下位 ( ショッカー ) の素材がどこも足りなくなって高騰するんだ。お小遣い稼ぎにもなるし、お勧めだぜ」
「なるほど、パーティで相談してみるであります」
俺も去年やったなぁ。足りない素材の納品クエスト。あの時はマジでお金が無かったからな。
1陣メンバーはヴァンとサーシャが伯爵の子女、カグヤは長く〈エデン店〉に務めていたからお給料はかなり貰っているはずだが、お金というのはいくらあってもいいのだ。
その後、戻ってきたヴァンは「クエストを受注してみます。少しでも〈エデン〉に役立てれば幸いであります」と言ってきた。
うむ。QPで見るのなら初級下位クエストの報酬なんて微々たるものなのだが、それは言わぬが花だ。まずは経験値だよ。
「ヴァンたちの活躍を期待する」
「はっ!」
そんなちょっとかっこいいことを言って送り出す。なんとなく後輩にはかっこいい姿を見せたくなる先輩心です。
放課後になって迎えに行くと、アルテがすでにLV10に上がって2陣パーティが完成していた。すでに 初級下位 ( ショッカー ) にも潜り始めているらしい。
アルテからは装備が〈木箱〉産とはいえ 上級下位 ( ジョーカー ) 級なので「無双できて楽しかった」と言われたよ。そうだろうそうだろう。初心者ダンジョンならどんな武器でも変わらなかった気がしなくもないが、それは言わないでおいた。無双は楽しいよな!
また、ノーアが前衛で暴れてモンスターを屠ってしまうのでクラリス、キキョウ、アリスに出番がないということもあったようだ。
これはどうなの? と思うかもしれないが、SP的には問題無い。
むしろ、二段階目ツリーまでは何もしなくてもいいまである。
初段階目ツリーで覚えるスキルや魔法なんてレベルが上がれば上がるほど使えなくなるので、基本LV20まではSPは温存するのが吉だからだ。
ゲーム時代は3年生になるとパワーレベリングを解放して、下級職の時にSPを振らず、全てを上級職のスキルや魔法で揃える、なんて強烈な〈育成論〉もあったほどだ。
とはいえこれは主人公がすでに六段階目ツリーを開放しているくらいLVが高くないと理想のレベリングが出来ないんだけどな。
だから最初はこれでいいのだ。
〈初ツリ〉のスキル・魔法なんてキキョウの挑発スキルだけあれば他は必要無いまである。
実際それで回っているからな。〈初ツリ〉の攻撃にSPは振らなくても良いというのが俺の持論だ。例外は多いけど。
そんなわけで放課後、2陣パーティは俺が引っ張ってってやんぜ! と言わんばかりに〈熱帯の森林ダンジョン〉の最奥へとキャリーした。もちろん歩いてな。
こんなに早くLVを10まで上げてくる新入生はいないので最奥はガラガラだった。
誰もいない。これはチャンスである。
「これから〈クマアリクイ〉に挑戦してもらう。あれだ」
「あれは、くまなの? アリクイなの?」
「アリクイだ」
アリスの言葉にうむと頷いて答える。
あの謎のボスはなんだろう? それはみんな1度は通る 道 ( 疑問 ) だ。
「いきなりボスですか!? 危険じゃないですか!?」
「大丈夫だキキョウ。確かにボスだし強いが、所詮は最初のボスだ。LV10が5人いれば余裕で勝てる」
実際1人でも勝てるからな。
キキョウは高位職、高の上のタンク。しかも〈木箱〉級とはいえ 上級下位 ( ジョーカー ) の装備を身に着けているのだ。これで勝てない道理は無い。(過剰戦力)
「私にお任せくださいな! タンクがいなくてもこれくらい簡単に屠ってやりますわ!」
「お嬢様ならできるでしょうね。させませんけど」
うむ。クラリスの言うとおり。
ボスとはいえ〈クマアリクイ〉であればノーアの装備があれば余裕だろうな。
おそらく1人でも倒せると思う。
しかし護衛としては看過できないようでスススとクラリスがノーアの側に近づいていた。
「私も手伝いますよノーアさん!」
「よろしいですわアルテさん、一緒に戦いましょう!」
気合い十分で隣に立つアルテの言葉にテンションが高くなるノーア。なんか「オーホッホッホ」とか言いそうな雰囲気だ。
「キキョウ、ここは練習の場だ。ポーションだってあるんだし万が一にも負けることはない」
「そう、でしょうか?」
「だからキキョウは勇気を持ってボスに立ち向かうことを覚えるんだ。ノーアの攻撃力は大きすぎる。つまりそれだけヘイトを稼いで狙われてしまうだろう。それを防げるのはタンクのキキョウだ」
「は、はい!」
「アリスも!」
「おおっとすまん。アリスも頑張れ」
「うん。アリス、頑張る」
「というわけだ。キキョウも気楽に、慣れるための練習と思って頑張ってくれ」
「わかりました。やってみます!」
俺の言葉に気合いを入れるキキョウ。
こんな小さな体でボスの攻撃を受け止めるのだ。さぞ怖いに違いない。
しかし、それが出来るのは俺たちがすでに知っている。体格差なんて 職業 ( ジョブ ) を身に着けた段階でさほど気にしなくていいものになっているんだ。
だってこれより大型のボスとか山ほどいるし。シエラは微動だにせずそれを受け止めるからな。
キキョウはあとでシエラかフィナ辺りにタンクのやり方を教わった方が良いかもしれない。
「さ、みんな行ってこい!」
「「「「「おおー!」」」」」
新メンバーがボスへと挑む。