第1217話 タバサ先生とゼフィルス生徒。超アイテム公開
第1217話 タバサ先生とゼフィルス生徒。超アイテム公開
タバサ先生たちはサポート要員。
レベル上げをする時、一番効率が良いのはすでに高LVの人にパワーレベリングをしてもらうことだ。もしくは狩り場までキャリーしてもらうことなんかが該当する。
まだ多くの教員がダンジョンの深層にたどり着けていないために、まずはその狩り場まで進む必要がある。
ということで俺、タバサ先生、カノン先生、キリちゃん先生、ヨウカ先生が選ばれていた。
さらに〈救護委員会〉からシグマ大隊長やラムダが。
〈ハンター委員会〉からもアーロン先輩やダンカン先輩、ミューなどが応援に来てくれている。
かなりの規模だ。学園の本気度が伺える。
引率する教員の数は40人。もちろん全員が上級職でLV15を超えている。
これだけの数がLV30になれば、確かにいろんなことができるだろう。
「こんにちはゼフィルス君。今日は私が教わる側になっちゃったけど、よろしくお願いしますね」
「フィリス先生!」
教員の方から続々と挨拶される中、見知った人も中にはいた。というか担任のフィリス先生だった。
「フィリス先生も参加していたのですか!」
「そうなの。戦闘はキリちゃんほど得意ではないのだけど、これでもそこそこ強いのよ?」
パチンとウインクしてそう話すフィリス先生がとても良き。
フィリス先生の 職業 ( ジョブ ) は【 上侍 ( じょうざむらい ) 】。確かに中位職に該当しているが、それでも「侯爵」の 職業 ( ジョブ ) だ。同じ中位職の 職業 ( ジョブ ) よりも能力が高く、準高位職と言ってもいいレベルの能力を秘めている。
というよりノーカテゴリーの上級職、高の下と良い勝負をするレベルだ。
キリちゃん先生の 職業 ( ジョブ ) は上級職、高の上なので確かに比較してしまえば劣ってしまうが、フィリス先生だって十分な戦力だと言えるだろう。
また、フィリス先生の装備はリカ経由で以前足りていなかった〈女武士道シリーズ〉の篭手と足袋を購入しており、これにて全集全ての装備が揃っていたりする。
うん! パーフェクトだ!
「あれ? そういえばラダベナ先生は?」
そういえば副担任でありフィリス先生のサポート役だったラダベナ先生が見当たらないことに気付く。
「ラダベナ先生やムカイ先生は来ていないわよ。今回は若い先生方がメインですから」
「え? そうなんですか?」
「ええ――あ、キリちゃんが呼んでいるみたいなのでこれで失礼しますね」
「はーい。また後で」
キリちゃん先生に呼ばれたフィリス先生がそっちへ行ってしまうのを手を振って見送る。キリちゃん先生とフィリス先生は姉妹なのだ。
リカに聞いたことがあるが、4人姉妹で長女のフィリス先生が家督を継ぐことが決まっているらしく、しかし姉妹の仲は良好とのことだ。
また、家督を継ぐフィリス先生は腕っ節よりも政治の方が得意なのだそうだ。
仲良く談笑し始めるフィリス先生たちを見送り、挨拶の続きに入る。
「お初にお目にかかります勇者氏――いや、ゼフィルス氏には三学期の研修授業でお世話になりました。自分は索敵支援担当のイルカと言います。今回支援班のリーダーを担当します」
「おお! あなたがイルカ先生ですか。話には聞いています。よろしくお願いします」
続いてやって来たのは支援班を纏める若きリーダー、その名をイルカ先生という。
今年卒業して学園に所属することになった元〈支援課〉の方だが、教師に正式に就任することになって1ヶ月も経たないうちにリーダーを任せられるとは相当な実力者だと分かる。
その 職業 ( ジョブ ) も素晴らしく、なんと【参謀】の上級職、【ウォーリーダー】だった。
もう1つの上級職【ブレイン】とはまた違った 強化 ( バフ ) 系を持つ 職業 ( ジョブ ) で、その能力のすごい所はパーティメンバーが使ったスキルや魔法の能力を補助し、威力を底上げできる点にある。攻撃だろうが防御だろうが索敵だろうが隠密だろうがとにかくパワーアップさせてしまうのだ。
今までは 平 ( ひら ) の1人で攻撃や防御の能力を底上げして戦闘班を補助していたらしいが、学園は彼の能力を鑑みて今回から支援班のリーダーに抜擢したのだというから驚きだ。期待大!
