第1227話 新メンバー勧誘計画後半!あと4人増やすよ!
第1227話 新メンバー勧誘計画後半!あと4人増やすよ!
あっという間に5月になった。
5月は運命の日がある。
新1年生たちはこの日までに理想の 職業 ( ジョブ ) に就き、自身の将来を決めるのだ。
とはいえすでに〈転職〉が有効だと知れ渡って久しい昨今、去年までの暗い表情の学生は少ない。今はまだ微妙な 職業 ( ジョブ ) でも、いつかは〈転職〉で高位職になれるという希望を持っているからだろう。
これだけでも〈転職〉を広め、〈転職制度〉を学園長に立案した甲斐があるというものだ。
本当はもっともっと広めたいところだが、ここからは研究所に任せよう。
また、俺もこの1ヶ月、忙しく毎日いろんなスケジュールをこなしていたのだが、時間の合間を見て1年生たちの相談に乗っていたりした。
あの入学受付で知り合った子たちを中心に、何人か縁のあった子にもアドバイスという形で相談受付をしていたのだ。
結果は上々。
「ゼフィルス先輩のおかげで無事【もののふ】に就けました」とか「無事【暗黒騎士】に就くことが出来ました! ありがとうございます! ありがとうございます!」とか「まさか【ワイルドナイト】になれるとは、俺、絶対【竜騎士】を目指します!」とか色々とメッセージを貰ったよ。
ふっふっふ、順調に学園に高位職が増えている様子だな。
俺がアドバイスをした人たちは全員が自分の希望する 職業 ( ジョブ ) に就けたようでなにより。「俺はアドバイスをしただけさ。理想の 職業 ( ジョブ ) に就けたのは君たちが努力したからだよ」と良い感じのセリフで心をさらに掴んでおいたよ。
目がキラキラして尊敬の瞳で見られてしまったぜ。
ふはは!
「良いことのはずなのに、なぜか後輩たちがとても騙されているような気がするのはなぜかしら?」
「気のせいさ!」
シエラがジト目で見てきます。ありがとうございます!!
実際良いことづくめだ。悪いことなんてどこにもない。
1年生たちは理想の 職業 ( ジョブ ) に就けてハッピー、そこに条件やら報酬やらは提示していない。全部タダだ。ただ貸しを作っただけである。ふふふ。
おっといけない。シエラがジトーとした目で少しずつ距離を詰めてきている。
これ以上テンションが上がったら今まで隠してきたジト目好きがバレてしまいそうだ。俺は誘惑を払って雰囲気をリセットした。
「ごほん。冗談はこのくらいにして、〈エデン〉の追加メンバーについて真面目に話し合おうか」
「追加メンバーね……」
俺がキリッとした顔でそう言うと、シエラも1つ頷いて先を促してくれる。
今まで覚職についてはたくさん活動してきたし、運命の日は学園に任せる。
俺たち〈エデン〉はしっかりギルド活動に勤しもう。つまりは勧誘だ!
「〈エデン〉メンバーは現在41人。これを45人に増やしたい」
「具体的な人数が決まっているということは、候補がいるのね?」
「おう。4人のうち3人は〈エデン店〉の売り子をしていたあの子たちだ」
「確か、自分たちだけでどこまで出来るか試すって言って修業していた子たちね」
「そんなこと言ってたの?」
それ、初耳。ああ、修業を断念ってそういうことだったのか。
とりあえず情報共有からだな。
「 職業 ( ジョブ ) も良いものだったし、3人でもバランスの良いパーティだったからな、誰か他に優秀なメンバーを加えれば新たなギルドを作っても大成すると思っていたんだが、とある高位ギルドたちが目をつけたらしいんだ」
俺の言葉にようやく真面目な話だと悟ったようでシエラの真剣味が増す。
別に他のギルドで活躍するようになっても俺的には問題は無い。
強くなってね! と期待を寄せるほどだ。そして十分に強くなったところを――おっと話が脱線したな。
〈エデン店〉では、前年度まで売り子をしていた10人の女の子たちがいた。
その中で今年16歳になって入学したのが4人、そのうちカグヤだけはすでに〈エデン〉に在籍しているが、他の3人は俺が 職業 ( ジョブ ) に就くアドバイスをして目的の高位職に就いた後、自分たちで活動していた。
というのも、カグヤ 曰 ( いわ ) く向こうはウェルカムだったらしいのだが、俺が結構忙しくて会えなかったのである。すれ違いだ。故に自分たちで修業をしていたらしい。
