第1216話 学園クエスト!?ゼフィルス先生発進します!
第1216話 学園クエスト!?ゼフィルス先生発進します!
「学園からのクエストだが、みんなはこれをどう思う?」
「そうね。現状を見ると学園の基盤が危ういというのが分かるわ。そして、上級ダンジョンが解放されて以降、学園の学生たちがメキメキ力をつけてきている。これは一種の非常事態であるともとれるわね」
「端的に言いまして、教員のLVが足りていないのですわ。別に授業自体はLVの低い教師でもこの国の最先端の学業を教えることができますのでよろしいですが。LVが足りていないということは、このままでは手に負えなくなる学生が出てきてしまう可能性もありますの」
「もちろん教員も何もしていないわけではありません。ですが、学生に授業をするのが教員の本分、なかなかダンジョンに潜る時間を捻出するのも難しいのが実態です」
「教師陣も性急にレベル上げがしたい、でも学生の伸びに教師陣が追いついていないということね?」
「実際教師陣もレベルを上げております。なのに依頼が来たということは何か問題が出てきたのではないかと推測できます」
「そして、この〈エデン〉はギルドマスターであるゼフィルスさんが学園の臨時教師ですので、その関係で話が来たのではないか、ということですわね」
「…………」
学園から依頼「どうか教師のレベル上げを手伝ってほしい」というクエストが届いて緊急会議を開催中。メンバーは俺、シエラ、リーナ、セレスタンの幹部4人だ。
ギルドハウスで3人に聞いたらどんどん内情が明らかになっていく不思議。
学園も、今年の卒業生を大量スカウトしたりランク4、ランク5のダンジョンでレベル上げをするなど手を尽くしている。
にもかかわらずクエストが来たということは、教員の育成になにか問題が起きたため依頼をしてきたのだろう、という結論に至っていた。
素晴らしい! さすがは〈エデン〉の頭脳たちなんだぜ。
ゲーム〈ダン活〉では教師というのは攻略には絡んでこなかった。
仲間にもすることは出来なかったし、チュートリアルやアドバイス的な感じで助言はしてくれるし、 職業 ( ジョブ ) の発現条件などのヒントを教えてくれたり、もしくは鍛えて条件達成を手助けしてくれる存在だった。
だがリアルでは学生よりも教員の方が弱いという逆転現象が起こりかけている。
それはつまり、教員が学生を管理しきれないという大きな問題にも繋がる事態ということだ。
止められる大人がいなくなれば、子どものすることなんて想像に難くない。俺だって20個くらい簡単に思いつく。(←童心)
うん。大問題だな。
「現状は分かった。それで、受けるか否か?」
「クエストの詳細を確認しますと、目的はランク4とランク5ダンジョンの攻略とあります。できればLV30までの育成も希望していますが、あくまで目的はキャリーのようですね。そして〈エデン〉ではなくゼフィルス様個人に依頼が届いておりますね」
「あれ? 〈エデン〉へじゃないのか?」
セレスタンが改めて依頼書を確認して俺に告げる。
「学園の面目もありますから、学生に教えてもらったというより、学園所属の教員の手を借りたという方が都合が良いようですわね」
「それはそうだ!」
リーナの言うことに納得。ということはこれは個人依頼になるのか。
受けるも受けないも俺次第。
正直言えば、受けたい。何しろこんなことゲーム〈ダン活〉時代はなかったリアルオリジナルクエストだ。是非確かめてみたいし経験してみたい。
さっきも思ったようにゲームには教員とパーティを組んでダンジョン攻略なんてイベントはほぼ無かったのだ。
しかし、現在〈エデン〉は〈氷ダン〉攻略の途中だ。これを投げ出すわけには……。
だが、これを逃すともうチャンスは無い可能性も……。う~む。
「ゼフィルス、やりたいのであれば、やってくれば?」
俺がそう葛藤しているとそう後押ししてくれる人がいた。
「いいのか、シエラ?」
「確かにあなたが居ないと新しいダンジョンの攻略はそこまで高速で進まないけれど、それでも今までに教わったノウハウがあるわ。私たちだけでも攻略は出来ると思うわよ」
「いいですわね。いつもゼフィルスさんの指示通り進んでこなしてきましたが、たまには自分たちで上級ダンジョンを攻略するというのも悪くありませんわ」
ほほう?
なるほど、どうやら俺と居ることでダンジョンを効率よく攻略するのも良いが、右往左往しながらもみんなで力を合わせて難関を突破することにも憧れがある様子だ。切磋琢磨して経験を積んでみたいという気持ちもありそう。
少しだけ寂しくもあるが、俺頼みで楽がしたいわけじゃないというところに好感が持てる。苦楽を共にしてこそ仲が深まるとも言うしな。
そういうことならこの依頼、前向きに考えても良いだろう。せっかくシエラが後押ししてくれたのだ。前向きというかむしろ前のめりで考えたいと思う。
それに〈氷ダン〉くらい、俺が本気になればあと1日で突破出来るのだ。ふはは!
みんなは徘徊型が出る41層から先、どれくらいの速度で進めるのかも見れる貴重な機会でもある。
まさか俺抜き攻略なんて場面が訪れようとはな。
うっかり教師陣のレベル上げに集中しすぎて〈氷ダン〉まで攻略してしまわないよう気をつけなければ。
「よし分かった。この依頼、受けたいと思う! みんなにも問題がないか通知しておいてくれないか?」
「畏まりました。期限ですが、明日からダンジョン週間中となっていますね。とはいえ全日程じゃなくても良いようですが」
「了解だ」
すでに土日が終わっているのでダンジョン週間は残り7日だ。
まあ、問題は無いだろう。〈氷ダン〉を攻略しても今はまだ上級中位ダンジョンには行けないしな。
この依頼は、そっち方面のことも関わっているし、悪い展開ではない。むしろ考え方によれば渡りに船だった。
それと、もう1つ、俺がこの話を受けた理由だが。
「ゼフィルスさん。依頼を受けてくれてありがとうございます。またゼフィルスさんと一緒にダンジョンに潜れて嬉しいです」
「タバサ先生!」
「やぁやぁゼフィルス君、いつも通り男前だね! また一緒にダンジョンに潜れることになって嬉しいよ!」
「うむ。短い間だがパーティの仲間だ。よろしく頼むよ」
「カノン先生にキリちゃん先生!」
「なんじゃ、あの時のことを思い出すのう。楽しい1週間になりそうじゃ」
「ヨウカ先生も!」
これが俺が組む教員の引率パーティ。
【救世之勇者】の俺、【メサイア】のタバサ先生、【 操千 ( そうせん ) の 剣姫 ( つるぎひめ ) 】のカノン先生に【紅の竜峰将】のキリちゃん先生、そして【大妖怪九尾】のヨウカ先生だった。
全員がLV30超え。
このパーティに率いられた教員をパワーレベリングするのが俺たちの役目なのだ。
タバサ先生たちとまたパーティを組めるまたとない絶好の機会だぜ?
これは逃せないでしょ?