うーむ、学園も良い人材を持っていますねぇ。
そんな感じに挨拶も一通り終わり、〈上下ダン〉に揃った教員の方々を眺める。
「しかし、本当に若い人たちが多いんだな」
そして思わず不思議そうに呟いてしまった。
さきほどフィリス先生が言っていた通り、集められた教員は全員が若い教員で、一番の年上でも20代前半の人しか居なかったのだ。
まあ、学園長のような歳の方が来ても正直「本当にダンジョン潜れるの!? ドクターストップじゃない!?」となるだろうし、若い人たちが集まるなら問題はないのだが、ちょっと気になった。
するとその呟きを聞いた、いつの間にか俺のすぐ隣に立っていたタバサ先生が答えてくれる。
「それは歳を重ねるとだんだん獲得経験値が減っていくからよゼフィルスさん」
「……へ?」
なんだか今とんでもないことを聞いた気がする。
「あれ? ゼフィルスさん知らないかしら? 経験値は若ければ若いほど多く貰えるのよ? 10代が一番多くて、20代になると少しずつ貰える量が減っていくの。40代にもなると半分くらいしか貰えなくなってしまうのよ?」
「マジっすか!? 何それ初耳なのですが!?」
「大マジのマジよ。ここ、テストに出るから覚えておいてね?」
「はい、タバサ先生!」
はっ! しまった、いつの間にか先生と教え子になってた!
でもとても心地が良い。
タバサ先生も「うふふ」と笑っていて楽しそうだ。
うん。気になることが多いし、このまま続けようと思う。
「はい! タバサ先生、質問です!」
「よろしい。ゼフィルスさん、どうぞ?」
「年齢を重ねるごとに貰える経験値が少なくなる。これは全種族共通なんでしょうか? 例えば一番の長寿エルフはどのくらいのペースで経験値が少なくなっていくのでしょうか?」
「良い質問ねゼフィルスさん。エルフは人より長生きするわ。でも経験値が貰える量は人間とまったく同じなの。年齢が40歳の人間とエルフでは、見た目の若々しさ関係無く貰える経験値は同じだったという研究報告があるのよ」
「マジっすか!?」
「そして80歳同士の研究でも同じだったそうよ。ここ、テストに出るからね?」
「はーい!」
メモメモ。
タバサ先生のノリの良さにメモを取る手が止まらないぜ。
まさに衝撃の事実! ゲーム〈ダン活〉時代、数え歳なので最高でも19歳までしかキャラがいなかったのでこの世界に来るまで全く知らなかった。
実は1年生の時に少しそういう授業があったのである程度は知っていたのだが、タバサ先生のおかげで知識が補強できたんだぜ。
10代は経験値を貰える量は変わらないらしい。しかし、21歳を過ぎてから緩やかに貰える経験値が下がり始め、40代で10代の半分、80歳まで行くともう本当に微々たるものしか経験値が貰えなくなる。これは全種族で共通か。
実験に協力した80歳の老人がどうやってレベルを上げたのか気になるところだ。
先生、ここはテストに出ますか?