ちなみに 職業 ( ジョブ ) は【アルフの守り手】【 熊掌者 ( ゆうしょうしゃ ) 】【武装鋼ドワーフ】である。それぞれ「エルフ」「熊人」「ドワーフ」のカテゴリー持ちだった。
【アルフの守り手】はヒーラー&結界使い。高位職、高の中ということもあり、ミサトが就いていた【セージ】に若干劣るものの、この【アルフの守り手】の本領は上級職に就いてから発揮されるので問題は無い。使い勝手はかなりのものなので安心してほしい。
そして今〈エデン〉に欲しいヒーラーでもある。
【 熊掌者 ( ゆうしょうしゃ ) 】はその名の通り(?)アタッカー。トップにしてナンバーワンになり得る攻撃力を持つ拳で戦う純アタッカーだ。上級職になれば【獣王】並の攻撃力を誇ると言えばどれほど強いかが分かるだろう。
最後に【武装鋼ドワーフ】は生産よりも戦闘力に特化した 職業 ( ジョブ ) で、戦うドワーフさんになる。アルルの【炎雷鋼ドワーフ】は魔法寄りのアタッカーになれるのに対し、【武装鋼ドワーフ】は物理系特化型だ。武器はドワーフらしくハンマーや大盾なので、熊人の子に【森の主】より【 熊掌者 ( ゆうしょうしゃ ) 】の方を勧めた経緯がある。ちなみにこの子はタンクだ。
その3人だが、それぞれBランクギルド〈新緑の里〉、Aランクギルド〈世界の熊〉、Aランクギルド〈ハンマーバトルロイヤル〉、からかなり熱心に勧誘されているらしい。
もちろん各ギルドが欲しがっているのは自分のギルドのコンセプトに合った各1人だ。他の子は声を掛けていないらしい。
このままでは3人はバラバラになってしまう。
他の新入生よりかなり先に進んでいたことも有り、周囲には自分たちと組める実力者がおらず、このままでは先へ進めないということもあって修業は断念。
カグヤ経由で俺に話が来たのである。
そうシエラと情報を共有する。
「なるほどね。仲の良い友達が離れてしまうのは悲しいと同時に連携力の低下を招くわ。ゼフィルスは各ギルドに勧誘されてバラバラになるくらいなら〈エデン〉に加入させようと考えているのね?」
「うむ」
シエラの言うとおり、俺が高位職の学生を増やしているのは戦力増強のためだ。せっかく3人が連携力を高め、強くなっているのにそれをバラけさせるなんて勿体ないことこの上ない。なら、うちに入れる。 職業 ( ジョブ ) も申し分ないうえに人となりも知っている。
シエラももちろん異論はなさそうに頷いてくれた。
「それで、残り1人は? 大体予想が付くけれど」
「おう。クイナダを勧誘してみようと思う」
「やっぱりね。素直な子だし良いと思うけれど。留学生なのだから年度末には向こうに戻るのよ?」
「それも込みで選んだ。むしろ留学生だからこそ1人くらいギルドに入れてみたい」
「……ゼフィルスが入れたいならいいけれど。それより、その留学生さんは大丈夫なの? 留学生の勧誘合戦は今すごいことになっているそうだけど、他のギルドに勧誘されているんじゃないかしら」
「それが、なんか大丈夫らしい」
留学生のクイナダ。
俺がクイナダを勧誘しようとすると次々仕事が来るためなぜか今まで勧誘できていなかった1人だ。
早く勧誘しないと!
何しろ現在、シエラの言うように留学生の勧誘合戦がとんでもないことになっているからだ。
前にも言ったが、現在は〈学園春風大戦〉が終わってギルドバトルは嵐の前の静けさを迎えている。5月9日金曜日まで防衛実績でランク戦は挑めないことになっているからだ。
そのため現在、各ギルドは力を溜めている最中だ。
では力を溜めるために有効な手段とは何か?
いつもならこの時期は高位職に就いた多くの1年生が勧誘合戦にあっている、はずなのだが、いずれにせよ育成しなくてはならない。しかしそこに現れたのが留学生。
留学生は――即戦力なんだ。
この一言で全て説明できるだろう。
各ギルドは留学生に狙いを定め、勧誘しまくっているのである!
クイナダがあぶない!
と思ったのだが、なぜかクイナダのところにはあまり勧誘が来ていないらしいのだ。
なぜか来そうになると、どこからともかく黒装束の人が現れて連れて行かれてしまうらしい。いったい何が?
だが、そんな奇跡、そう起こることではないだろう。早く勧誘しておかなければならない。
というわけでカグヤには他の3人へ、ハンナにはクイナダへ連絡してもらい、次の日曜日には勧誘の行動に移るとシエラと相談して決めたのだった。