しかし、う~む……〈転職〉が妙に忌避されているなぁとは思っていたが、これも理由になっていそうだな。
「仲いいのうお主ら」
「ヨウカ先生」
「そろそろ出発するみたいじゃからの、呼びに来たわ」
「ありがとうございます!」
「うむ。妾たちはこの身でゼフィルスが如何に規格外か知っておるが、教員のものたちはまだ知らぬ者も多い。インパクトが大事じゃ。見せつけてやろうぞ」
「うおおお! テンション上がってきた! 指揮は任せてくれ! バッチリとこなしてみせらぁ!」
「ふふふ、期待しているのじゃ」
「期待には応えないとな! ということで早速〈島ダン〉に行くぞー!」
「「「「おおお!」」」」
おっと、いつの間にかカノン先生やキリちゃん先生まで一緒だった!
アーロン先輩やシグマ大隊長にも出発する旨を告げ、俺たち教師陣は 上級下位 ( ジョーカー ) ランク4、〈島ダン〉へと入ダンしていったのだった。
「ここは足場が悪い。それはすでに周知の事実じゃ」
「それに敵も強いし多いからね~」
「私たちも挑戦したのだが、なかなか上手く攻略できなくてな。特にこの規模を引率するとなると他の者を守り切れないのだ。現在の最高到達層は31層だな」
ヨウカ先生、カノン先生、キリちゃん先生の順に〈島ダン〉の感想を述べる。
この〈島ダン〉、現在は教師陣の狩り場となっている。
実は以前にも教員のLV不足を心配したユーリ先輩と学園長から相談を受けていたのだ。
学生の狩り場である〈岩ダン〉を教師陣が占領するのは学生の学び舎としてとてもよろしくない。となると〈島ダン〉か〈夜ダン〉でレベル上げをしなければならない。
しかし調査もままならないダンジョンに教師陣を行かせて万が一があっては大変だ。
みたいな相談だな。
というわけで春休みにちょちょいっと攻略してその地図データをリーナが学園長に高~く売っていたりする。最奥までの最短距離データだけだけどな。でも登場するモンスターの特徴も遭遇していないボス以外はあらかた書いておいたスペシャル攻略データだ。不備は無いはずだぜ。
しかし、それを見ても教師陣の攻略速度はなかなか上がらなかった。
理由は〈島ダン〉ではモンスターの猛攻に耐えきれないから。
〈夜ダン〉は比較的マシらしいが、状態異常に苦しめられているらしい。
〈イブキ〉がどれほど強いかが分かるな。
結局この40人の教員は〈島ダン〉30層に着いた時点でこれ以上の階層を自力で進むにはかなりの時間が掛かるだろうと判断し、協力を仰ぐ必要があると学園長に相談した。
という背景もあってインストラクター兼アドバイザーみたいな立ち位置で依頼をお願いされたのが今回のクエストだった。
「今は鳥型モンスターが次々襲ってくることを利用して限界まで狩りをしてから撤退を繰り返してレベルを上げているのだけど、それだとどうしてもLV20までしか上げられないみたいなのよ」
タバサ先生の言葉に頷く。〈島ダン〉の31層に出る通常モンスターの最高LVは15だ。
つまりLV20までしかレベル上げができない。
LV30まで上げるためには41層以降に降りなくてはいけないが、現在は立ち往生しているという話だった。後半は難易度がグッと上がるからな。
ふっふっふ、いいだろう。まったく問題無い。
俺がこの〈島ダン〉の攻略法を伝授してやるぜ!
「任せてくれ! 秘密兵器を出す!」
「「秘密兵器!?」」
タバサ先生とカノン先生が目を煌めかせて反応してくれるのに微笑む。
刮目せよ! これがその秘密兵器、救済アイテムの登場だ!
「これがこのダンジョンで大きく活躍するアイテム。〈海塗りのベール傘〉だ!」
そして俺は、〈エデン〉の時はほっとんど役に立たなかった〈島ダン〉の救済アイテム、〈海塗りのベール傘〉を取り出したのだった。
その数。なんと20本だ!!
〈学園春風大戦〉の影響で生産が滞っていたが、ついにこれの役立つときがきたんだぜ。